釣り合わない烙印
そういえばですが、最近うちのテレビの液晶に薄く黒い縦線が入りまして、最初は違和感がやばかったんですが、今は慣れてきてます。いずれ買うと思います。
いせロリ豆知識26
ソロモンはアルカディアの初代国王で、アルカディアを建国した人物であり、世界最初の国王でもある。
そして世界は強い光に包まれる。それは冷たくも暖かい、そんな優しい光だった。ソロモンが気がついた時には先程まで起きていた聖戦は無くなっており、世界は平和になっていた。
「...現実改変出来......て、なんでこの記憶がボクにあるんだ...」
本来なら現実改変の影響によって、この世界に生きる全員があの大規模の戦争の事を本当の未来とは違う事実を覚えているはずなのに、自分がヴィルジナルの事を覚えているという事に疑問を抱く。
──それは我がいる影響でもあり、呪いを受けたせいでもあるだろうな
ソロモンの中のソレはソロモンの身に起きている事を推測する。だが、ソレがそういうと言うことは、ほぼ事実のようなものだと分かっている。
「...そうか。もうボクはただの人ではなくなっていたのか」
自身に起きた事や、失った愛弟子の記憶が残っているということに複雑な表情を浮かべるソロモン。
「帰ろう...」
そんな重い空気を漂わせながら、自身の国へと帰り始める。しかし、ソロモンを待っていたのは更なる追い討ちだけであった。
「どうなってんだ!!」
「おい!!早くあの大罪クソ野郎を出せ!!」
「だから言ったのよ。あの王は信じちゃダメだって...」
城へ向けての群衆の罵詈雑言が聞こえる。ソロモンは何事かと騒ぎのする方へ向かうと、群衆が近づいたソロモンに気づく。
「いたぞ!!反逆の王だ!!」
「な...っ!?」
「愚王!お前!!何故俺ら民を見捨て、己の欲へと走った!!」
ソロモンは困惑する。そんな事実何処にもないのである。すると城から声が聞こえる。
「国民よ見よ!民に責められ、愚王が動揺したぞ!その顔は図星である事の何よりの証左であろう!」
「メルキゼデク!?な、何故!?」
そこにはソロモンが最も信頼していた人であるメルキゼデクという男がいた。その衝撃と、裏切りというショックで、メルキゼデクの話す演説がスルスルとソロモンの耳から抜けていく。
「俺ら民を見捨て、自身の欲のために禁忌を犯したとメルキゼデク様から知った!!我等の誇り高い叡王だったと言うのに...!!何故そんなことを!!」
怒り涙を流す民に胸ぐらを掴まれるソロモン。その言葉にハッとする。メルキゼデクがどのように知ったかは分からない。しかし、自己判断により禁忌を犯したというのは事実。そう思い、ソロモンは表情を変え、目の前にいる民の腕に優しく手を添える。
「民よ、すまない。確かにボクは禁忌を背負った大罪人だ。皆の王でありながら、英雄だと称えられておきながら、自分で起こしたことも自分で解決できない不甲斐ない王だ...」
そう言いながら、ソロモンはメルキゼデクのいる所へゆっくりと移動し、民全員がしっかり見える所で自身に向けて術を発動させ始める。
──...自害する気なら、止めておけ。
「...ボクはもう大罪人だ。生きている価値は無い」
「さらばだ。皆の者」
高い密度によって作り出された、殺意の高い魔導砲を自身に放つ。それは誰の目にも明らかに直撃していた。だが異変はそこに起きた。
「な...。死んでいないだと!?」
「な、何で......」
ソロモンを含むそこにいる者ら全員が困惑する。確かにソロモンは自身に向けて技を放ち、それが直撃した、それは事実だ。しかし直撃した後で生きていると言うのだ。するとソロモンの中のソレはソロモンの疑問に答える。
──言っただろう。お前は呪いがかかっていると
「呪い...」
──ああ。お前は世界の禁忌である我が力を使い、呪いをかけられた。それも最悪の呪いである『観測の呪い』をな。
