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転生概念における願望空想論  作者: coll
黄金郷編
64/91

喪失、そして

いせロリ豆知識:メタトロンは主最強格のゼウス、ユピテルに匹敵するかそれ以上の実力です。

「...サタンが消えた」


同時刻。とある城内の中央にある玉座の間にて座り、頬杖をつきながらロキは呟いた。その言葉を聞き、その場にいた他の七大悪魔が驚愕し、ざわつき始める。


「き、消えたと言うことは、つまり存在そのものが、という事ですか!?」


ロキの隣にいる堕天使の翼が生えている悪魔は、信じられないと言った表情をしながらロキに聞く。その問いにロキは目を瞑り沈黙する。


「な、なんということだ......」


ロキの沈黙が意味する事は肯定と同意義である。そんなロキの返答にショックを受けるモノクルの悪魔。


「まさかぁ......。あの転生者がぁやったってことぉ?」


玉座の肘掛けにもたれ掛かっている悪魔は、もったりとした口調でロキに質問をする。


「いやそんな訳なくね?あの子供はまだサタン倒すほどの実力持ってないっしょ!」


半笑いの軽い悪魔は、転生者であるカラを侮辱しながら、その憶測を否定する。


「レヴァの言う通り、まだあの転生者は存在抹消が出来るほど強いわけが無いだろう。それくらいも分からないのか全く」


ロキから1番離れている悪魔は、腕を組みながら冷静に転生者の現状の力と、サタンが消えたと言う事実を基に、肘掛けにもたれている気だるげな悪魔を愚弄する。


「......ねぇ、いっつも思うけどぉ、一言余計じゃなぁ〜い? あんた七大悪魔のはぐれ者なんだからぁ、ちゃんと立場を弁えたらぁ?」


その悪魔は、眠たげに目を細めながらも、言葉には微かな棘が混じる。だが、腕を組んだ悪魔は表情を変えず、冷ややかな視線をその悪魔へ向ける。


「はぐれ者なのは前々から気づいている。だが、七大悪魔としての立場と実力は違うだろう。それともなんだ。お前は私に勝てるとでも思っているのか? 力の差は明らかだが」


その言葉に、膝掛けにもたれかかっている悪魔はむっと頬を膨らませた。


「......はぁいはい。言ってろってぇの...。こんな上から目線で、貶してばっかなのに実力は1番なんて、ほんと不服なんだけどぉ...」


「仕方ない。それが現実だからな」


薄ら笑いで言うと、またも頬を膨らませ、怒り始める。その瞬間、玉座の間の扉が音もなく開いた。


「......あら?また言い争いですか?本当、いつもいつも飽きないですね」


ゆったりとした足取りで現れたのは、艶やかな巻き髪と華やかなドレスを纏った悪魔が登場する。口元には微笑を湛えているが、その瞳は氷のように冷たい。


「ベルフェゴール様、ベルゼブブ様。無駄な争いは見苦しくてよ? 七大悪魔の威厳が泣いていますわ」


「ふん......」


とベルゼブブは鼻で笑った後、柱にもたれかかる。


「うっさいぃ......」


対してベルフェゴールは、べーっと舌を出し、ほんのり不機嫌そうに小さく呟く。


「この2人の言い争いなんて、いつもの事なんだから気にしなくていーのに」


レヴァは、そんなお嬢様口調の悪魔であるアスモデウスに、軽く笑いながらそう助言する。しかし、彼女は自身の為に指摘している。その為、そんなレヴァの言葉に言及せずに微笑む。そんなアスモデウスに対し、悪戯っぽく小さく舌を出すレヴァ。


そんなやり取りを無言で見守っていたロキが口を動かした瞬間。その場が静まり返る。玉座の上、ロキは半眼を開き、ゆっくりと足を組み直す。


「サタンは消えた......文字通り、"この世界において存在していた筈の痕跡"ごと...」


再びざわつきかける空気を、ルシファーの一言が制した。


「...それが、事実であるならば。ロキ様、それは......神々や主すら為し得ぬ禁忌。まさか、"概念"すらも破壊された可能性がある。という事でしょうか?」


「おそらくな」


依然としてロキは片手を頬に当て、嘲るように笑う。


「しかし......それだと"誰がやったか"。という話になる。あの子供達にそんな芸当ができる者がいるとは思えん。話では、あの"転生者" カラは、まだそこまでは辿り着いていないはずだろう」


