ステータスカード
「あ、足がぁ…」
「ちゃんと聞いてるの!?イサミ!!」
「しかと聞いていますか?イサミ殿?」
「は、はい…」
俺はあの後エルミア達と合流した。その後は周囲を警戒しながら森を移動し、森を抜けた頃には辺りは暗くなっていた。そうしてしばらく歩いたところでやっと休憩しようとすると、エルミアとルドルフから正座させられ今に至るまで説教を食らっていた。
「本当に反省してる?どれだけ心配したと思ってるの!」
「はい…」
「イサミ殿…、私は頼みましたよね?お嬢様を頼みますと。なのにあなたは…」
「はい…。反省してます…」
「イサミ?死にそうになっていた人を助けようとしたのはとても大事なことだけど、時には見捨てる事も…」
---30分後---
「足の感覚が…」
やっと2人の説教から解放され、痺れた足を擦りながら夕飯を食べているところだった。夕食は簡単な味付けの干し肉と固いパンで、あまりおいしくないが無いよりマシだ。
「ッは!?……あれ?ここは?」
干し肉を食べている途中でキースが目を覚ました。全くこいつのせいでエルミア達からめっちゃ怒られてしまったじゃないか。次になにかあっても助けてやんねぇからな。
「どうやら起きたようね。お前、今回はイサミが助けてあげたけど次にこんな事をすれば見捨てるからね?…ね、イ・サ・ミ?」
「い、イエスマム!!」
エルミアがキースを威嚇しつつ俺にも注意を促してくる。エルミアを怒らせると怖いな。今後はあまり怒らせないようにしよう…ッ!?すいません!何も変な事は考えていないですよ!?だから睨まないでぇ!
「そ、そうか。俺は助かったのか。す、すまねぇ…ッて!おい!?手が!?腕がある!?」
「はぁ?何言ってるの?」
キースが喰いちぎられ、無くなったはずの自分の腕を見て驚きの声を上げた。エルミアは巨大狼のせいでキースの腕が無くなっていた事を知らなかったようで、キースが驚いている事が理解できていないみたいだ。
「お、お前たちが俺の腕を治したのか!?そ、そんな事が可能なのか!?」
「ふむ?どういう事ですかな?」
キースが自分の腕を食われた事を説明する。初めは2人とも信じていない顔だったが、必死に説明するキースを見て少しだが、信じる気になったようだ。
「ふむ、これが本当ならイサミ殿がこの男の腕を治した…という事でしょうか?」
「本当ならそうね。でも、そんな回復魔法知らないわ。異常状態治療や傷口を塞ぐ程度なら知ってるけど、無くなった腕を生やすなんて無理だわ」
2人がこちらを見る。俺は知らないと言った感じに明後日の方を見ながら口笛を吹く。だがうまく吹けず、情けない姿となっている。
「…イサミ殿が治したか否かは今は置いておくとして、この事はあまり話さない方がいいでしょうな。下手をしたらイサミ殿が狙われるかもしれません」
「そうね。あんたもこの事は黙っていなさいよ?助けてあげたんだから」
「あ、あぁ、分かった。俺もこれ以上面倒事はこりごりだ」
ひとまず一件落着らしい。俺は我関せずと言った感じで干し肉にかぶりついていた。…肉の味しかしないよぉ、塩や胡椒くれー!
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あれから、キースは大人しくなり、特に問題なく王都に向かう事が出来た。キース逃亡の件から約2日ほどで関所に着いた。かなりの人が関所の前で並んでいる。とりあえず、関所を通る手続きをする為に列の最後尾に並ぶ。馬はルドルフさんが売却しに行った。
「イサミ、ここからしばらく喋ったらダメよ?流石に理由もなくオークを連れて王国に入るのは難しいの。今、ルドルフが馬を売るついでに新しいステータスカードを貰いに行ってるから」
「何!?ステータスカードだと!?」
「ちょ、ちょっと、イサミ!?今注意したばっかりでしょ!」
ごめんごめんと謝るジェスチャーをしながら、心の中では驚いていた。
「(ステータスカードだと!?なるほどな、この世界ではステータスはカードとして表示されるのか。道理でいくらステータスオープンと言っても出ないわけだ)」
異世界に来てから何度もステータスを見ようとして色々試したのは今となっては恥ずかしい黒歴史だな。…うん、ホントに。
「(でも、ステータスカードって自分だけじゃなく他人にも見られるんだろうか?だとしたら、ヤシロや金剛、この治療魔法とかいろいろ知られるんじゃ?)」
『いや、それに関しては大丈夫だ。ステータスカードには自分が見せたいステータスのみ表示される。自分には全部見れるが、他人から見ると名前と種族や性別くらいしか表示されない』
「(そうなの?ならよかった……じゃねぇ!!オークってばれちゃうじゃん!?」
『そこまでは知らぬ』
頼みのヤシロ先生から見捨てられた俺は1人悩んでいた。もし、ここでオークってばれれば、衛兵に連れられて処刑されるかもしれない。例え処刑されなくても碌な事はないだろう。
「(ヒイィィィ!!俺はどうすれば!?いや、まてまて!まだ慌てるような時間じゃない……はずだ!!)」
しばらくの間、この後どうするか考えていると、ルドルフさんが戻ってきた。少し前の俺ならやっとステータスが見れる!と喜んでいただろうが、今の俺には死神が迫ってきているような恐怖しか感じなかった。っく!巨大狼時でさえここまで恐怖は感じなかったぞ!?
