吐草
俺とエルミアは王都城門近くに来ていた。今回の依頼対象物である吐草があるのは、比較的王都から近い森にあるらしく、大体城門からでて歩いて一時間ぐらいだそうだ。
俺は城門近くにあった道具屋で依頼物を入れる為の袋と昼飯(計30アルム)を買ってから王都をでた。
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1時間かけてあるいてやっと森についた。目の前にある森はこの世界に来た森と違って木々の間から光が差し込んで明るい雰囲気の森だ。
「こっちよ」
エルミアが先に歩いて俺がその後を追う。森に入ってしばらく歩いていくと、木が倒れている所に着いた。エルミアは倒れている木の近くに歩み寄ると何か探すような仕草をする。
「あっ、あった」
どうやら目的の吐草があったらしい。俺も近くに行って確かめてみる。エルミアが持っていた草は見た目は雑草と変わりないが色が暗い紫色をしており、如何にも「俺は毒をもってるぜ!」と表現している色だった。あっ、そういえばこの世界で初めて食べたキノコもこんな色だったな…。
「イサミ、これが吐草よ。こんな風に、木が倒れて腐ってる所の陰になっている場所によく生えてるの」
…それって完璧に毒草だよなぁ。と思うが毒を以て毒を制すとも言うし、使い方によってはちゃんとした薬になるのかね?
「“分かった”」
「それじゃ、ここからは別行動で探しましょ?確か、最低納品数は10個だったわね。ここに3個ほど生えてるから後7個ね」
俺は頷いて応える。なんだ、思ったより簡単に終わりそうだな。
「この森は危険な動物や魔物はあんまりいないから大丈夫だと思うけど警戒だけはしておいてね。それじゃ、3時間ぐらいしたら此処で合流しましょ?」
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エルミアと別れてから大体1時間ぐらい経った。と言うのに、いまだに一つも見つけられていない。
「(うーん、見つからないなぁ)」
あれから木が倒れていそうな所を探しているのだが、なかなか見つからない。
「(ヤシロ、なんか良い方法でもないかね?)」
『うーむ、流石に我も思いつかん』
「だよねぇ」
思っていた以上に厄介な仕事を選んだかなぁ?と思ってしまう。確かに命の危険性は低いが、かなり根気がいる作業だ。下手をすると1日かかっても見つからない可能性があるな。
『「うーむ」』
俺とヤシロが一緒に悩んでいると、少し遠くからバキバキッと木が倒れるような音がした。
「なんだ?」
俺はオーク特有?の嗅覚を使ってみる。匂いで何かいるのかどれくらいの大きさなのか大体分かる。我ながらオークってすげーって思うわ。
「(…けっこうでかい。しかも、獣臭と言うよりは爬虫類?ん~よく分からない匂いだ)」
『行ってみるか?』
「えっ!?いやいや、君子危うきに近づかずっていうし。あきらかに危ない臭がするって!」
『…イサミなら問題ないと思うが?』
「とにかく!今回は収集が目的なんだから近づかない事に越したことはないって。…ん?」
俺はそう言ってからある事に気付いた。
あれ?俺、この吐草の匂い辿れば良いんじゃね?
「それだ~!」
『どうした?』
「いや、俺って鼻がいいじゃん?だからこの草の匂いを辿ればいいんだと思ってさ!」
『ほう、確かにそうだな』
「だろ?それじゃ早速」
俺は先ほどエルミアが見つけてくれた吐草を袋から取り出し、草の匂いを嗅ぐ。
「!? くっせぇ!」
匂いは意識するまで気がつかなかったがこの草、かなり臭い。なんていうか嘔吐物の乾いた後の匂いがする。
「やばい…。気分悪くなりそう」
『我慢しろ』
「うううう…」
俺はややげんなりしながら草を袋にしまい、周囲の匂いを嗅ぎわける。オークの鼻は意識するまでは人の時とあまり変わらないが、集中すると遠くの匂いまで嗅ぐ事ができる。(少なくとも俺は)
「クンクン…。あ!あったぞ!ええっと」
吐草の匂いがする場所を見つける事が出来た。ここから歩いて約10分ぐらいのそんなに遠くない所だ。だが、吐草がある場所の近くには
「さっきの爬虫類の匂いがするぅぅ……」
何だこれは?何かのイベントなのか?それとも日ごろの行いが悪いとでも言うのだろうか?確かに親不孝物ではあったかもしれないが…。
何はともあれ、近くに他の吐草の匂いがしないので、諦めてそこに行くしかなくない。先程から爬虫類の匂いがそこから動かないので、間違いなく鉢合わせになるだろう。
『問題ないと思うぞ?』
「そう…かな?ヤシロがそう言うなら…」
俺はヤシロの言う事を信じることにして吐草がある所に向かった。
歩いて、約10分ほどでその場所に着いた。そこには3メートルぐらいの巨体で、頭に小さな花を咲かした巨大な蛙のような生物がいた。
「爬虫類じゃなく蛙!?」
蛙ってこんな匂いなんだ…。初めて知ったわ。
実際は蛙って殆ど無臭らしいです。




