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転生概念における願望空想論  作者: coll
ニライカナイ編
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かつて魔法帝と呼ばれた者

もう毎度の如く少し遅れましたね...。すいません。


ニライカナイ編は過去の話の謎だった部分をポツポツ拾っていく伏線回収的な話にするつもりなんですけど、どうしたら自分が納得できるような回収の仕方を探っているのでだいぶ遅めとなってしまいます...申し訳ない......。


転生概念豆知識28

ニライカナイには人が住んでいないどころか動物すらいない。その理由は未だ分かっていない為、冒険者はニライカナイの近くを通ろうとしない。

「...私はただこのことを伝える為だけに子供たちの前に現れただけのこと。あとは好きに行動すれば良い」


「え、ベルゼブブさんは...」


「私はもう少しだけこの景色を眺めるさ。その後本来いるべき所へ帰るがな」


そう言うと、ベルゼブブはニライカナイの青く美しい海を静かに眺め始める。カラ達はベルゼブブの気持ちを尊重するためにその場を去ることに。



「やっと本題に入れるね...」


ソロモンはため息混じりにそう言うが、カラ達はなんの事だかわからず困惑する。


「え?ちょ、ちょっとファイキュリアでしょ!?」


「あ!そうだった!ファイキュリア!」


その言葉で本題を思い出すカラ達。そんな様子を見てソロモンは再びため息を吐く。


〝遂に......ですね...〟


念願のファイキュリアを習得する手前まで来たことに、緊張し始めるシフィ。そんなシフィを見てカラは頭を優しく撫でる。


「大丈夫。緊張しないで」


「そうだよ!シフィたんには主の加護がついてるんだし!大丈夫!!」


「シフィなら必ず習得できるさ」


皆、とても穏やかな声色でシフィに言うと、その言葉に安心したのか、先程まで強張っていた顔が和らぐ。


「それじゃあ、着いて来て欲しい」


と言うと、ソロモンはおもむろにどこかへと歩き始める。目的地は分からないが、カラ達もついて行く事に


「この地は精霊や魂と言った存在が漂っている地でね。まぁ簡単に言えば、ありとあらゆる者が行き着くあの世のような感じだと思ってくれれば良いよ」


「あの世......」


それを聞いたリノアは、少しばかり怯え始めカラの服の裾を掴む。


ソロモンの言う通り、確かに辺りには少し大きめの球体のようなものが浮遊しているのが見える。カラはこれが魂なのかと少しばかり感心する。


「何故、この地にはこういったものが集まるんですか?」


「良い質問だねぇ。実はここって不思議な所でね...。魔粒子に限りなく近い物がこの地を漂いまくっていてね...。更にいえば規則性のない動きをするもんだから少し気持ち悪くて...」


先程からずっと顔色が悪かったのは、この地が原因だったというのを今知るカラ達。


「魔粒子に限りなく近い物質?」


「あぁ...。ボクは体質そのものが魔流感知だと言うのは説明しただろう?その体質のおかげで、この世にある魔粒子の動きは感覚的に分かる。でもね...。この地、ニライカナイに浮遊している物質は、魔粒子とかなり似ているから魔流感知に引っかかる上に不規則で命令にも従わないから常に感知するから気持ち悪くて...」


