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転生概念における願望空想論  作者: coll
ティル・ナ・ノーグ編
70/91

それ相応の

ティルナノーグが1番長くなりそうな予感をしています。ですが、頑張ろうと思います


いせロリ豆知識⑧

白光の泉は失った物を回帰させる。それは髪や靴と言ったものから、飼っていた動物や人間。そしてそれ以上の物ですら回帰させる。


しかしそれはあくまでも再現であり、完全に回帰する訳ではない。

次の日の朝、最初に起きたのはリノアであった。リノアは少し背伸びをした後、自身の布団を外に干し、朝食の支度をする。


「...ふあぁ......」


「あっクゥロ様!おはようございます!」


「ん〜。はよ〜ぅ...リノア〜......」


クゥロは腕を下に伸ばし、うつらうつらとリビングへゆっくり足を進めていく。


「出来るだけ早く顔を洗ってくださいね!あと、一応言っておきますが、布団等はわたくしがしておきますから安心してください!それと歯磨きもちゃんと忘れずに、ですよ!」


「ん、ありがと〜...」


このやりとりは、クゥロが王城に居た時からあった長いやりとりの為、リノアもクゥロも慣れており、クゥロは何一つ嫌な顔をせずそのまま洗面所へと向かう。その間、リノアは鼻歌を歌いながら朝食を作る。


「ふあぁ...」


すると、続くようにルヴラやアヴァロン達が起きてくる。リノアは先程の文言を変えず、皆に伝えると、眠そうな声で返事をし、同じく洗面所へと向かう。


「皆おはようだね〜...」


「ん〜...」


ルヴラが眠そうに洗面台にいる皆に言うが、リノア以外の全員が寝起きな為、返事もふわふわ。そのため、この会話に意味など皆無である。そんなこんなで歯磨きと顔を洗い終わると、ある程度目が覚め始める。


「今日のご飯はどんな感じ〜?」


「今日はこれですね!アスパラガスとブロッコリーをふんだんに使ったサラダですよ!そして飲み物はマテ茶...という物らしいです。イファさんのお母さんから貰ったものです。あ、一応エルドラドにいた時に1杯だけ飲みましたけど、ちゃんと美味しかったので大丈夫ですよ!」


朝から元気なリノアを見て笑顔になった後、皆リノアが作った朝食を食べ始める。


「ん〜...やっぱりリノアの作る料理うまぁ〜......」


〝いつも思うんですけど、料理上手いの凄いですよね...!尊敬します...!!〟


「え!ほんと!嬉しいよ!」


皆に褒められると、リノアは嬉しそうにご飯を食べ始める。



「一応皆聞くけど、皆、覚悟は決まってるんだよね?」


クゥロは再確認をするために、一人一人を見つめる。すると、皆、食べる手を止める。


「僕は昨日から言ってるよ!大好きなカラだからどんな条件を言われても助けるって!」


〝シ、シフィもですよ...!!〟


ルヴラとシフィはフォークを持ちながら右腕を上げる。そんな2人に、呆れながらも口角が上がる一同。


「そうじゃな。妾達は何回もカラに助けられてきたし、ここまで旅をしてきた仲間じゃ。じゃから助けるのは道理じゃな」


「わたくしもですクゥロ様。と言うかわたくしに至っては特にです!!カラ様はわたくしの...わたくしの......」


何故か言い淀むリノア。すると、徐々に顔が赤くなっていき、その赤さは、まるで煙が頭から出ているように見えるような程にまでなる。


「お主は何故自分で言おうとして照れとるんじゃ...。よく分からぬやつじゃのう」


「だ、だってさ...」


リノアはまたも言い淀み、指をくるくるとしていると、皆、呆れ笑いを浮かべる。


「そこまで無理して言わなくても、私たちは分かってるから大丈夫だよ」


優しく微笑むクゥロにそう言われ、リノアは皆の方を向くと、皆笑顔でリノアを見つめる。すると、だんだんと顔が赤くなっていくリノア。


〝ど、どうしたんですか?〟


「い、いや...だって......なんかちょっと...恥ずかしくて......ってこんなことしてる場合じゃないですよ!ここは独自の時間で進んでて、何時なのか分からないんですから早めに行く準備をしないと!」


