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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第一章 : 異世界到着
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召喚された勇者たち

彩華視点です


---彩華---


「ごメンなさイ…、せめテ私の加護ヲ貴方達に…」


 光に包まれる中、ぼんやりと頭の中に教室でみた女性の声が聞こえてくる。だが、段々と遠くに行ってしまったかのように声が小さくなっていき、最後の方は聞こえなくなった。頭がふわふわとしていて何も考えられない。このまま静かに眠りに尽きたい気分になってきた。私の意識が遠のくにつれて、光の強さも弱くなっていくように感じる。ゆっくりと、だが確実に光が弱くなっていき私の瞼も光にあわせて閉じていく。最後には完全に光が消え、闇に染まった。










「おぉっ!遂に神が我らの呼応に応じて下さった!召喚されし勇者様方!よくぞ参られました!!」

「…えっ?」


 突然の大きな声に驚いて目を開く。周りは教室ではなく、見た事がない場所で私たちは横になって倒れていた。大理石というもので出来ているのか、触り心地が良い綺麗な石を敷き詰められ、壁や天井には豪華な装飾がなされている。目の前には、白いローブを顔が見えないほど深くかぶった人が大勢いた。中心には周りの人たちよりも豪華な装飾品をつけて唯一顔を出している初老の男性が立っていた。


「なんだここ?」

「え?ホントに?転生したの?」

「つーか、誰だ?あの人たち?」


 気が付いた周りの皆が思った事を口にしている。私も疑問を抱えながらここにいる生徒たちを確認する。生徒会副会長の佐々木優斗君。生徒会書記の竹中大吾君。風紀委員長の鈴木健二君。そして生徒会と風紀委員に所属している生徒たち。私を含めて全員で16人いる。……あれ16人?たしか、今日は勇を連れてきているから17人のはずだ。そういえば勇の姿が見当たらない。


「佐々木君、勇を知らない?」

「勇?あぁ会長のお知り合いの方ですね。…そういえば、見当たりませんね」


 佐々木君に尋ねるけど知らないみたいだった。まぁお互い分からないことだらけの状況だから仕方が無い。


「勇者様方!どうか聞いてくだされ!」


 初老の男性が大きな声をあたりに響かせ、困惑気味の皆の注意をひきつける。


「勇者様方!どうか!どうか我らを御救いくだされ!我らは今、存亡の危機に瀕しているのです!」

「「「御救いください!!勇者様方!!」」」


 打ち合わせでもしていたのか、白いローブ全員が声をそろえて嘆願する姿に私だけでなく、皆が驚いていると、


「フッ!良く分からないが、困っている人達を見捨てる訳にはいかないな!僕に任せてくれ!」


 と鈴木君が胸に手を当てて大きな声で答えながら一歩進み出た。白いローブ姿の人達が「おぉ!」と喜びの声を上げる。


「……。(さすがに安易すぎると思うよ…。鈴木君…)」


 私と同じ事を思っているのか竹中君や佐々木君、他の生徒の何人かが困ったような顔をしている。だが、中には自信満々に答える鈴木君の尊敬の視線を向ける生徒もいた。


「おぉ!さすがは勇者様です!さぁ、こちらへ!ぜひ我らの王とお会いください!」


 初老の男性が片手で「さぁ、こちらです」と案内しながら奥に進んでいく。白いローブの人たちが左右に分かれて道を開ける中、鈴木君は特にひるんだ様子もなく歩きだし、初老の男性に続く。最初は全員どうするか考えていたようだが、どちらにしろこの状況が進展するには付いていくしかなかった。


 薄暗かった広間から続いていた階段を上ると、明るい日差しが見えてくる。階段を上りきると中世ヨーロッパのような建物になっており柱と柱の間にある手摺りの向こう側には広い庭園といえる場所が広がっていた。日本では見慣れない景色に思わず皆が見とれてしまう。


「うわぁ…綺麗…」

「お、おい!あれ見ろよ!」


 男子生徒の1人が空を指差している。皆がそちらを見ると、視線の先にはここから見える青空と一緒に、この建物の屋根の上から白い大きな西洋風のお城の上部分が見えた。どうやらこの建物と見えるお城は繋がっているようみたいに見える。


「何かしらあれ?あんなお城、日本にあったかしら?」

「や、やっぱり、日本じゃないんじゃないか?」

「私たち、帰れるの…?」


 皆が、少しざわつき出す。


「皆、落ち着いて。今は、あの人について行くしかないよ」

「そうです。日本にしろ、違うしろ。今の僕たちに出来ることはそれしかありません」


 私と佐々木君の言葉は間違っていないと思ってくれたのか、渋々ではあるが皆が頷いてくれた。ふと前をみると、先に進む初老の男性の歩みは先ほど目に入ったお城の方角へと向かっていた。









