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第二章 ようこそ、地獄

それを見た時、最近リフォームしたばかりのトイレに駆け込んで、胃の中のものを全て吐き出した。小学校から中学校を卒業するまでの間、ウザいキモイばい菌扱い、集合写真の自分の顔にだけ画びょうがぶっすり、持ち物をいつの間にかぶちまけられるなどのイジメに耐え抜いて獲得したはずの耐性?


そんなもの、何の役にも立ちませんでした!


吐くだけ吐いてもまだ気持ち悪い腹をさすりながら、改めてZを確認する。セクハラそのものの投稿を非難するコメントと、こういう投稿を取り締まる法律はないと主張するコメントとで、何がなんだか訳が分からないことになっていた。


(やられた……。一度こんなものを掲載されたら、もう二度と消えない)


一度インターネットに掲載されてしまったものは、もう二度と消えない。

掲載された後に掲載を取り下げたとしても、掲載されていた期間中に画像化して保存されでもしたら、保存した人間の気分次第で、いつでも復活してしまう。

そして、フォロワー数などの拡散力に応じて、どこまでも拡散されてしまう。

それが現実とは違う、インターネットの怖いところだ。


現時点で既に、セクハラ投稿をしでかした元凶のアカウントMのフォロワーを通して、問題の投稿が拡散されてしまっている。もしここで「消してくれ」と申し立てても、面白がられるだけだろう。今回自分が受けたセクハラ被害は、現実におけるそれとは少し違うだろう。だが、セクハラという行為が、被害者にとってどれだけ暗い影を落とすものになるか。それを身を以て知ったのは、確かだ。


進むも地獄、進まないも地獄。

ただ、このまま泣き寝入りをするのだけは嫌だった。


だから、自分に対するセクハラの事実がさらに拡散されることを覚悟の上で、証拠を確保し、被害者の立場からセクハラに立ち向かうことに決めた。

当然ながら、騒ぎはさらに広がっていく。


『カモミールの魅力を伝えるためのもので、悪意はありません』


騒ぎがどんどん大きくなる中で、元凶のMの能天気な発信が、私の血圧を上げる。

元凶のセクハラをレビューと主張して掲載した事といい、認知バグりすぎかおまえ。

魅力を伝えるも何も、私はおまえを知らねぇよ。 今日初めて知ったわ。

そして、おまえという存在を知った事を後悔したわ。


元凶のMが憎たらしいのは当然として。

Mの周囲で味方している第三者のアカウントたちも、まぁ腹が立つ。 そして迷惑。

こっちは元凶だけで、おなかいっぱいです。


『法律がないから、どんな投稿をされても取り締まれない』?


それならおまえ、顔も知らない他人に街中でいきなり殴られたとして。

「法律がないから何もできません」と言われて「そうですか」と納得できるんだな?

法律がなければ、自分自身で物事の善悪を判断することもできないの?


『今回のセクハラは、カモミールの自業自得だろ』


……この書き込みについては、もう言葉もない。

拝啓M軍団の皆様。 あなた方の人間としての認知、大丈夫ですか?


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