好きじゃないわ
貴方はいつも私に聞くの。
「俺の事好き?」
心配なのかしら、不安なのかしら。
それとも、言葉を求めないと、私の事を愛せないのかしら。
色々思う事はあるけれど、そう言われると可愛い人ねと思うから、ちょっとだけ答えてあげる。
でもね、素直になんかなってあげないの。だから、私は一つ嘘をつく。
「好きじゃないわ」
馬鹿ね、好きに決まってるじゃない。そう心の中で付け加えて。
貴方も物好きな人よね、私の言葉のどこに、愛を見つけているのかしら。
でもそう言うと、決まって安心したように、瞳の色が穏やかなものに変わる貴方。
どんなに貴方を愛してると思ってるの。馬鹿ね。
そう素直に言えたら、何かが変わるのだろう? って、考える事もあるけれど。
私は、素直じゃないからいつも言えずにいる。
だけど、そんな素直じゃないところも含めて、包み込んでくれてる気がするから。
だから、答えはいつも同じ。
「好きじゃないわ」
そんな意地悪な私も含めて、愛してくれる貴方が好きよ。