ソロモンは絶望する。禁忌を犯したものは呪いを受けるというのもそうだが、真に絶望したのはそこではなく『観測の呪い』をかけられたと言うところ。
観測の呪い。つまりこの世界を永劫的に観続けなければならないと言う呪い。それは完全な不死性を持ち、存在消去ですら殺すことは不可能と言う最悪の呪い。
──お前はこれから先、死ぬことはなくなった...。一生この烙印を背負うという事になる...。すまないソロモンよ。まさか我が力がここまで警戒されているとは知らなかった...。
「......いや...。これがボクの......戒めだよ......」
涙目になり、歯が割れそうなほど食いしばるソロモン。禁忌を犯すと言うのは、それ程に重いことなのだと理解する。
「ボクの民よ...。いや、アルカディアの民よ。ボクは禁忌を犯し、世界から大罪人の烙印を押され、呪いを受けた。自害では償えぬ程の罪の様だ...。ボク...。いや私は民の皆と呪いという世界からの烙印を十字架に、自身と自身の王の座を永久追放の罪とする...」
その言葉を聞き、民衆は騒然とする。何か一つに驚いた訳ではない。ソロモンが話したこと全てに驚いている様子。
「次の王を決める権利はボクには無い...」
そう言うと、ソロモンは民衆の前から忽然と姿を消す。自身が犯した罪は自身だけが背負うべきだと、自分を戒めながら。
──本当にお前はそれで良いのだな...?
「禁忌を犯したボクは英雄と呼ばれるのは失格なのはもちろん、王としても失格だよ......。例えそれが世界を守るためだとしても」
──...そうか。分かった
中にいるソレはソロモンの決意を聞き、複雑に思っていそうな声色で受け入れる。
「──これが、ボク目線で言う『聖戦』の全てだよ」
ソロモンからの話を聞き終わるが、カラ達は何も言えず、色々な感情がいり混ざったような感情を見せる。
「そ、そんなの......っ」
「...聖戦とは名ばかりの、ただの戦争じゃな......。聖戦と呼ぶにはあまりにも代償がつきすぎておる」
聖戦の内情を聞き、アヴァロンは重苦しい表情をしながら率直な意見を述べる。
「そうだもんね...。アヴァロンも聖戦を見た事はあれど、記憶自体は改変後。そりゃそんな反応もするよ...」
「というより、ソロモンさん以外本当の戦いを知らないからね...」
そう話していると、クゥロは突然頭を下げる。そんないきなりの行為にカラ達は驚愕していると、クゥロはただソロモンに対し一言だけ告げる。
「ごめんなさい」
その一言はカラ達をさらに驚かせる。それはその対象であるソロモンでさえも。クゥロは謝る必要などない。どちらかと言えば、責めても良いはず。なのだが、心からの謝罪をしている。
「ソロモンさんに、やり遂げた事と全く釣り合わない烙印を押させてしまった...。私は、私の母様、ヴィルジナルに代わって謝罪します......」
「クゥロ様が謝ることなんてないです!」
「そうだよクゥロ!」
しかし頭を下げたまま。驚いていた様子のソロモンは、そんなクゥロを見て、何かを思い出したような表情をして微笑む。
「やっぱり君はヴィルと似ている...。ちゃんとヴィルの子供なんだね......」
「...それはどういう......?」
不思議そうな顔をしてソロモンに問うクゥロ。ソロモンは少しだけ屈み、クゥロの頭を優しく撫でながら答える。
「あの子も、昔何も悪くなかったのに友達の代わりにと言うか...。一緒に謝ってきたことがあってね...。全く悪くないし、その件に対してボクはなんにも思ってなかったんだけどね...」
体勢を立て直し、ニライカナイのターコイズブルーの浜辺を、"あの日"を懐かしんでいるような、そんな表情で眺める。
「そういう、自分のことじゃないのにまるで自分のように謝れるのを見て、あぁ、やっぱりこの子達は親子だなって思っちゃってね」
