ギルド---受付嬢---
「びっくりした~」
私は如何にも怪しいですよといった雰囲気を出す2人組がギルドから出ていったのを確認してから、テーブルに肘を置いて顔を支える。
本当にびっくりした~。だって、ステータスカードの種族の所がオークだよ?普通ならびっくりするって。えっ?全然そんな風に見えなかったって?そりゃ、営業スマイルをマスターしてるもの。初めてのお客様には笑顔で!が売りですもん。
「(オークが冒険者ギルドに登録って…、まぁあり得ない事でもないけど)」
魔族や魔物が冒険者ギルドに登録している者がいる事は知っている。一応、冒険者ギルドは中立を宣言している為、来るもの拒まず、ステータスカードを持っているなら誰でも登録できる。なので本当に稀ではあるが、金持ちが道楽で買っているオーガやリザードマン等を冒険者に登録し、ランクを上げることで他の者に自慢したりする金持ちがいたり、魔物を調教してパートナーとして育てているモノ好きもいる。おそらく彼女(声と身長からして女の子だと思う)は後者の部類だろう。
「でも、オークはないわぁ…」
この世界には魔族と呼ばれる者達がいる。彼らはサキュバスやヴァンパイアといった、私たち人間が魔物と見ている者たちの中でも高い知性を持った者たちの事だ。オークは知性が低いと有名なので、魔族ではなく魔物として扱われている。
オークと言えば、女性に嫌われる魔物ランキングトップ3に絶対入るだろうと断言できる魔物だ。臭い、きもい、頭が悪いという最悪三拍子に加え、年がら年中発情しており異性なら何でも襲いかかるからだ。
「ま、まさかあの人、そういった事を目的に!?」
な、なんてアブノーマルな!子供っぽいのに!でも、そういった考えは嫌いではないです!むしろ好き!結ばれぬ2人の愛!種族を超えた営み!あぁ!良いぃ!!あ、自分だったら絶対いやですけどね!
「おい。何、くねくねしてんだ?」
「…へ?あら、ごめんなさい」
どうやら私は知らないうちに体を動かしていたらしい。いけない、いけない。今は仕事中なのだから。
「大丈夫か?」
「はい!ご心配おかけしました」
「そ、そっか。ならいいんだ…」
声をかけてくれた男の人は、最後はなぜか照れながら言って席に戻っていった。どうやら、飲んでいる最中に私の異変に気がつかれたみたい。私は気を引き締める為に両頬を軽くたたく。よしっ!と思ったとこで、後ろからギルド副長のネリナさんが声をかけてきた。
「これを掲示板に貼っておいてくれる?どうやら、王都近くの森でマンドラゴルが出現したみたいなの。警戒するように皆に伝えておいて」
「わかりました」
私は手渡された注意書きを掲示板に貼る。貼っている途中に気付いたが、先程の二人は王都の近くの森に向かっているかもしれない。
「あの2人大丈夫かしら…」
2人の事を心配していると、もやもやと色々と想像してしまう。
『あぁ!今助けるよ!ジュリエッタ(女の子)!』
『いけない!私の事は構わずに逃げてロメール(オーク)!』
『いやだ!僕は決して逃げないぞ!君を置いてなんて!』
『ロメール!!』
『ジュリエッタ!!』
「なんてことにーー!!」
その後、掲示板に紙を貼っていた可愛いと評判のギルドの看板娘(受付嬢)が、何やら独り言を言いながら時折、「キャーーー!」と言いながら体をくねくねさせたり、「ほぅ…」と色気?を含んだ溜息をついたりした。そして、それを見ていた男達の一部は引き気味になったり、一部はなぜか前かがみになったりしていた。
「はぁ…、素敵ね…」
この受付嬢は現代日本で言ういわゆる腐女子と呼ばれる部類であった。
オークは魔物として見られています。最初は魔族にしようかなとも思ったんですが、魔族って言うと高貴的な感じがしたので、オークだしもう魔物でいいかっと思ったんで魔物にしました。




