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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第三章 : 王都 誘拐
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突入2


「“札よ。通りし者を妨げる枷となれ。施錠ロック!”」


 カキンッと音を立てて札が空中に浮かび札から一定のリズムで淡く光の波紋が何度も生じる。


「これでしばらくの間、ここからは逃げられないわ。解除言語は何にしようかしら?『救出完了』で良いかしらね?」

「それで問題ないかと」

「よし、それじゃあそれにしましょう。皆行くわよ」


 エルミアが札から閉じた入り口から離れてまだ探していない場所に向かい始める。


「まだ敵がいる可能性が高いわ。気をつけて進みましょう」

「そうですね。私が先頭に立ちます」


 ルドルフの言葉に従い、ルドルフ、エルミア、渡辺、ノアの順にして進む。一階の部屋を幾つかを回ったが二階同様にほとんどが空き部屋で、居たとしても寝ているか、一人か2人の少数で先頭には問題なかった。今も、部屋に入る前に中をこっそりと確認すると中に2人いたが、ルドルフがドアを開けた瞬間に駆け出し、声を出す前に1人はルドルフに喉を切り裂かれ、もう1人は脳天にエルミアに射抜かれた。2人の死亡を確認するとその部屋で一度休息を取ることにした。


「どうやら、今日の深夜の移動に備えて休息中だったようですね。まだ、日が落ちて間もないと言うのにほとんどが眠っているのはそのせいでしょう」

「…そのようだな。俺達は運が良かったようだ」


 部屋の中を探索しながら言ったルドルフの考えに、敵の息の根を止めて血塗れになっている短剣を拭いているノアが答える。渡辺は死体のほうに目を向けようとはせずに辺りを伺っている。そんな姿を見たエルミアが渡辺に話しかける。


「ワタナベ…人の死体には慣れていないのね?」

「…はい。戦闘や死体を見たことは初めてではありませんが、人間の死体はゾンビでしか見たことが無いので…」

動く屍(ゾンビ)ね。と言うことは生きた人間を殺したことが無い?」


 渡辺は頷いて答える。そして、「すいません…」と小さい声で話す。


「別に気にしなくて良いわ。まぁ、慣れろとは言わないけど、もしもの時に躊躇しないでね?」

「…はい」

「おい、2人ともこっちに来てくれ」


 エルミアが渡辺の肩に手をおいて励ましていると、ノアが呼びかけてきた。見れば、ノアとルドルフが部屋の壁にある蝋燭立ての前で立っていた。


「どうしたの?」

「ルドルフが見つけたんだが、他の蝋燭立てはホコリなんかが乗ってたりするんだが、この蝋燭立てだけは綺麗なんだ。怪しくないか?」

「それは…確かに怪しいわね」

「恐らくは…」


 ルドルフが蝋燭立てに近づき、蝋燭立てを掴んで下へ向かって力を込める。すると、いとも簡単に下へと動いた。するとゴゴゴッと音を立てながら、蝋燭立ての横の壁が少し奥へと凹んだかと思うと、左右に分かれていき、地下へと続く階段が出現した。


「やはり」

「お手柄ね、ルドルフ。恐らくこの先に攫われたリルリカちゃん達が居るはずだわ。そして、あの赤ローブもね」

「注意して進みましょう。この先、何があるか分かりません」


 メンバー全員が頷く。階段自体は狭く、1人ずつしか進むことが出来ないので、先と同じようにルドルフ、エルミア、渡辺、ノアの順にして進む。四人が階段を降り始めると示し合わせたかのように、階段の入り口が閉じてしまった。


「い、入り口が!も、もしかしてこれって罠なんじゃ!?」

「落ち着いて、ワタナベ。これぐらい想定の範囲内。今は進むことに注意を払いなさい」

「は、はい…」


 辺りが次第に暗闇に染まりはじめる。辛うじて、階段の奥に松明の明かりが見えた為それを目指して進む。階段を降り終えると、洞窟のような空洞へと繋がっており、更に先へと進む道が見える。道は一本だけ。幾つか置いてあった松明を先頭のルドルフと殿(しんがり)のノアが持って進む。


