消えることの無い炎
かなり遅れてしまいました...本当に申し訳ない。この先の構想をずっと考えていたため、エルドラド編の事を疎かにしてしまっていた....。くそぅ
ここら辺から話が難しくなっていくので、かなり整理しながら書いているんですよね...。なのでもしかしたら遅れることが多くかもですが、投稿は確実にするので待っていてください....!!
「ねぇアンデス...危ないよ」
「へーきだって!母さんに見つからなければ大丈夫!」
今から6174年前、エルドラドに住む青年2人は自由に至る所を行き来していた。
「はぁ...アプチはいつもビビりだなー。そんなんじゃバカにされても文句言えないぞ?」
「そ、そんな事言ったって...」
そこには今より少し背の低い臆病なアプチと、少しヤンチャなアンデスと呼ばれる青年がいたのです。
「ほら、アプチも早く来いよ!」
「えぇー。やだよぉ...」
この2人は双子の兄弟で、先導しているのが兄のように見えるのだが、実は弟なのだ。
「全く...。そんなんだからお兄ちゃんなのにって言われるんだよ...」
無邪気なベージュ髪の青年は、へっぴり腰の兄に呆れながら、来た道を戻って行き、その場で立ち尽くしている青年のところへ向かう。すると、おもむろに手を差し伸べる。
「ん」
「...?」
アンデスの行動が理解出来なかったアプチは、何をしているのか全く分からず、困惑の表情を見せる。すると、その顔を見て、アンデスは優しく微笑みながら
「...手繋いで行こ?」
「えぇぇ...!?」
と、アプチの手を掴み、アプチを連れていく。突然引っ張られ動揺するアプチ。
「俺たち約束したじゃんか、絶対に助け合おうって。その約束通り、アプチがピンチの時は俺が助ける。だから俺がピンチの時はアプチが助けてくれよな!」
「...そうだったね」
アンデスの眩しい太陽のような笑顔に、アプチも釣られて笑顔になる。
「そうそう!その顔!」
「え?」
アンデスの発言に不思議に思い、戸惑いを隠せないアプチ。するといきなり後ろに振り返り、アプチの両手を掴むアンデス。その後、アプチの目を真っ直ぐに見つめる。
「やっぱさ、俺、アプチには笑顔でいて欲しいんだ。どんな状況になっても苦しまないように。その為に俺はずっと笑ってるんだ」
「アンデス...」
「そんな暗い顔するなよ!俺ら兄弟なんだからさ」
そう言い、先程と同じような満面の笑みをアプチに見せると、すぐさまアプチの手を引っ張って前へと向かう。
「何故笑っている」
「さぁ...どうしてだろうね。僕にも分からないや」
「アプチ...」
あの黒に飲み込まれた後、感情の起伏が乏しくなり、無理しているというのに、命を削っていると言うのに...。アプチ、お前はあの時の俺の言葉を忘れずに笑顔でいるのか...
そんなアプチの表情を見て、今にも涙が零れそうになる程に心が苦しくなるアンデス。それを察し、無言で背中を擦るアヴァロン。
「さぁ...かかって」
刹那、悪魔の目の前にはもうアプチが現れており、とっくに殴りのモーションに入っている。そんな予想外の速度に悪魔は驚愕し、少し焦りながらもその攻撃をなんとか阻止する。
「ぐっ...。油断した...」
「油断した?自分が予想以上に弱かっただけなんじゃないか?」
アプチは悪魔の神経を逆撫でするように、嘲笑していると、悪魔は無感情のまま憤怒する。
「よくあんな状況で煽りよるのぅ...」
そんなアプチの大胆さに苦笑いしか出来ないアヴァロン。
「...良かろう、余の正体を明らかにし、貴様らを絶望の淵に立たせてやる...!」
そう言うと、悪魔は目を光らせ、力を全開放し、溢れ出んばかりの禍々しいオーラで辺りを覆い隠す。
「...アプチさん、煽ったらあーなりましたけど...」
「...申し訳ない。カラ君」
こんな状況になってしまい、アプチは素直に謝罪する。謝れば良いという問題では無い。これは普通にマズイ状況なのだ。
「七大悪魔が1人、『憤怒』サタン。魔王ロキの名のもとに、目の前の愚鈍で矮小な存在を、抹消します」
待て...今あいつ自分のことをサタンって─────!?
