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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第一章 : 異世界到着
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オークになったけど、死にそうです。

読んでいただきありがとうございます!ブックマーク登録された方がいて感謝感激です!!


 俺は言葉を失っていた。まさか、転生してこんなことになるなんて…。勇者どころかまさかの魔物、それも醜い魔物で女性から嫌われている魔物ベスト3には入るであろう魔物(オーク)になっていた。


「…マジかよ」


 初めは池のせいだと思ったが、そうだとしてもどうすれば治るのか分からない。それに異世界に来たときにオークになってしまった可能性もある。こちらに来るとき、かなり無理やりな感じでやって来たのだ。そのせいで不思議現象があってもおかしくはない。


 まぁ、オークになった原因は今はどうでもよい。そんな事よりも大事なことがあった。


「これじゃぁ…。これじゃあ、ハーレムどころか嫁すらできないじゃないかああぁぁぁぁ!!!」


 これであった。ホントにこれが重要であった。このままでは美女、美少女どころか普通あるいは普通以下すら相手にされない!!最悪、同じ種族の雌がいるか知らないが、雌オークと結婚することに…。


「ぐわあぁぁぁぁ、それだけはいやだあぁぁぁぁーーー!!」


 頭を両手で抱えつつ俺は「うおぉぉ…」と呟く。これはやばい!非常にやばい!!どどど、どうすれば!?お、落ち着け俺!!そうだ、こう考えるんだ!結婚しなければいいんだ!はっはっは!なんだ簡単じゃないか!


「それだと転生した意味がないではないかぁぁーー!」


 心からの叫びであった。



---------



 …どれだけそうしていただろうか。ずっとorzの恰好で落ち込んでいたが、さすがにちょっとずつだが落ち着いてきた。とりあえず池で喉の渇きを潤してから今後の事を考えることにする。一瞬、この池の水は危険ではとも考えたが、飲まなきゃやってられんと言うのと、もうどうでも良いやという半分自棄になっていたので気にしない。


「オークになった事は置いておこう。とりあえず…」


大事なことなので…


「とりあえず!!」



 池の水で喉を潤す。生水だから腹を壊す可能性があるが背に腹は代えられない。…水の味は思ったよりもうまかった。


「…ふぅ。水は確保できたし、次は食料の確保だな」


 ずっとここにいるつもりはないが、とにかく今は生きる事が先決なので、ここを拠点に活動していく事が現状では都合がいいだろう。綺麗な水だし魚も僅かだが取れそうだ。とはいえ、初心者に魚を取ることは難しいし、取れる量にも限りがある。獣の確保なんて更に難しいだろう。ともすれば木の実等の確保が目下の目標だな。できればリンゴといった果実の取得が一番好ましいが、見つけるのにも運が必要になるだろう。

 

 だが幸いにも、ほんっとうに不幸中の幸いだがオークになった為か鼻の嗅覚が良くなったようで、少し遠くにいても何かがいるか分かるようになった気がする。水を見つけた時も匂いで気付いたしな。とにかく、いま行動しないと腹が減って行動できなくなるので、それまでに何とかしないといけない死活問題だ。


「…よし、行くか」


 最悪、ゴブリンといった魔物との戦闘を覚悟しながら。



---------



「鼻がいいって便利だな」


 探し始めて1時間程経った。残念ながら木の実等は見つける事が出来なかったが、匂いを辿りにウサギっぽい動物を発見した。ウサギっぽい動物の額には角が生えているがそんなことは気にするだけ無駄だろう。それはともかくとして、、


「やっと、見つけた。あとは…」


 あとは“殺す”だけなんだが、あいにく平和な日本で育った俺は生まれてこの方、虫以外殺した事がない。初めて生き物を殺すという感情に恐れながらも、こうしないと生き残れないんだと強く自分に言い聞かせる。手にしている武器は、ここに来る途中で拾ったちょうどいいくらいの大きさの枝だ。やや風化しているが、素手で挑むよりマシだと思い持ってきた。


「やってやる…」


 覚悟を決めて足を動かす。ウサギはこちらに気付いたようで俺を見ている。初めは逃げ出すかと思って少し慌てたが、どうやら人間を知らないせいか、或いは恐れを知らないせいか逃げない。これ幸いにと近づき枝を持つ手に力を入れる。ウサギに見つめられながら俺は少しだけ目を瞑り、枝を構えて振り下ろそうとした瞬間、


「ーーーー!!」


 ウサギが声というより甲高い超音波らしいものを発した。それを聞いた途端、頭がふらついてしまう。


「な、なんだ!?」


 自分でも何が起こってるのか分からなかった。酷い貧血のような状態になりながら、周りを確認する。先ほどまでいた場所にウサギがいなくなっていた。逃げられた?と思っているとドンッと衝撃を腹から違和感を感じて俺は後ろに倒れこむ。


「……え?」


 腹に手を当ててみると手が真っ赤になっていた。そして、先ほどまで立っていた足元にウサギがいて、角を俺の血で真っ赤に染めていた。次の瞬間、状況を理解した。俺はウサギに腹を刺されたのだと。そう理解すると途端に腹から声にならないほどの痛みが襲ってきた。


「ぐああああぁあぁぁあぁ!!??」


 腹からはありえないほどの血があふれ出している。普通ならば咄嗟に傷口をしばらく強く押さえ込み圧迫による止血などを試みるのだろうが、俺の頭は痛みによって混乱していたせいか腹を両手で押さえ込むだけで止血は出来ていなかった。と言うよりも唯でさえ悲鳴をあげるくらいに痛いのに、これ以上強く押さえつけるのは、一般高校生には難しい。


「(痛い、痛い痛い!イタイ痛い!?どうすれば?!どうすればいいんだ!?)」


痛みで混乱する頭を必死にフル活動して考える。気がつくとウサギは興味を失ったように俺を見向きもせずに去って行った。そのことにまるで俺なんて敵ですらなかったと思われているようで苛立ちを覚えたが、同時にもう襲われる事がないと少しだけ安堵する。だが腹の痛みからそれどころではなかった。次第に、目の前が暗くなってきた。


「(…俺は死ぬのか?)」


 ウサギだと思って油断していた。異世界なのに元の世界と同じように判断して油断した結果がコレだ。しかし、今更反省しても何もかもが遅く、腹から出る血は止まることはない。


「(…嫌だ!死ぬのは嫌だ!何とか!何とかできないのかよ!?)」


 痛みで混乱しているせいか、途中で拾った毒々しいキノコを手にする。そして何を血迷ったか俺にはそれが救いのアイテムに見えた。


「(…これしか、…今はこれしかねぇ!)」


 毒々しいそれを口にする。毒は毒でもせめて痺れ毒ならば傷みを消すことが出来るかもしれない。重度の痺れならばそのまま”死”。軽度ならばその神経毒を利用して止血出来る。そんな、大量の砂の中から一粒の砂金を見つけるぐらいの可能性に掛ける。


 初めは、シイタケに似たような味がした。…だが次の瞬間に


「ッ!?ぐぐぅググぐぐ!!?」

  

 喉が焼けるような強烈な痛みを感じた。そのあとに短慮であった自分に猛烈に後悔した。いや、当然の結果と言えばその通りなのだが。ただでさえ腹は痛みでやばいのに喉も半端ない事になった。そして俺は、力尽き…目の前が暗くなっていく。


「…嫌だ。死に…たく……な………」


 そこで完全に俺は意識を失った。


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