最後の鍵《ラストキー》
さてさて、段々とティル・ナ・ノーグ編も展開がぐるぐる変わっていっておりますねぇ!!描きたかったシーンまみれです!!最高!
いせロリ豆知識⑮
この世界において、魔力は体力とほぼ同意義だが、体力は魔力では無いため、体力を鍛えたところで魔力が増えることは無い。
「マビノギを出してくれるのですか!?」
「ええ...。ティル・ナ・ノーグの危機だと聞いたから、勿論手を貸すわ。けど...」
ローレライがそう言い始めると、皆の感情が喜びから不安へと変わる。
「けど...何、ですか...?」
「わたしの所のマビノギは、わたしの魔法で隠して欲しいと言われたから、大丈夫かしらと思って...」
「それ...誰に言われたのか教えてくれはせんか...?」
アヴァロンがそう聞くと、ローレライは、んー。と唸り始める。そこまで悩むことなのだろうか...。なんて思っていると口が開く。
「誰だったかしら...。あんまり覚えてないかも...」
「お、覚えてない...ですか...」
それを聞いてほんのり落胆するリノア達。が、長い歌から目覚めたばかりだし、しょうがないと割り切る事に。
「そんなことより、早めにマビノギを出さないと...」
「はーい。分かりましたー。じゃ、認識魔法を解くね♪」
ローレライは楽しげに言うと、透明だった空間が歪みはじめ、そこから巨大な樹が浮かび上がってくるのを目にする。
「す、凄...」
「マビノギを認識魔法で隠してたって憶測はしていたが、この目で見ると、余計にその事の異様さが分かるのぅ...」
「この大きさの樹を認識改変していたって話だもんね...。妖精王ってやっぱりおかしいよ...」
リノア達は、目の前に現れたマビノギを見て、妖精王と言う存在の格の違いを肌で感じる。
「はい、どーぞ。マビノギに入っ──」
瞬間、何処からともなくローレライが撃たれる。皆、瞬時に警戒態勢へと移行する。
「そうはさせん...。破壊者共が...」
声がするほうを向くリノア達。そこにはナックラヴィー、リャナンシーと戦っている最中であるムシュフシュがいた。
「っ...。ムシュフシュッ!!」
「大丈夫です皆さん!!ローレライさんはやられていませんから!」
「えっ...?」
リャナンシーにそう言われ、ローレライの方を向くと、無傷のままニコニコと微笑んでいるローレライ。そんな状況に困惑しているリノア。
「...ふむ、そうか。ローレライの魔法は対象の認識を改変する魔法。ムシュフシュの攻撃そのものの認識を改変し、ローレライが当たったように見せていたのか」
「それ、あまりにも強すぎません!?」
「それが妖精王って事でしょ...。本当、次元違いすぎるよ...」
リノアの驚きに冷静にツッコミを入れるが、クゥロ自身も、妖精王の扱う神聖魔法という領域を直に感じ、これほどまでに異次元なのかとドン引きする。
「七柱の主と会った時と似てるよ...ここまで次元が違うと感じるのは...」
「妾も同じことを感じたわ...」
神聖魔法。その名の如く、神や主に匹敵するほどの規格外の魔法だと理解する3人。
──クゥロちゃんにはこれ超えるほどの魔法使いになってもらうのよっ♪
〈...本気で言ってる?〉
──ええ!当たり前じゃなーい!
クゥロの疑問に高いテンションで答えるヴィルジナル。そんな無理難題を言う親に絶句するクゥロ。
「チッ...ローレライ...ッ!!」
「そ、それよりも、早く鍵を開けないと!」
リノアがそう言い、クゥロの背中を押して急いでマビノギの中へと入る。
「...さてムシュフシュさん。一体何故私たちに敵意を向けているのですか?その理由を教えてください」
3人がマビノギへ入るのを見終わると、リャナンシーは、怒る感情を抑えながらもその低い声で質問をする。
「僕は君たちに敵意を向けているわけでは無い。あの子達が危険だから殺そうとしている。それだけの話なんだ」
「...あのガキ共ガ...だト?」
「ここのマビノギの中、森の民のマビノギとは違って湿度が凄いですね...。ですが、不思議と暑くないです...っ!」
「確かにそこまで暑くないのぅ...。恐らく湖が近くにあるからじゃろうか...」
そんな話をしながらも、急いで地下へと進む3人は、何事もなくそのまま封印されている扉の前にたどり着く。クゥロはそのまま休まずに封印を解き始める。
「封印が解かれるのを待つ時間がもどかしく感じます...」
「その気持ち、妾もわかるぞ...」
リノアの気持ちに賛同するアヴァロン。急がなきゃ行けない場面で何も出来ず、刻一刻と時間が過ぎるという感覚は、7万年生きていようが多少なりとも焦る様だ。
「っよし...。開いた...!」
──じゃあ次...ってあら?
