激動する情勢
色々ありまして、少し遅れてしまいました。申し訳ないです...。
いせロリ豆知識⑭
ティル・ナ・ノーグは古の時代に出来た国で、古の時代とは、聖戦によって時代が変わった前を指す。
「マ、マビノギの本体...ですか?マビノギはこの国に4本もあるんですよ...?それに距離もありますし、時間がかかっちゃいます...!!」
リノアはクゥロの話を聞き、かなり動揺している様子。
「そう、問題はそこ。マビノギは複数本ある上に国毎にあるからか全て離れてる...。まるでこの事を予見してたかのように...」
しかし、クゥロもそういった問題点は理解しており、頭を悩ませる。
「もしそうなら、各部族にマビノギを生やした者は未来予知をしたか、とんでもなく用意周到かじゃが...おそらく後者じゃろうな」
「え、どうしてですか?」
「この国に未来予知をする妖精がいるという話は今の今まで聞いたことが無い。この情報によって、相手がかなり慎重で警戒心の強い者である可能性を高める。じゃから、後者の方を予測するのが妥当なんじゃよ」
アヴァロンは伝わりやすいよう丁寧に説明する。その優しい説明のおかげでリノアは理解し、キラキラと目を輝かせる。
「しかしどうするか...。マビノギを1本ずつ探る訳にも...」
──クゥロちゃん。ごめんだけど、マビノギを1本ずつ探ってくれないかしら...
どうやって本体を探ろうか悩んでいると、突然ヴィルジナルがそんなお願いをしてくる。
〈え!?い、1本ずつ...!?〉
驚き、戸惑うクゥロ。当たり前だ。何故ならヴィルジナルの言っていることは、前にマビノギに入った森の民以外全てに行けと言っているのと同意義なのだ。
──お願い...。私もどこがマビノギ本体か覚えてないのよ...
そう言われ、悩みに悩むクゥロ。しかし、マビノギの本体の情報など、おそらくティル・ナ・ノーグの民全員に聞いても知らないと答えるだろうと考え、ため息を吐く。
「2人とも。マビノギ全てを探ろう」
「ほ、ほほ...本気ですか!?」
「...ふむ」
意を決して2人に話すと、想像通りの反応をする2人。クゥロもそれを理解していた。だが、他でもない親からの願いの為に提案をする。
「てことはその間、ナックラヴィー様にはムシュフシュさんを止めてもらうという事になりません!?」
「うん...そう言うことになる......」
リノアの言う通り、各部族のマビノギに回っている間、ナックラヴィーはムシュフシュと戦い続けるという話になる。すると、戦っている最中のナックラヴィーは再びこちらに話しかける。
「テメェらが何をするかわかんねェが、コイツの足止め如き簡単な事ダ。前と比べて謎に強化されてるガ、それでもコイツと互角の時点で耐えれル。更にいえば今、循環女も来てル。大丈夫ダ。テメェらが思ってる以上に耐えることは可能ダ。だから行ケ。俺様がテメェらを信じてやるかラ、テメェらも俺様を信じやがレ」
ナックラヴィーの発言に驚くクゥロ達。
「ナ、ナックラヴィーさん......」
「それは、ムシュフシュがやっと自分とタメ張れる事に悦びを感じているからではないのですか...?」
後ろから声が聞こえ振り向くと、そこには循環の妖精王であるリャナンシーがいた。
「行ってくださいクゥロさん達。カラさんを治す為にこの国の秘密を暴いてください」
「リャナンシーまでここに来たのか...」
「...お二方ありがとうございます。行こう2人とも」
そうして2人の妖精王の助けにより、その場から離れ、1番近い湖の民のマビノギを探すことに。
「ヴォジャノイさん!!いませんか!」
湖のほとりで大声を出して
「ん...どうした。儀式ならもうそろそろ終わるが...」
「今はその要件ではなく、マビノギがどこにあるのか知りたいのです」
クゥロがそう言った瞬間、ヴォジャノイは考え込み始める。その段階で嫌な予感がするクゥロ達。
「ここのマビノギか...。すまんなワシらも見た事がないんだ」
「しょ、初動から手こずってます...」
「うん...そうだね......」
ただ落ち込む。マビノギを1本見つけると言う目的を達成するのに、どれ程かかるのかという先のことを見据えて絶望してしまう。
「仕方ない。自力で見つけるしかないね...」
「が、頑張りましょう...!!」
と、意気込み良くマビノギ探索を始めようとすると、アヴァロンはとある事を推察する。
「ローレライの魔法が認識魔法と言う音魔法の上位互換なのであれば、この地域のマビノギもローレライによって隠されているのではないか?」
「た、確かにそれは有り得ます!!」
アヴァロンの推察に驚きつつも肯定するリノア。
「...その可能性はあるけど、認識改変されてるマビノギをどうやって──」
──アナタの才能なら、魔法を使えば大体の位置は分かると思うわよ?
