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転生概念における願望空想論  作者: coll
ティル・ナ・ノーグ編
72/91

雁字搦めの記憶

現在考えている話やこれまでの話全部好きですが、好きな国Top3をあげるなら、ティルナノーグはその内の一つに入ると思います。


いせロリ豆知識⑩

分かりやすく魔法の名前を言ってるだけで、本来は名前を言う必要も無い。

「ク、クゥロ様...何を言って...」


リノアは動揺のあまり、声を震わせながら質問する。しかしクゥロは真剣な表情で


「...私が、マビノギの最下層に行く」


と、リノアの方を向いてはっきりと言う。


「お主、理解しておるのか?マビノギは妖精王ですら行ったことのない未知の領域、中には何があるのか分からぬ。下手すればお主、この世界に帰って来れなくなるやもしれぬぞ?」


アヴァロンのその発言に、空気は一瞬にして凍りつく。そう、マビノギの中は何があるのか分からない。最悪のケースも考えて行動しなければ後戻り出来ない。それ故にアヴァロンは、クゥロに己にその覚悟があるのかを問いかける。


「...確かに、帰ってこれるか分からない。アヴァロンの言った通り未知だからね」


〝で、でしたら...!!〟


シフィは何か提案しようとするがクゥロは首を横に振る。そんな様子を見て、シフィは言い淀んでしまう。


「...私はこの度が始まってから、ずっとカラに助けて貰ったから、だから今度は私が命を賭ける番だと思ったんだ」


今まで見たことの無い程の優しい笑顔で、しかし声音は震えておらず、むしろ、覚悟が完全に決まっているのが全員に伝わる程だった。


「ねぇ...それ言われたら何も言い返せなくない?」


ルヴラは少し笑いながらそう言う。すると、リノア達もルヴラに影響されて笑い始める。


〝クゥロさんは凄いです...!!〟


「そこまで覚悟が決まっておるなら何も言わんわい」


そんな皆の反応に動揺気味のクゥロ。すると、クゥロの両肩に手を置くリノア。その手は少し震えているのが分かる。


「ク...クゥロ様!!」


「...うん」


「絶対...絶対帰ってきて下さい!!」


ほんの少し涙を浮かべながら、願うように、約束するようにリノアはクゥロに言う。クゥロは、リノアの左手を自身の頬に持ってこさせ、先程の優しい笑顔で頷いた後


「絶対」


と、リノアに応える。するとリノアは右手で涙を拭き、クゥロから離れる。


「...紺のガキ、本当に良いンだナ?」


「はい」


ナックラヴィーは再度クゥロの覚悟を確かめるが、クゥロは先程と変わらない声色、そして表情でその覚悟を見せる。そんな姿にナックラヴィーは笑みを浮かべる。


「ヘェ?おもしれェガキだ...良いぜ。俺様は合格ダ」


と言うと、満足したのかその場から跡形もなく去るナックラヴィー。1人から許諾を得たが、もう1人は...とリノア達はムシュフシュの方を向く。


「...少し考えさせてくれないか?」


ムシュフシュは顎に手を当て、それから十数秒程考え込む。


「僕の結論を言おう」


そしてムシュフシュは、自分の中で結論を出し、人差し指を立てる。その様子に、皆期待する。


「僕個人は、クゥロ、君が最下層へ行くのは許可出来ない。だが、妖精王の提案は多数決で決めるもの、君がマビノギに行くのを許可しているのが、リャナンシーとナックラヴィーの2人だ。僕が何を言っても結果は変わらないさ」


