急襲---エルフ---
まぁ、ある意味予想通りな展開。
---美少女エルフ---
「へっへっへ。さっきの爺エルフならしばらく戻ってはこないぜ?」
「その間に俺たちはあんたを連れておさらばだ」
冒険者たちが作戦がうまくいったせいか嬉しそうな表情で話す。
「しっかし、あんたらも馬鹿だよなぁ。神隠しの森の帰り方なんて知ってるわけねぇだろ」
「ちょっと考えれば分かるよな!クククッ!」
「そう言うなって。こいつらがこんな馬鹿だから俺たちはこうして役得出来るんだしな」
「「ちげぇねぇ!!」」
男達は大きな声で笑う。…こいつらは自分の声でルドルフに気付かれないと思っているのだろうか?ただ単に馬鹿か、それとも確実に戻ってこない理由があるのか。…恐らく前者だろう。とはいえ、ルドルフが戻ってくるまでどうするか。
食事に入れたであろう毒はただの痺れ薬ではないようだ。体がうまく動かないのに加えて魔力もうまく操作できない。
「さて、そろそろこいつを連れていくぞ」
「ちょっと待てよ。少しぐらい楽しませてもらってもいいだろ?」
「お前、本当にこういう小さい女が好きだよな」
「爺が戻ってくるかも知れんぞ?」
「大丈夫だって。夜中の森には魔物が蠢いてる。すぐには戻ってこられねぇよ」
冒険者の一人が卑猥な目でこちらを見ながら近づいてくる。残りの二人も最初は考え込んでいたが、しばらくして初めの奴と同じ目線で私を見始める。
「っち。しょうがねぇな」
「すぐ終わらせろよ?俺も向こうで楽しみたいからな」
「へへっ!わかってるって」
「っく!来ないで!」
言う事を効かない体を必死に動かす。その必死に逃げる姿に興奮してか、男が醜悪な笑みを浮かべた。
「へへへ、無理だって。いくらエルフ様でもその毒はしばらく抜けねぇ。まぁ、諦めな!」
「ッ!? 」
男が私の服に手をかける。体に鳥肌が立ったのが分かる。怖い!気持悪い!!
「いや!!」
おもわず熱いものに触った時に咄嗟に手を離す反射運動のように、私は咄嗟に無理やり体を動かして男に向かって蹴りつける。……男のアレにむかって。
「!?ぐおお!!! て、てめぇ!! 」
「はぁ、はぁ!」
這いずりながらも必死に男から逃げる。後ろから男の二人の笑い声と、一人のどなり声が聞こえてくる。
「ッツ、痛ぇ!畜生!待てや!ちょっとは優しくしてやろうと持っていたが、もう手加減しねぇ!」
男がこちらに向かって来るのが分かる。どうすれば!せめて、ルドルフが来てくれれば!しかし、その気配はない。私にできる事は……。
近くにあった火消しようの水桶を焚火に向かって倒す。ジュッと音を立てて火が消え、辺りが暗闇に包まれた。咄嗟の事で私の行動を止めれなかった男達が慌て始める。
「くそっ!火を消しやがった!」
「オイッ!やばいぞ!火を消したら魔物が寄ってくる!」
「ここら辺は何が潜んでいるか分からん気をつけろ!」
少し離れた男たちが月明かりを頼りに松明を取り出し、必死に火をつけようとする。どうやら、発火の魔法は使えないようだ。
私は出来るだけ音をたてないようにその場から逃げようとする。しかし、背中から男に押さえつけられてしまう。
「ッケ!逃げようってか?そうはいかないっての!こっちはあんたらと行動中ずっと我慢してきたんだ。もう我慢できねぇ!!」
「や、やめ!!」
男が乱暴に私を仰向けにし、服を脱がそうと手を伸ばしてくる。必死に抵抗しようとすると、
「ぐふっ!?」
「…え?」
顔に生温かい液体がかかる。恐る恐る男の方を見れば、槍が胸を貫いていた。
一瞬何が起こったのか分からなかった。胸から槍を抜かれ、男が私の横に倒れた。男が立っていた後ろに何かいる。はじめは暗くてよく分からなかった。だが月明かりによって徐々にその正体を照らし出した。
そこには、槍をもった二足歩行したトカゲ、"リザードマン"が立っていた。
「な!?」
「ギャギャギャ!ヒサシブリノ人間ノニクダ!」
片言だがリザードマンが大声をあげて獲物を得た事に歓喜する。
「りり、リザードマン!?」
「クソッ!オルドがやられちまった!」
男たちが慌てて武器を構える。どうやらリザードマンは一匹ではなく4匹いたようで、男達は突然出現したリザードマン達を警戒している。
「ギャギャ!シネ!」
「ッ!?」
私の近くにいたリザードマンが私に向かって槍をついてきた。私は横に転がり攻撃を避けようとするが、痺れ毒のせいで上手く避けきれず、槍が足をかすってしまい、足から血が流れ出る。
「お嬢様!!」
リザードマンがもう一度攻撃しようと槍を構えた時、背後から物音がした。見ればややふらふらな足取りのルドルフがいた。どうやら、ルドルフも毒を盛っていられたようだ。ルドルフは私を背後にリザードマンと対峙する。
「お、遅いわよ!ルドルフ!」
「申し訳ありません!体が思うように動かず」
やはり、毒のせいですぐにこちらに来れなかったようだ。それでも動いて助けに来ただけでも大したものだが。
「お嬢様、これを」
ルドルフはリザードマンをけん制しつつ、私に向かって綺麗な布を手渡してくる。
「顔が酷い事になっておられます」
「…助かるわ」
おそらく、オルドという男の血のせいで顔が汚れてしまっているので、気を使っての事だろう。こんな時でもさすがだと思う。
布で顔を拭く。だが、思ったより血が付いてなかった。不思議に思っていると、頬に暖かいモノが流れるのに気付く。血か?と思って触れると透明な水だった。それは、目元から流れ出ていた。
どうやら私は知らずのうちに泣いていたらしい。
「…私もまだまだね」
「お嬢様、何があったのかは大方想像がつきます。そのような事は誰でも恐ろしいものです。決して恥ずかしい事ではありません」
「そう…ありがとう」
私は布の綺麗なところで涙をふく。そして、頭を落ち着かせながらどうするかを考える。正直、ルドルフが来たところで絶望的なのは変わりない。普段の調子ならともかく、今は魔法の使用どころか体も碌に言う事を効かないのだから。
ルドルフもそれが分かっているのだろう。こちらから動かず、相手の出方を窺う姿勢を取っている。
リザードマンが痺れを切らしてこちらに攻撃しようと一歩踏み出した時、
「ブヒヒーーーー!ブヒヒーーーー!!」
急にオークが森の奥から現れた。こちらを見た途端、辺りに響き渡るくらい大声で鳴いて両手を上げて万歳していた。