話を変え、約束を忘れないように皆に念を押すリノア。すると、メタトロンが空間を操作し、空中を横に等速直線運動しながらこちらへとやってくる。


「いまのてぃる・な・のーぐじかんは、くじちょーど、ちなみにせかいのじかんは、ごごにじごじゅーごふんだよ〜」


そうやって今の正確な時間を伝えると、再び空間を歪ませ、その場から消える。


「時報...?」


「うーむ。いつでも時間を教えてくれるメタトロンか...。中々便利じゃのぅ」


〝天使を便利な物扱いしたらダメじゃないですか......?〟


時報のようなメタトロンに、様々な反応を見せるクゥロ達。そんな皆を見て、ため息を吐くリノアであった。



「はい、準備出来ましたか!!」


「...はい」


少し怒り気味で確認をするリノアと、申し訳なさそうに返事をするルヴラやシフィ達。先程、リノアは忠告したにも関わらず、無視しはしゃいでいた為だ。


「じゃあ行きますよ!」


そうして、クゥロ達は怒るリノアを先頭に、レーシーとの約束、そしてカラを治す為に家を後にする。しかし、リノアの機嫌が少し悪い為、気まずそうにするクゥロ達。


「...な、何か言って和ましてよ!クゥロ!」


「そんなの私に言われたって、リノアが機嫌損ねてるの初めて見たから分かんないし、幼なじみであるルヴラが無理なら私も無理だよ」


小声でルヴラに言われるクゥロだが、クゥロはルヴラの無茶ぶりを避けようとするが。


「まぁでも、妾達も悪いからのぅ。じゃからそうやって逃げようとするのは良くないぞ?クゥロよ」


そんなクゥロの肩を組み、笑顔で圧をかけるアヴァロン。そんな今の状況を見て、トボトボとリノアの方へと近づくクゥロ。


「えっと...リノア?」


「...なんですか?そんなに気まずそうな顔をして、何か悪いことでもしたんですか?心当たりありそうですけど」


そんなことを口にするが、その顔は怒っている。その様子を見て、更に気まずくなるクゥロやアヴァロン達。


「あー...。さっきははしゃぎすぎたこと、謝りたくて...その...ごめんリノア......」


クゥロが深く頭を下げ謝罪すると、後ろにいるアヴァロン達もきちんと頭を下げる。そんなみんなをチラりと見ると、クゥロ達の方へと振り返る。


「...もう、頭をあげてください。クゥロ様達」


リノアにそう言われ、クゥロ達は顔を上げる。するとリノアは後ろ手でいたずらに笑いながら


「さっきのは冗談ですよっ!わたくしもそんなので怒るほど短気じゃありませんから!」


とクゥロ達に言う。そんなリノアの発言に呆然としながら数回ほど瞬きをした後、肩を下ろして思い思いの事を喋り出す。


「さ、早く行きましょ!」


リノアは楽しそうにスキップしながら前へ前へと進んでいく。



「さて、約束の場所に着いたが...」


しかし周りを見渡しても、レーシーの姿は見当たらない。


「やっぱ騙されたのかな?」


「...でも、こうするしか方法は無いし......」


そんなことを話していると、草木が揺れる音が聞こえる。何かいる。そう理解するとリノアたちは戦闘態勢に入る。


「おいおい、そう警戒するなよ...。お前たちがここにいるのはオレしか分かんねぇんだから、敵が来るわけないだろ...」


「...えっ?」


「な、何で...」


笑いながらも目の前に現れるレーシー。しかし、リノア達はレーシーが来たから驚いている訳ではない。その後ろにいる者に驚いている。


「何でって......あぁ、すまねぇ。コイツはオレが連れてきたんだ。森の妖精王、リャナンシーだ」


「はい。2度目の再会...ですね。皆さん」


リャナンシー。ここ妖精の丘(シー)の王だと言うことは昨日教えてもらった為、ちゃんと知っている。しかし、それよりも何故レーシーがリャナンシーと一緒にいるのかが疑問なのだ。