「言わば、無秩序状態というわけか...。確かにその状態ならばお主が吐きそうなのも無理はないのぅ」


魔流感知はオンオフ出来ない不便な物というのをまじまじと感じるカラ達。やはり、特別な体質にもメリットデメリットが存在するのだ。


「ん?と言うことは、リノアとかクゥロも魔法出せなかったりするの?」


「え?」


突然のルヴラの発言に、思考が止まる一同。


「だってこの場所って無秩序なんでしょ?てことは法則に乗っ取らないわけだから発動出来ないんじゃないの?」


カラ達の脳内はルヴラの回答をしっかりと理解するために、ロードしていた。


「...確かにその通りだね。うん。魔法が発動されないよ」


クゥロはルヴラの言った言葉に肯定し、自ら魔法を発動させて、反応がないことを確かめる。


「ほ、本当です!!魔法が打てません...!!」


「そうなんだよねぇ...。そこも問題点でねぇ...。ボクもここだと魔法が打てないんだよぉ...」


ソロモンはしょんもりした顔でその事を嘆く。どうやらソロモンのような偉大な魔法使いでも無秩序状態であれば魔法は打つことが出来ない様子。


「そもそも魔法陣すら開けない...。これはこの地に漂ってる物質の影響ではなく、無秩序状態だからですか?」


「おそらくそうだね。秩序そのものを失うと、命令に従わなくなって勝手に動き始めるからね...。でもその無秩序に動くせいで...うっ...」


吐きそうになるも咄嗟に口を抑え、何とか吐瀉物を出さずに済む。そんなソロモンを心配そうに見つめる一同。


「んー...なぜこの地帯だけこんな物質が......」


カラは魔粒子に近い物質が漂っている理由を必死に考える。しかし、並程度の頭脳でしかないカラには全く分からず、手詰まりとなる。


「ここに何千年も滞在して研究してるのに一向に進まないんだ...。ボクの手助けだと思ってキミ達も研究に参加してくれない?」


カラ達は絶句する。そんなの無理に決まってるだろうと。世界最高の天才と言われるのと同意義である魔法帝の称号を持つソロモンが、何千年も研究しているのに自分たちが解るはずもないと。


「...本当にわたくし達が手助けになりますかね......?」


〝かえって邪魔になるだけじゃ...〟


リノアやシフィはそんな苦言...と言うより心配をするが、ソロモンはそんな物をなんとも思っておらず、その場で皆が納得するようないい案はないかと考え込む。


「んー...。じゃあ、ファイキュリアを教えるというのと等価交換ならどうかな?」


「...はぁ。ソロモンがここまで頼んでおる上に、妾達はシフィの為にファイキュリアが必要...。これ以上断るのも忍びない...お主交渉術が上手いのぅ」


「へはは。伊達に20万も生きてないよ」


悪戯に笑うソロモンを見て、カラ達は理解する。ソロモンはおそらく生まれた時からずっとこのような性格で生きてきたのだろうと。そしてそんなソロモンに釣られて笑う。


「しかし、研究の手伝いなど何をすれば良いのだ...?妾達はソロモン程頭が良いわけではないぞ?」


「そうだよぅ...僕達天才じゃないよぅ......」


「少なくともルヴラは天才の部類ではあると思うよ。それが魔法に精通してる訳では無いってだけで」


3の口で文句のような物をルヴラは言うが、クゥロは冷静にそうツッコむ。


「クゥロ様も歳不相応の頭の良さですよね...!わたくし達と同じ9歳とは思えないほどに頭良いです!」


「それは私が王族の立場で勉強しなきゃならないから、妥当だと思うよ」


(うーん...。だとしてもクゥロの頭の良さは勉強している9歳を超えている気がするけど...)


おそらく謙遜しているクゥロを見て、そんなことを内心思うカラ。するとソロモンは咳払いをして話を始める。


「ファイキュリアを習得する為の交換条件......それは...」


「......それは...?」


一同、ソロモンの研究の手伝いの内容が明かされると理解し、固唾を飲む。


「ボクには思いつかなかった理論を思いつくこと!」


「.........何を言ってんの?」


無理に決まっているだろう。最初に思いついた事はただそれだけだった。天才が何千年もの時をかけて研究してきたと言う事実を知らされたのに...。この地を研究しすぎて気でも狂ったのか?と思わざるを得なかった。


「君たちの気持ちも分かる。何千年もかけて研究している人がいるのに、突如出てきた人がそんなこと出来るわけないって...。でもそれだからこそ手伝って欲しいんだよ!ボクに新しい風を吹かせて欲しいのさ!」