〈ど、どうしたの...!?〉
開いた瞬間に階段を登っていくクゥロ達。しかし脳内にいるヴィルジナルが何かに反応をする。もしかしたら何かあったのではと、心がザワつくクゥロ。
──あと2本のマビノギの反応が無いわ...。
〈え......?〉
ヴィルジナルからそんな話を聞き、クゥロの顔色は一気に青ざめていく。しかしクゥロは絶望する時間などないと、すぐさまリセットし、何故2本のマビノギの反応がないのか原因を考察し始める
──まさか、元々無かったのかしら...?実際私が魔法を介して記憶域から現実を見るなんて初めてやったし...。
〈え?そうなの...!?〉
──ええ。私と同じ力を持つ者じゃないとこの技は使えないから、そっちの世界を見ることも出来なければ感知することも出来ないから...。
と、クゥロはヴィルジナルから聞いた話を元に、脳内で爆速に推測を始める。そうして至った答えは。
「まさか、"死"によって1本のマビノギは生存できずに消え、もう1本のマビノギはムシュフシュが何かしらの方法でこの世界から消した...?」
「え、え!?まさかマビノギ2本消えたんですか!?」
「ふむ...」
先程まで脳内で話していたため、2人はこの情報を初めて聞くことになる。リノアは頭を抱え、アヴァロンは冷静に考える。
「何がどの原因でそのような考えに至ったのか分からんが、お主がそうなのかもと思ったのであれば可能性はあるじゃろう。ならば今はムシュフシュの魔法維持が崩れる瞬間を狙うしかないのぅ」
「...そうだね。だから現状は妖精王に頼る以外方法にない」
マビノギから外に出て、少し遠くの方で戦っている妖精王を見ながらクゥロ達は言う。
「──ハッ...どれも全て貴様の妄言だロ。俺様は6000年前からテメェを疑ってんダ。6000年前からの疑心ト、たった数日関わっただけの転生者を連れた異国のモン。どっちかに天秤を傾けるなら俺様は後者側に着ク。それだけの話ダ」
「その通りですムシュフシュさん。私たちは前から貴方の事を疑っていました。これでお分かりですか。もう貴方に仲間などいないと。貴方は独りですよ」
リャナンシーはムシュフシュに貴方は詰んでいるのだと指を差し、睨みつける。
「...そうか、悲しいなぁ...。僕に仲間が居ないのか。僕はただ、この国を存続させたかっただけなのになァ...」
蹲り、体を振るわせながらそう呟くムシュフシュ。何かが異様だと察した妖精王2人は即座に魔法を発動させ、ムシュフシュに放とうとする。しかし
「もう遅いさ」
刹那。恐怖によってか動物たちが鳴き始め、それと同時に空が赤くなる。
「んだコレ...」
「空が...」
初めて見る力に2人は戦慄する。そう、今までのムシュフシュの力と全く違うのだ。それこそ別人に変わったように。
「...オメェ誰ダ?」
「ッーハッハッハ...心外だな。僕はムシュフシュに決まっているだろう?君の親友のね」
「...アイツは、俺様の事を親友とは呼ばねェヨバカがァ!!」
憤怒の声を出すとナックラヴィーの足元に紫の魔法陣が開かれ、魔法を放つモーションに入る。
「逆流する夜風」
ナックラヴィーの魔法はムシュフシュの体を内側から蝕んでいく。事実、身体中に紫の侵蝕模様が出ている。しかしムシュフシュはまるで効いていないかのように笑い始める。
「...何がおかしいのですか......!」
「まだ気づかないかい...?僕の部族のマビノギはこの世界から消えた。つまり君たちはもう終わったんだよ」
そう聞き、リャナンシーは急いで魔流感知をするが、反応は無い。途端に絶望する。
「そ、そんな...まさか...」
「それが有り得るんだ...。これもこの国の存続の為だ。仕方な──」
絶望する様を愉しんでいると、何処かから白のレーザーのようなものを撃たれ、ムシュフシュの片腕が跡形もなく吹き飛ぶ。
「......え」
「な、ない...。僕の片腕が...あ、あぁ...ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!だ、誰だ!!誰が僕に...!!!!」
しかし周りには誰もいない。魔流感知をしたが魔法の反応もない。更に焦り始めるムシュフシュ。
「い、一体誰が...!!」
「──見つけた。マビノギの位置ッ!!」
敵の魔流感知の範囲外でクゥロはムシュフシュが焦り、魔法維持が揺らぐ瞬間の為に、魔流感知を使用し続けていた。
