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転生概念における願望空想論  作者: coll
ティル・ナ・ノーグ編
85/91

悪魔の所業、神の御業

少しばかり遅れてしまいました〜。ついにティル・ナ・ノーグ編が終わります。別にそんな事ないのになんか少し長かったような感じがしますね。


いせロリ豆知識22

この世界は魔粒子が空気中に漂っており、それを操作出来るものが魔法適性がある者とされる。

「ありがとう大分治まったよ」


数分も経つとムシュフシュの涙は止まり、感情も落ち着いてきたところで、ムシュフシュはカラに感謝する。


「いえ、カラはただそうなんじゃないかなって自分で思ったことを話しただけなので...」


そう謙遜するカラだが、先程の言葉がムシュフシュにとって欲しかった物なのは明白だった。何故なら彼の顔から心から喜んでいる笑みが零れているから。


「それでも...。それでも誰かにそう言って貰えるだけでたまらなく嬉しいんだ......」


「...そうですか」


その顔を見たカラも自然と笑顔が溢れる。騙されていただけで、やっぱりこの人はとても優しい人なのだと、その嬉しそうな表情から溢れ出ていた。


「とりあえず...続きを話そうか」


余韻に浸りたいがそんな時間などなく、先程の話に戻る2人。


「確か七大悪魔が封印されて〜くらいのところですよね」


「そうだったね...。ソロモンさんによって七大悪魔が封印されたんだけど、その封印が何年か前に解かれた。それも正体不明の存在に」


(七大悪魔全員を単独制覇したソロモンが封じたということは相当な構造になっているはず。なのにそれを解除された...。つまり相手はソロモンと同等あるいは格上となると、だいたい予想が着くな...)


カラは妖精王であるムシュフシュが言うほどのソロモンの実力を考慮し、封印を解いた存在について推測する。


「七大悪魔の封印を解いたのはロキ......ってことですよね」


ソロモンと同格、はたまたそれ以上という条件。長命種基準で最近封印が解かれた。七大悪魔達はロキを絶大なまでに信頼している。それらの条件を考えた結果、その1つの答えにたどり着く。


「...あぁ、僕もそう思ってるよ」


「『そう思ってる』?ということは真相は知らないのですか?」


そう質問をすると無言で頷く。どうやらこの件は誰も知らないところで行われていた様で、封印した本人のソロモンも封印が壊れてから知ったのだと話す。


「それにソロモンさんが封印が壊れた際に、現状この芸当ができるのは、今いる新たな魔王くらいだろうと言っていたからね...」


おそらく自信の表れなのだろう。その言葉はこの世界において自分より上は少ないと言っているようなものである。それを理解し、ソロモンの強さに少しばかり興味が湧くカラ。


「ソロモンさんってどのくらい強いの?」


その質問に乾いた笑いが出るムシュフシュ。どうやら弟子にとって、彼女の強さはムシュフシュがあからさまにドン引くほど強い様子。


「......ソロモンさんの過去に成した偉業を1つ挙げるとするなら...」


少し考えている様子のムシュフシュ。どうやらソロモンが成した偉業は多いようだ。小さく何かを言っているのが分かる。


「彼女はこの世界に魔導、今で言う魔法を作り出し、世界の基盤にソレを組み込んだ。これが一番分かりやすいかな?」


この人は何を言っているのだ。最初にカラの頭に浮かんだ言葉はそれだった。当たり前である、世界のルールに新たにルールを付け足すという行為はあまりにも人間離れすぎている。


「...そんなの、本当に神や主相当じゃ......」


「僕たちが魔法で記憶や生命の循環を操作できる時点で、そのツッコミは意味をなさないよ」


確かにそれらを操作するのも神に等しい。が、流石にソロモンの話は規格外すぎる。ただの人間が成せるような業では無い。

それこそ、一時的な力だけで言うならアヴァロンも神相当に匹敵する事もある。しかし、技量が神、或いは主にまで匹敵する存在は、天使を除いて聞いたことがない。そのため、少しドン引きしてしまう。


「ま、まぁドン引きするのも無理ないよ。彼女は僕たちより遥かに長生きの人だからね...」


「は、遥かに...?」


(妖精王ですら9万年生きてるのに、その上を行く遥かに...?)


