仲違いの理由
頑張って連日投稿。
(o゜□゜)o<ガンバレ、オレエェェ!
---街中(エルミア視点)---
「お嬢様、本当にイサミ殿達に何も言わずに行ってしまってよろしいのですか?」
「別に、今日は一緒に行動するわけでもないでしょ?いいわよ別に…。」
「それはそうですが、これほど朝早くに出る必要はないのでは?」
今は朝日が昇って間もない時間で、イサミともう1人の人間はまだ寝ているはず。本来なら起きるまで待ってあげるべきなんだろうけど、今は…あまり会いたくない。
私はイサミがいる部屋を見上げるが、すぐに踵を返して歩き出す。
「別に…いいのよ。」
「お嬢様…、もういい加減に仲直りされたらどうですか?」
「何よ?私が悪いって言うの!?」
まだ人気が少ない通路に私の声が少し大きく響きわたる。眠い顔をして歩いていた数少ない人が何事かと私達のほうを見ている。
「…ごめん。とりあえず行きましょ。」
「いえ、此方こそ差し出がましい事を言いました。お許しください。」
ルドルフは頭を下げた後、静かに私の後に続いている。今、向かっているのは冒険者ギルドだ。今回の受けた討伐対象について、依頼書に記載されている内容では少しばかり情報不足と感じたので、ギルドの情報保管庫で調べて対策を立てておこうと、昨日ルドルフと相談して決めた事だ。
しばらくの間歩いた後、私は小さな声でルドルフに話しかけた。
「イサミがね…。王都セルジュークの中央公園でワタナベと2人っきりで会っているのを見たのよ。」
「それは初耳ですね。」
「でしょうね。どうもイサミは隠してるみたいだし。」
「…お嬢様はなぜその事を?」
「偶々、見かけただけよ。」
本当に、偶然公園を歩いていたら2人が抱きしめあっているのを見てしまった。なぜ2人だけであっているのか、抱きしめあっているのかは今も私には分からない。
とにかくその時の私は動揺して、すぐにその場から走り去ってしまった。
「……。」
「…お嬢様?」
その時の事を思い出していて無言になった私が心配になったのだろう。ルドルフが遠慮がちに私を心配するような声で話しかけてくれた。
「ん、大丈夫。」
「そうですか…。しかし失礼ながら、それだけならば怒る程の事では無いのでは?」
確かにその通りだ。抱き合っている姿を見てかなり動揺したけど、普段の私ならここまで怒ったりしないでしょうね。
…実は走り去ったあの後、もう一度公園に向かったのだ。さっきの光景は見間違えたのかもしれないと淡い期待を抱いて。だけど、
「(イサミはワタナベと明らかに話をしていた…のよね。)」
そう。話をしていたんだ。てっきり私は、イサミは話すことができないオークなんだと思っていたのに…。現に私達と言葉で一度も会話をした事はない。だけど2人は公園のベンチに仲良さそうに座って話をしていた。その時、なぜか裏切られたような感覚に陥った。
何に裏切られたと言うのか?…私にだってよく分かんない。ただ、楽しそうに話をしている2人を見ていると酷く胸の奥に穴が開いたような虚無感を感じたのだ。
「(話の内容はよく聞き取れなかったけど、…仮面がどうとか言っていたのだけは覚えてる。)」
恐らくだが、あの恐ろしい仮面はワタナベがイサミにあげた物なのだろう。そして、イサミは大事そうにいつも外さずに身に付けている。その事からして、2人の関係が窺えるというもの。そう考えると最近やっと落ち着いていた筈の心が再び疼きだす。
「(ーッ!何よ!何よ!!私とは話をした事ないくせに、ワタナベとは仲良さそうに話して!!そんなに私と話をしたくない訳ッ!?)」
「お、お嬢様!お待ちください!?」
気がつけば私の歩調は速くなっていた。
---冒険者ギルド(ニューポートタウン)---
私とルドルフは今、冒険者ギルドで貴重な経緯や目撃情報が記載されている報告書が保管されている場所に来ていた。そして、報告書を確認した事で今回の討伐するべき対象が見えてきた。
「なるほど…、今回の討伐対象の主犯格モンスターはスケルトン・メイジでまず間違いないですね。」
