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転生概念における願望空想論  作者: coll
ティル・ナ・ノーグ編
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求める物と求める物

いせロリ豆知識⑦

レーシーが吸っているトゥバックはこっちの世界で言うタバコと同じです。しかし、この世界では好んで吸う人は極小数の為、リノア達が見たことないという訳です。

「白光の泉......」


リノア達は目の前の白く輝く泉を見て、その美しさに目を奪われる。


「あまり直視しすぎるなよ。この泉は生命をダメにする泉だからな」


そう言いながら、レーシーは泉の横を通っていく。


「生命をダメにする泉...とは?」


「この泉は失った物を回帰させると言う効果があってな。そのせいで昔は、数多くの生物がこの泉に入り浸っていたのさ。まぁでも、妖精王達が即刻禁止区域にし、無断で入った者を死刑にしていたから、すぐに泉に群がる生物はいなくなったが」


「し、死刑...。でもまぁ妥当な判断だよね...」


レーシーの話を聞き、この泉の危険性を知るリノア達一行。


「あれ?でも僕たち今ここにいるけど、それは大丈夫なの?」


「ん?ああ、大丈夫。バレなきゃ犯罪じゃねぇから」


ルヴラの問いに満面の笑みでそう答えるレーシー。何が大丈夫なのかと一同疑問に思いつつ、レーシーの後をしっかりと着いていく。


「...?」


泉の横を通ると、クゥロは何かが一瞬写ったように見える。それがなにか気になったクゥロは泉を少し近くで見る。すると、そこには自分と似たような姿をした者がいた。


「えっ...これ......」


「クゥロ様ー!早く行かないと!あと泉は見ちゃダメですからねー!!」


泉をよく見ようと少し近づくも、リノア達はクゥロが来ていないことにすぐに気づき、止まってそう忠告する。


「...う、うん。分かってる」


早足でリノア達の方へ向い、合流する。クゥロは先程の謎が残るが、今は優先すべきことがあるため、皆の所へと向かう。


「...」


クゥロ、お主...。


アヴァロンは、先程のクゥロの行動に少し疑問を抱き、もしや?と思ったが、今は話すべきではないと思い、無言のまま一緒に歩いていく。


「先程の泉でないのだとしたら、一体どこなんですか?」


リノアは周りを見ながら、少々文句混じりにそう質問するが、レーシーは、まぁ待ってな?と言わんばかりのドヤ顔でふふんと笑うだけ。


〝な、なんかレーシーさんって、結構おちゃらけキャラですよね...〟


「うむ。それは妾も思う」


レーシーのあまりの自由さ加減に、シフィは横棒にでもなったかのような目をし、困惑気味にそうアヴァロンに言う。


「まぁそう言いなさんな!もう少しで着くから」


「本当ですか〜...?」


ルヴラはレーシーを疑いの目で見ていると、本当に森から抜ける。そして目の前には建物があるのがわかる。


「何ここ?」


「ここはリャナンシーの実家だ」


「え!?」


レーシーの発言に驚愕するリノア達だが、レーシーはそんなことより。と前置きをし、傍にある切り株に座る。


「君たち、何しにティル・ナ・ノーグに来た?」


レーシーの鋭い冷徹な眼光がリノア達に刺さる。長年生きているからこその勘なのか全く分からないが、その言葉を聞き、リノア達は真剣な顔つきになる。


「こ、これ...答えるのミスったら殺されるんじゃないですか...!?」


「そんなのわかんないよ...!!」


そんな事を小声で話しているリノアとルヴラ。その2人を横目でチラっと見た後、すぐにレーシーを警戒する目で見つめるクゥロ。


「まぁ待てクゥロよ、そう警戒するな」


そんなクゥロを見たアヴァロンは、落ち着かせるためにクゥロを止める。


「...レーシー。何故そんなことを聞く?」


「そんなもん簡単だ。この国に来る存在なんてここ600年間1人も居なかった。本来この国は、認識阻害された結界によるバリアで囲われてる国だ。どのように来たかも気になるが...それよりもその目的の方がオレは気になるんだよ」


