それ相応の
ティルナノーグが1番長くなりそうな予感をしています。ですが、頑張ろうと思います
いせロリ豆知識⑧
白光の泉は失った物を回帰させる。それは髪や靴と言ったものから、飼っていた動物や人間。そしてそれ以上の物ですら回帰させる。
しかしそれはあくまでも再現であり、完全に回帰する訳ではない。
次の日の朝、最初に起きたのはリノアであった。リノアは少し背伸びをした後、自身の布団を外に干し、朝食の支度をする。
「...ふあぁ......」
「あっクゥロ様!おはようございます!」
「ん〜。はよ〜ぅ...リノア〜......」
クゥロは腕を下に伸ばし、うつらうつらとリビングへゆっくり足を進めていく。
「出来るだけ早く顔を洗ってくださいね!あと、一応言っておきますが、布団等はわたくしがしておきますから安心してください!それと歯磨きもちゃんと忘れずに、ですよ!」
「ん、ありがと〜...」
このやりとりは、クゥロが王城に居た時からあった長いやりとりの為、リノアもクゥロも慣れており、クゥロは何一つ嫌な顔をせずそのまま洗面所へと向かう。その間、リノアは鼻歌を歌いながら朝食を作る。
「ふあぁ...」
すると、続くようにルヴラやアヴァロン達が起きてくる。リノアは先程の文言を変えず、皆に伝えると、眠そうな声で返事をし、同じく洗面所へと向かう。
「皆おはようだね〜...」
「ん〜...」
ルヴラが眠そうに洗面台にいる皆に言うが、リノア以外の全員が寝起きな為、返事もふわふわ。そのため、この会話に意味など皆無である。そんなこんなで歯磨きと顔を洗い終わると、ある程度目が覚め始める。
「今日のご飯はどんな感じ〜?」
「今日はこれですね!アスパラガスとブロッコリーをふんだんに使ったサラダですよ!そして飲み物はマテ茶...という物らしいです。イファさんのお母さんから貰ったものです。あ、一応エルドラドにいた時に1杯だけ飲みましたけど、ちゃんと美味しかったので大丈夫ですよ!」
朝から元気なリノアを見て笑顔になった後、皆リノアが作った朝食を食べ始める。
「ん〜...やっぱりリノアの作る料理うまぁ〜......」
〝いつも思うんですけど、料理上手いの凄いですよね...!尊敬します...!!〟
「え!ほんと!嬉しいよ!」
皆に褒められると、リノアは嬉しそうにご飯を食べ始める。
「一応皆聞くけど、皆、覚悟は決まってるんだよね?」
クゥロは再確認をするために、一人一人を見つめる。すると、皆、食べる手を止める。
「僕は昨日から言ってるよ!大好きなカラだからどんな条件を言われても助けるって!」
〝シ、シフィもですよ...!!〟
ルヴラとシフィはフォークを持ちながら右腕を上げる。そんな2人に、呆れながらも口角が上がる一同。
「そうじゃな。妾達は何回もカラに助けられてきたし、ここまで旅をしてきた仲間じゃ。じゃから助けるのは道理じゃな」
「わたくしもですクゥロ様。と言うかわたくしに至っては特にです!!カラ様はわたくしの...わたくしの......」
何故か言い淀むリノア。すると、徐々に顔が赤くなっていき、その赤さは、まるで煙が頭から出ているように見えるような程にまでなる。
「お主は何故自分で言おうとして照れとるんじゃ...。よく分からぬやつじゃのう」
「だ、だってさ...」
リノアはまたも言い淀み、指をくるくるとしていると、皆、呆れ笑いを浮かべる。
「そこまで無理して言わなくても、私たちは分かってるから大丈夫だよ」
優しく微笑むクゥロにそう言われ、リノアは皆の方を向くと、皆笑顔でリノアを見つめる。すると、だんだんと顔が赤くなっていくリノア。
〝ど、どうしたんですか?〟
「い、いや...だって......なんかちょっと...恥ずかしくて......ってこんなことしてる場合じゃないですよ!ここは独自の時間で進んでて、何時なのか分からないんですから早めに行く準備をしないと!」
話を変え、約束を忘れないように皆に念を押すリノア。すると、メタトロンが空間を操作し、空中を横に等速直線運動しながらこちらへとやってくる。
