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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第三章 : 王都 誘拐
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洞窟の奥

途中、気分が悪くなるシーンがあります。

すみません。<(_ _)>


寂れた大きな館の扉の前に2人の男性が立っていた。大きいほうの男性が、扉を開けようと押したり引いたりするがビクともせずに動かない。それを見ていたもう1人が扉に近寄り何か探るように触れる。


「これは…《施錠ロック》?こないな一回きりの魔法を使うとか太っ腹やなぁ。イサミはん、これは開かんわ。開けるには魔法発動者が解除するか、時間が経ってかけられた魔法が解けるのを待つしかない」


 やれやれと言った感じに、マロクが両手を持ち上げて首を振る。


「多分、エルミアはん達やろなぁ。ここに来るまでに何度か道に迷ったりしてせいで、完全に出遅れたね」

(やかましいわい!俺だってここまで来るの初めてなんだからよー!)


 マロクが言うように、実はここに来るまでに何度か道を間違えてしまったのだ。方角が分かっていても、途中の分かれ道で方角のほうを進むと次第に違う方向に行ってしまったり。だからと言って道を無視して進むと道は荒れて進みにくく、何度か魔物らしい生物と接触してしまいそうになったり。まぁ、全部鼻のおかげで事前に察知し、遠回りして避ける事が出来たが…。今思えばそれも遅れた原因のひとつかもしれない。


(《施錠ロック》って、やっぱり名前のとおり鍵をかける魔法か?だとしたらここからは入れないという事か。むー、これではここまで来た意味がなくなってしまう。…いっそぶち壊すか?金剛ならいけそうな気も…)

『やめておけ。ここを閉じたのは恐らく敵を逃がしたくない為であろう。それを壊せばエルフの娘の邪魔をするだけだ』

(あっ、そう言う事か…。でも、だったら本当に手の打ちようが無くね!?俺の救出イベントここで終了!?ここまで来てそりゃねぇぜよ!?)


 俺が1人戦慄している中、マロクは1人何かを探すように付近の地面を見て回っていた。すると、何かを見つけたらしく、イサミに向かって声を出す。


「イサミはん!こっち来てや!ほら、見てみぃ。扉はここにあるのに、こっちにも何人かの足跡がある」


 近づいてみてみると、微かではあるが足跡が屋敷の入り口からすこし離れた所に向かって伸びていた。


「“ただの見張りとかが徘徊してただけじゃない?”」

「かもしれん。せやけど、こないな場合、いざと言う時の為に裏口とかを用意しとくもんや。入り口が1つなんて、そこを押さえられたら逃げられんからな。今回の犯人達はそないなバカやないやろ」

「“なるほど”」


 どちらにしろここに居ても仕方ないので、足跡を追うマロクに従って森の中を進んでいく。少し歩いたところで、大きな岩場にたどり着いた。もはや俺には足跡が見えないが、マロクにはまだ見えているらしく、歩みを止めずに進んで行く。そうして更に進んで行くと、岩場の一角に、良く見ないと気付かないほどの、岩と岩の間の影に扉があるのを見つけた。


「お?あった、あった。」

「(おぉ!?本当にあった!?と言うかよく岩場なのに足跡なんて追いかけられるな。マロクっていったい何者?)」


 俺が怪訝そうな目でマロクを見つめると、視線に気付いたのかこちらを見る。すると苦笑いしながら、頭をガシガシとかき、「まぁ、誰だって意外な特技や秘密の一つ二つあるやろ?」と答えた。確かに、俺もヤシロやら転生やらの秘密があるので、あまり突っ込まないことにしよう。それよりも扉の先を気にすべきだろう。


「“突入する。マロクはここにいてくれ”」

「おいおい、1人で行くかいな?わても行くで。なぁに、大丈夫。最低限の闘いは出来るさかいな」


 自信満々に応えるマロクに、俺は頷いてから扉に触れる。当然と言うべきか鍵が掛かっているのか開かない。ただ先の扉と違い、こちらは無理やりあけても問題ない。


「(よし、金剛!)」

「やっぱり鍵が掛かってる?よっしゃ開けたるさかい、少し待ってて……なあぁぁ!?」


 マロクが持ってきた鞄からピッキングツールを取り出そうとする間に、俺は金剛をかけた腕を扉に向かって振りぬく。扉は大きな音を立てながら奥へと吹っ飛んでいた。


「“よし進もう”」

「いやいやいやいや!!良しや無いよ!?こんな鉄製の扉を拳1つで吹っ飛ばすとか!?それに隠密行動が必要なのに、なに大きな音たててんの!?突っ込みどころ満載やー!!」

「(しまったぁ!!そうだった!!)」

「なに今気付いたみたいな顔してんのや!」


 マロクが右手でビシッと突っ込む。


「って!?なに突っ込ませとんのや!!」





---------



 先ほどまでマロクにあーだこーだと怒られてしまった。特に突っ込みついて。なぜに突っ込み?扉を壊した手段や隠密とかはどうした?と、ともかく、2人で扉の奥へと進んで行く。先は暗闇で見にくかったが、途中に松明が壁にかけられていたので一本拝借したので問題ない。


