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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第三章 : 王都 誘拐
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勇者遭遇


「イサミはん…。ないわぁ…」

「………」

  

 俺は今、マロクと2人でトボトボと力弱く冒険者ギルドに向かって歩いていた。匂いを辿って今すぐにでも追うことはできるのだが、素人の俺一人じゃ何も出来ないかもしれない。だから実力のある冒険者に力を貸してもらえないか相談する為にギルドへと向かっているところなのだが…、その冒険者の役目はノアさんでもよかったのでは?と思った方もいるだろう。あ、ありのままにさっき起こった事を話すぜ!


---15分前---


変態(オーク)がなぜここにいる!」


 ノアが持っていた剣を抜いて、問答無用で俺に斬りかかってきた。


「チョッ!?まって!待って!!~~ッ!!」


 突然の出来事に慌ててしまい、剣を抜いて防ぐどころか、「ヒィィ!?」と頭を抱えて思わず目を閉じてしまう。そのままノアの剣が俺の首へ到達するかと思われた寸前、キンッ!と金属同士がぶつかる音がした。そろ~っと目を開けると、目の前には短剣でノアの剣を受け止めていたマロクの姿が見えた。


「ッ!?邪魔をするな!」

「まぁ、まちぃや。あんたイサミはんやろ?」

「……ッ!!」(必死に頷く)

「ほらな?ノアさん、剣を収めてや」

「オークの言葉など信じられるか!」

「まぁ普通はそうやけど。こんな街中に、しかも民家の中でこそこそしてるオークが普通なはずないやろが。多分、エルミアさんの奴隷かあるいはペットのどっちかやないか?」


 「その証拠に…」と言いながら、マロクが俺の首についている隷属の首輪を指差す。


「あれは隷属の首輪や、やからこのオーク、いやイサミはんは悪いことはしないはずや。悪いことして主人にばれたら首が絞まるからね。文字通りに」


 マロクが首を絞める仕草をする。それを見たノアは、しばらくは迷っていたが、最後にはゆっくりと剣を降ろして鞘に納めた。


「…いいだろう。奴隷の話は信じてやる。だが、それと先ほどの行為は話が別だ」 


 キッとノアさんが俺を睨んだ気がした。ノアさんって俺達と同じで、顔を見せないようにローブを深く被ってるのでどんな顔なのか分からない。そもそも声も中性的、いやどちらかと言うと女性的な声なのだが、男でも女声の人はいるし、ローブ姿の見た目だけでは性別が分からないのが悩ましい。


「せやね。イサミはん、説明してくれるよな?文字を理解しているのはこの前知ったから、意思疎通はできるはずやし」


 「なっ!?オークが!?」とノアさんが驚いているのを見ながら、紙に今回のことを説明する為に文字を書き始めた。



---現在---




「ノアさんも、あれから一人で探すといって行ってしもうたし」


 そう。あの後に久しぶりに会ったノアさんとマロクに、下着を持っていた件について「“これは捜査の為です”」と真実を伝えてその理由も伝えた。すると二人からシラーとした目で見つめられ、ノアさんは「…俺は一人で探す。お前は絶対について来るな。というか、寄るな」とめっちゃ真剣気味に言ってから出ていったのだ。多分、今は冒険者ギルドに行ってるはずなので、今からまた会うかもしれない。…俺は悪くないのにぃ…。


「(納得いかねぇ!ただ匂いを嗅いで調べただけじゃねぇか!)」

『ふむ、運がなかったのだな。まぁ、オークであろうと人間であろうと、追うために匂いを嗅いでいましたなどと言えば引くだろうがな』

「(…ヤシロさん!俺にとどめ刺さないで!)」

「けどまぁイサミはん。誰だって、誰にもいえない秘密の1つや二つあるもんや。気にせんでええて」


 「な?」と、マロクが俺を慰めるように頷きながら肩を叩いてくる。そんな、母親が息子のとある秘密本を見つけた時にするような暖かい目をしないでくれ。


「(くそぉ…。てか、何でマロクはあんな事があったのにまだ俺についてくるんだ?…ハッ!?もしかしてコレが、マンガでよく見た真の男の友情ってやつなんじゃ…!?)」

「…ッチ、まったく師匠の頼みやなかったら早く帰ってるんやけどなぁ」

「(デスヨネェ!分かってたよコンチクショウ!!)」

 

 俺はマロクの小声をばっちりと聞き取りながら、ゆっくりと冒険者ギルドに向かった。その途中、見えないイサミの顔から、キラッと小さい光る何かが零れ落ちたのだが気付くものは誰もいなかった。