脳内で聴こえたヴィルジナルの声、しかも突拍子もない衝撃的な発言。そんな発言をするヴィルジナルに目が点になるクゥロ。
〈え、ほんとに...?私、普通の氷魔法だけど...〉
──えぇ、行けるわよ...?あら?教わらなかったのかしら。この世界の魔法はイメージで可能になる。もちろん、属性ごとに限界はあるけどもね♪
ウインクして教えているのが想像できるような声色でクゥロに教える。
〈確かにこの世界の魔法はイメージって聞いたけど...。まさか氷でそこまでできるなんて想像もしなかったよ...〉
「...策は思いついた。今試してみるね」
「ほ、ほんとですか...!?」
クゥロが突如そう言い出すと驚くリノアやアヴァロンら。何も出来ない詰みかと思った策を思いつくのだから当然だ。
そうしてクゥロは青白い魔法陣を展開し始める。
「...ふむ。もしや"魔流"を感知しようとしているのか?」
「魔流...ですか?」
ヴォジャノイが放った言葉に疑問を抱き、質問するリノア。アヴァロンもあまり聞かない用語だった為、その話を聞くことに。
「魔流とは、この世界にある魔粒子と呼ばれる物の流れ。つまり魔法の流れの事で、それを感知することを"魔流感知"と言う。一部の者のみが魔流感知を出来るのだが、どうやらお前さんも出来るようだな...」
「一部の者のみ...」
(おそらく妖精王の実子だからだろう。だから魔流感知を行うことが可能となっておる。しかし、弱冠9歳で天候変化だけじゃなく魔流感知まで出来るとは...クゥロ、お主の魔法の才は世界でも極僅かじゃろう)
アヴァロンはクゥロの才能を感嘆しつつ、どこか畏れを感じている様子。しかしクゥロに恐怖しているのはアヴァロンだけでなく、ヴォジャノイもであった。
「...っ見えた!隠されたマビノギ!」
「本当ですか!!」
魔流感知を行い、強い魔法を感じると、魔法陣を閉じてすぐさまそっちへ向かおうと準備する。
「待てクゥロ」
急ぎ早に目的の場所へ行こうとすると、アヴァロンがクゥロの肩を掴む。
「何、アヴァロン。早く向かわないと」
「何か罠があるやもしれんぞ。慎重にな」
「そうですよ!それに、わたくし達はまだ準備終わってないです!」
真剣な表情でアヴァロンを言い、隣ではリノアが少しムッとした顔でクゥロに文句を言う。そんな2人の表情を見てクゥロは冷静になる。
「...ありがとうアヴァロン、リノア。」
「はい!一緒に、ですよ!」
2人のおかげで抱えていた焦燥感が薄くなり、自然と笑みがこぼれるクゥロ。その後2人の準備が終わり、ヴォジャノイに別れを告げてマビノギへと向かう3人。
「本当にこっちの方なんですよね...?」
「随分と奥の方に進むんじゃな」
「確かに...かなり奥の方に来ちゃったね...」
そうして約十分が過ぎた頃、一緒に湖に沿って歩き続けているアヴァロン達は、目的の場所が思ったより遠い事に言及する。
「でも魔流感知ではここら辺を指してたんだよね...」
「...おい、お主ら」
「ん?どうしたんですか?アヴァロン様」
何かを見つけた様な声色で2人を呼ぶアヴァロン。
「マビノギよりも先に妖精王を見つけたが......」
アヴァロンが見ているところを見ると、歌い続けている鱗の生えた妖精を発見する。間違いなくローレライだろう。
「...本当ですね」
「まさか、魔流感知で指してたのってローレライ...?」
