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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第二章 : 王都セルジューク
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魔法について


『うむ!いつの時代でも酒はうまいものだ!』


 小さい蛇の姿になったヤシロが、ワインが入った杯に頭ごと突っ込んでガブガブと飲んでいる。


「しかし、ヤシロってこんな事が出来たんだな。でも、今は頭が一つしかないのはなんで?」

『今は我だけが独立して具現しているからな。イサミが望めば他の頭を呼べるぞ?まぁ相手も認めていないと駄目だが』

「へぇ…、ならマリンを呼ぶ事はできるってこと?」

『うむ、出来るぞ。魔法発動言語を言いながら呼ぶ相手をイメージすると良い』

「"契約具現"だっけ?でもマリンのイメージってなんだろう?」

『マリンの得意とする属性は土だ。我らの中から土を呼び出すイメージするとできるだろう。あぁ、具現するときは魔力をしっかり押さえる事を忘れるな?』


 俺はヤシロ達に初めて会った時の姿をイメージしながら土を呼ぶ。イメージで作られた八岐大蛇のような姿で六つある首の中で、一つの首がこちらを向いた気がした。


『あら?イサミちゃん?』


 頭の中にマリンの声が響く。どうやらマリンを呼ぶ事には成功したようだ。あとは、具現だな。


「"契約具現!"」


 俺は魔力を少しだけ使うイメージをしつつ魔法を発動する。すると目の前に光が出てきて茶色の小さな蛇が現れた。


『あら?具現化したの?…良い匂いがするわね!』

『これはやらんぞ!我のだ!』


 俺はもう一つの杯を持ってきてマリンにワインをあげる。嬉しそうに頭ごと突っ込んで飲んでいる姿はヤシロとまったく同じで、すこし面白かった。


「ところでヤシロ。俺って他にも魔法とか使えないのかな?」


 たとえばゲームでよく使いそうな火の球とか風の刃とか。ステータスカードには雷属性と土属性がLvMAXだったんだし何か一つぐらいできるのではないだろうか?


『ふむ、イサミは魔法について良く知らないようだな』


 そりゃ、異世界の事なんてあまりしらないって。まして、魔法なんて日本にいた頃なんて想像上の産物だったんだし。


『まず、勘違いしているようだが。普通は魔法を使う場合、マテリアが必要だ』

「マテリア?」

 

 そういえばステータスカードにもマテリアってあったな。


『そうだ。マテリアを媒体として魔力を流し込み魔法を発動する。まぁ、魔法が体に完全に馴染めばマテリアが無くても発動可能になるがな』


 ヤシロから魔法とマテリアについて聞く。どうやら、魔法を発動させるにはマテリアという物体が必要らしい。マテリアとは俺なりの解釈で言えば、いわゆる機械エンジンのようなモノで魔力がガソリン、発動言語がキーのようなものらしい。そして、一定以上に使いこなせるようになれば、マテリアや発動言語がなくても使用可能になるというものだ。