混乱のあまり、カラの頭の中がぐちゃぐちゃになる。ソロモンについての話を聞く度、その人が本当に人間なのかどうか分からなくなり、本当に人間じゃないのでは?と疑い始める。


「もっとソロモンについて話そうか?」


「...も、もうソロモンさんの話はいいや......。悪魔の話を聞かせて...」


たった2つで胃がもたれる程の衝撃を感じ、さらにその重さと同等の話がまだある事を理解したカラは、早い目に七大悪魔と魔王についてを聞くことに。


「...当時、僕は七大悪魔という存在を深く知らなかった。それこそソロモンさんが封印した悪魔ぐらいにしかね。でも6000年前のその日、僕はレヴァという七大悪魔に出会った」


「あの『嫉妬』の悪魔ですよね」


ムシュフシュは軽く頷く。


レヴァ。その力はカラだからこそ対策できたが、次は仕留め切れるのか不明。それぐらい危険な相手ではあるが、ティル・ナ・ノーグにちょっかいをかけた正確な理由が分からない。その証拠となる物を探る為にムシュフシュの話を聞く事に。


「レヴァの最初の印象は、その正体が悪魔とは思えないほど人間っぽかったんだ」


「人間っぽい...ですか」


その言葉にカラは納得した。実際あの悪魔に会った時、今まで出会ってきた悪魔と比べ違和感があった。それは人外感ないだとかそんな類の物ではなく何か別の物。


「そして彼は自分が預言者だと偽り、僕の国がやばい事になると言ったんだ」


「その言葉に騙されてしまったんですか?」


「...言葉に騙された訳じゃないんだ。彼は実際にその未来を僕に見せた」


そんなムシュフシュの言葉に疑問を抱く。レヴァは預言者では無い。しかしどのようにしてムシュフシュにそんな未来を見せたのか。


「偽りの未来を見せた...?」


「だけれど、彼の能力はそのような力ではないのだろう?聞いた話によると相手を羨むほどに力が増す能力らしいじゃないか...」


(そうだ。あいつはそう言っていたはず。そしてその通り、嫉妬すればするほど力が増していっていた。それは事実だった。なのに偽りの未来を見せる...?まさかもう1つの力?しかしレヴァにだけ複数能力があるのか?)


カラはレヴァの力をこの目で見たはずなのに、ムシュフシュの見たものと矛盾しているという事に戸惑う。


「...それで、その偽りの未来を見たことによってティル・ナ・ノーグを守らなきゃと思い、あんな行動に至ったのですか...?」


「あぁ...。当時はマビノギオンができた時の記憶が無ければ、ヴィルジナルの記憶も無かったからね。本当にそんなことが起きるのでは?って思ってしまったよ」


(確かにそんな状態であれば、今までマビノギオンに助けられたとしても預言者と名乗った者が偽りの未来を見せれば、本当に安全なのか不安になるのも無理はないな...)