「この洞窟はなんでしょうか?自然に出来たものではなさそうですが」


 進む間は皆無言になってしまっていたので、ルドルフが疑問を口にする。もちろん話す間も警戒は解かない。


「さぁ…ね。上にあった屋敷は昔のこの辺りの領主の館か貴族の別荘だろうけど、この洞窟はなぜあるのかは分からないわね」

「こ、こんな洞窟に攫った人たちを閉じ込めるなんて…」

「まぁ、まともな奴らじゃないのは確かなようだな」


 それぞれの考えを口にしながら曲がり角を進もうとすると、先に進んでいたルドルフが「お止まりください」と片手で制した。曲がり角の先には、松明による光が二つ見える。目を凝らしてみると、黒ローブの2人が大きな扉の左右に立っていた。


「どうやら、あそこのようですね」

「そうね。あの配置だと不意打ちは難しいわね。みんな正面突破するけど準備は良い?…よし!行くわよ!」


 エルミアの言葉を受けてルドルフとノアが走り出す。エルミアと渡辺も、弓矢と杖を構えて後に続く。その姿を奥にいた黒ローブ2人が気付いた。


「ッ!?侵入者だ!」

「お前ら!敵だ!出て来い!!」


 2人が叫ぶと扉が開いておくから黒ローブが4人ほど出てきてこちらに向かってくる。


(くっ!?思ったよりも数が多い!この配置じゃ光照の矢(シャインアロー)も意味が無いか。力ずくで進むしかないようね!)

「“水よ!その身を凍てつかせ槍となって敵を貫け!氷の槍(アイススピア)!”」


 エルミアが一度足を止めてすぐさま弓を放つ。それ続いて詠唱が終わった渡辺が魔法を放った。2人の攻撃がルドルフとノアの間を過ぎ去り黒ローブに向かう。


「ぐえっ!?」

「ぐっ!?」


 エルミアの矢は先頭を進んでいた黒ローブの喉へと突き刺さるが、もう1人を狙っていた渡辺の氷の槍(アイススピア)は避けられてしまう。だが避けた事で、その黒ローブはすぐさま動くことは出来なくなり、こちらに向かってくるのは扉から出てきた二人だけになった。


「ナイスアシストです!」

「一対一なら問題ない!」


 ノアが短剣を投げて敵の剣を封じたその隙に長剣で敵を斬り捨てる。ルドルフさんはたった2回黒ローブと打ち合うと敵の剣を吹き飛ばし、黒ローブの胸にレイピアを突き刺した。


「こ、こいつら強いぞ!?」

「くそ!おい!この事をすぐに司教様に伝えろ!」

「あぁ!」


 扉近くで構えていた黒ローブの1人が扉の奥へと進んでいく。すぐさまエルミアが弓矢で狙うが、もう一人が行く先を盾を構えて塞いだ。


「っ!?仕方ない、すぐに奥の奴を追うわ!急いで!ノア!先に行くわよ!」

「分かった!」


 ノアが渡辺の魔法を避けた黒ローブと戦っている。それを横目に見ながら三人で奥に進む。


「この先には進ませねぇ!」

「邪魔です!」

 

 ルドルフがレイピアで盾を斬りつける。細い剣であり刺突武器であると言うのに、折れることなく盾が真っ二つに斬り分かれた。


「たっ、盾が!?」

「ふっ!!」


 驚く黒ローブの懐にエルミアが走りこみ、短剣を取り出して喉に短剣を突き刺しながら押し倒す。黒ローブは悲鳴をあげることなく事切れる。エルミアは勢いを殺さず、そのまま短剣を引き抜き奥に向かって走り出した。ルドルフと渡辺も続く。先の戦闘で松明が手放してしまったので進む先は真っ暗闇だったが、一本道のようなので頼りない視界でも進むことが出来る。


「この先には赤ローブが居るかもしれません!ここは一度止まってノア殿を待つべきでは?」

「そうかもしれないけど、奴らに私たちの存在を知られて逃げられてしまうはマズイわ。今は、危険を承知でも進むことを優先すべきよ!」

「そ、そうですね!ノアさんなら心配ないでしょうし、後から来てくれるはずですから!」


 三人の声と走る音だけが当たりに響く。しばらく進むと、扉がうっすらと見えてきた。 


「あそこね!行くわよ!」

「「はい!」」


 エルミアが扉に手をかけ、力を入れて両手で開け放つ。扉の向こうからは光が溢れ出してきている。重い音を出しながら扉を開けると、その先にいた人物を見てエルミアは息を呑んだ。


「ッ!?あなたは!」

「おや?その声は昨夜のお嬢さんですかね?」


 扉の先には広い空間が広がっており、その中心に何十人かの黒ローブを引き連れた赤ローブがニヤリと笑いながら待ち構えていた。



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