深まる謎
エルドラド以上にティル・ナ・ノーグ編は必死に考えてます。個人的に好きな話がここの国で出てくる予定なので、時間がかかってしまうことがあると思います。そこは本当に申し訳ないです。
それといつもの如く豆知識です。
いせロリ豆知識⑨
実はティル・ナ・ノーグは、古の時代からある太古の国の1つ。
──クゥ...ロ......?
目の前にいる存在に目を疑う。だが、事実としてソレはクゥロそのもの。カラは驚きのあまり、十秒程、思考と表情が停止している。
〈アナタには──を救う──力が────〉
──いや、違う...。これは俺に話してる訳じゃない。それに先程のモヤがかかった音。まるで世界が情報を出すのを拒んでいるような...
〈だから──あの──聖戦を────〉
──あの...聖戦...?
カラは、目の前のクゥロに酷似している者が喋った"聖戦"という単語を聞き、なんの事かと推測する。しかし、今まで聞いてきた中で聖戦と呼ばれるような物は無く、疑問が残る。
〈どう──忘────〉
──ま、待ってくれ!!
声が途切れが激しくなって行く。カラは慌てて目の前の存在に手を伸ばそうとするも、目の前の存在は晴れた靄のように消える。
──い、一体...何、だった...んだ......。
クゥロに似た存在が消えた瞬間、急に意識が朦朧とし始める。カラはそれに抗う事も出来ず、そのまま深い眠りに入る事に。
「昨日ぶりに来たね...」
昨日と同じく、リャナンシーが近づくと、音を立てながらうねり始めるマビノギ。
「いつ見ても凄い樹だなぁ...」
「一応先に言っておきますが、レーシーにはもう話しておりますのでご安心を」
〝そうなのですね...!安心しました!〟
そんな話をしながら、リノアたちはリャナンシーの後を追い、段々とマビノギの奥の方へと進んでいく。
「そういえば、昨日はどうして質問に対して言い淀んだんじゃ?今日と昨日では、随分対応が違うようじゃが...」
アヴァロンは目を鋭くさせ、前を歩くリャナンシーを見つめる。リャナンシーはほんの少しピクリと反応したが、すぐに普通に戻る。
「...リャナンシー。多分此奴らなら話していいと思うぜ。それに、ここにはオレら以外いないしな」
最後尾にいるレーシーは、リャナンシーにそう言うと、少しばかりため息をつく。更に手元が少しばかり震えている様子。
「そうですね...。話しましょうか」
数秒無言が続いたあと、リャナンシーは言葉を紡ぐように話し始める。
「私は大地の声や、木々の記憶を読み取ることが出来るのですが、500年ほど前でしょうか...その声にほんの少しだけ綻びがあったのを発見したのです」
リャナンシーの話に、皆、釘付けになっており、先程まで話していたルヴラも無言になる。
「綻び...ですか?」
「はい。それはまるで空白のような、削除された穴のようなそんな物でした」
リャナンシーは、前を向いたまま答える。すると、目の前に階段が発現し、皆、少しばかりそっちに意識が割かれる。が、すぐに話は戻る。
「削除された穴...つまり、何者かによってティル・ナ・ノーグの記憶の一部が消されたという事ですか?」
「...おそらくそうだと私たち妖精王は考えています。しかし、そのような存在は、ティル・ナ・ノーグにおらず、もし外界にそのような存在がいたとしても、マビノギに一切触れないのはおかしい話なのです」
「...ふむ、確かにおかしな話じゃのう」
リャナンシーの話を聞いて、かなり考えるクゥロとアヴァロン。そんな二人を見て、顎に指を置き、考える振りをするルヴラ。
「人ひとりの記憶を消すじゃなく、国全体の記憶を消すって所がのぅ」
「それほどの力の持ち主ならば限られてくるはずだけど...」
先程の考えるフリは飽きたのか、頭の後ろで手を組み、小さく口笛を吹き始めるルヴラ。
「ん?」
すると、何か疑問に思ったのか口笛を止め、考え始める。
「どうしたんじゃ?」
「んー...多分だけどさ、その記憶を消した人って、自身に関する記憶も消してるんじゃないの?だってその方が合理的だし、辻褄合う気がするけど...」
ルヴラの言葉を聞き、確かにその方が...と納得するリノア達。