「いまのてぃる・な・のーぐじかんは、くじちょーど、ちなみにせかいのじかんは、ごごにじごじゅーごふんだよ〜」
そうやって今の正確な時間を伝えると、再び空間を歪ませ、その場から消える。
「時報...?」
「うーむ。いつでも時間を教えてくれるメタトロンか...。中々便利じゃのぅ」
〝天使を便利な物扱いしたらダメじゃないですか......?〟
時報のようなメタトロンに、様々な反応を見せるクゥロ達。そんな皆を見て、ため息を吐くリノアであった。
「はい、準備出来ましたか!!」
「...はい」
少し怒り気味で確認をするリノアと、申し訳なさそうに返事をするルヴラやシフィ達。先程、リノアは忠告したにも関わらず、無視しはしゃいでいた為だ。
「じゃあ行きますよ!」
そうして、クゥロ達は怒るリノアを先頭に、レーシーとの約束、そしてカラを治す為に家を後にする。しかし、リノアの機嫌が少し悪い為、気まずそうにするクゥロ達。
「...な、何か言って和ましてよ!クゥロ!」
「そんなの私に言われたって、リノアが機嫌損ねてるの初めて見たから分かんないし、幼なじみであるルヴラが無理なら私も無理だよ」
小声でルヴラに言われるクゥロだが、クゥロはルヴラの無茶ぶりを避けようとするが。
「まぁでも、妾達も悪いからのぅ。じゃからそうやって逃げようとするのは良くないぞ?クゥロよ」
そんなクゥロの肩を組み、笑顔で圧をかけるアヴァロン。そんな今の状況を見て、トボトボとリノアの方へと近づくクゥロ。
「えっと...リノア?」
「...なんですか?そんなに気まずそうな顔をして、何か悪いことでもしたんですか?心当たりありそうですけど」
そんなことを口にするが、その顔は怒っている。その様子を見て、更に気まずくなるクゥロやアヴァロン達。
「あー...。さっきははしゃぎすぎたこと、謝りたくて...その...ごめんリノア......」
クゥロが深く頭を下げ謝罪すると、後ろにいるアヴァロン達もきちんと頭を下げる。そんなみんなをチラりと見ると、クゥロ達の方へと振り返る。
「...もう、頭をあげてください。クゥロ様達」
リノアにそう言われ、クゥロ達は顔を上げる。するとリノアは後ろ手でいたずらに笑いながら
「さっきのは冗談ですよっ!わたくしもそんなので怒るほど短気じゃありませんから!」
とクゥロ達に言う。そんなリノアの発言に呆然としながら数回ほど瞬きをした後、肩を下ろして思い思いの事を喋り出す。
「さ、早く行きましょ!」
リノアは楽しそうにスキップしながら前へ前へと進んでいく。
「さて、約束の場所に着いたが...」
しかし周りを見渡しても、レーシーの姿は見当たらない。
「やっぱ騙されたのかな?」
「...でも、こうするしか方法は無いし......」
そんなことを話していると、草木が揺れる音が聞こえる。何かいる。そう理解するとリノアたちは戦闘態勢に入る。
「おいおい、そう警戒するなよ...。お前たちがここにいるのはオレしか分かんねぇんだから、敵が来るわけないだろ...」
「...えっ?」
「な、何で...」
笑いながらも目の前に現れるレーシー。しかし、リノア達はレーシーが来たから驚いている訳ではない。その後ろにいる者に驚いている。
「何でって......あぁ、すまねぇ。コイツはオレが連れてきたんだ。森の妖精王、リャナンシーだ」
「はい。2度目の再会...ですね。皆さん」
リャナンシー。ここ妖精の丘の王だと言うことは昨日教えてもらった為、ちゃんと知っている。しかし、それよりも何故レーシーがリャナンシーと一緒にいるのかが疑問なのだ。
「その顔...。私が何故レーシーと一緒にいるのか疑問のようですね」
「え、マジ?オレ言ったんだけどなぁ...コイツと幼なじみだって」
「い、いやいやいや!!幼なじみだとしても王なんだから、1人の言葉で動かせる訳ないでしょ!!」