当時のムシュフシュと同じ立場になって考え、カラは同情する。


「なるほど...。あの悪魔の事、少しは知れました。ありがとうございました!」


「あ、最後に1個だけ良いかい?」


立ち上がってその場から離れようとした時、ムシュフシュはカラを呼び止める。


「ん、何ですか?」


「もうここを離れるんだろう?なら、ソロモンさんに会った時、言ってた事が今になってやっと分かった。って事を伝えてくれないかな...」


目の前の女の子に頼む妖精のその表情は、少し複雑だった。それはまるで罪悪感から生じる後悔のような...。


「ソロモンさんに...ですか......。いつ伝えられるか分かりませんよ?」


カラはムシュフシュの無理難題に苦言を呈すが、ムシュフシュはそんな事分かりきっているため、大丈夫だよと頷く。そんなムシュフシュにため息を吐きながら


「分かりました。話を聞かせてくれた恩がありますし、そうしますね」


と答える。カラはそれ以上何も言わなかった。彼が抱いている罪悪感にも触れなかった。


「...ありがとう」


目の前の妖精は、ただそれだけを小さな少女に伝えた。


「──ありがとうございました」


「何事も無かったようで安心しました」


監獄から出てきたカラは看守の妖精に感謝の一礼をし、その場を後にする。その間もムシュフシュから得た情報や、これから向かう国についてを整理する。


「さて...後は皆と話し合いかな」


そんな独り言を呟きながら、借り家への帰路を辿る。




「あ、おかえりなさい!カラ様!」


「カラ〜っ!」


家に着くとカラの帰りに気づき、皆、傍へと寄ってくる。ルヴラとシフィはすぐさまカラに抱きつき、頬をスリスリさせる。


「ただいま皆。もう皆は行く準備出来てるの?」


そんな2人の頭を優しく撫でながら皆に確認を取ると、皆頷いているが、家の中にアヴァロンが居ないことに気づく。


「あれ...アヴァロンは?」


「アヴァロン様は少し用事があると言って出ていきましたよ!すぐに帰ってくると言っていたので多分大丈夫だと思いますけど...」


(リノアがちゃんと家事とかしてるのを見ると、いつもの日常に戻ったって感じがするなぁ...)


リノアのその姿を見て、少しだけ感傷に浸りながらも、カラは自身の支度をし始める。


〝あ、アヴァロンさん帰ってきました!〟


「あ、ほんとだ。ほんとにすぐだったね」


少し遠くにいるアヴァロンに大きく手を振るルヴラとシフィを見て、アヴァロンは微笑む。


「愛い奴らじゃのうほんとに」


2人の傍に着くと、そう言いながら2人の頭を激しく撫でる。


「わー!犬みたいに扱われてるー!」


〝シフィ達はペットですか?〟


「似たようなもんじゃろ。お主らは愛いすぎるんじゃ」


そう言うともっと激しく撫でられ、2人の髪の毛がボサボサになる。


「あ!!折角わたくしが綺麗にしたのに!アヴァロン様がやってくださいね!」


「うぇ〜...妾がやらにゃならんのか......」


「アヴァロン様がボサボサにしたんですから当然です!」


アヴァロンは面倒くさそうな顔をするが、至極当然の事を言って、アヴァロンに髪のセットをさせるリノア。


「ところで、次行く国は決めたの?」


クゥロに質問するが、どうやらまだ悩んでいる様子。


「行くところが思いつかないのであれば、ニライカナイがオススメですよ」


突然ドアから声が聞こえ、一同そっちを向くとそこには満面の笑みのリャナンシーがいた。


「ニライカナイ...ですか?」


「豊穣の源ニライカナイか...。確かにありやもしれんな。彼処は魔法の素となる魔粒子が生み出される所じゃからな、何かしらの情報が得られるかもしれぬしのぅ」


「もしかしたらそこでファイキュリアのヒントか何かが得られるかもだよ!?シフィたん!」


アヴァロンの話を聞き、ルヴラは興奮しながらシフィに話すと、シフィは目を大きく開きキラキラと輝かせ始める。


「ファイキュリア......!!」


「ならそこで決まりかな。どのくらい遠いのですか?」


端でワチャワチャしている2人を無視し、リャナンシーに質問するクゥロ。


「歩きだけなら1ヶ月近くはかかるかもしれません。ですがメタトロンさんの力を借りれば一瞬で着くと思います」


「ならメタトロンの力を借りよう。1ヶ月は流石に長い」


「そうですね...。メタ、起きてる?」


リノアが聞くと空間から手だけを覗かせる。その仕草だけでメタトロンだと理解した一同は、大丈夫だと判断し、ニライカナイへの旅路を決める。





「もうティル・ナ・ノーグを出ていかれますね」


「あァ、そうだナ」


「なんか少し寂しい...」


「もし機会があれば、今度は私達で行きませんか?」


「良いね、それっ」


「はァ?なんで俺様が一々彼奴らの所に行かなきゃならねぇンだヨ!!」


「と言いつつ、本当は行きたいんでしょう?ナックラヴィー」


「......チッ」


「お世話になったからね...。その恩をいつか返したいよ」

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