「...つまりルヴラさんは、ティル・ナ・ノーグには過去に記憶を操る存在が居て、その存在は自身とティルナノーグの記憶の一部を消した。と言うことを仰いたいわけですね?」
リャナンシーはそう言うと、ルヴラはそうそうと言うように二度頷く。
「記憶を操る...か」
「アヴァロン様どうしたんですか?先日も少し変でしたけど......」
アヴァロンは何か思うことがあったのか、ポツリとそんな言葉を呟くと、リノアは心配気味にアヴァロンを気にかける。
「いや、少しばかり思い出すことがあっただけじゃ。心配しなくとも良い」
「...そうなんですね......分かりました!」
アヴァロンの言葉を信じ、リノアは深く追求しないようにする事に。
「でも、現状それを知る方法がないって事だよね...」
「その通りです。そして私たちが今向かっている、マビノギの最下層にある部屋。そこにおそらく何かが隠されているのでは?と踏んでいるのです」
今向かっている所がそういった部屋だと言うことを知り、なるほどと言った納得の表情をするリノア達。
「ん?待って、なんで不確かな情報なの?妖精王ならマビノギことを知ってるんじゃないの?」
しかし、先程の言葉に疑問に思ったのか、クゥロはリャナンシーに問いかける。
「...その事なのですが、実は私たち妖精王は、完全にマビノギを知っている訳ではありません。更にいえば、ティル・ナ・ノーグにいつからマビノギがあるのかすら分からないのです」
「そ、そうなのですか!?」
リャナンシーの答えに、驚愕する一同。クゥロは、万が一のことを考え、後ろにいるレーシーを見る。
「なんでオレの方見んだ...。はぁ、リャナンシーの言ってることは事実だ。実際、いつの間にかティル・ナ・ノーグにあったんだよ。まるで今までもそこにあったかのようにな」
「今までもそこにあったかのように...。つまり、マビノギが生えた時期はティル・ナ・ノーグ建国と差があるということ?」
2人の話を聞き、クゥロはそういった質問を投げ掛けると、リャナンシーは頷き、話し始める。
「マビノギがあると認識し始めたのは6174年前ですが、ティル・ナ・ノーグが建国されたのは9万年以上も前の話です。マビノギが出始めたのは最近すぎるという訳です」
「...まぁ、建国と比較すれば最近ではあるけど......」
人間感覚で言えば、両方大昔のように感じてしまう。やはり長命種の感覚は理解できない。そんな感じのことを思うリノア達。
「確かに約6000年前と約9万年前、あまりにもかけはなれておるのぅ」
「いつ、どのようにマビノギが生まれたのか気になりますね」
そうして歩いていると、突然目の前の空間が広がり始める。そしてそこには2人の妖精が椅子に座ってるのが見える。
「ここが妖精王の会議室です」
「会合室ナ?ちゃんと正式名で言えヨ」
リャナンシーの言葉にチクリと棘を刺す、赤い一つ目で、全身が真っ黒い何かで包まれている存在。見た目は妖精のようには見えない。
「こ、怖...」
「キヒヒ...俺様が怖ェカ?そりャァ正常な判断ダ。俺様は『死』そのものだかンナ」
あざけ笑いながらこちらを見つめてくる。その目は赤く染っており、まるでこちら今にも殺しそうな勢いの目つき。そのおかげでリノアやシフィが怖がっている。
「まぁまぁ落ち着いたらどうだ?ナックラヴィー。この子達は、外界にいる魔王を倒してくれるかもしれない存在だぞ...。すまないね君たち、僕の名はムシュフシュ。日や光を担当している妖精王だ」
黒い妖精を落ち着かせ、更に、代わりに謝りながらこちらに挨拶してくれる、オレンジと赤で織り成された髪色の妖精。
「この人が光の...」
リノアたちは納得する。目の前の妖精が光であり日を担当している妖精だと言うことを。そしてリャナンシーは自身の席へと座る事に。
「...やっぱり、今回もローレライは来ないか」
空席を見つめ、少し悲しそうな表情をしながらムシュフシュ言うと、リャナンシーも少し落ち込み
「そのようですね...。仕方ないかもしれませんが、やはり、1度くらいは来て欲しいですね...」
と、空席であるローレライの席を見つめながら言う。しかし、そんな2人を見て呆れるナックラヴィー。