ムシュフシュの答えは、皆が予想していたこととは違い、否定派の意見だった。しかし、妖精王の意見ならばと、2人の出した結論を尊重し、その場を後にする。


「2人とも消えましたね」


「妖精王は各々やる事があるので、合間を縫って会合を行うのです」


「そうなんだ...」


リャナンシーは、リノア達の疑問を解くように会合についてを軽く話すが、クゥロはそれどころではなかった。


「会合で出た意見は、多数決によって決まるんですよね?」


「...はい。そうですけど」


「ですが妖精王は四人、もし意見が半々になったらどうするのですか?」


リノア達はそこで気づく、クゥロの言った通りだと。妖精王は四人、意見は多数決、なら半々になれば議論は決まらないのでは?と


「それは...。確かにそうですね...?」


リャナンシーは、今、疑問が湧いたかのように会合に対し違和感を覚え、疑問の渦へと入る。


「おい、今はその疑問を晴らす時じゃなかろう...。今すべきことはクゥロをマビノギの最下層へ行かせることじゃろう?」


〝そ、そうですよ!!早くカラさんを助けないと!!〟


アヴァロンとシフィの急かしにより、リャナンシーはそそくさと準備し始め、リノアとルヴラはクゥロと話をする。


「クゥロ様...」


「大丈夫だってリノア。私は絶対戻ってくるから、だから私の命令として、あなたはここでアヴァロン達と一緒にティル・ナ・ノーグを守って」


クゥロのその命令に涙を浮かべながら、ブンブンとまるでヘビメタのように頭を上下に振るリノア。


「ルヴラも、もしリノアが激昂したりする時があったら、あなたが宥めてあげて?」


「そんなのもちろんでしょ!僕はリノアの幼なじみなんだし!」


ルヴラはクゥロからの頼みに、僕に任せなさい。と言わんばかりのドヤ顔で答える。


「アヴァロン達は...なにも言わなくていいよね」


「...何、これが別れ言葉になる訳ではない。お主の頼みは本当に別れる時にするべきじゃよ」


アヴァロンは腕を組みながらクゥロに言うと、クゥロは、納得したのか笑みを浮かべる。


「ではこちらに来てください」


リャナンシーの指示通り、クゥロはとある木皮の前に来る。すると、リャナンシーは、全く聞いたことの無い言語でマビノギに語り掛ける。すると、その声に応えたのか、マビノギは再び畝り始める。


「うおぉ...」


「そういえば中で畝りを見るのは初めてだ...」


クゥロ以外の皆は、マビノギの畝りを見て感嘆の声を漏らす。しかしアヴァロンは、少しだけクゥロを心配そうに見つめる。


そうして、マビノギの畝りが静まると、今度はクゥロ達の前に扉が現れる。


「ここまで言っておいて何なのですが、実はこの扉、妖精王ですら開かない扉なのです...」


「...え!?」


リャナンシーの発言にリノア達は思考停止する。ここまで覚悟を決めたと言うのに目の前の扉が開かないと...?そんな事が脳内でいっぱいになる。


「...そりゃあ妖精王も行ったことないと言うわな......」


アヴァロンはため息を吐き、やれやれと頭を横に振りながら、先程言っていた事に納得をする。


〝そ、そもそも妖精王の皆さんですら開く事が出来ないのなら、中が未知数なのも当たり前ってことですよね...〟


「ぜ、前提がそうだったのね...」


少々拍子抜けだと、リノア達は力が抜けるが、クゥロだけは違った。


「多分大丈夫。私なら開けられると思う」


そう言うと、クゥロは目を閉じ、扉に向けて手を翳し、魔法を発動し始める。その魔法にどこか懐かしさを感じるリャナンシー。しかし、何故懐かしさを感じるのか疑問を浮かべる。


「...くっ」


クゥロは魔法の出力を上げ、少し苦しそうな表情をし始める。すると、扉が開く音が重く響く。


「ひ、開き始めてる!?」


「うぉー!いけー!クゥロー!」


リノア達による応援に鼓舞されたのか、クゥロは更に魔法の出力を上げ、遂に妖精王すら入ったことの無い扉が開かれる。


「はぁ...はぁ......。開けるだけで疲れる...」


クゥロは肩で息をし、膝に手を付いて少しだけ休むことに。扉を開くだけでこれほど疲れると思わず、皆クゥロを心配する。しかし


「大丈夫...少し休めば歩けるから......」


と、クゥロは深呼吸を十数回した後、いつもの状態に戻り、一人で扉の中へと入っていく。


「クゥロ様...」


リノアの声を聞き、振り返るクゥロ。そこには心配そうな目で見つめるリノアや、シフィがいた。そんな皆を見て思わず笑顔になるクゥロ。


「私は大丈夫だから、リノアたちは私がカラを救えた時の準備や、この国の人と交流を深めておいて」


「わ、分かりましたーーっ!!!」


「じゃあ、皆のことは任せたよ。アヴァロン」


クゥロは、透き通った綺麗な瞳でアヴァロンを見ながらそう言って託す。アヴァロンはその言葉に無言で頷く。そうしてクゥロは暗闇の先へと進んでいき、奥へと消えていく。すると扉はピキピキと音を立て、まるでクゥロを逃がさないと言わんばかりに閉じ始める。


「...さて、クゥロに言われたことをするとしますかぁ〜っと!」


伸びをしながらルヴラは気持ちを切り替え、その場を離れ始める。アヴァロンやシフィ、リャナンシーもルヴラと一緒に歩いて行く。リノアは少しクゥロが気がかりな様子を見せるが、すぐさま3人の方へと向かう。