「お待たせしました。イサミ殿こちらがステータスカードになります」
ルドルフさんが手渡してきたのは何も描かれていない銀色のやや透明なカードだった。
「(これがステータスカード?綺麗だな。でもどうやって登録するんだろ?というか、オークの俺でも登録できんのかな?)」
「イサミ、この針でカードに血を垂らして心の中で“登録”ってカードに向かって祈る感じでやってみて?」
俺は言われたとおりにする。エルミアから針を受け取り指先に突き刺す。そのままカードに血を一滴垂らす。そのあと、登録っと念じると血がカードに吸い込まれるように消えてカードに文字が出てくる。
ステータス
名前 : 山県 勇
種族 : オーク
Lv18
HP 100(+1000)
MP 150(+2000)
状態 : 呪い 奴隷(主人 : エルミア)
力 : 25(+306)
体力 : 20(+308)
魔力 : 60(+600)
精神 : 45(+400)
早さ : 15(+322)
運 : 50(+300)
スキル
嗅覚Lv8 魔力操作Lv6 再生LvMAX 棍棒術Lv2 剣術Lv1 雷属性適正LvMAX 土属性適正LvMAX
装備
武器1 ブロードソード レア度 2
防具1 ローブ レア度 1
防具2 皮の胸当て レア度 2
防具3 疾風の靴 レア度 6
マテリア 無し
契約獣
ヤシロ マリン
契約技
夢幻 金剛 ペテロの裂け目 豊穣の息吹
…うーん、他の人がどれくらいか分からないから、このステータスが凄いのかどうか分からん。と言うかこの(+306)とかは何だ?それより状態が呪いって…。いや、確かにオークになってる時点で呪い状態なのかもしれんが。
「イサミ、どう?ちゃんと出てる?」
「(ん?エルミアには見えてないのか?)」
『今、他人からは何も書かれていないステータスカードしか見えていないのだろう』
「(そうなのか。どうしたら他人に見えるように出来るんだ?)」
『知らぬ』
「(え~…)」
「イサミ?カードに表示するように念じてみて」
なるほど。個人情報が漏れないようになってる為か、念じないと出ないようになってるんだな。となると…
「あ!出てきた。えっと…うん!ちゃんと書いてあるね!」
「(上手くいったか?エルミアからはどういう風に見えてるんだろう?)」
「へぇ~、能力的には魔力が高いのね!60もあるんだ!」
「確かにレベル18で60は高い方ですな。オークとなると異常ですが…」
「異常と言えば…ルドルフ気付いた?」
「はい。スキルに再生というものがありますね。それもLvMAXとは…。初めて見ました」
「私もよ。…イサミ。このスキルを誰にも見せないようにしなさい。あなたの為だから」
俺は頷いて再生スキルを隠すようにする。ちなみに表示していたのはスキルは再生、棍棒術、剣術、嗅覚だ。能力は(+数字)のところを消すようにした。元々の俺の能力値に対してあまりに高いので隠しておいた方がいいと思ったからだが、魔力60で高い方なら隠しておいてよかった。状態も呪いを一応消しておいた。
「えっと、後は…疾風の靴?レア度6!?何これ凄い!」
「(ん?凄いのか?)」
「イサミ殿はレア度などは知らないかもしれませんが、レア度6は最高級品レベルです」
「(マジか!?)」
「イサミイサミ!!見せて見せて!!」
興奮しているエルミアに靴を見せる。……最近風呂に入ってないから臭くないか心配だったけど、そんなこと気にしない感じで魅入っていた。そういえば、この世界って普通に風呂とかあんのかな?風呂好きの日本人としてはあって欲しい所だ。
「次の人!」
気がついたら、関所の順番が回ってきていた。しまった!ここをどうやって切り抜けるか考えていなかった!
覚悟がまだ決まっていないが、後ろにも人がいるので待たせるわけにもいかない。なので渋々とエルミア達に続いていく。あぁ…どうしよう…。
参考程度ですが、ステータスについて
HP :生命力
MP : 魔法力
力 :物理タイプの攻撃力
体力 :通常攻撃や力依存の技に対する防御力
魔力 :魔法と魔力依存の特殊技の攻撃力
精神 :魔法や魔力依存の技に対する防御力
早さ :行動速度や移動速度、命中、回避能力に影響
運 :アイテムの入手確率の他に影響。少しだけ命中と回避にも影響