ロキの言葉に疑問を呈するベルゼブブ。


「じゃぁあぁ、誰がやったのぉ......? サタンってぇ、普通に考えてぇ、七大悪魔の中でも最上位だよぉ?」


「...ならその"普通"の枠を超えてる相手によって...ってことだよねー......」


レヴァは柱の側面を床にし、なにか手遊びをしながらそう呟き、続けてこう喋る。


「で、魔王様? まさかとは思うけど...その"誰か"に、心当たりでもあるってーの?」


その問いに、ロキはふっと目を伏せた。


「......あの時は我が子(マモン)を連れ戻すのが優先事項だった故、気づかなかったが...。彼奴がやったのだろう。そういえば、マモンはもう戦ったか」


「ま、まさか...メタトロン......ですか?」


マモンはロキの言葉を聞き、戦慄しながらそう確認する。ロキはその言葉に口角が上がる。そして、マモンはゾッとする。やはりあの天使はとんでもない奴なのだと。そして他の悪魔もメタトロンの名を聞き、驚愕する。一人を除いて。


「めたぁ...とろん......?」


「...まさかお前、覚えてない。なんて言わないだろうな?」


呆れながらベルゼブブは言う。その言葉にカチンと来たのか、煽られないようにと必死に思い出す。


「お、覚えてるしぃ...え、えっとぉ......。確かぁ...」


「...エリュシオンに存在する隠された天使。もうお忘れですの?ほんの少し前にお父様が仰っていたでしょう?」


すると、そんなベルフェゴールに見兼ねたのか、言葉に棘がありつつもメタトロンの情報をきちんと話すアスモデウス。


「あ、そぉだったぁ...天使......。ベルのこの世で最も嫌いな種族ぅ......」


その言葉で思い出したのか、天使というワードに強烈な嫌悪感を抱き始めるベルフェゴール。そんな彼女を見て、いつものヤツだと無言で微笑む悪魔達とロキ。


「ベルフェゴール様?あなたがその単語を聞くだけで嫌なのは分かりますが、今はお父様のお話を聞くべきですわ」


アスモデウスに忠告され、不貞腐れながらロキの話を聞くために静かにする。


「...メタトロンは、我ですら認知出来なかった存在。これを言えばお前達ならわかるだろう?」


その言葉を聞き、七大悪魔達に衝撃が走る。ロキの発言により、その場の空気が一変する。


「なるほどな...。その存在ならサタンを抹消出来るな......」


「そうだね...。まさか、この世で魔王様が認知出来ない存在がいるとは、はは、驚きだよ...」


一同、敵にしたくないと苦笑いをするが、ロキの命令は転生者の殺害、或いは抹消であり、七大悪魔はこれを逆らうことは出来ない。そのため、仕方ないと割り切る事に。


「そのメタトロンという天使。推測するに彼の大罪人、ソロモンの預言書にある天使。と推測するのが1番妥当ですわね...」


「あぁ、そうだな......。まさかソロモンの預言通り、本当にメタトロンが目覚めているとはな......。しかし今も尚、預言通りならば我々の目的は順調だということに変わりは無い...」


アスモデウスの推測を肯定し、ソロモンの預言通りに進んでいるという事に喜びを覚えつつも、少し不服そうにするロキ。


「そうだなロキ。つまり貴様はソロモンに読まれている。ということになるが....そこはどう思うんだ?」


七大悪魔達はザワつく。ベルゼブブのその発言はロキの逆鱗に触れる事になるからだ。しかし、ロキは表情としては怒りを抑えているが、オーラが抑えられておらず、一瞬でベルゼブブの真ん前に移動する。


我が子(ベルゼブブ)よ。前々から君が我...いや、我々の事が嫌いなのは分かっている。しかしだ、今発言することでは無いだろう?」


「っははは...。ロキ、面白い冗談を言うな......。私はただこのままで危ないのでは?という杞憂と、現状の客観的事実を述べた迄だが...。私に対する圧のかけ方を見るに、私の言葉が心にとても深く刺さったようで...。何よりだな?」


ロキとベルゼブブの威圧のぶつかり合いが突如として始まり、辺りの空間がねじ曲がり始める。その力によって消えないかと少し焦る七大悪魔達。


「お父様、少し落ち着いてください。今は身内同士でいがみ合っている場合ではありませんわ」


「...フン」


アスモデウスの一言により、ロキは一先ず落ち着きを得、何事も無かったかのように玉座に再び座る。


「ふぃ〜...助かったぁ〜......。ありがとうアスモデウス」


「このまま放っておけば、面倒臭い事になるだろうと思い、止めた迄です。謝辞など不要ですわ」


レヴァがホッとしながらおもむろに近づき、肩組みしようとするが、アスモデウスはそれをサラッと避け、レヴァから離れる。


「......お前達に伝えたかった事はメタトロンが目覚め、サタンという存在ごと抹消したという事実だ。転生者一派と相まみえる時は、メタトロンに気をつけろ。話は以上だ」