---冒険者ギルド---


「ようやっと着いたなぁ。ん?なんや?なんか冒険者ギルドが騒がしいで」


 マロクの言うように、冒険者ギルドに入ると中はいつもより少しだけ騒がしかった。


「本当ですか!エルミアさん!攫われた人たちの居場所が分かったというのは!」

「えぇ。だからある程度実力を持つ冒険者を何人か一緒に連れて行きたいの。相手はどんな罠を用意してるか分からないからね」

「分かりました。でしたらシルバークラスの方を紹介します。こちらはノアさんです」

「久しぶりだな。エルミアさん、ルドルフさん」

「あら?その声、あなたはこの前の?あなたなら実力共に文句なしね!」


 ノアさんがエルミアとルドルフさん達と握手しながら会話していた。三人とも顔は見えないが体格と声で分かった。


「な、なん…だと…!?」


 俺はそんな光景を見ながらガクッと膝を落として唖然とした。


「ん?どうしたん?…ははぁん、もしかしてヤキモチかいな?オークにもそんな気持ちがあるんやねぇ。でもあれはそんな感じはないよ?心配せんでええて。てか、ノアさんて男性…やよな?」


 俺は首を振ってマロクの言葉を否定する。別にヤキモチではない。いや、俺だって今のノアさんとエルミアたちとの間にある感情は頼れる仲間の感情だけで、男女云々の感情ではないと言うのは分かる。だとしたらなんだと言うのだ?と思うだろう?俺が思わず膝を落としてしまうほどショックだったのは、


「(犯人達の居場所を突き止めただってぇ!?こ、これじゃぁ俺の覚悟(下着クンカクンカ)や、ノアさんやマロクに羞恥をさらした意味がないじゃないかぁ!?)」


 「(ウオオオオォォォ!?)」と俺は頭を抱えてブンブンッと首と体を上下に振る。そんな突発的な行動に、マロクを含めて周りにいた冒険者達が一歩下がりながら同様のことを思った。


「「「(何してんだ?こいつ)」」」


 どのような強敵の魔物が現れても動じない心構えをしている冒険者達を動じさせていると、エルミアが俺に気付いた。


「イサミ!もしかして心配してきてくれたの?安心して!リルリカちゃんたちの居場所が分かったから今から助けに行ってくるわ!」

 

 普段なら「エルミアたん可愛ええ!!」と言うぐらいの笑顔を見せてくれたが、今の俺には全然嬉しくない。むしろ俺の悩みを助長させるだけだった。


「(うぉぉぉ…)」

「ど、どうしたの?頭が痛いの?大丈夫?」

「エルミアさん。そんな奴は放っておいて早く助けに行きましょう。事は一刻を争うんですから」

「ノアさん。そ、そうね、ごめんねイサミ。私達もう行かないと!だからここで待ってて?何があるか分からない場所だから」


 エルミアが俺の頭を撫でながら心配そうな声で言ってくれた。その声からして顔は見えないが綺麗な女性だと思ったのか、何人かの冒険者が反応していた。やるな…、冒険者ども…。


「それじゃ、早速向かいましょう。ノアさん以外に今フリーのシルバークラス以上っていないのね?」

「はい…。すみません。戻り次第、先ほど頂いた情報場所に向かうよう伝えます」

「それで十分よ。それじゃあ私達は「ま、待って下さい!」…ん?」


 エルミアの言葉を遮って、少し緊張したような声を出した女の子が冒険者ギルドの入り口近くに立っていた。未だに入り口近くで頭を抱えている俺を避けながら、声を発した女の子はエルミアへと近づいていく。そんな女の子だが、俺の横を通っていく時にチラッと横顔が見えた。


「(あれ?あの顔どこかで?)」


 「(はて?)」と俺が考えているのを他所に、女の子はエルミアたちの前に立つ。眼鏡をかけており、黒髪を左右に分けて結び垂らしたおさげ髪型をした大人しそうな女の子だ。


「…あなたは?」

「わ、私は渡辺詩乃と言います!どうか今回のクエストに参加させて下さい!」

「ワタナベ?」

 

 エルミアが分からないといった風に首を傾げると、受付嬢の一人が慌てたように声を上げた。


「わ、ワタナベさん!?もしかして、アヤカさまと同じく召喚された勇者様ですか!?」

「(あ~~~~っ!?)」


 俺は思わず心の中で大声をあげた。目の前にいるこの女の子は、この世界に来る前に一緒に掃除をしていた、生徒会に所属していた女の子だった。


ここでまさかの勇者の一人と遭遇。

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