世界観構築用コンセプト③
セドリックは一瞬、目を細めてセアドアを観察する。まるで心の奥を探るように。
「単純な話だ。家に強盗が押し入ってきた。私の財産を持っていってしまったのだよ」
「強盗ですか。そのような大掛かりな犯罪なら警察に頼んだほうがいいと思いますよ」
セアドアはセドリックを静止させる。できればあまり関わりたくない。
「セアドア君。私は警察が嫌いだ」
セドリックは椅子の背にもたれ、軽く笑う。だが、その目は笑っていない。
まるでセアドアの反応を試すように、鋭く光っている。
「具体的に何を盗まれたのか、説明してもらってもよろしいですか?」
セアドアは声を落ち着かせ、探偵の仮面を被り直す。震える手を隠すように、カップを両手で握った。
「金目のもの何だが、別にこれは問題ない。一番問題なのが、書類だ。具体的な内容は伝えられないが、できればすぐに回収したい」
「なるほど。しかし、書類の内容がわからないことには、回収もできませんね」
「いや、時期にわかる。今は伝えられないだけだ。それよりももっと不可解なのは、その犯人は片手に黒い何かを持っていたことだ」
セドリックはいつにもまして真剣な目をしている。
「...黒いなにか?一体何です?」
「犯人が持っていた黒いやつ、それは大きな音を立てたかと思えば、離れた壺が木っ端微塵に割れる。私はそんな物見たことも聞いたこともない。是非セアドアに見てもらいたい」
「...それは今手元にあるんですか?」
「いや、家にある。とてもじゃないが木っ端微塵に割れるようなものを持ち歩きたくない。報酬についてだが、一緒によるご飯と、何か我が家の財宝一つを選ばせてやる。それでどうだ?」
セアドアは内心関わりたくないが、その"黒いもの"に大変興味があった。
セドリックから人を殺したと言われたあの日から毎日夢に出てくるあの爆音。
もしかしたらそれらに深く関わりがあり、セドリックの発言もわかるかもしれない。
書類についても同様だ。
そうなればこの依頼を受けてみるのも悪くない。
「わかりました。行きましょう」
こうして彼らは事件現場、モールトンの豪邸へ歩を進めることになった。
これで一回世界観構築用コンセプト小説は終了です。
次の小説で長編小説を書かせていただきますので、よろしくお願いします。