美少女エルフとの出会い
---???---
やっとここまで来る事が出来た。通称”神隠しの森”にいるという幻獣ディアリームの角があればお母様を説得することが出来る。
「もう少しで…」
「ん?お嬢様、何かおっしゃいましたか?」
「なんでもない」
「なんかあったら教えてくだせぇや、お嬢さん?へへへ…」
「……ッチ」
思わず舌打ちしてしまった。思っている以上にストレスが溜まっているみたい。
「(本当に気持ち悪い…。自分達の視線がバレていないとでも思ってるのかしら?)」
目の前にいるこいつらは付近の街のギルドで雇った奴らだ。多くいる冒険者の中で唯一、「神隠しの森を知っている」と言っていた。明らかに胡散くさかったが他に知っている者もおらず、背に腹は代えられなかったので仕方なく雇ったのだが…。旅の途中、何度も私を卑猥な目で見てくる。こいつら人間族は何時もこれだから嫌だ。
隠そうともしない人間族の視線にうんざりしていると、従者のルドルフが視線を遮るように立ってくれた。
「お嬢様、お気をつけください」
「えぇ、苦労をかけるわね」
小声で人間族に聞こえないように話す。戦えば負ける気はしない。だが、人間族はいつだって卑怯な手で我らエルフ族を陥れてきた。油断してはいけない。だからこそ、四六時中近く気を張り詰めている必要があり、かなりストレスが溜まってきている。はやく、この旅を終わらせてこいつらから解放されたいと本当に思ってしまう。
私とルドルフは油断せずに人間族の一人についていく。背後の2人が私の背中をねっとりとした目線で見ながら微笑んでいる事が分かる。
「(…あぁもう!ホントに気持ち悪い!何を考えているのか知らないけど、絶対碌なことではなさそうね)」
私は、こいつらを雇った事を後悔しながら、面倒な事が起きる気がしてならなかった。そして数時間後、その懸念通りになる。
---イサミ---
「(そろそろ、夜になるな)」
歩き始めてから数時間たち、辺りが暗くなり始めていた。俺は、枯れた枝を拾いながらどこで休むかを考える。あれからだいぶ進んできた。また、道に迷っていないか不安があるが、ヤシロが言うには問題なく進めていると言う。正直、引き籠りだったヤシロの言う事なのであまり当てにできないかもしれないが、結界は解けているようなのでとりあえずはヤシロの言葉を信用して進む。
「(まぁ、とにかく今日は休もう)」
火打石を取り出して、火を熾す。夜の森は危険だ。まだ遭遇した事ないが夜の森の中を動き回る気配は感じるので、必ず火をつけて身の安全を確保する。獣が火を恐れるのはこの世界でも一緒らしい。
火を熾してから僅かな食料を口にする。そろそろ、狩りに出ないとやばくなってきた。貯めていた食料も洞窟で失ってしまったからだ。
数少ない食料で小腹を満たし、火が消えないよう枯れ枝を入れる。そのまま休もうと思い、一度鼻を使って辺りを警戒する。
「スンスン…ん?初めて嗅ぐ匂いがする?」
ゴブリンとは違う生き物のにおいが複数、汗くさい臭いの奴らが3人、少し花のような良い匂いがする奴らが2人、そして洞窟で感じたトカゲが4匹、なにやら争っているようだ。
俺は初めて感じる匂いに人間の可能性を感じやや興奮してきた。やっと、この世界で人間にあえる!しかも、
「しかも、中には一人女性がいる!!」
必ずしも女性全員が見た目麗しいわけではないのに、勝手に美少女をイメージしながら俺は喜び始める。そしてハッと思い出し、慌てて匂いのもとに走った。先ほども言ったように、なにやら争っているように感じられたからだ。
普通に考えれば厄介事な感じなのだから、避けるべきなのかもしれない。だが、俺は……
「美少女救出フラグキターーーー!!」
夜の森は危険だという事を忘れ俺は奇声をあげながら全速力で走った。
全力で走ったので10分たらずで現場に辿り着いた。そこには鼻で感じたとおり、洞窟にいたのと同じトカゲが4匹いた。トカゲの近くには冒険者らしい男たちが3人見える。そのうち一人はトカゲの槍に胸を貫かれてすでに死んでいるようだ。
他には大人しそうな初老の耳の長い男性が1人。そして、
「……ッ!!」
俺は思わず凝視してしまう。腰まで長く美しい金髪に長い耳、身長は150後半だろうか?子供のような体型をしているが、胸は大人しくもしっかりと主張している。そして、顔は今まで見た事がないくらい美しく整った顔をした美少女がそこにいた。
「エルフキターーーー!エルフキターーーーーー!!」
俺は両手をあげて万歳した。




