番外編2:陽だまりの決意(陽菜視点)
湊くんは、私の幼馴染で、特別で、そして初恋の人。
昔から湊くんは『平凡が一番』って、よく口にしていた。
目立つことが嫌いで、いつも輪の中心から一歩引いた場所にいるような子だった。
私は、そんなちょっと不器用な湊くんのことが、ずっと好きだった。
だから、私のこの『力』のことは、絶対に湊くんに知られてはいけないと思っていた。
私はヒーラーの一族の末裔。それは、普通じゃない。
平凡を愛する湊くんにとって、私はきっと迷惑な存在になってしまう。そう思って、ずっと秘密にしてきた。
でも、湊くんの様子が少しずつおかしくなっていった。
夜中にこっそり出かけたと思ったら、翌日クラスの月島さんと妙な雰囲気になっていたり、体育祭では、信じられないような速さで走って、ヒーローになってしまったり。
私はすぐに気づいた。湊くんも、私と同じ、『特別』な力を手に入れてしまったんだ、と。
そして彼がその力を使って、人知れず誰かを助けていることにも。
月島さんを助けるために、彼は危険な世界に足を踏み入れた。
心が痛かった。平凡を愛する彼が、望まない形で非日常に巻き込まれていくのを見るのが辛かった。
でもそれ以上に、彼の隣にいるのが私じゃないことが、悔しかった。
『湊くんの隣は、私の場所なのに…』
ヒーラーとして人助けをするのは一族の宿命。でもそれ以上に、私は湊くんを守りたかった。
私のこの力は、湊くんのために使いたい。
学校にダンジョンが現れたあの日、私は決意した。
もう隠しているだけじゃダメだ。湊くんが戦うのなら、私も一緒に戦う。
彼の隣に立って、彼を支える。それが私にできる唯一のことだから。
『私も行く。湊くんの隣で、力になりたい』
そう告げた時、湊くんは驚いていたけど、最後は許してくれた。それが本当に嬉しかった。
私の恋敵は、学園一の美少女で、S級探索者の月島さん。
すごく強敵だけど、絶対に負けない。
だって、私が湊くんのことを想ってきた時間は、誰よりも長いんだから。
陽だまりのようなこの想いを胸に、私は、湊くんの隣で戦い続ける。