刹那、認識出来ずカラは吹き飛ばされる。気絶にも近いような状態に陥るカラ。それ程にサタンの攻撃は重く、早いものだった。
「カラ!」
「他人の心配をしている場合か、愚かな一国の神よ」
「っ!!」
気づけば目の前にサタンはおり、その声を聞きアプチはすぐさま振り返る。アプチですら反応できないまま壁に叩きつけられる。
「...ふん、実に愚かである。『憤怒』そのものである余に怒りさすなど、言語道断だ」
殺意にも近いようなその漆黒のオーラが、これでもかと滲み出ている。半電子のカラでも、終焔のアプチでも一撃食らうだけであれほどの威力。勝てる気がしない。アヴァロン達の全身にそんな危険信号が走り、心臓を鳴らしまくる。
「ぐ...っ....」
「カラ...!」
崩れた瓦礫の中からゆっくりと起き上がるカラ。しかしかなり傷がついている。七大悪魔と言うものはここまで力の差がすごいのか...。カラはそう動揺する。前に戦ったマモンとは比べ物にならないくらいに強い。サタンの強さが脳に、身体にこびりつき、先程の光景がリフレインする。
「...やはりまだ生きていたか、ならば」
するとサタンは気絶しているアプチを狙う。しかし、驚愕のあまり皆、反応できていない。
まずい!このままでは────!!!
カラは必死に手を伸ばす。ありとあらゆる感情がカラの中でごちゃ混ぜになる。過去に救えなかった人、罪悪感。そして後悔。嫌だ...誰一人失うのは...しかし、失うのが嫌だと思っていたのはカラだけではない。ここにも1人アプチの兄弟として失いたくない人物がいる。
アプチ...。お前は俺のせいでこの冥界に連れていかれた。黒炎の適合者だったから良かったものの、俺は...俺はずっとあの時を後悔していた...。
「────っしゃー!アプチー!一緒に行こうぜー!!」
「う、うん!」
アンデスが励まし続けたおかげか少しは自信のついた表情になったアプチ。2人はいつものように2人で小さな冒険に出かける。
「...なんだここ」
「どうしたの...?」
冒険を初めて2時間経過して、アンデスは何か変な物を見つける。それが気になり、アプチも一緒にアンデスの所へ向かう。
「いや、なんか変な洞窟がある」
「あ、ほんとだ...。なんだろここ...」
2人はその真っ暗闇の洞窟を見た後、互いに見つめ、入るかどうかをアイコンタクトすると、洞窟の奥へと進んでいく。
「暗...」
「なんか明かりになるもん持ってくればよかったなー」
アプチは暗闇に怯えている一方で、能天気にそう呟くアンデス。そんなこんなで歩いていると、だんだんと辺りの空気が薄くなっていることに気づく。
「この先、進まない方が良いんじゃない...?」
「...そうだな。一旦帰ろう」
そう言って2人は後ろを振り向き、帰ろうとした瞬間、アンデスは黒い何かに掴まれる。
「な、何だ!?」
「ッ...!アンデス!!」
「アプチ...ッ!」
その黒い存在は一瞬でアンデスに絡みつき、洞窟の奥の方へ持っていこうと力強く引っ張る。
「うっ...!!だ、ダメだ!アプチ!そんなことしたらアプチも...!!」
「嫌に決まってる...!!どうせ連れていかれるなら、僕にしろ...ッ!!」
アプチはアンデスを引っ張りながらそう言うと、その黒い存在は手を緩め、今度はアプチの方へと向かう。
「だ、ダメだ...アプチ!!」
「良いんだ...。アンデスが連れていかれるより、ビビりな僕が連れていかれた方が。それに、もしも僕がこの黒に飲み込まれても、死にそうになったとしても、弟である君なら...アンデスなら救ってくれるだろう...?」
黒い存在はアプチに絡みつき、アプチを闇へと引きずり込む。アンデスは必死にアプチを助けようと手を伸ばすが、アプチは伸ばさず首を横に振り、涙を浮かべながらも
「じゃあね...」
と震えた声でアンデスに向けて言う。すると、そのまま黒い存在はアプチを連れていき、アンデスは洞窟の外に弾き出され、洞窟はどこからか出てきた石門によって封印される。
「アプチ!!アプチー!!!...アプチ......」
冷たい石門を叩くも虚しくも届かない。空に響く少年の号哭。何も誰も応えない。だがアンデスは、最後にアプチが言った言葉を受け止め、前へと進み続ける。
あの時からずっと、お前を助けたいって思ってたんだ...ッ!!!でも力不足でどうしても無理だった...。なら今度は...死んでも......ッ!!!!!アプチを!!
