サンドスパイク
引っこ抜か~れて♪((○>∀・)
俺は出来る限り音をたてないように蛙?へ近づく。幸い、蛙はこちらにまだ気づいていないらしく、何もせずにボーッとしている。寝ているのかと思ったけど、目が開いたままなので多分起きていると思う。
「(抜き足、差し足、忍び足…。気付かれていないならこのままやり過ごそう)」
そーっと足音を出来るだけしないように蛙の横の木々を通る。目標の吐草は蛙の後ろ脚付近にある。
「(なんでよりによって、こんな場所でボーっとしてるかね?)」
心の中で愚痴りながら足を進める。もう少しで蛙の向かって右後ろ側に辿り着く…ところで、背後からガサガサッと音がした。何だ?と思っているとその音に気付いた蛙がこちらを向いた。
「……あ」
「……ゲコ?」
……思いっきり目が合ってしまった。
「ゲコ~~~!」
「やっべー!?」
蛙がこちらに向かって大きく鳴き出した。俺はすぐさま後ろに向かって走り出す。このままここで戦うと、目標である吐草が台無しになってしまうと思ったからだ。俺が逃げ出すと、蛙も俺を追うように動き出した。
「ちくしょう!さっきのは何の音だ?」
少し逃げた先にちょうどいい大きさのの広場に出た。俺は剣を抜いて迫りくる蛙に備える。
「少し不安だけど魔法を試してみるか」
剣にはマテリアを購入して付与してある。この世界でのマテリアを使っての魔法は初めてだが、使用方法はヤシロに教えてもらった魔法と同じだろう。そう考え、俺は剣に魔力を流しながら前回マテリア屋の店員さんに教えてもらった言葉を思い出す。
「確か“サンドスパイク”だったな。イメージ的には砂で出来た針をイメージすればいいのか?」
『土系統か。ならばマリンが得意だな』
「そうなのか?マリン?」
『えぇ。私にかかれば土系魔法は完璧に伝授してあげるわ!』
「頼もしいな!それじゃ、俺はどうすればいい?」
『まぁ、そんなに難しくないわ。偉大なる大地に力を借りるイメージをするだけでいいの。無理やり発動させるのではなくて、大地に協力をお願いするようにね。そうすれば大地は必ず力を貸してくれるわ』
「わかった!」
そうこう話している内に蛙がやってきた。巨大な体に似合わない俊敏な動きでこちらに向かって跳躍し、俺を踏みつぶそうとする。
「あぶねぇ!?」
咄嗟に横へと移動して蛙から遠ざかる。蛙が地面に着地する時、ズシンッ!と少し地面が揺れた。あれをまともに食らうと、ただでは済まないのは一目瞭然だ。一瞬、金剛を使えばと思ったが、まだ金剛は全身強化は試した事がない。仮に試したとして、失敗して一部は無事でも他の部分はぐしゃぐしゃになっていたらと思うと恐ろしくて出来そうにない。
「ちょっ!?思った以上にやばくないか!?この状況!?」
俺が焦っている間に、蛙がこちらを向いて口を大きくあける。一瞬、何をしたいのか分からなかったが、蛙の一番の武器を俺は思いだして咄嗟にまた横にローリングして移動する。
バシュンッ!
と音がしたと思うと、背後の木に長いピンク色をした粘つく物が巻きついていた。いわゆる舌と言うやつだ。蛙はバキバキッと舌で木を巻き締めして砕き、何事も無かったかのように舌を口の中に戻す。木の一部が口に入って行ったが蛙は気にすることなく呑み込んでいた。
「こんなの俺が知ってる蛙じゃねぇ!?」
先ほどから蛙の動きが早すぎてこちらが攻撃に移れないでいる。魔法に関しては集中すらできない状況だ。
「どうしたもんかな…ん?」
やばい状況に冷や汗を流していたら、蛙の背後で何か動いた気がした。だが蛙がこちらに向けてもう一度口を開けるのが見えたので、避ける事に集中してしまい、気にしているどころではなかった。
「ええぃ!“金剛”!」
紙一重で舌を避けた後、俺は左手に剣を持ち直し、右手に金剛をかけてから蛙に右ストレートをかます。だが蛙がピョンッと後ろに跳躍し、俺の右腕は何も無い空間に虚しくふってしまう事になった。
「っち!?どんだけ身軽なんだよ!?」
俺の攻撃が失敗に終わった事をあざ笑うかのように、蛙はこちらに向けて口を開けて舌を伸ばす。俺は舌を何とか避けるが、遂に体勢を崩してしまった。
「うわっ!?」
相手が体勢を崩したチャンスを蛙が見逃すはずもなく、再びこちらに向けて口をあける。
「(やばい!?)」
俺は咄嗟に右腕で顔を守る。……だが、しばらくしても何も起きなかった。
「??なんだ?」
不思議に思い、蛙の方を見ると、
「ゲコ~~~!!??」
蛙の体に沢山の小さな木の根っこが絡みついていた。よく見ると、根っこに見えるが顔と手足のようなものがある。
「なんだあれ!?」
『マンドラゴラね。上位薬に良く使用される動植物よ。』
「あれがマンドラゴラ!?俺がイメージしてたのと違うんだけど?」
俺的には、花瓶の中にいて引っこ抜く時に大きな悲鳴をあげて、まともに聞くとやばいと言うイメージだ。
『あながち間違っていないわ。ただ、マンドラゴラにも好みがあってね。あの蛙、マンドラゴルはマンドラゴラの大好物なのよ。逆にマンドラゴルもマンドラゴラが大好物だけど』
「なんだ、その変な関係は…」
『とにかく、マンドラゴルが近くにいると自発的に動き出して自分で討伐して肥料にするわけ。まぁ、大半はマンドラゴルが勝つんだけどね』
「へぇ~」
俺がマリンの話を聞いている間にも蛙…もとい、マンドラゴルがマンドラゴラと戦っていた。マンドラゴラは数に物を言わせた戦法でマンドラゴルのいたるところに根を突き刺している。マンドラゴルも負けておらず長い舌を使ってマンドラゴルを捕食したり、跳躍して振り落としている。
「まぁ、この隙を利用させてもらわない手はないわな」
俺は剣を右手に持ちなしてから剣に再び魔力を流し込む。そして大地に手を貸してもらうように、砂を針のように固定するイメージする。魔力を流し込んでからしばらくすると、魔力が形に固まった感触がしたので、俺は自然と言葉を口にしていた。
「“サンドスパイク”!」
呪文を放ちながら俺は剣を大地に突き刺す。すると、
ドシャッア!!