 そこからしばらく初老の男性に続いて歩いて行くと、とても広い広間に出た。広間には全身を西洋甲冑に身を包んだ騎士っぽい人や、ちょっとぷっくらとした格好の男性、きっちりとメイド服を着こなしてピンッと背筋を伸ばしてたメイドさん達などが大勢立っている。その先に豪華な椅子に片膝をつきながらこちらを見ている30代に入るかぐらいの男性が座っていた。初老の男性は広間の真ん中で皆を止まらせると一歩前に出て片膝をつき左手の手のひらに右手のこぶしを当てて


「王よ!この者たちが我らの召喚に応えし勇者達です!」

「うむ!アレイよ、苦労である!」


 椅子の上の男性が立ち上がる。王様や初老の男性を含めた周りの人たちが日本人じゃない顔つきだ。それに初老の男性が言うには立ち上がった男性はどうやらこの国の王様らしいので、ますますここは日本ではない可能性が高い。でも、さっきから聞こえてくるのは日本語だと言うことが彩華を悩ませていた。


「(どういう事なんだろう?無理して話しているようにも見えないし…)」


 私が考えている中、立ち上がった男性は堂々とした態度で話し出す。


「勇者たちよ!余はカテロ・セルジューク・ラウムである!よくぞ来てくれた!我らは諸君を歓迎する!」


 カテロが両手を広げると広間にいた人たちが拍手し始める。終始流されつつある私はやや、恐る恐る手を上げて声を出す。


「カウロ様?でよろしいでしょうか?急にこんなところに呼び出されても私たちには何のことやらさっぱりなのですが、説明していただけませんか?」


 カウロ王は頷きながら


「うむ!当然であるな!アレイ!説明せよ!」

「御意に」


 最初に会った初老の男性がこちらに振り返る。


「そういえば自己紹介が遅れましたな、何せ初めて勇者を召喚できましたので舞い上がっておりました。お許しを」

「あ、いえ…」


 頭を下げてくるアレイさんに驚きつつ話を聞く。


「では、改めまして。私は王宮魔術師筆頭のアレイスタ・クロウリーと申します。アレイは俗称です。どうぞ、アレイとお呼びください」

「あ、はい。よろしくお願いします。アレイさん。私は…」


 私や、生徒の皆がそれぞれ自己紹介する。広間には大勢いるので少し緊張したが、皆が自己紹介を終えた後に聞きたかった事を聞く。


「あの…、ところでここに連れてこられたのは私たちだけですか?知り合いの一人が見当たらないんですが…」

「ふむ?おかしいですね。私が召喚したのはここにいる皆様だけのはずですが…」

「そんな!?もう一人いるはずなんです!」


 私は思わずやや大きな声でアレイさんに尋ねてしまった。そんな私の姿を見た佐々木君たちが止めに入ってくる。


「会長。落ち着いてください」

「そうだぜ会長。どうせ、いないのって…えっと、誰だっけ?」

「確か、勇さんですよ」

「そうそう、そいつ!掃除サボってた奴だろ?ほっとけって」

「竹中君!!それは言いすぎよ!」


 こんなときでも冷静な佐々木君と勇を小馬鹿にする竹中君に少しイラついてくる。私自身でも今の私がどこか可笑しいことに気付いていた。普段なら笑って過ごすはずなのに、なぜかこの時は落ち着いて話せない。やや困った顔をする二人を睨んでいると後ろから鈴木君が話しかけてきた。


「彩華さん。落ち着いてくれ。今慌ててもどうなるわけでもないのは分かっているだろう?」

「そ、それは…」

「ふむ、ならばこちらでもイサミ殿について調べておきましょう。特徴など教えてくださいますか?」


 私は、勇の特徴をアレイさんに伝えた。


「分かりました。勇者殿の知人ならばこちらも全力で捜索しましょう」

「お願いします…」


 勇…、どこに行ったのよ…



「ごほん、話がそれましたが、これからこの世界と敵となる魔族と亜人どもについてご説明します…」


 アレイさんが説明を始める。説明を聞いた私たちは、自分達がどういう状況に置かれているのか。これからどうするのかを考える必要が出てきたがそんな中でも私はいなくなった勇のことを考えていた。


「(勇、無事よね?きっと見つかるよね?見つけたら…一発ぐらい殴らないと気がすまないわね。ふふ、そういえば久しぶりに会った勇の今朝のビックリした顔は今思い出しても笑える!)」

 

 私は、勇が見つかったときにどんな風にビックリさせてやろうか?痛めつけてやろうか?と考えると自然と笑みがこぼれて、頑張る気力が出てきた。だけど、その考えは甘かったということを後で知ることになる。


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