ルヴラの言う通り、リャナンシーは妖精王。幼なじみの声1つで王一人を動かすなど出来るわけが無い。すると、リャナンシーはレーシーと入れ替わるように前に出てくる。
「これは機密事項で、本来王とその血縁が最も近い者にしかお伝えされないのですが...皆さんは外界の者、そして、転生者一行の者、ですので、皆さんにだけお伝えします」
前で手を組み、真剣な面持ちで話しかけるリャナンシー。そして彼女が言った機密事項という単語。この話はかなり重要な話だと感じ、リノア達も真剣な表情になる。
「レーシーは私の幼なじみで、普通の生活を暮らしていますが、それは表の話で、本当はレーシーは妖精王を護る賢者...簡単に言えば、守護者と呼ばれるものですが。それを担当しており、陰ながら私を守ってくれるのです」
「賢者ですか...」
リノア達は、後ろで木にもたれかかっているレーシーを見る。レーシーは見られていることに気づき、笑顔で手を振る。そんなレーシーに少し引き気味なリノア達。
「...あんな感じで自由人で、怪しいところもありますが、私の幼なじみであり、賢者なので信頼はしてあげて下さい」
「あの、質問をしても良いですか?」
クゥロは少し控えめに手を上げる。リャナンシーはクゥロの方を見て頷くと、クゥロは質問を話し始める。
「その賢者というものは他の妖精王にもあるのですか?」
「はい。ありますよ。妖精王一人につき一人賢者がいて、全員正体を隠しながらティルナノーグにいます。ですので、賢者について表立っては話すのは控えて欲しい。とだけ伝えさせていただきますね」
「...なるほど」
リャナンシーの答えを聞き、リノアは納得する。すると今度は元気よく手を挙げる姿が見える。
「はいはいはいはーい!!僕から質問!!」
ルヴラはジャンプをしながらそう言うと、リャナンシーは思わず笑みを浮かべる。
「ふふっ。良いですよ」
「レーシーから聞いたって事は、カラの事も知ってるってことだよね?なら、カラは治せるのか聞きたい!」
そう言うと、リャナンシーの表情は一変し、真剣な表情になる。
「貴女達の仲間であるカラさんについてですが...。私たち妖精王の力では不可能であると言う答えが決まりました」
「...やはりそうか」
リャナンシーからそんな話を聞き、一同は落ち込み、辺りにどんよりとした空気が漂う。
「ですが、妖精王で無理ならば、マビノギに頼る他ありません」
「...マビノギに?」
「はい」
──暗い...。まるで力無く深海の中へと沈んでいくみたいだ...。身動きが取れない...。何かに縛られている...?でも思考は出来る......。
〈転生者──────〉
──何だ...?何かに呼ばれているような...。でもごめん。まだ何も動かせないんだ...。カラの仲間がカラを助けてくれる事を願って...。
〈目を──開けて────〉
──目を開けて...?今は無理だ。目を開けることすら...
そう思いつつ、深く暗い意識の中、目を開けようとしたら、簡単に開くことが出来た。
──目は開けるのか......
そんな現状に少し驚きつつも、最初に見えた目の前の景色は、鏡のような乱反射した謎の空間だった。
──な、何...ここ......
〈ここは�����────〉
今見ている光景に驚いていると、再び脳内に消えそうな程優しい声が聞こえる。突然カラの背後に気配を感じ、敵かと急いでバッと振り返る。しかし、そこに居たのは敵ではない。
紺の髪、灰色の目。美しく端正な顔立ち、そして、無機質ながらも優しく微笑んでいる表情。その姿はまるで...
──クゥ...ロ......?
「あの、文字さん」
はいなんですか
「わたくし、思ったことがあるんです」
お?何でしょう
「文字さん、カラ様にだけ少し厳しくないですか?」
...え?そう?
「だって、傷つけさせたり、意識不明にさせたりしてるじゃないですか!」
い、いや...主人公ってそんなもんだよ!?
「なんなの関係ありません!!」
ちょ、ちょいちょい待て待て待────