軽い地響きをさせながら、俺の周りから幾つもの砂で出来た針がマンドラゴル達に向かって伸びていく。マンドラゴルは咄嗟に避けようとするが、マンドラゴラに邪魔されて上手く跳躍出来なかったらしく、針から逃げる事が出来なかった。
グシャッ!
あまり聞きたくない音が耳に届く。砂で出来た針が目標を貫いていった。数秒後には砂の針が崩れ落ち、後には血まみれで弱々しくなったマンドラゴルと、死に絶えた無数のマンドラゴラたちが残っていた。
「むぅ、なんだかこの光景をみているとなんか心が痛むような…」
『イサミ、命を掛けた勝負で傷ついた相手を憐れむのは、相手を侮辱している事以外の何でもないのだ。今、お前が出来るのは苦しまないように早く殺してやる事だけだ』
「わ、わかった。ごめん…」
ヤシロが少し怒った口調で話しかけてきたので、俺は素直に謝る。
『頭の言うとおりよ。だからこそ、全力で命を刈り取ることは勝者の役目と言えるわね。イサミちゃん、私を契約具現で呼んでくれないかしら?もちろん、小さい形で良いから』
「?? わかった。“契約具現”!」
俺の左手の手のひらの上に、土色の光の球が出来る。それが消えると、そこには小さな茶色の蛇が出現していた。
『ありがと!さぁ、私たちも全力であの子を倒しましょう。イサミ、今度は魔力を最初に私に流し込んでから、私と魔力を一緒に魔力を剣に流し込むイメージをして魔法を発動してみて?』
「さっきから、分からないことばっかりだけど、マリンの言う事を信じてみるよ!行くぞ!」
俺はまずマリンに魔力を流し込む。そして、そのままマリンごと剣に流し込むイメージをする。なんだか、ろ過装置に少し濁った水を流し込んで、完全にその場所にあった水に変換しているみたいな感じだ。次第に、剣に魔力が溜まって行き淡く緑色に光っていく。そして魔力をある程度流し込むと、カチリと形を固定できたような感触を感じる。
「よし!行くぞ!マリン!」
『ええ!』
『「“サンドスパイク”!」』
魔力がこもった剣を大地に突き刺す。すると、俺の周りの砂がモコッと盛りあがり、ジュシャッ!と一斉にマンドラゴルに向かって伸びていく。俺が先ほど使った時は4、5本ほどだったのに対して、今回は数えきれないほどの針がマンドラゴルに向かっていた。そのうちの一本がザシュンッと刺さり、マンドラゴルの三メートル近くある巨体が持ちあがる。そのマンドラゴルに新たな針が突き刺さり、またしても持ちあがる。それを幾つもの針が繰り返していき、地面から数メートル離れた所で、最後の最後と言うかのように大きな砂の針が下から垂直にマンドラゴルに突き刺さる。
マンドラゴルは悲鳴をあげることなく絶命した。まるで墓標とでも言うかのように、マンドラゴルの下には砂の針で出来た剣山が出来上がっていた。
「………」
俺はそのあまりの凄さの結果に、唖然と口を開けてみている事しかできなかった。
ドシャッ!
砂の剣山は数秒後に崩れ落ち、マンドラゴルが落ちてきた。剣山は本当に何もなかったのように綺麗に崩れ去った。後には体中穴だらけの絶命したマンドラゴルだけだった。その光景を見て俺は、
「……え?なにこれ?全力すぎるにもほどがあるでしょ?」
遂に感想が!!!やっばい!超感激した!本当にホーム画面を開いたときに数秒間唖然としてしまいました。ヾ(>▽<)
これからもがんばっていくので皆様!よろしくお願いします!




