クエスト達成者と失敗者
祝!一周年祭り最終日!
改めてこれからもよろしくお願いします!O(≧▽≦)O
「た、助かったのでしょうか?」
荷馬車の下からでてきた男が怯えた声で俺に訪ねてくる。匂いでは近くに強大な鳥達の匂いがしないので、ひとまず安全なのを確認した後、頷いて答える。男は俺がうなずいた瞬間に、ホッと息を吐いてあたりを見回す。
「よかった…。しかし、散々な結果になってしまいました。雇っていた冒険者の一人は魔物を見た瞬間に逃げ出すし、もう一人の冒険者の方は善戦してくれましたが…見ての通りです。もし貴方が来てくれなかったらと思うと…ゾッとします。」
男が死んでいる用心棒だったであろう男に近づくと、ギルドカードを回収してから用心棒の男のマントを被せやっていた。そして、そのまま荷物の片付けを開始しようとしていた。俺の視線に気づいた男は
「馬が殺されてしまってので、彼を町まで連れていくのは難しいのです。…なのでギルドカードだけを回収して遺体はこの場に放置します。」
申し訳ないような声で言いながら荷物を纏め始める。纏め終えると亡くなった用心棒の男を埋めるための穴を掘り始めたので、俺も手伝った。人一人分入る大きさの穴を掘るとそこに遺体を置く。
俺が上から土をかけようとする前に男が透明な水が入った瓶を取り出し、中身をマントの上から降り注いだ。
「(あれは?)」
『あれは祝福された水だろう。教会なので使用されている水でわずかであるが神の祝福が付いている。と言っても、さほど効果はないのだが、ああやって死体にかけてやれば死体が魔物化することはない。』
おそらく聖水のことなのだろう。聖水を掛け終ると男が土をかけ始めたので俺も続いてかけ始める。二人での作業だったのでさほど難しくはなかった。土をかけ終え、男が埋まっている場所に適当で申し訳ないが、そこらへんに生えていた花を添えておいた。
「何から何までありがとうございます。私はこれから王都に行きます。よければお礼がしたいので一緒に来てくれませんか?」
一瞬どうするか悩んだが、別にお礼が欲しくてやったわけでもないし、最後は卵を男から奪って助かった身だ。そんな俺がお礼なんて貰えない、何よりもこのままではクエストが失敗してしまうと思って俺は「“依頼があるので”」と伝えて断わった。男は残念そうな顔をするが、すぐに笑顔に戻し別れのあいさつを言ってきた。
「…そうですか。いえ、それなら仕方ありません。貴方のお陰で命が救われました。本当にありがとうございました!良い旅を!」
「“良い旅を”」
そうして男とはそこで別れ、俺は森の中に入って行った。
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再度、森の中に入った俺は急ぎ薬草を5個探しだし、袋が無くなってしまったので、手に持って王都に向かって走り出す。あたりは夕焼けで明るく染まっていた。
王都に無事入る事が出来たので、そのまま依頼主のもとに向かう。依頼主の家にたどり着くと、一応ドアをノックしてから入る。今度は奥ではなく、店番の椅子に座って待っていてくれた。
「おぉ、帰ってきましたか。どうでした?」
俺は持ってきた薬草を依頼主に見せる。依頼主は薬草を受け取ると一つ一つ確認する。すべて確認おえると、頷いてからペンを取り出す。
「ご苦労様でした。状態も良いですし、特に文句もありません。では、依頼紙を。」
俺は依頼紙を取り出して渡す。サラサラッと名前を紙に書くと俺に手渡してくれる。
「また、医薬学について知りたければ来なさい。有料にはなりますが、お安くしてあげますよ。」
「“ありがとうございます。”」
心の中で有料かい!とつっこみながらも礼を伝え、俺は手に2つの無事に達成された依頼紙を持ちながらギルドに向かって進み始めた。途中、朝に掃除した時に手伝ってくれた老人にあったりしたので礼を言いながら進む。
ギルドに到着すると今朝と同じ受付嬢の元に受付紙を持っていく。受付嬢は受付紙を笑顔で受けとり中身を確認してから「お疲れさまでした。」と言って受付紙に大きな判子を押す。
「では、ギルドカードをお願いします。…はい、ありがとうございます。少しお待ちくださいね。」