「...ソロモンの聖戦の話をお礼、と言ってはなんですが。私もソロモンさんに話したいことがありまして...」
そんなソロモンの話を聞いて、クゥロはコレは話さねばなるまいと、自身の中に何故か母様であるヴィルジナルがいることを話す。その間、ソロモンは驚いたり、優しく微笑んだような表情をしたりしていたが、真剣に話も聞いていた。
「なるほどね...ヴィルがキミの中に...。多分血縁と魔法が影響したんだと思うよ」
「血縁と魔法...ですか」
「キミ達は親子だから当たり前に血縁が近く、そして魔法が一緒...。更にキミの見たものでいえば、キミは本来生まれるべき時期ではない時に生まれている。それらが重なり合い、本来起こることの無い、"記憶に存在が住まうという現象"が起きてるのではないかな。親もキミの父親は転移者だし...そういった異例が起きる事もおかしくは無い」
そうやってソロモンなりの自論を呈する。それに付随して、別の可能性の話について話し始める。
「それか、実はヴィルがまだキミに記憶の全てを渡せていないか、キミに関する記憶が完全に渡っていないか...」
「記憶が渡ってない...?」
──記憶の全てを...
クゥロの頭の中にいるヴィルジナルは、思い当たる節がないと言った様子を見せる。
「まぁキミの中にいるヴィルなら、多分何が原因でただの記憶の残滓である自分が今も尚残ってるのか分かってないんだろうね...。あの子はそういう子だから」
「...その通りですね......」
そうやってヴィルジナルの今の状況をピッタリ当てるソロモン。少しも違わずに当てられた事により、昔と全然変わっていないという事実に恥ずかしがるヴィルジナル。
「そういえばキミ達は現魔王、ロキを倒しに行くんだよね?」
「はい。そのつもりです」
「応援するよ。ボクはアレに何も出来ないからね」
カラ達は戸惑いを見せる。世界最強の魔法使いすらもロキには敵わないというのか。しかしカラの肩に手を置き、笑みをこぼす。
「ただ、ボクはキミ達の可能性にかける。これまでも転生、転移してきた英雄たちは皆に希望を与えていたからね」
そう微笑みながら言うが、その微笑みにどこか悲しげな感情が混ざっているのをカラは感じるが、何も追求せず頷く。
「そういえば、ソロモンさんに聞きたかったことがありまして...」
「なんだい?なんでも教えてあげるよ」
リノアがそう言うと、ソロモンは満面の笑みで承諾する。
「回復魔法の最上位、ファイキュリアってどうやって覚えるのか知ってますか...?」
「...キミ達はファイキュリアを知っているのか」
「そうなの!クゥロから教えて貰ったんだよ!」
ルヴラが元気よくそう答え、事実を確認するために皆を見ると、否定していない様子。どうやら本当の事らしく、ソロモンは何か納得した様子で話を始める。
「ファイキュリアを覚えるには、まず神聖魔法に辿り着かなければ不可能だけど...」
そう言うと、ルヴラはシフィをソロモンの前に持って来て、目を輝かせた状態でシフィの額を見せる。
「実はここに主の一人であるアマテラスさんから授かった太陽のマークがあるの!どう!?いけるかなぁ!」
何故、ルヴラが興奮している状態で、シフィの額に描かれている模様をソロモンに見せているのかと疑問に思ったが、まぁいつもの事だし別にいいかと無視する他の皆。
「...へぇ、アマテラスがねぇ......」
何か意味ありげな声色と表情をする。その表情からは、ソロモンが主と何かしらの関わりがあることを示唆している様に見えた。
〝ファイキュリアを覚えられるかも...!〟
「やっとだね!シフィちゃん!」
〝うん!これでやっとお母さんを治せるかも!〟
「うん。本当に良かった...!」
〝文字さんもありがとう!〟
「いいえ〜。文字さんはただシフィちゃんが心配だったんだよ...」
〝えへへ。嬉しい〟
「ゔっ」