〝これ思ったんですけど、役割を分けた方が早く終わるのではないですか?〟


「確かにそうじゃのう。ならばどういう風に分けるかも重要になるが...」


シフィの提案にアヴァロンは賛同し、メンバーをどう分担するか考える。


「んー...。僕とアヴァロンで各地域との交流、シフィとリノアでカラを迎えるための準備って感じで分けるべきじゃない?」


〝まぁそれが妥当ですよね...!!〟


ルヴラの案にブンブンと頭を振るシフィ。それを見たルヴラは、デレデレしながらシフィの頭を撫でる。


「あの、少しいいですか?」


すると、クゥロと別れてから喋っていなかったリノアは、皆に確認を取りながら手を挙げる。皆、リノアの方を向く。


「少し、話したいことがあるのですが」




マビノギから離れ、借りているリャナンシーの家に戻ってきたリノアたち。


「それで、話って?」


椅子に座るや否や、リノアが言っていた、話したいことを聞くためにルヴラは話を振る。


「実は、わたくしの魔法に異変が生じ始めているのです...」


「光魔法に...?」


「はい...」


そう言いながら頷くリノア。しかし、今までリノアの魔法に変化など無かった。そんな魔法の異常に疑問になる中、驚いていたのはアヴァロンだけであった。


「...本当に異変が起きておるのか?」


「...え?は、はい......そうですけど...」


リノアがそう答えると、アヴァロンは無言で何か考え込み始める。そんな姿を見て一同は困惑。ジェスチャーのように、何が起きてるのか分からないのを表現していると、アヴァロンは口を開く。


「お主、ティル・ナ・ノーグに影響を受けておるのやもしらん」


「...え?」


「原因を調べる為、リノアを連れていく。その間、シフィとルヴラが準備をしておいてくれぬか?」


アヴァロンが言った言葉に困惑する、リノアやルヴラ。


〝もちろん良いですよ...!〟


しかし、2人が困惑している間に、すぐさまシフィが答える。


「うむ。ならばリノア、妾に着いて来い」


「え!?え、ちょ...ちょっと!?」


アヴァロンはリノアの手を握り、そそくさと次の別地域に行こうと連れていく。


「あ、い、行ってらっしゃい...」


〝とりあえずシフィ達は準備しましょ...!〟


ルヴラは今の状況を飲み込めておらず、色々な疑問が残っているが、愛しのシフィと一緒に作業が出来ると考え、どうでも良くなった。


「ど、どうしてわたくしはアヴァロン様と一緒に?」


「...まだ分からぬのか。お主の魔法を調べてもらう為じゃよ。ムシュフシュにな」




「...暗い」


リノア達と別れてから数十分後。扉の奥へと進んでいくクゥロだが、そこは足元すら見えない程暗い部屋。目を細めながら目の前を見つめていると、キラキラした物が見える。


「あれは...」


念の為、魔法を発動準備段階にし、辺りを警戒しながら目の前のキラキラしているものに近づく。段々ソレが良く見え始めると、それは、光がないのに乱反射している物体であることが分かった。


「...ガラス、いや...鏡?」


そんな乱反射している物体に近づき、ソレに触れようとした瞬間、突如として明転し、クゥロはその眩しさに当てられ、思わず額に皺を寄せる。


「急に...」


数秒後、やっと目が慣れ、ちゃんと目を開けるようになると、クゥロは空間の内装に驚愕し、辺りを見渡す。


「こ、ここは...」


まるで鏡に包まれたような空間。乱反射に自分が映し出されているのが分かる。


「ここが何処か分かる?」


「...やっぱり、私の予想は当たってたね」


何者かに話しかけられ、クゥロは声の主の方を見ると、心の中にある推察が核心へと変化する。


「...賢い。流石ね」


目の前には自分に瓜二つの存在。しかし、何処と無く違う。服装?口調?顔立ち?確かにどれも違う。しかし、そのどれでもない"何か"が自分ではないとクゥロに信号を送る。


「あなたは一体...?」


「私はヴィルジナル。記憶の妖精であり......。アナタの生みの親よ」





あの人本当にクゥロの親なの...?って思ったけど、見た目がクゥロにそっくりだし、まぁ納得か...。


「私も最初見た時思った。私にそっくりすぎる。でも、何かが違うと感じたからあんな言葉が出た」


まぁ確かに、双子とかでも他人から見れば一緒だけど、本人たちからすれば全く違うように感じるらしいからそれと同じなのかなぁ...


「うん、多分それと同じ。これのおかげでメタトロンとサンダルフォンの気持ちを知ったかも」


おぉ、思いもしなかった収穫だ


「うん。双子の気持ちを知った感じになって、なんか嬉しいかも」

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