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転生ライフ!オークライフ!?  作者: エケイ
第一章 : 異世界到着
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転生!?

はじめまして!!これから頑張りますのでよろしくお願いします!


キンコーンカンコーン


 あぁこのチャイムを聞くのもこの高校に入学してから何度目だろうか。今日もめんどくさい一日が始まる。どうして、月曜日の朝ってこんなに憂鬱になるんだろう。おそらくこれから一週間(5日間)も学校があると思うせいだろう。それでも普段は我慢できる。だが今日は我慢できないぐらいに憂鬱だった。


 …ん?なぜかって?そりゃ、今日はホントは休みのはずだったんだ。いわゆる祝日ってやつです。んで明日からは新学期が始まるので、今日は思いっきりぐうたら最後の極楽時間(休日)を過ごそうと考えていたのに…。


「はぁ…」


 何度目か分からない溜息をついていた時(憂鬱っぽくてごめんね。)、横から女子の大きめな声が聞こえた。


「もう!何回溜息ついてるのよ!いい加減諦めて掃除しなさい!」


 そう言って右手を腰に当て左手に長箒を持っている女子生徒、背中の半分くらいまである綺麗な黒い髪を伸ばした”斎藤サイトウ 彩華アヤカ”が立っていた。こいつはいわゆる、俺の幼馴染というやつですよ。


 学校の成績、部活動(俺と同じ剣道部)では優秀な成績を収め、アイドル顔負けの美少女で、文武両道、容姿端麗の言葉はこいつの為にあるんだろうなと思えるほどである。対して、特に運動や勉強ができるわけでも、容姿に優れているわけでもない俺としてはあまり関わりたくない奴の一人だ。


「だって、ホントは今日は休みだったのによぉ。急にお前が学校の掃除するから手伝えって無理やり連れてきたんだろうが!あぁー!今日は昼まで寝てお菓子やジュースを飲み食いしながらネットサーフィンして、疲れたら寝るつもりだったのにぃ~!」

「なにそのニート染みた生活は…」


 彩華は右手をおでこに当てて頭痛があるようなような姿勢で「はぁ…」と溜息をつく。


「確かに無理やり連れてきたのは謝るけど、最近あなた運動どころか必要最低限しか家から出てないでしょう。あなたのお母さんが嘆いていたわよ?」


 ふむ。確かに最近、学校行くとき以外家から出てないな。まぁ、俺にはやりたいことがたくさんあるから仕方ないのだ。そう、ネットサーフィンとかネトゲーとか…etc。だから、仕方ないのだ!


 最近男友達からもメールとかも、面倒で最低限しかしてないから遊びに行ったりもしてないな。こいつも久しぶりに話したと思ったらこんな無理やり連れ出す始末だし…、ネット仲間と話してた方が面白いんだがなー。というか、何時の間に俺の母親と話したんだ?


「もう!勇!!しっかりしてよね!明日から私たちこの学校の最年長になるんだから、新学年生にだらしない格好を見せないでよ!」

「へいへい…」


 彩華が大きな声で俺を諌しめる。そういえば、家族以外で名前呼ばれたの久しぶりだなぁと思いつつ名札をみた。


山県(ヤマガタ) (イサミ)


 俺の名だ。山県って珍しい名字なのに勇って名前も珍しい気がする。


「会長。次の掃除場所に移動しましょう」


 横から話しかけてきた男性は、落ち着いた感じの眼鏡が似合うイケメンの生徒会副会長。名前は…えっと…何だっけ?まぁいいや。しかし、そんな汚物を見るような眼で俺を見るなよ…。あれ?そういえば俺って昨日、お風呂に入ったっけか?え~と…


「あぁ、ごめんなさい。すぐに向かうわね。ほら行くわよ勇!」

「なぁ、会長ってなんでこんな奴連れてきたんだ?正直こいつウゼェんだけど」


 今度は、如何にもスポーツ少年(青年?)って感じのイケメン。確か書記だった奴だな。こいつの名前も思いつかん…。しかし、なんでこうもハッキリ言うかね。


 確かに傍から見れば溜息ばっかりついてろくに仕事しない奴で、文句ばっかり言ううざい奴かも知れんけど!少しはオブラートに包んだりしたらどうだ?俺のガラスハーツが砕け散る前にさ…。