「みたいね。となると、聖水を用意して武器に塗っておかないと。」
「ですな。スケルトン系の魔物は一定以上のダメージを与えない限り復活し続けますからな。」
動く骸骨系統の魔物は、一撃で一定以上のダメージを与える手段がなければ非常に厄介な魔物だ。強力な攻撃以外では、どれだけ攻撃を続けても瞬く間に回復してしまい、こちらのスタミナが切れたところを一斉に襲われてしまう。だがどんな敵にも弱点はあると言うもので、攻略法は発見されている。
それは教会で清められた聖水を武器に塗る事で、スケルトンを普通の攻撃でも倒す事が出来るようになると言うものだ。恐らく、奴らにとっては聖水は毒そのものなんでしょうね。
「となると、この街の教会に行く必要があるわね。」
「あの…その件、なのですが。実は問題がありまして…。」
後ろから情報保管庫まで案内してくれた若い男のギルドの職員が話しかけてきた。
「なに?」
「実はこの街の教会が…その…魔物に占拠されてしまっておりまして…。」
「はぁ!?」
私は思わず驚いた声をあげる。ルドルフも少し目を開いて驚いた表情をしている。
「相手はアンデット関連の魔物達でしょ?そんな魔物達が、どうして祝福を受けたはずの教会を占拠できるっていうの?」
「今回現れた魔物が、教会の祝福を物ともしない程のとても強力な相手だからだと聞いております。ですから、今回の討伐は相当な危険を伴うものとしてシルバークラス以上の冒険者を募集しているんです。」
「これは…、思った以上に難しいかもしれませんね。」
ルドルフが顎に手を当てながら考え込んでいるのを横目に、私は冒険者ギルド職員に詰め寄る。近寄った際、どこか男の顔が赤らめた気がするが、今はどうでも良い。
「なら、聖水の用意は出来ないと言うこと?」
「い、一応、用意はしていますが、数は少なく恐らく集まった冒険者の中でも上位者にのみ渡されるかと…。」
「なっ!?それを冒険者達は知っているの!?」
「恐らく長らくこの町に住んでいる冒険者ぐらい、かと…。」
話にならない。私はギルド職員から離れると急いで情報が記載されていた書物を片付け始める。
片付け終えると、ルドルフを伴ってこの街のギルド支部長がいる場所へと向かう。
「お嬢様、どちらへ?」
「決まってるでしょ?討伐作戦の詳細を聞きに行くのよ。聖水も十分な数を揃える事ができないこの状況で、どうやって勝つつもりなのかってね。」
先も言ったとおりだが、スケルトンやアンデット関連の敵は有効な攻撃手段が無いとしぶとく強く厄介な相手だ。ルドルフクラスならともかく決定打を持たない私では足手まといになってしまう可能性がある。
個の戦力で勝つのが難しいのなら、作戦が勝負の要になるというのは、戦闘において基本だ。良い作戦が考えられていれば良いんだけど…。
---1時間後---
「まったく!どういう事なの!」
たった今ギルド長から今回の作戦について聞いてきた。いいえ、聞いてくるつもりだった。なのに…
「数による殲滅戦との事でしたな。」
「そんなの作戦が無いって言ってるようなもんでしょ!?」
でっぷりとしたギルド支部長がドヤ顔で言うその姿に思わず口がしばらく塞がらなかった。まったく何を考えているのか!…いえ、何も考えて無いんでしょうね。
「この港街には、名のある冒険者は少ないから数で攻めろだなんて!」
「聖水も碌に用意できないこの状況で、数に頼った撃破など危険極まりないですな。多くの負傷者が出ます。」
「ホントよ!」
イラつく思いを努めて鎮めようとするが、それでも声が若干大きくなってしまう。流石に何も準備しないまま夜を迎えるはマズイので、一度街の方に向かうことにした。教会で用意する事ができないとなると、商人などから買い取る必要がある。
「しかし、お嬢様。このクエストはどうされますか?」
「一応、受けるわ。このままでは多くの犠牲者がでる。人間は嫌いだけど、この街は私達エルフにとっても大事な貿易拠点の1つだもの。決して放置して良い問題ではないからね。…また今回も頼りにさせて貰うわ、ルドルフ。」