「早く行こう!!」
そう言い、急いでその場に向かおうとすると、目の前にルヴラが現れる。
「やった!成功だ!!!」
「え、え!?ルヴラ!?」
着地の瞬間に思わず転けそうになるところをギリギリで耐えるルヴラ。しかし皆動揺している。
「とりあえず、皆これ握って!」
ルヴラは自身の右手を前に出し、何か黒い四角の物体を見せる。一同何故ルヴラがここにいるのか疑問に思っているが、即座に四角い物体を触る。
「クゥロ。このまま行きたい場所を想像して、出来ればどの位置か詳しく想像した方が良いかな」
「...分かった」
そうしてクゥロは、先程、魔流感知によって探知できたマビノギの位置を強く想像したその瞬間、マビノギの前にワープする。
「...え......え?」
「とりあえず、このマビノギの中に入って!」
そう言いながら困惑だらけの皆を無理やりマビノギの中へと押していく。
「な、え、何したの?」
「ふふん...。実はスラープの上位互換を作れないかな〜って考えてたら、咄嗟に思いついてね...。それでこれを作ったんだ」
「スラープの上位互換とな...?」
さっきの使用感から何となくこの魔道具がヤバそうな雰囲気を感じるが、気になるため話を聞く3人。
「これはね...想像したところに瞬間移動が出来る魔道具だよ!」
3人はルヴラが何を言っているのか分からず、困惑しか感情が湧いていない様子。
「もっと詳しく言うと、想像しただけでその場に瞬間移動ができる魔道具。対象は人物でも、その人が放つ魔力でも、なーんでも!制限はないよ!!」
「なんと馬鹿なものを作りよったんじゃ此奴は...」
ルヴラの発明に頭を抱えるアヴァロン。確かにルヴラの才能は異次元なのだが、ここ最近は異次元過ぎるが故に悩みの種になっている。
「死の妖精王の力の影響で、封印を解くマビノギはこれで最後になるはず...。早く行かなきゃ...」
そう言い、ルヴラが加わった4人は急いでマビノギ内にある階段を降りていく。
「そういえば気になっておったんじゃが、お主の力は氷で、お主の母と似ている魔法系統なのじゃろう?」
「うん。そうだけど...?」
「ならば、お主の母の魔法もいずれ使えるということになるのか?」
アヴァロンの問いに、ヴィルジナルの言葉を思い出すクゥロ。
(母様の魔法を...そうか、なるほど。あの時の言葉はそう言う事...)
「どうしたんですか?クゥロ様」
「ん?いや大丈夫。何でもない」
クゥロは身を引き締め、気合いが入る。その様子を後ろで見て何かを思ったのか、リノアは微笑む。
「──よし、着いた!!」
「最後の封印だね...」
「クゥロよ、頼んだぞ」
アヴァロンは肩に手を置いてクゥロに告げる。クゥロもその声で魔法を発動し、最後の封印を解き始める。
──これで最後...。私の記憶もこれで戻るのね...
〈多分そう...。ただそう簡単に行くほどこの世の中は甘くない...ッ〉
しかし封印を解くのに時間がかかっている様子。そんなクゥロの後ろで願うリノア達3人。
「お願いします...」
早めに解けるようにと、両手を使い始める。少し苦しい表情をしながらも一つ一つ解き始める。
「グ...ッ......ぅ!!」
(ヤバい...もしかして、魔力が尽き始めてる...?段々疲れが...)
「クゥロ...!!」
突如クゥロは膝を着く。皆が慌てて支えると、滝のように汗を流しながら、肩で息をしいる。
「魔力って体力と同じなんだね...。使いすぎるとこうなるんだ...」
「あまり無茶をするでない。急ぎの場ではあるが、お主の体調が1番重要なのじゃからな」
すると、封印の扉がパキッと音を立て始める。皆、それに一斉に反応する。
「封印がギリギリ解けた!?」
「す、凄いです!!クゥロ様!」
「ま、まだ...。まだあと1つ。解けてない...」
皆、歓喜のムードをしているが、クゥロはアヴァロンの肩を借りて微かな声を上げる。
「あと1つじゃと...?」
「本当のマビノギにある、記憶の封印が...」
空気が変わった...。この国の全てが変わる前兆か。今までの6000年から再びこの国は動き出す。
カラ達の手によって...。
〝決めゼリフですか?〟
...いつの間にいたの。シフィちゃん
〝最初からですよ!〟
...は、恥ずすぎる......