レーシーはリノア達を厳重警戒しているからか、微量ながらにオーラを解き放つ。恐らく嘘をつくのを封じる為になのだろう。


微量なオーラながら、格上であると理解したリノア達は固唾を飲む。しかしアヴァロンは、そのオーラに屈する事なく話を始める。


「...なら妾達がティル・ナ・ノーグに来た目的を話す。じゃが出来るだけ妾達を助けてくれはせんか」


アヴァロンの発言を聞き、先程の圧が少し薄れるレーシー。何故なら自分に助けを乞うとは思いもしなかったからである。しかし、警戒を完全に消さずに


「...それは内容によるな」


と、冷静にアヴァロンの要求に答える。しかし、話を聞いてくれるだけでも。とアヴァロンは頷く。そしてクゥロに話の主導権を譲る事に。


「自己紹介を先にします。私はクゥロ。クゥロ・スリュア・バットゥヴェリと申します。一応ですがラヴィリニの姫をしております」


クゥロは礼儀正しく、深々と頭を下げて礼をし、自身の身のうちを話す。


「...ふむ、王族の者か......。何故旅をしてるのか分からんが、まぁ良い。話を続けてくれ」


「私たちがこの国に来た理由は一つです。私たちの仲間であるカラを、瀕死状態から治してはくれませんか...!」


真剣な眼差しでクゥロは訴えかける。しかしレーシー目線では瀕死な人などおらず、疑問に思っている。すると、後ろにいる天使のメタトロンを引っ張り出すリノア達。それを見たレーシーは驚愕する。


て、天使族!?何故この者らは天使を率いているのだ!!更にあの天使はもしやメタトロンではないか!?まさかこの者ら......。


なんとなく、目の前の旅する者たちがとんでもない存在ではないのか?と察するレーシー。


「ほら、メタ起きて!!」


「んぅ......?んんぅ...。ほい」


ほとんど寝ている状態でメタトロンは空間を操作し、カラを無から取り出す。未だ尚、メタトロンによる身体時間逆行の効果で怪我こそはしていないが、気絶している。


「...その者がカラか?」


「はい...。この人がカラです」


レーシーがそう確認を取ると、クゥロ達は頷く。するとレーシーはカラの方に近づきゆっくりと屈む。


「一旦よく見させてくれ」


無言で頷く。緊張しながらも2人をただ見つめるリノア達。


一秒一秒の時間の流れが長く感じるこの瞬間。それは心臓の鼓動が止まったように思える程に。すると、レーシーは一瞬驚いた後、眉をしかめ、目を細める。2秒ほど何か考えた後、スッと立ち上がる。


「これは瀕死状態ではない。異能力イレギュラーによる意識不明だ」


「...え?異能力イレギュラー...ですか......?」


想定外...いや、知らない単語を聞き、皆の思考がその単語でいっぱいになり、停止する。


異能力イレギュラーとは、魔力による物とは異なる力のことを言うのだが...。もしや外界の者はこの力を異能力イレギュラーとは呼ばないのか?」


「私たち、外の世界ではスキルという単語があるんですが、多分これが貴方たちで言う異能力イレギュラーと呼ばれる物と同一の物...だと思います」


クゥロがそう答えると、レーシーは指を顎に添え、何かを考えている様子。


「なるほど理解した...。ならば君らにも分かりやすいように、君たちの前ではスキルと呼ぶ事にするよ」


レーシーは歯を見せ笑うと、すぐさま真剣な表情に戻る。


「そのスキルによってこの子...カラは意識不明になってる。これは多分神聖魔法じゃないと不可能だと思う」


「神聖魔法...ですか」


この言葉を聞き、クゥロは深く考える。しかしその隣では神聖魔法って何だっけ?とルヴラとリノアが話しているのが見える。


「けど、神聖魔法という最上位の魔法なんて、ここティル・ナ・ノーグでは妖精王しか使うことが出来ない。そして、申し訳ないけど、今の妖精王の魔法系統的に、この子を治すことは限りなく不可能に近い」


リノア達の表情は絶望に変わる。レーシーの言った不可能という言葉。その言葉が耳に入った瞬間、周りの風景が真っ白に見え、風の音すらも聞こえなくなる。それほどの戸惑。


「......え?...不、可能......って...」


「...なんとなくそうではないかと思っておったわ」


アヴァロンは目を俯かせ、重い声色でため息混じりに呟く。


「な、なんで分かってたの!?」


「妖精王は『循環』『夜』『日』『歌』の4人。どれもカラを治せる様な力が無いんじゃよ...」


焦りからか、かなり強い語気でアヴァロンに質問するルヴラだが、そんなルヴラにアヴァロンは冷静に答える。


〝た、確かに考えてみればそうです...〟


「そんな...」


最悪の状況に、リノア達は沈黙する。しかし、その沈黙を破るようにレーシーは咳払いをする。


「君たちに落ち込ませるようなことを言ってすまない。だが、実際問題、妖精王達でカラを治すことが出来ないのも事実なんだ。しかしだ。一つだけ、たった一つだけ可能性があるんだ」


