ステータスカード---彩華---
今回はステータスの表示が多いので見づらいかもしれません。
「クソッ!なんて奴らだ!」
あの後、私たちは謁見の間から退出しあてがわれた部屋に戻っていた。部屋に入った瞬間、竹中君が怒って壁を殴る。他のみんなもカテロ王達の理不尽さに不満、そして今からどうなるのか分からなくて怖いと言った感じの顔をしている。
「皆、ごめん。私何も言い返せなかった…」
「会長さんのせいじゃねぇよ。完全にあれはあっちが悪い」
「えぇ、あの理不尽には勝てませんよ。会長、そんなに気にしないで下さい。それに決して交渉が出来なかったわけではありません。王命と言ってもそんな簡単に使われる事も無いでしょう。最低限、それも貴族並みの生活が出来るみたいですし、何より…」
「学び舎で色々な事を学ぶ事が出来るようになった…だろう?」
「えぇ、鈴木さん。これだけカテロ王から引き出せただけでも十分です」
佐々木君の言葉に皆が頷く。私はそれだけで少し救われた気分になった。
「となると、今後どうするかですね。向こうは何かしら私たちを利用する気満々のようですし」
「へっ!俺達がただで利用できないってことを教えてやるぜ!」
「竹中君は少し黙っててください。とにかく、学び舎で私たちはこの世界の事を学び生き残る方法を探る事が先決だと思います」
「うん、私もそう思う。それに、戦闘についても学べと言ってたよね」
「彩華さん。君達、女性が戦闘に出る必要はないよ。戦闘は僕らに任せといてよ!」
鈴木君は胸に手をあてて言う。此処にいる私たちは全員で10人。男の子は6人女の子は私を入れて4人。鈴木君の言葉に女の子の2人が頬を赤くしていた。
「ありがとう、鈴木君。でも、私も戦闘について学ぶつもりだよ。私にとっても他人事じゃないんだもん」
「彩華さん…」
その後、それぞれ自分たちの部屋に戻って休息を取った。明日から学び舎に行くことになっているので、疲れを残すわけにもいかず、私は夜になるとすぐに眠りに就いた。
翌日、私たちは皆でカテロ王に言われた学び舎に向かった。道案内はアレイさんが引き受けてくれた。移動には馬車を使うらしく、王城の前には豪勢な馬車が用意されていた。
「皆さん、昨日は大変だったとか…。申し訳ありません。こちらが勝手に呼び出し、あなた方の生活を壊したと言うのに…」
昨日、交渉の場にいなかったアレイさんは、会った早々に頭を下げて来た。私は慌てて止める。
「気にしないで…と言うわけにもいきませんが、アレイさんが謝る事では無いですよ」
それでも…と案内用の馬車の中で何度も謝ったりしてきたので、私は気分を変える為にこれから向かう学び舎と言うものについて聞いてみた。
「学び舎ですか?学び舎の名前はフレデリック学園と言う場所です。我が国の中でも名門と名高い場所で、何人もの偉人を輩出した所ですよ」
「うへぇ。名門かよ、俺ついてけるのか?」
勉強が得意で無い竹中君が心配そうに言うと、一緒に乗っていた皆が苦笑をした。王城から馬車で数十分移動した後、馬車が止まったので降りる。目の前には元いた学校なんて比べ物にならないぐらい大きな建物があった。見た目は少し古びたレンガ造りの建物で、中世ヨーロッパの建物を連想させる。だけど、どこか日本の学校のように建物の上部中央に大きな時計がある。
「王城も大きいと思ったけど、ここもかなり大きい…」
「君達が勇者様達かな?」
皆が建物に魅入られていると、建物の奥から男性がやってきた。
「こんにちわ。私はエゴール。まぁ、君達の先生になる人と思ってください」
「「はぁ…?」」
見た感じかなり温和そうな人だ。年も30歳過ぎたくらいで、先生にしては若く感じる。軽く自己紹介をした後、アレイさんと別れてエゴールさんについていく。学園は大学のように、最初に見た建物の他にも色々な建物が広い敷地内に存在していた。そうしてエゴールさんに案内された建物は、コロシアムのように建物中心に戦闘場があって周りに観客席がある所だった。
「早速ですが、これからここで皆さんの戦闘レベルを計らせてもらいます」
「戦闘レベル…ですか?」
「まぁ、そうです。この学園では学力ではなく戦闘レベルでクラス別けをしています」
「おっさん。戦闘と言っても俺たちは何もできないぜ?」
「お、おっさん?そうですか…おっさんに見えますか…」
竹中君の言葉にエゴールさんがorzと言った感じになっている。NGワードだったようだ。
「あ、あのそれで私たちは何をすればいいんですか?」
「え?…あぁ、すみません。まずはこのステータスカードの登録からしてもらいます」
エゴールさんが何とか立ち上がり、元々用意してあった足元の箱の中からカードを取り出した。見た感じ銀色で半透明の綺麗なカードだった。
「こちらに血を一滴垂らして、登録と念じてもらうと登録できます。少しだけ痛いかもしれませんが、まぁ、我慢してください」
血を出す為に指に針を刺す。チクッと痛かった。一滴カードに垂らして登録と念じる。
「これでいいんですか?……あ!何か浮かんできた!」
「俺のもだ!」「私も!」
登録と念じた後、カードに血が吸い込まれるように消えていき、徐々に文字が浮かび上がってきた。
ステータス
名前 : 斎藤 彩華
種族 : 人間
Lv 1
HP 22
MP 13
状態 : 普通 女神の加護
力 : 10
体力 : 5
魔力 : 8
精神 : 9
早さ ; 16
運 : 10
スキル
装備
武器1 無し
防具1 上質な服 レア度3
マテリア 無し
カードに浮かび上がってきた言葉は、どれも非現実なものばかりだった。ゲームの世界のような設定で、普段なら「ゲームのやりすぎだよ」と笑って済ましたと思う。でも、ここは何があるか分からない世界。決して笑って済ましていいようなものではなかった。
「ステータスカードに各々の能力値が表示されたと思います。ステータスカードに表示されている値は、本人の意思で他人に見えるようにするかどうか決められます。まぁ、今回は全て表示させるようにカードに念じるように意識してください。その値でクラス別けします」
言われたとおりに表示させるようカードに念じる。…自分では変化が起きていないように見えるけど、他人からは変わってるのかな?