「ハッ。今更何言ってンダ?ティル・ナ・ノーグが出来てから9万年以上、未だにあの歌唱厨は会合室には来たことがねェ。期待したって無駄だロ。いい加減アイツの事は忘れろヨ」
「そんな言い方...」
「いいえ、ナックラヴィーの言う通りですね。あの子は自身の責務を全うしているだけ、私達は私達の事をしなければ」
ナックラヴィーの辛辣な発言を聞き、ムシュフシュは宥めようとするが、リャナンシーはナックラヴィーの言葉を受け止める。そんな3人の会話を見たリノアたちは、リャナンシーの事を強い妖精だなぁと関心する。
「さて、本題ですが...お二人共、マビノギについて話すことがあります」
リャナンシーが本題に入り、マビノギを話題に出すと、2人の雰囲気が真剣になる。
「...マビノギについて?」
「何故今更マビノギについてダ?何してももうあの樹は変わンねェだロ」
ナックラヴィーは現実的なことを言う。しかし当事者からすればそう思うのも無理はない。
「...いえ、マビノギと言うより正確に言えば、マビノギの記憶についてですね」
「マビノギの記憶?」
「あァ...なるほどナ。つまり循環女、テメェが言いてェのは、過去にあったあの異変の事だロ?」
ナックラヴィーは、その鮮血にも近い瞳でリャナンシー見つめながら問うと、リャナンシーはこくりと頷く。
「...あ!!君の話そうとしていることは、マビノギが突如発現した時の事かい?確かにあの時、違和感があったんだよね...。いつのまにあったんだって」
「はい。その事についてです。そして私の要件ですが、マビノギについてをこの外界の者たちに明らかにしてもらいます」
「え!?」
「は?」
リャナンシーとレーシー以外の皆が驚きと困惑の声をあげる。そう妖精王だけじゃなく、リノアやクゥロ達までもだ。
「...はァ、っぱりコイツ事前に話してねェのかヨ......」
「あはは...。いつも通りで何だか安心したよ」
リノア達の反応を見た妖精王は、呆れてモノも言えない様子。それに対しリノア達は、おそらくリャナンシーの用事の伝え忘れは前々からなんだろうなぁ....と理解する。
「あ!わ、忘れてました...!!申し訳ないです...」
「はァ...いィいィ。早く要件話セ」
リャナンシーは焦りながら謝るが、そんなのはいつもの事なので、ナックラヴィーは呆れながら急かす。
「は、はい!!このマビノギですが、6174年前に発現して以来、内部が探索不可能だった為、謎のままでした。ですが、今ここにいる外界の子達はティル・ナ・ノーグにいる存在ではないので、探索できるのでは!?と思ったわけなのです!」
「...つまり何ダ?この外界のガキ共がワンチャン、マビノギの謎を解いてくれンじャねェかって期待してンのか?」
「はい!その通りです!!」
リャナンシーの説明を聞き、即座に何を目的としているかを理解するナックラヴィー。リャナンシーの目的を聞き、考え込むムシュフシュとリノア達。すると、突然嘲笑うナックラヴィー。
「な、何ですか?ナックラヴィー。何か言いたいことがあるのですか?」
「言いたいことも何も、その提案、あまりにも博打すぎンだロ。このガキ共が必ずしもマビノギ内の空間に耐えられるとは限らねェ。その上、マビノギ内は何が起きンのか未知数すぎル。そこンとこも考えてテメェは言ってンのか?」
「...それは......」
事実その通り、リャナンシーの話すことはあまりに博打がすぎる。妖精王ですら入ったことの無い所に行く訳で、その中は耐えることが可能なのか?まず、入ったとして影響は無いのか?そこら辺の考慮が無い。下手すれば死ぬ可能性もあると言うのに、そこに行けと言うのは...。
そう思っていると、クゥロは手を挙げ、真剣な表情で
「私がそこに行くよ」
と、発言する。
あ、ども...
「ア?...テメェが文字カ」
あ、はい...文字です。こんにちはナックラヴィーさん
「ハッ。文字の癖に何で俺様見て怯えてンダ?」
い、いやぁ...やっぱり少し怖くて
「キヒヒ...ビビりだなァ。ンまぁ...怯える気持ちも分かるゼ?俺様は死を担当してる妖精王だからナ」
まぁでも、これ演技だけどね!
「...お前、意味分かんねェナ。調子狂うワ」