「はっ!承知しました。」
私は頷きながらギルドの扉を開いて外に出る。気がつけば日が頭の上の位置まで来ており、かなりの時間が経っていることに気づく。
「さっ、いきましょ。最初は商人ギルドに――」
「あ~れ~?エルミアさんじゃないですか!」
まるで、待っていたかのようにギルドの出口付近で座っていた人間が気安い感じに話しかけてきた。男は立ち上がると私の近くに来ようと歩き出すが、すぐにルドルフが間に立ち塞がる。
「…申し訳ありませんが、あなたは?」
「あぁ?てめぇこそ、だれだよ?エルミアさんと話すのを邪魔すんじゃねぇよ。てめぇ、俺が誰か知ってんの?シルバークラス冒険者のフィーロだぞ?爺が気安く俺に話しかけんじゃ――」
「ルドルフは、ゴールドクラスの冒険者よ。貴方の方が気安く話しかけて良い相手じゃないわよ?」
「なっ!?ご、ごご、ゴールド!?これは、その、し、失礼しました!」
分かりやすいぐらい慌て始めた男に、私は冷めた視線をぶつけながら
「貴方、こんな時間にここで何をしているの?」
「うぇ?いや、エルミアさんを待っていたんだ。ここにいればまた会えると思ってね。」
「…そんなことしなくても、同じクエストを受けているんだから、嫌でも会えるでしょうに…。」
「いやいや!それじゃあ、時間が足りないよ~。それでどうかな?今からでも何処か洒落た店にでも――」
「結構よ。行きましょ、ルドルフ。」
私は笑顔のまま固まった男の横を素通りするとそのまま、目当ての場所に向かって歩き出す。その後も、男はしつこくついて来たがルドルフの「お引き取りを。」と言うとそれ以上強く言えずに肩を落として去って行った。
---5時間後---
「なんとか、今回の戦闘分は確保できたわね。」
「はい。しかし、それなりに値段が上がっていましたな。」
「仕方ないわよ。聖水は戦闘以外にも使い道はあることだし、教会が占拠されている今、値段が高騰するのは仕方が無いことよ。」
あのギルドの若い職員が言っていた事が本当なら、実力者であるルドルフには聖水が提供されるかもしれない。だけど、もしもの事を考えて二人分用意しておいた。これで戦闘に関しては問題ないはず。
時間も夕方になり空は綺麗なオレンジ色になっている。そろそろギルドに今回の討伐に参加する冒険者達が集まってきているはずだ。
「(……イサミは、今頃なにしてるのかな…。)」
冒険者ギルドに向かいながら、ふと泊まっている宿屋の方向に顔を向ける。
「(やっぱり、私のこと…怒ってるかな?だって、あれだけ邪険にしたんだもん。嫌われても……ッ!?)」
「嫌われる」その事を考えた時、胸の奥がズキンと痛んだ。
「(…何?今の…?)」
初めての現象に戸惑っていた時、ルドルフがどこか穏やかな声で話しかけてきた。
「お嬢様、大丈夫ですよ。イサミ殿は決してお嬢様を嫌いになったりはしません。」
「…別に何も言って無いわよ。」
「ふふ、そうでしたな。」
何も根拠の無いルドルフの言葉。だけど、その言葉を聞いて私は心が軽くなった気がした。
ギルドの前にたどり着くと、一度深呼吸して気持ちを切り替えてから扉を開く。中には朝に来たときよりも大勢の冒険者が集まっていた。それも、昨日とは違い。どの冒険者も自分の腕に自信ありといった顔ぶればかりだ。
そんな冒険者の中で、眼帯をした1人の男性が私達に気づいて声をかけてきた。
「おっ!?来たな!あんたらで最後だ。さぁ、ニューポートタウン周辺の魔物討伐戦を開始するぞ!」
忘れがちかもしれないので、補足。
フィーロ
元王都冒険者ギルドに所属していたやや長めの茶髪のイケメン。とある、クエストにおいて依頼主を残して逃走。
そこにイサミが現れる事で依頼主は助かるが、後に責任を追及されなんとか言いくるめようとするが、イサミと渡辺の登場により失敗。
その後もその場を見ていた冒険者から逃げ腰のフィーロと罵られ、居づらくなったため、ニューポートタウンに移動した。尚、そこでもイサミと出会ってしまう。
イケメンです、イケメン。( ,,>З<)ブプッ