「彩華さん、どう?あっ!彩華さんのカードの内容が見えるよ!」
「本当?」
「あぁ!ほら、僕のも見えるかい?」
鈴木君がステータスカードを見せる。初めは何も映って無かったが、徐々に文字が浮かんできた。そこには
ステータス
名前 : 鈴木 健二
種族 : 人間
Lv 1
HP 24
MP 8
状態 : 普通 女神の加護
力 : 12
体力 : 10
魔力 : 3
精神 : 3
早さ ; 7
運 : 8
スキル
装備
武器1 無し
防具1 上質な服 レア度3
マテリア 無し
と書いてあった。
「うん!鈴木君のも見えるよ!」
他の人たちも見えてきたのか互いのステータスカードを見せ合っている。竹中君と佐々木君もこちらにやってきたので互いのステータスカードを見せ合う。
ステータス
名前 : 佐々木 優斗
種族 : 人間
Lv 1
HP 10
MP 18
状態 : 普通 女神の加護
力 : 6
体力 : 4
魔力 : 13
精神 : 11
早さ ; 3
運 : 5
スキル
装備
武器1 無し
防具1 上質な服 レア度3
マテリア 無し
ステータス
名前 : 竹中 大吾
種族 : 人間
Lv 1
HP 20
MP 9
状態 : 普通 女神の加護
力 : 10
体力 : 13
魔力 : 4
精神 : 6
早さ ; 9
運 : 6
スキル
装備
武器1 無し
防具1 上質な服 レア度3
マテリア 無し
三人のステータスカードを見て分かった共通点は、女神の加護というものだけだった。それ以外は基本的に、バラバラだった。
「確認できましたか?まぁ、現段階では見ても何の事だかわからないでしょうが、追々、分かっていくと思います。それでは、次に武器を選んでもらいます。こちらへどうぞ」
私達はエゴールさんについていく。先ほどいた建物内の広場につながっている道の横に扉があり、そこに入ると少し広い部屋になっていた。そこには様々な形の木刀や、刃先が木になっている槍、盾等が置いてあった。
「この中から好きな武器を選んでください。その武器を使って測定します」
武器。そんなものを選ばなければならない事が、改めて異世界に来てしまったのだと静まっていた恐怖が湧き上がってくる。だが、それでも選ばなければならない。戸惑いながらも、皆がバラけて少しの間、色んな武器を見て回る。私も色々見て回ったが結局、剣を選んだ。剣道で使っていた木刀と同じような形をしている。
「東洋型の剣ですか。刺突よりも斬る事に特化した武器ですね。まぁ、その分折れやすいと言う短所もありますが…。剣を使った事は?」
「剣道をやっていましたので、多少は心得ています」
「ほう」私の言葉にエゴールさんは頷く。
「僕も剣にするかな」
鈴木君も剣を選んだようだ。ただし鈴木君の剣は私のとは違い、反りが無い真っ直ぐな形状の直剣だった。
「そちらはロングソードの型ですね。まぁ、変哲もない良く使われる剣ですが、それだけ如何なる状況にも対応できる剣とも言えます」
その後もエゴールさんは私たちが選んだ武器について、1人1人に簡単な武器の説明を行う。佐々木君は短剣を選んだようだ。
「力が入っていない木刀を振りまわすよりは、このような短剣で一撃を狙った方が私は良いと思うので…」
「大丈夫です。問題ありませんよ」
「おっさ…エゴールさん。俺は拳で戦いたいんだけど、良いかな?」
竹中君が武器を選ばずエゴールさんに質問する。
「えぇ、もちろん構いません。ですが、さすがに素手だと危ないのでこちらを付けてください」
エゴールさんが竹中君に差し出したのは小手のようなものだった。恐らくあれで相手を殴ったりするんだろう。竹中君は嬉しそうにそれを受け取り、手にはめて感触を確かめていた。
それぞれが自分の武器を選ぶ事ができたようだ。だけど、私たちの半数は不安そうな顔をしている。武器を取ると言う事は、これからは戦いを避けられないと言う事だからだろう。何か声を掛けた方がいいのかもしれないけど、私にはなんて声を掛けたらいいのか分からなかった。
「皆さん、武器は決まりましたね?それでは、先ほどの広場に戻りましょう」
エゴールさんが扉を開けて広場に進む。私たちはそれぞれの思いを胸の内に秘めながらエゴールさんについていった。
投稿が不定期でごめんなさい。できるだけ頑張って早く投稿できるようにします。