ギルドカードを渡し、俺は水晶玉の中で受付紙がギルドカードに光の粒子となって吸い込まれる様を見ていたのだが、横の方が少し喧しいなと思って横を見ると、そこには少し前に助けた商人の男と朝に俺を批難していきたイケメン冒険者が話しあっていた。いや、正確にはイケメン冒険者が商人の男に怒鳴り散らしていた。
「ふざけるなよ!あんなの幾ら俺でも無理だっての!」
「えぇ、その気持ちは分かりますが、契約違反は違反ですので…」
「だから!あんな化けもんから逃げたって仕方ないだろ!それなのに何で俺が契約違反金を払わないといけないんだよ!」
「そう言われても…」
「はっ!ふざけんな!」
そう言い捨てると商人の男に背を向けてこちらに向かって歩いてくる。なるほど、逃げた冒険者ってコイツだったんだんな。勝てない敵から逃げるのは間違いじゃないだろうけど、依頼主を置いて逃げたのは問題だったな。そう考えていると、そこでどうやら俺に気がついたようで、鼻で笑うと俺に近づいてくる。
「なんだ?無能冒険者がこんなところで何してるんだ?一端の冒険者のつもりか?」
「……。」
「はっ!お前みたいなやつが冒険者を気取ってるのを見てるとイライラするんだよ!さっさと…」
「イサミさん!ギルドカードをお返ししますね!」
イケメン冒険者の言葉を遮る様に受付嬢が先ほどと違ってやや大きな声を出しながらギルドカードを渡してきた。俺は頭を下げてから受け取ると、受付嬢の気遣いを無駄にしないようにその場から早いとこ退出しようとする。だが、
「おい!てめぇ、何シカトしてんだよ!」
男が苛立った声を出しながら俺の肩をつかむ。俺は、心の中で溜息をつきながらイケメン冒険者の方に体を向きなおす。その際に、受付嬢の顔を見ると心配そうな顔をしており、せっかく気を使ってくれたのに申し訳ないと思ってしまう。だが、それがイケメンにも通じたのか更に苛立った顔をする。
「てめぇ、舐めた態度とってんじゃねぇぞ?何、ミィネちゃんに色目使ってんだ!」
「……。(あの受付嬢ってミィネさんって名前なんだ。あと、色目なんて使ってません。)」
無言なままの俺の胸倉を掴んでくるイケメン冒険者。俺は自分のことなのにどこか他人事のような考えをしながら相手を見ていた。
「フィーロさん!やめてください!」
受付嬢がイケメン冒険者に声をかける。この人はフィーロさんか、まぁ覚える気はないな。
「あっ!待ってください!貴方!私の命の恩人に何しているんですか!」
先ほどフィーロと話していた商人の男が慌てて俺の胸倉をつかんでいたフィーロの腕を取って俺とフィーロさんの間に入る。…あれ?俺ってヒロイン的な立場?
「あぁ!?命の恩人だぁ?」
「貴方が逃げてもう一人の冒険者の方が死んだ後に助けてくださってんです!」
「助けだぁ?一緒に逃げたの間違いだろうがよ!」
商人の言葉を信じないとばかりに大声で叫ぶフィーロ。正直、見てられないな。気付いていないのかもしれないけど、いまギルドの中でコイツ一人だけ孤立してることに。まぁほとんどの冒険者は我関せずと言った感じだけど。
「この人は襲ってきたルフを撃退してくれたんです!闘いもせずに逃げた貴方とは違んだ!」
「な、なんだと…!?」
商人の男が言った言葉にフィーロを始め、傍観していた冒険者たちも信じられないと言った感じにひそひそと呟いている。
「は、はっ!嘘をつくんだったら、もっとまともな嘘をつくんだな!」
「嘘ではありません!現に私は助かったのですから!」
「うるさい!俺を貶めるために嘘をついているんだろうが!知ってるか?こいつはアイアンのクソ雑魚だぞ!」
「なっ!?アイアン!?」
「やっぱり知らなかったんだな!この嘘つきめ!誰もお前の言葉なんて信じな…」
「イ、イサミさんの実力は私が保証します!」
少し怯えてはいるがハッキリとした大声がギルドに響き渡る。話を聞いていた皆が一斉に声の主をみる。そこには緊張した顔をした渡辺さんが立っていた。
必要以上に人物の名前を出さないようにしていますが、大丈夫でしょうか?沢山名前出しちゃうと私も読んでくださっている方も分からなくなってしまうと思ったので( ̄▽ ̄)δ