「大吾君、言いすぎですよ。会長が気分を悪くしますよ」

「優斗だってそう思ってるだろうが。なぁあんただってそうだろ?健二よ?」


 あぁ、そういえばこいつらってそういう名前だったな。んで、最後に出てきた健二って名前は知ってる、なんせ…。


「そんなことは、どうでもいいよ。それより彩華さん、この前とっても雰囲気が良いお店を知ったんだ。この後、一緒にどうかな?」


 こいつだ。髪をたくしあげてイケメンスマイルを全開に出しているこいつが鈴木健二。風紀委員長のくせに自分から風紀を乱してる奴。


 こんな奴がなんで風紀委員長を続けられるのかと言うと、女子生徒から圧倒的支持があるから。だから真の(モテない)男同盟に参加してる俺もこいつの事だけは知っていた。


「えっと…ごめんね鈴木君。そういうのはちょっと勘弁してほしいかな」

「つれないなぁ。まぁ、もう少しお互いを知ってからだよね。僕も焦りすぎてたかな?」

「え~と、そういうわけでもないんだけど…。あと、竹中君もごめんね?勇が迷惑かけちゃって」

「い、いや…、会長が謝るほどじゃないけどよ…」


 おーおー、照れちゃって。若いなぁ。しかし、このスポーツ少年が竹中大吾っと。それから…。


 眼鏡の副会長の名札を見る。佐々木 優斗か、そんな名前だったなぁ。一応覚えておくか。(多分明日には忘れてそうだけど)


「さっ!早く皆で掃除を終わらせよう?ほら!勇!次はこっち!」

「へ~い」


 彩華に呼ばれて移動する俺を、掃除に参加していた生徒会や風紀委員の男ども(特に三人)から視線を感じたが、ほっといてついて行く。そして、目当ての教室について掃除を開始する。



--------


「ん?」


 掃除がだいぶ終わりにさしかかった時、窓の外に違和感を感じた。最初は気のせいか?と思っていたが周りの人たちも何かに気付いたようで窓の外を見つめる。


 最初は小さい点だったが、徐々に大きくなってそれが何なのかがはっきりしてきて、それはこちらに向かってくる黒煙を上げた飛行機だという事に気付いた。


「ちょっ!!なんだあれ!?」


 俺が叫ぶと周りの奴たちもその異常性に気付いたのか慌て始める。そして、我先にと教室の出口に向かって逃げ始める。


「み、みんな落ち着け!」


 と、鈴木バカが言っているがこんな状況で落ち着ける奴がいたらそいつは本当のただのバカだ。そんなバカをほっておいて、窓際で慌てている彩華の手を掴む。


「え!?い、勇!?」

「なにしてんだ彩華!逃げるぞ!」


 俺は彩華と一緒にそのまま教室から出ようとした時、『キンッ』と耳を劈く様な音が一瞬聞こえたかと思うと世界から色が抜け落ち白黒の世界になった。


「ッ!?な、なんだこれ…。」


 思わず立ち止まり辺りを見渡す。俺や彩華、他の生徒達以外は、目に見える全ての物が白黒になっている。


「お、おい!?なんだこりゃ!?」

「何?これは?どうなったの?」


 どうやらこの現象は俺だけではないようで、生徒達が慌てながら自分の気持ちを口にしていた。


「勇…」


 と開いた手で俺の腕の服を少し掴みながら彩華が少し怯えたような声を口にした。俺も正直何がなにやらという状況だ。未知の体験に少し恐怖を覚え、少し強く彩華の手を握る。そこでふと俺は窓の外を見る。窓の外の飛行機は窓に直撃する200メートルほど手前で止まっていた。


「と、止まってる?」


 目の前の飛行機は空中で停止している。それも飛行機だけでなく、飛行機からあがっている黒い煙すら止まっている。まるで世界の時間そのものが止まってしまったかのように。


「(何が起きている!?なんなんだよ!これは!?)」


 と考えている内にピンッと、とある考えが頭の中を過ぎる。世界の時間が止まる。世界から色が抜け落ちる。明らかに非科学的だ。…となると、もしかしてこの展開は!まさか!!あの展開なのか!?


”皆さン、落ち着イてクダさい。今、コノ世界は、私のチカラで時間をトメています。”


 脳内に響くその声は少しイントネーションがおかしかったが、聞いていると不思議と心が落ち着くようなとても綺麗な声だった。


「ッ!?な、なんだ!?」


 突然、教室の真ん中の空気が歪んだと思ったら、空間が裂けて光が溢れ出した。そして裂けた空間から地面に届くぐらいの綺麗な金髪の長い髪の女性が現れた。女性としての主張をこの上なく発揮し、誰もが見惚れてしまうほど容姿をした白い服を着た目を閉じた美女だった。


 綺麗だと思いながらも誰しもがこの美女は普通の人間でないとここにいる誰もが分かった。理由は様々あるが一番の理由は背中から金色に輝く三対の六枚の羽根があったからだ。


「あ、あなたは?それにこの状況は一体?」


 鈴木が恐る恐るという風に美女に尋ねる。だが鈴木の質問は聞こえてないのか、或いは聞こえていても無視されているのか(後者だったら面白いのに…)美女は目を閉じたまま話し始めた。


”疑問は多くあるのデショウが、時間ガアマリありません。お教えデキるのは、今から貴方達をワタシの世界に、来てモラうと言う事だけでス”


 ゆったりと女性が言う言葉に「え?どういう事?」とここにいる皆が口にせずとも表情に出ていた。


”ごめんなサい。勝手かもしレマせんが拒否権は無いノデす。…貴方達はもうスデニ死ぬことが決まってしまってイル者たちです。故にこの世界のカミに許しをエましタ。では、わたしの世界につれて行きマス”