「...まぁ、魔粒子の濃い所を指すのが魔流感知なら、常時魔法を発動し続けているローレライに反応を示すのは当たり前のことじゃな...」
困惑気味にアヴァロンは言うと、クゥロは今までに見た事のない落ち込み具合を見せる。
「あ、あの...もしかして、なんですけど良いですか?」
「うん。いいよ」
おずおずと手を挙げるリノア。そんなリノアを見た2人は微笑み、頷く。
「もしかしたら、ローレライ様が眠っている場所がマビノギなのでは無いですか...?」
「...なるほど、確かに可能性はある」
リノアの話を聞くと、納得する2人。何故なら目の前の妖精の周りに透明の結界があり、その形が樹の形をしているようだったからである。
「うーん...。もしそうならば、ローレライに歌を辞めさせる方法とかあれば良いのじゃが...」
「歌を辞めさせる、ですか...」
何万年も歌い続けている妖精を止める手立てなどあるのだろうか...。そんな事が脳裏によぎる3人。
「お前さんらの話を隠れて聞いていれば、どうやら水姫様の歌を止める話をしていたようだが...」
「──っ!!」
背後にある湖の中から、聞き馴染みのある声がする。慌てて後ろを振り向くとそこには老いた賢者の1人、ヴォジャノイがいた。
「...ヴォジャノイ様......」
「...何じゃ?妾達を止めるのか?」
アヴァロンは笑みを浮かべつつも警戒する。しかし相手は賢者、その力が対等なのか格上なのか不明な為だ。
「...事情は知らんが、そうしなければいけないという理由があるのだろう...。仕方ない、ワシの力で水姫様を起こすことにしよう」
「ほ、本当に...!?」
「それに、今は暴れているムシュフシュの方が重要だ。水姫様を起こしてマビノギを顕現した事により、ワシら側に有利に働くのであれば手伝うに超したことはないだろう」
ヴォジャノイの言葉を聞き、3人は嬉しそうに微笑む。すると、ヴォジャノイは誰かに連絡を入れた後、すぐさま魔法を発動する。
「...これで少し経てば水姫様は起き、水姫様がかけた魔法は全て消える。この意味を理解してくれているのであれば問題は無い」
「うん、その事については理解してる。だから早い目に終わらせるね」
「ならば安心だ」
クゥロとヴォジャノイが話していると、ローレライの歌声がだんだん静かになっていく。リノアはその様子を固唾を飲み、無言で見つめる。
「...もうそろそろ目覚めるぞ」
ヴォジャノイがそう言った瞬間、目の前の妖精はゆっくりと目を開けていく。
「随分と...長い夢を見ていた気分だわ...。」
たった一言聞いただけで心がやすらぎ、うっとりしてしまいそうになるほどの美しい声にクゥロ達は驚愕する。なんと透き通った声かと。その後こちらを向き始めるローレライ。
「...わたしの名前は水の妖精王ローレライ。子供たちがわたしの助けが欲しがっているのは聞こえていたわ。助けてあげましょう。」
優しく微笑むその姿は、天女と呼ばれてもおかしくないほどに美しく、綺麗だった。
「ねぇ、文字の人」
え、はい。なんですか?ってローレライさんじゃないですか
「...あなたって何者なの?」
...えっと......どういう事ですか?それ
「んー...あなたはどう言った存在なのかしら?って思って」
わたしの存在ですか...。考えたこともないですね
「...そう。ならアナタは謎の存在って事ね」
そういうことになりますね...