回想のように流れるアプチとの過去、すると突然強く鼓動する心臓。世界によってか自身の力か、アンデスは生まれてこの方、発現したことのない能力に目覚め、その力により、『憤怒』を殴り飛ばす程の強さとなる。
この国を...守ってみせるッッ!!!!!
「────ッッ!?!?」
カラ達は驚愕する。アンデスの強さ、そして先程とは全く違うその神と成ったような神格さに。
「ハァ...ッ...ハァ...ッ......」
「アンデスのあの姿...」
全員、驚くのも無理はなかった。なぜならアプチとは正反対に、白く輝くように全身が燃えているのだから。
「アンデス...」
1番近くで唖然としていたカラ。アンデスはその声を聞き、息を切らしながらカラの方を向く。
「その姿...何...?」
「え?...あぁ......えっと」
全身が白く燃え、髪も白くなり、そして瞳の色すら白くなっている。アンデスのソレは白すぎて空間と炎の境目が分からないほどに
「アプチやこの国を失いたくないって強く思ったら、成長しちゃったって感じ...かな?」
す、凄ぇ...。アプチの黒炎とは真反対の白炎だ...。とても綺麗な...と言うより、黒炎による瘴気が段々と薄くなって行ってる...?
「ねぇ皆...。瘴気が薄くなって、普通に吸えるようになってる」
「え!?本当に?...ほ、ほんとだ」
一同、ガスマスクを外して空気を吸う。すると、本当に空気が澄んでいるのを感じる。
「な、なんで...?」
「そうか、アプチの能力の正反対だからだ!」
「...え?」
クゥロは即座に理解し、目を開かせる。リノアはわかっていない様子。そんなリノアの為にクゥロは説明する。
「アプチの能力が黒炎、つまり腐らせ、毒ガス状態にするのとは反対に、アンデスの炎は白炎。腐食とは反対で新鮮にする。つまり浄化するということ。そしてその浄化は空気すら影響する。つまりこの空間にあった瘴気は全て浄化されてる...」
「そ、そんなことが...」
するとクゥロの言ったように、本当に空気がみるみるうちに浄化されていく。
「白炎...か......」
アンデスは自身から発現している炎を見つめながら、少しだけアプチとの思い出に耽る。
「アンデスのおかげでやっとこさ妾も戦闘に参加できるわい。流石に瘴気ありでは体に支障を起こすからのぅ...」
「わ、わたくし達も手伝います!!」
「まぁ...私たちで隙を作れたらいいけどね」
各々、戦闘態勢へ入る。すると、先程倒れていたアプチが、瓦礫をどかしながら起き上がる。
「...っ......ア、アンデス...何だその姿」
身体から揺らめいている白炎を見て、アプチは驚愕する。しかしそれは当然の事。目が覚めると、弟であるアンデスの姿が変わっているからだ。
「こ、これは...。国を失いたくない、まだあの時の償いが出来ていない、そしてアプチを失いたくない。そんな必死な思いで頭がいっぱいになったらこうなったんだ......」
「す、凄い...僕と真反対で白い炎......」
アプチはアンデスの白の炎に興味津々で、目には光がないが、輝いているように見える。
「チッ...浄化か......。魔族にとって厄介な力だ...ならばその力を封印するのみ!!」
サタンは瓦礫から起き上がるや否や、アンデスの力を封じようとする。しかし、その間にカラとアプチがサタンの懐にいた。
「お前が封印できる事象は1つしかないってこと分かってるんだ...ッ!!!」
こいつら、速い......っ!!!!
サタンは咄嗟に2人の行動を封じ、後ろに下がろうとするが、それを逃さずアンデスがサタンを追う。
「チッ...次から次へと......!!」
一気に3人を相手にしている為、思い通りにいかず、段々とフラストレーションが溜まっていくサタン。
アプチに煽られ、カラやアンデスに一撃を貰って以降、サタンの感情にかなりの揺らぎが発生しておる...。これはもしやサタンを倒せる鍵になるのでは無いか......?
アヴァロンは4人の戦いを遠くで見ながら、そう冷静にサタンを倒せる可能性を見出す。
ここに来てのアンデスの進化か....。すごいね!
「あはは....。僕も驚いたよ!まさか民やアプチへの思いでこんな風になるなんて......」
それに...良かったね。アプチと一緒の炎系だ。
「あぁ...良かった......。まさか僕がアプチと同じような力を得るなんて...やはり双子だからだろうか」
あ、それ!!後で明かそうと思ったのに!!!
「え!?あ......ミスっちゃった...」
...はぁ