「へー、魔法って魔法書を勉強して覚えるものだと思ってたんだけど、マテリアさえあれば誰でも魔法を使う事が出来るってこと?」

『マテリアとは別名精霊石ともいう。魔法とは精霊の力を借りて行うものだ。故に力を借りる方法を学ぶと言う意味では、勉学も決して無駄な事ではない』

「なるほど」

『ちなみに私たちも精霊に近い存在なのよ?』

「マジか!?」


 その日の夜はヤシロとマリンと魔法について勉強して過ごした。可能なら明日は、街に出てマテリアについて見て回りたいな。





---------


 朝食を食べている時に今後の事について話す事になった。


「イサミ。この後、私たちはエルフ国に向かうわ。今回の旅で手に入れたディアリームの角を持っていく必要があるの」

「とは言いましても、エルフ国は人間国から海を隔てた国でして。エルフ国自体がやや鎖国気味の事もあって、行く為の船便も限られてきます」

「今は船便が多くある時期じゃなくて、今度いつ出航するか分からないの。とりあえず、今日は船便が出る日をルドルフに調べてもらうつもりよ」

「はい、お任せください。商人たちやギルドの方に聞いてきます」

「お願いね。だから、今日は特にする事がないんだけど…。イサミ、言葉の発音と文字の勉強をするつもりは無いかしら?」

「勉強?」


 エルミアが言うにはイサミほどの知能があるのなら、言葉を話したりや文字を理解することが可能であるはずとのことだ。


 皆が話す言葉は、俺からは日本語にしか聞こえない。だが日本人である俺が最初から何度も話そうとしても話せないところを見ると、言語聞き取りに関してはマスターしているが、言語発音がうまくいっていないのだろう。


 恐らくだが、この世界には本来の言葉があるのだろう。俺には脳内で日本語に変換されて認識できているが、言葉は日本語でしか話せないから通じていない。そんな感じになっているのではないかと思う。(イサミは自分が豚の鳴き声でしか話せていない事には気付いていません)


 言語の発音を覚えるには対象の言語を聞き取り、それを真似て発音するところから始まるものだ。だと言うのに、皆が話す言語は日本語にしか聞こえず、この世界の言語を発音しようにもどう言えば良いのか全然分からない。


 言語を話せるようになるのは…残念ながら絶望的だろう。しかし、文字に関しては違う。


 実は、王都に来てから何度か見たことも無い文字を見かけていたのだ。そしてそれら全てをなんとなくだが理解できていた。


 これには結構驚いたのだが、恐らくこれも転生による影響だと思う。ただ、言語と違ってこちらは日本語ではなく、視覚的にはまったく見た事もない文字のままだ。見た事もないのに内容が理解できるのは、未だに違和感があるが非常に助かっている。…もしこれが日本にいた時にあれば英語やその他言語のテストでは100点取れたんだけどなぁ。


 とにかく言語発音はともかく文字の勉強は賛成だった。内容は理解できているので、単に後は文字自体を覚えるだけだ。





---------



 ルドルフさんが街に出かけ、エルミアが俺に勉強を教え始めてから4時間ほど経った。


「すごい!!イサミは本当に頭が良いんだね!!」

「“ありがとうございます”」


 さっそくエルミアに教えてもらった文字で俺の気持を伝える。固有名詞や文法なども自然と理解できていたので、後は文字の形を覚えればそう難しくない訳で。気がつけば、午前中だけでほぼ完璧に覚える事が出来た。


 エルミアからすれば午前中だけで文字と内容まで覚えたように見えるだろうが、実際は文字の書き方を覚えただけだ。発音は…案の定、開始1時間で頓挫したが。


「イサミはあまり実感無いかもしれないけど、本当にすごい事なんだよ!普通は文字の形を覚えるだけで時間がかかるのに、イサミはこんな短時間で文字の形だけでなく内容まで覚えるなんて!」

「“そんなことはない。エルミアが教えるのがうまかっただけ”」

「え?そ、そうかな?えへへ……」


 さてと、照れるエルミアをばっちしと脳内保存しながら午後の事について考える。午前中に勉強が終わったので午後からは暇になった。せっかくなので、先日考えていたマテリアについて見て回りたい。


「“エルミア。午後からマテリアを見てきたいんだけど”」

「えっ?イサミはマテリア知ってるんだ?あ、そういえば"再生"覚えていたんだったね。聞いたことない魔法だけど、それもマテリアから覚えたの?」

「“いや、初めから使えた”」

「は、初めから?…となると"再生"は特異魔法オリジナルマジックになるのかな?確かにそれだと聞いた事もないのも頷けるわ…」


 最後の方は声が小さくて良く聞こえなかった。


「まぁ、いっか!別に問題あるわけでもなさそうだし。それじゃ、街のマテリア屋に行く?」

「“行く!”」


 宿タカナミで昼食を取った後、俺はエルミアと一緒に街のマテリア屋に向かった。


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