そう言い残すと、ロキは跡形もなくその場から離れる。その後を追うように、ルシファーもその場から消える。そして緊迫した空気から一変。悪魔たちは真面目モードから通常のモードに戻る。


「いやぁそれにしてもさ...存在の抹消が出来る存在に、どうやって勝てばいいのか分からんのだが...。どうすればいいの?」


「サタン様ですら手も足も出ないのであれば、わたくし達のレベルでは勝つことは不可能でしょうね」


レヴァの言葉を聞き、アスモデウスは率直に且つ現実的な事を言い放つ。しかしそれは事実である。サタンは七大悪魔内の強さにおいて序列一位。勝つ見込みは無いに等しい。


「そうだよね〜...」


「ロキ様の言う通りに我々も動けば良いだけでは無いですかな?」


マモンは先程のロキの話を思い返しつつ2人の会話に入る。その言葉を聞き、アスモデウスは顔を下げ、レヴァは確かにと目を開く。


「まぁでもぉ......サタンが転生者と戦ったならぁ...無事に済んだわけはないでしょぉ......」


「その意見に関しては同意だ。サタンの事だ。何も成果をなさずにやられた訳ではないだろう...」




「──カ、カラ様......」


「......っ...!!」


エルドラド地下にて。


「嘘でしょ......」


サタンを倒し終わった後、リノアたちは戦闘の時、カラが吹き飛ばされ、瓦礫で埋まっていたのを思い出し、急いで退かすと、そこには非常に凄惨な状態のカラが力無く横たわっているのが分かる。


「こ、これは...なんと惨い......」


流石のアヴァロンですら引くレベルの重体で、今も尚、血の気が無くなって行っている。


「は、早く地上に送り出さなければ!!」


カラ君に一刻の猶予もない...。そう思ったアンデスは、焦燥しながらも皆に動くようにと大声で言い放つ。その言葉にクゥロはルヴラの方を見るが、未だ気絶している様子で、その隣にいるシフィも同じ状況である。


「メ、メタ......!!カラ様を...カラ様を助けて!!」


リノアはメタトロンに助けを乞う。しかし、メタトロンは今までにないほどに悲しい表情をしながら


「できるかぎりのことはする...。でも、このわざは"まきもどるだけ"だから、そこはちゅういしてほしい....」


とリノアや他のみんなに伝え、カラの身体に手をかざす。メタトロンは時の力を使い、一旦カラの衰弱を止め、その状態でカラの身体的時間を巻き戻すと言う行為に至る。


「カ、カラ君の怪我が、消えている......」


「...なるほどな......。これは急がねばならん」


メタトロンの発言や、現在起こっていることを見て何かを理解したのか、アヴァロンはかなり急いだ様子でシフィ達を起こす。それでやっと目覚めたのか、2人は体を起こし始める。


「あ、あれ......?ここは...」


2人が気絶したのは七大悪魔と戦う前だった上、何が起きたか分からず気絶していた為、何のことはわかっていない様子。そんな様子にアヴァロンは屈んで、冷静ながらもかなり焦っている様子のまま現在の状況を伝えることに。


「先程、メタトロンがここにいた七大悪魔、サタンを倒し、何とか収まったが、今一番問題なのはカラの命がかなり危ないという事じゃ。今はメタトロンの力によりなんとか堪えておるが、完全に治った訳では無い。お主らにもそれを伝えたから、妾達は早急にこの国から出ないといかぬ」


「え...。カラが危ないの......?」


〝カラさん......〟


2人は信じられないと言った表情でアヴァロンのことを見つめるが、横を見ると、そこには横たわっているカラの様子が見え、絶句する。


そして、アヴァロンの言う通り、巻き戻っているだけで治っている訳では無い。カラの状況はとんでもない程に重体であり、並の回復魔法じゃ治せないことも分かっていたアヴァロンは、早くエルドラドから出たいといった様子。


「ちょ、ちょっと待ってアヴァロン」


「なんじゃルヴラよ」


「その様子じゃ何処かに行こうとしてるけど、何か宛があるの?」


必死に動揺を押し殺しながらも、アヴァロンの様子を見て疑問に思ったのか、ルヴラはそんな疑問をなげかける。


「宛は1つ。ここに賭けるしかない。次に行く国は"魔導大国ティル・ナ・ノーグ"じゃよ」




かなりまずいね......。


「そうですね...」


前にクゥロに怒られたおかげでリノアは少し大人になった?


「......はい。あの時のクゥロ様のおかげで...。それに、まだ死んでないって分かってますから!」


おぉ....強くなったねぇ....リノア......


「よく言うじゃないですか!子供は成長が早いって!」


それ、自分で言う......?いやまぁ、ドヤ顔してるリノア可愛いからいいんだけどさ

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