 一本道を奥へ奥へと進んで行くと、また扉が現れた。今度は鍵はかかっていなかったので、静かに扉を開ける。扉の奥には、更に地下へ降りるための梯子が部屋の真ん中に存在していた。敵の姿も見えないので、そのまま梯子へと近づいた瞬間、気分の悪くなるような臭いが鼻を襲った。


「(うぅ!?なんだこの臭い!?)」

「ここから降りる見たいやな。…どないした?」


 余りの悪臭に気分が悪くなり倒れそうになる。なんというか生ゴミぐさい臭いと、掃除しない男部屋の独特な嫌な臭いの強い奴が、混ざり合ってさらに強力になってる感じだ。あっ、やばい。マジで吐きそう。


「だ、大丈夫か?急にどうしたん?」

 

 急に具合が悪くなった俺を見て、マロクは心配そうな声を出す。どうやらマロクにはこの臭いは感じないらしい。その事に羨ましく感じながらも、何とか大丈夫と手で示しながら臭いを気にしないように努める。やばい早くここから抜け出したい。だが、ここまで来て引き返すわけにもいかない。


「ホンマに大丈夫か?なんなら引き返しても…」

「“大丈夫。早く進もう”」


 頭が若干クラクラしつつも梯子に近づく。下は暗闇で何も見えない。マロクが持っていた松明を落とすと、100メートルほど先に落ちた。けっこう深いようだ。先にマロクが進む形で降りていく。地下に近づくほど臭いが強くなる。


「ここが一番下やな。…ッ!?これは……」


 先に降りたマロクが、落ちた松明を拾って周囲を確認しているようだ。だが、何かあったのか息を呑んだような声を出す。


「(どうしたんだ?…ッ!!??)」


 梯子から降りた俺もマロクが見つけた物を見ようと目を凝らした。すると見たくないものが見えてきた。なぜ降りるときも気付かなかったのか不思議なくらいだ。そこには、


「(死体!?な、なんだよこれ!?)」


 死体があった。それも1つではない。死体、死体死体、死体死体死体、死体死体死体死体。数え切れないほどの死体が至る所に放置してあった。それも唯の死体ではなく、何かに体液が吸われたかように、渇いたミイラのような死体が幾つも積み重ねられていた。


 目がない顔がこちらを見ている気がする。渇いた骨と皮であったモノだけが残る腕が、生きている俺に向かって手を伸ばしているような気がする。ここは昔に想像していたような地獄の光景、そのものだった。


「う、うげぇぇ!!??」


 思わず、今朝食べたものを吐いてしまう。だが、吐いてから横を見ると、すぐ傍に死体があって、苦しそうな顔がまるで俺を見ているように向けていた。その事がさらに俺を恐怖させた。「ヒィ!?」と叫びながら後ろに下がる。


「これは…、なんだ?見たところ人間の死体?いや獣人の死体か?多いな。それも…女性か?女性ばかりだ。なぜこのような場所に?」


 マロクが何時もとは違う口調で、慌てずに死体を調べていた。その事に驚きつつも、冷静なマロクを見習い、目を閉じて少しだけ気分を落ち着かせる。背中がぞわぞわするような恐怖が身を包む。だが少しずつ、冷静に軽く呼吸を整えてから再び目を開ける。


「(落ち着け、落ち着け)」


 そう心の中で言いながら周囲を見回す。やはり尋常じゃない数の死体が放置してある。これは死体安置所みたいなところではない。明らかに捨ててそれっきりと言う感じだ。そう考えると恐怖も少しずつ収まって、今度は怒りが沸いてくる。俺はマロクに近づいて尋ねた。


「“ここはなんだ?このあたりは死体をこんな風に放置するのが普通なのか?”」

「そんなわけ無いだろう。明らかにこれは異常だ。それに獣人が多いのも気になる。ここは獣人の国からはかなり距離があるから、偶然ここに居たということは無いだろう。…そういえば獣人国で誘拐が多発していたと聞くがまさかこれが…?」


 マロクが1人何か考えるように呟きだす。そんなときに、バンッ!と扉が力任せに開く音がした。2人が音のほうを見ると、ボロボロの姿の女性がこちらに向かって走ってきていた。


「はぁ、はぁ、はぁ!!ヒィ!?そんなここまで見張りが!?」

「むっ!?おい待て!!」


 女性は俺達に気付くと、軽く悲鳴をあげて来た道を戻ろうとする…が、何かにぶつかったらしく、その場で尻餅をついた。


「ひ、ヒイィィ!?助けてお願い!!」


 女性はぶつかったモノを見ると、すぐにこちらに向かって助けを請うように手を伸ばしてきた。だが、すぐに遮られるように背中から力で押さえつけられる。


「イヤアァ!!助けて!!お願い!!」


 今尚、助けを請いながら逃げようとあがく女性を押さえつけていたのは、


「ぶ、豚…?」


 そこには、この世界にきて初めて見た豚鬼オークがいた。





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