「...なるほど。つまり私たちが雑な理論を提唱して、ソロモンさんの脳を刺激し、別角度でこの地を解きたいってこと?」


「正解!!そういうこと!」


クゥロはソロモンの言いたいことをリノア達に伝わるように噛み砕くと、ソロモンは大喜びで肯定し、リノア達もその言葉に納得する。


「んー。じゃとしてもかなり難しいこと言うのぅ」


〝本当に突拍子もないことを言っても良いのですか?〟


「もちろんいいよ!その理論を真面目に考えて違うんだったら否定して、もし合ってそうだったら保留になるって感じになるけど、それでも良いなら」


シフィの質問に満面の笑みで答えるソロモン。仮説をどんどん提唱していって、その中の当たりを探れば良いと言うことを察したカラは、もう1つ質問をする。


「やっぱりソロモンだけしか合う合わないを判定出来ないわけだし、一度の提唱の数にも制限があるよね?」


「もちろんあるよ。ボクは独りだからね。いくら皆から頭が良いって言われてても、身体はただの人間。流石にフル稼働はショートしちゃうよ...」


ルヴラ達はお互いの目を合わせる。ソロモンがただの人間と言ったことを疑問に思った様子。

しかし、ソロモンは遠くの太陽を見つめながら


「20万年生きてきたただの人間だよ」


と少し複雑な表情で呟く。


「...そうだね」


少しだけ静寂が続く。皆、ソロモンと一緒に水平線に沈む橙の太陽を見つめる。


「......先程から思っておったが...。お主アルカディア人じゃろ」


アヴァロンの言葉を聞き、カラ達は騒然とする。アルカディア。その名はエルドラドで聞いたルヴラの母の出身地であり、別名禁忌の国。


「聖戦が起きたのは妾が生まれた時とほぼ同じじゃから7万2000年前、そして妖精王達が弟子となったのは9万年前。だと言うのにお主は20万年前から生きてると言っておる。そしてお主は国を納めていた時期がある。これらの情報で繋がるのは、お主がアルカディア人でアルカディアの前国王だと言うことを」


「...その通りだよ。ボクは前アルカディア国王。アルカディアの栄光を失墜させた愚王だ」


ソロモンは複雑な表情をして顔を俯かせる。どうやら何か思うことがある様子。


「よ、よく知ってますね...。さすがアヴァロン様です...」


「アルカディアは現状この世界で最も古い国でな。太古の時代での栄光は素晴らしいものだったと、旅の途中に噂で聞いたことがある。その建国年が14万年前。更にアルカディア人はその特殊体質故か、様々な国で活躍していたと聞く。その特徴に人の身でありながら妖精達に引けを取らない超長命種じゃという話も聞く...」


現存する中で最古の国という印象に残るワードと、アルカディア人には特殊体質が存在するという話。そんな話を聞き、ルヴラは思ったことを言った。


「アヴァロン......。なんでエルドラドの時に言わなかったの?」


「...い、言うタイミングが無かったんじゃよ」


ほんのり気まずそうな顔をするアヴァロン。ソロモンはそんな2人の会話を聞き流していたのか、目を閉じ再び歩き始める。


「ボクはアルカディアを建国し、栄光へと導き、そして失墜させた。事実は変わらない。その通りさ...。アルカディア人は全員ボクの様に超長命種だけど、ボクは呪いのせいでアルカディア人以上の年になってしまった...。ボクのような第一世代のアルカディア人はもう数少ないんじゃないかな」


「あの」


ルヴラがソロモンに話しかける。ソロモンは立ち止まってから後ろを振り向き、首を傾げる。


「僕のお母さんとアルカディア人なんですけど、僕も特殊体質なんですか...?」


その言葉にソロモンは目を開き、驚愕する。この子達はとんでもないメンバーの集まりだと理解したのだ。


「...アルカディア人の体質について教えようか」



「それにしてもやっぱりアヴァロン様、物知りですよね...」


まぁ7万2000年も生きてて、過去にありとあらゆる国を冒険してたからってのもあるんだろうね


「やっぱり長命種の人達って皆さん物知りなんですかね?」


んー。そうでもないんじゃないかな?ストレートに言っちゃうけど、長命種でも馬鹿な人はいるよ。


「となると、今まであってきた人が特段賢いのですか!!」


まぁそうなるだろうし、超長命種にしか合わなかったってのもあるだろうね。超長命種のレベルになると、改変されているとはいえ聖戦という戦争経験者しかいないからね。


「なるほど...。確かに戦争経験者と言うのは盲点でした!」

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