「その顔...。私が何故レーシーと一緒にいるのか疑問のようですね」


「え、マジ?オレ言ったんだけどなぁ...コイツと幼なじみだって」


「い、いやいやいや!!幼なじみだとしても王なんだから、1人の言葉で動かせる訳ないでしょ!!」


ルヴラの言う通り、リャナンシーは妖精王。幼なじみの声1つで王一人を動かすなど出来るわけが無い。すると、リャナンシーはレーシーと入れ替わるように前に出てくる。


「これは機密事項で、本来王とその血縁が最も近い者にしかお伝えされないのですが...皆さんは外界の者、そして、転生者一行の者、ですので、皆さんにだけお伝えします」


前で手を組み、真剣な面持ちで話しかけるリャナンシー。そして彼女が言った機密事項という単語。この話はかなり重要な話だと感じ、リノア達も真剣な表情になる。


「レーシーは私の幼なじみで、普通の生活を暮らしていますが、それは表の話で、本当はレーシーは妖精王を護る賢者...簡単に言えば、守護者と呼ばれるものですが。それを担当しており、陰ながら私を守ってくれるのです」


「賢者ですか...」


リノア達は、後ろで木にもたれかかっているレーシーを見る。レーシーは見られていることに気づき、笑顔で手を振る。そんなレーシーに少し引き気味なリノア達。


「...あんな感じで自由人で、怪しいところもありますが、私の幼なじみであり、賢者なので信頼はしてあげて下さい」


「あの、質問をしても良いですか?」


クゥロは少し控えめに手を上げる。リャナンシーはクゥロの方を見て頷くと、クゥロは質問を話し始める。


「その賢者というものは他の妖精王にもあるのですか?」


「はい。ありますよ。妖精王一人につき一人賢者がいて、全員正体を隠しながらティルナノーグにいます。ですので、賢者について表立っては話すのは控えて欲しい。とだけ伝えさせていただきますね」


「...なるほど」


リャナンシーの答えを聞き、リノアは納得する。すると今度は元気よく手を挙げる姿が見える。


「はいはいはいはーい!!僕から質問!!」


ルヴラはジャンプをしながらそう言うと、リャナンシーは思わず笑みを浮かべる。


「ふふっ。良いですよ」


「レーシーから聞いたって事は、カラの事も知ってるってことだよね?なら、カラは治せるのか聞きたい!」


そう言うと、リャナンシーの表情は一変し、真剣な表情になる。


「貴女達の仲間であるカラさんについてですが...。私たち妖精王の力では不可能であると言う答えが決まりました」


「...やはりそうか」


リャナンシーからそんな話を聞き、一同は落ち込み、辺りにどんよりとした空気が漂う。


「ですが、妖精王で無理ならば、マビノギに頼る他ありません」


「...マビノギに?」


「はい」




──暗い...。まるで力無く深海の中へと沈んでいくみたいだ...。身動きが取れない...。何かに縛られている...?でも思考は出来る......。


〈転生者──────〉


──何だ...?何かに呼ばれているような...。でもごめん。まだ何も動かせないんだ...。カラの仲間がカラを助けてくれる事を願って...。


〈目を──開けて────〉


──目を開けて...?今は無理だ。目を開けることすら...


そう思いつつ、深く暗い意識の中、目を開けようとしたら、簡単に開くことが出来た。


──目はひらけるのか......


そんな現状に少し驚きつつも、最初に見えた目の前の景色は、鏡のような乱反射した謎の空間だった。


──な、何...ここ......


〈ここは�����────〉


今見ている光景に驚いていると、再び脳内に消えそうな程優しい声が聞こえる。突然カラの背後に気配を感じ、敵かと急いでバッと振り返る。しかし、そこに居たのは敵ではない。

紺の髪、灰色の目。美しく端正な顔立ち、そして、無機質ながらも優しく微笑んでいる表情。その姿はまるで...


──クゥ...ロ......?

「あの、文字さん」


はいなんですか


「わたくし、思ったことがあるんです」


お?何でしょう


「文字さん、カラ様にだけ少し厳しくないですか?」


...え?そう?


「だって、傷つけさせたり、意識不明にさせたりしてるじゃないですか!」


い、いや...主人公ってそんなもんだよ!?


「なんなの関係ありません!!」


ちょ、ちょいちょい待て待て待────






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