「可能性...ですか?」


「お、教えてください!!どれだけ確率が低くても良いです!!是非お願いします!!」


レーシーの発言をきき、リノアは涙を流しながら、必死にそう願う。レーシーは皆の方を向くと、全員頷く。その覚悟を見たレーシーは了承する。


「分かった。けれどこれはあくまで可能性の話。必ず成功するとは限らないからそこだけ入念に置いといて」


「...分かりました」


そうして忠告をすると、レーシーは1拍置いて可能性の話について語り始める。


「ティル・ナ・ノーグには、妖精王が許可した者にしか入れない部屋があるのは分かるな?」


「...確かにありましたね」


レーシーの話を聞き、先程のリャナンシーの部屋を思い出すリノア達。


「その妖精王の部屋には、地下に繋がる階段があってな。その階段を下り、洞窟を辿っていくと、中央のマビノギに着く。そこには会議室があるんだが...実はそこには更に下の階層があってな。その下には、妖精王の中ですら開けることの出来ない、謎の空間があるんだ」


「地下にある謎の空間...ですか?」


「あぁ、そこならもしかすると可能性はあるかもしれない」


リノア達はその話を聞き、グッと力強く拳を握り、そこに行く為に頑張らなければ。と意気込むが、木にもたれかかっていたアヴァロンは、レーシーの方に近づく。


「お主、もしその話が真実だとして、無償で動くほど優しい者でも無いじゃろう?」


アヴァロンの鋭い目つきがレーシーを刺す。そして、レーシーもアヴァロンの頭の良さに驚愕しつつも睨む。


「...鋭いな。流石剣神、素晴らしい。あぁそうだ。妖精王が許可した者のみ通れる所から中央のマビノギへ行き、そこから妖精王の血筋ですら入れない謎の空間の情報も渡してるんだ。当然、対価は必要だろ」


レーシーはニヤケながらそう言う。当たり前の話だ。妖精王すら入れないエリアに行くのだから等価交換というものが必要だ。しかし、それを考えるには時間が...そう思っているとレーシーは、しかし!!と大声で叫ぶ。リノア達はいきなりの声に驚く。


「これらの条件を提示するのだから、すぐに決めることは出来ないはずだ。だから明日、ここに集まろう。話はそれからだ。それと、君たちはこの家、使っても良いからな」


そう言うとレーシーは森の中へと入っていき、段々とその姿が消えていく。


「...一応、宿は見つかった......ね」


ルヴラがそう言うと、皆、目の前にある家の中へと入っていく。


「とりあえずどうします...?」


「どうするも何も、カラを助ける為ならやるしかないでしょ!!」


〝で、でもレーシーさんの要求がもしかしたら、とんでもないものかもしれませんよ...?〟


荷物を置いた途端、無言から一転。一同は一斉に話し合う。するとクゥロが口を開ける。


「私はレーシーさんの対価を飲むよ」


〝クゥロさん...〟


「妾も、この件に関しては飲むべきな気がするのぅ...。そうしなければカラが治ることは一生なさそうじゃしな...」


すると、続いてアヴァロンも肯定の意見を述べる。


「ですが、そうなると不安が残りますよね...。要求がどのような物なのか......」


「そんなこと考えてられないよリノア!これはカラの為なんだから...!」


真っ直ぐな瞳でリノアを見つめるルヴラ。リノアはゔ〜...と唸り声を出し、悩んでいる様子。


「わ、分かった...!!もう...カラ様の為って言われたら断れないじゃない!全くズルいなぁ...」


「ふっ...はははっ!それはリノアだけじゃないよ!ここにいる皆、カラの事が大好きなんだから、問答無用で助けるに決まってるじゃん?ね!」


ルヴラの発言に一瞬驚くも、その通りすぎるからだろうか。皆、笑みが零れる。


「...それもそうだね!」


いやぁ良いねぇ...。仲間愛なのか、ただの好きな人バフなのかは分からないけど


「おそらく後者じゃろうな」


あ、アヴァロンさん


「よ、久しぶりじゃな」


やっぱりそうですか。恋というものは素晴らしいですね


「それは妾も思うのぅ...。恋の力は時に勇気を奮い立たせ、本来湧きでない力が出るからのぅ」


なるほど...。こちとら恋はした事ないので分からないですかそうなんですねぇ...ってアレ?アヴァロンさんは恋をしたことあるんですか?


「いやいや妾7万年生きとるんじゃぞ?それぐらいの知識はあるじゃろ」


...それもそうですね

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