 美女は口を動かさずに一方的に脳内に語りかけてくる。話が終わると腕をあげて、何かを呟いていく。その言葉に反応するように美女の足元から光の魔方陣のようなものが出現し回転を始める。


「ちょ、ちょっと待って下さい!まだ聞きたいことがあるんです!」

「おいおい!これは何の冗談だよ!?」


 今度は美女が質問に答えることはなく静かに何かをつぶやき続ける。皆、自分に何が起こっているのか理解できていない様子だったが、一人だけ心の中で歓喜している男がいた。


「(異世界転生キターーーーーー!!勝つる!これで俺は勝ち組になる!!)」


 そう、俺は左手でグッと握り拳を作りながら心から喜んでいた、日々三次元から二次元に行きたいとネットで呟いていたがまさか現実で起こりうるとは!ふっふっふ、今日ばかりは無理やり連れてきた彩華に礼を言いたかった。え?死にそうになったのに?そんな些細なこと知るか。転生イベントの前じゃそんなことは些細なことよ!


「ん?」


 これから起きるウハウハなイベントについて考えていたらギュッと服を握る感触が伝わった。なんだ?と彩華を見ると心配で落ち着かない瞳で俺を見上げていた。ありゃ?なんでこいつは喜ばないんだ?あぁ、一般人には難しすぎたか。と考え、


「彩華。大丈夫だ。落ち着け」


 と言って自由な方の左手でそっと彩華の頭に触れる。


「えッ!?」

「…な?」

 

 こいつは昔からこうすると落ち着いていたからな。久しぶりだが効き目はあるだろ。と考えながら優しく撫でる。


「…う、うん」


 初めは驚いた様子だったが、次第に落ち着いた感じになり、目を伏せながらも自分から頭を俺の手に当ててきた。その甘えるような姿に少しドキッとする。ウッ、我ながら今更になって恥ずかしくなってきた。周りの目線も痛いし、特に三人から殺意を感じる。


「…も、もう良いだろ。離れろよ」


 そんなこんなでいたたまれなくなって、無理やり服をつかんでいた手を離させ、彩華から離れる。


「あっ!?…ご、ごめん。その、ありがとう。勇…」


 彩華は名残惜しそうな顔をしながらも、落ち着いたためか、或いはこの状況を理解しようとしたのか俺から目を離し、美女に目を向けた。


”さァ、行キましょう”


 と美女が脳内に語りかけてきて、美女を中心に白い魔方陣が大きくなり回転が一段と速くなり徐々に光が辺りを満たし始める。


「(よっしゃ!遂に俺の冒険がスタートだな!やっぱり、向こうの世界では勇者として扱われて世界中の美少女、美女からお呼びがかかるんだろうな!!ふっふっふ!待っててね!俺の嫁達ィ!ハァハァやべぇ!緊張してきたァ!……ウッ!?)」


 せまりくるであろう将来の計画を考えていると急に、尿意が襲ってきた。昔から緊張するとトイレに行きたくなるんだよな。


「(やばい漏らしそう!でも、今は大事な時なんじゃ!?ええい!すぐに戻ってこれば心配ないだろ!)」 

  

 と考え俺は静かに教室入り口まで移動して、引き戸を開けると猛ダッシュでトイレに向かった。その行動に気付いたのは誰もいなかった。



---数分後---


「……ふう………やばかったぜぇ」


 と落ち着いてから教室に戻るとそこには美女の姿も生徒会や風紀委員たちの姿もなかった。


「あ~~~れ~~~!?!?」


 慌てて辺りを見渡すがやはり誰もいない。


「ちょ!?マジか!?もう行っちゃったの!?俺の転生ライフは!?嫁たちのハーレムは!?」


 とどうでもいいような事を言っていると、徐々に世界に色が戻りつつあることに気付いた。あれ?世界が戻る?


「………」


 首からギギギッと錆びた歯車が動く音をさせながら(空耳)窓の外を見ると、こちらに向かって徐々に動いている飛行機が見えた。


「のおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!?!?」


 やばい!本格的にやばい!どうする!?どうするの俺!?と慌てて美女がいたところをみると最初は気付かなかったが、僅かにグニャリと蜃気楼のように空間が歪んでいることに気付いた。


「ッ!?これしかねぇ!どうやんのかわかんねぇけど、このままじゃ死んじまう!男は度胸だ!こんちくしょーー!!」


 俺は歪んでいる場所に向かって駆け出した。それと同時に、飛行機が本格的にこちらに向かって動き出し、世界が完全に元に戻った。俺は、成功を祈りつつ目をつぶって走り、歪みに向かってジャンプし……


 次の瞬間、教室に飛行機が墜落し、後に世界的大ニュースとなった。そして、勇を含めて十数名が行方不明となったことを大々的に発表され、世間を悲しませることになった。


読んで下さりありがとうございます!!

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