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平凡志望なのにスキル【一日一回ガチャ】がSSS級アイテムばかり排出するせいで、学園最強のクール美少女に勘違いされて溺愛される日々が始まった  作者: 久遠翠


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第11話「君のいる平凡な明日へ」

 俺の祈りに応えるかのように、スマホの画面はこれまで見たこともない純白の光で満たされた。

 それは虹色よりも、黄金よりも神々しく、世界の全てを塗りつぶすかのような絶対的な光だった。


 ガチャマシンから転がり出てきたカプセルが開く。

 しかしそこにアイテムの姿はなかった。

 ただ、画面に荘厳な文字が浮かび上がっていた。


『???ランク:運命を書き換える権利』


 アイテムじゃない。概念。権利。

 因果律そのものに干渉する、一度きりの、神の領域の奇跡。


 ドラゴンが倒れた凛に止めを刺そうと、巨大な爪を振り上げている。時間がない。


 俺に迷いはなかった。


「願う! 月島凛にかかった呪いを、この世から消し去ってくれッ!!」


 俺の叫びと同時にスマホが砕け散るように光の粒子と化し、その光がドーム全体を包み込んだ。

 世界が、白一色に染まる。


 圧倒的な光の中で、俺は見た。

 凛の身体から、墨を流したような黒い靄が悲鳴を上げるように引き剥がされていくのを。

 それは長年彼女の一族を縛り付けてきた『呪い』そのものだった。

 黒い靄は光に触れた瞬間に浄化され、跡形もなく消滅した。


 光が収まった時、そこに立っていたのは、呆然とする古竜と、そして俺たち三人だけだった。

 古竜は守るべき『呪い』の源が消えたことを悟ったのか、敵意を失い、静かにその場に身を伏せ、やがて光となって消えていった。

 ダンジョンの核が、その役目を終えたのだ。


 戦いは、終わった。


 ダンジョン全体が崩壊を始め、天井から瓦礫が落ちてくる。


「湊くん、しっかり!」


「凛! 立てるか!?」


 陽菜に肩を貸してもらいながら、俺はまだ呆然としている凛の手を掴んだ。


「行くぞ! ここから脱出するんだ!」


 三人は互いに支え合いながら崩れゆくダンジョンを駆け抜け、地上へと続く階段を駆け上がった。


 そして――。


 地上に出た俺たちを待っていたのは、夜明けの光だった。

 東の空が白み始め、世界が新しい朝を迎えようとしていた。


 俺たちは芝生の上に倒れ込むように座り込んだ。

 生きている。助かった。その実感が、じわじわと身体に満ちていく。


「…湊」


 不意に、凛が俺の名前を呼んだ。

 彼女はゆっくりと立ち上がると、俺の前に立ち、朝日を背にして、最高の笑顔を見せた。

 それは俺が今まで見たどんな彼女よりも美しく、まぶしかった。


「ありがとう、湊。…私の命は、あなたのものよ」


 彼女はそう言うと、ふわりと俺の胸に飛び込んできた。

 シャンプーの甘い香りと彼女の温もりが俺を包む。

 隣では、陽菜が「わ、私も!」と慌てて俺の腕に抱きついてくる。


 俺は二人の温もりを感じながら、白んでいく空を見上げた。

 俺が望んだ平凡な日常とは少し違うかもしれない。

 でも、この二人がいる明日が、俺の新しい日常になるのなら。


 それも、悪くない。

 心からそう思った。

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