冥現境門
少しだけ時間がかかりましたわね。
そういえばもうそろそろ花粉ですか?それとももう花粉?
私はアレルギーだったんですけど、何故か最近耐性が着いてしまって...。薬が要らなくなってしまったのです...。本当に謎なんですよね...
でも出来ることなら二度とあれにはなりたくない。
「ク、クゥロ様...?」
「どうしてそんな事を...」
クゥロの発言にかなり動揺した様子のカラ達。しかし、クゥロは続けて話す。
「その点を踏まえて言う。私はエリュシオンで戦ったけど、あれは直接行ける国では無いし、主や天使と言った、人より上の存在だから戦えた。それと引き替え、エルドラドは長命種とはいえ人の文化圏。そんな中、一国の姫である私が、国を助けるという事柄に介入したら、どういうことが起きるか分からない。だから、下手に他国の問題に触れられないの」
「そ、それはそうですけど...」
反論しようとするも、姫と言う立場の人は居ないため、カラ達は何も言えない。すると、アヴァロンがクゥロに提案する
「ならば、時間かけても良いから、父親に言えば良いのでは無いのか?そのくらいの時間はあるじゃろう?」
〝確かにそうですよ...!!〟
その話を聞き、カラ達は頷く。クゥロ何か言いたげな表情を一瞬だけするが、すぐに飲み込み、納得する。
「アンデス。それが出来る時間ってある?」
「え?んーまぁ...待ってと言われたら待てるくらいにはかな?」
「って言ってるけど、どうする?クゥロ」
「でも、ここからじゃ、多分一週間以上はかかると思うんだけどいけるの?」
そうクゥロが疑問をぶつけると、ルヴラがおもむろに笑い出す。
「ど、どうしたの?ルヴラ...」
「忘れましたか?僕が魔道具開発の天才だということを!!」
その時、カラ達はハッと気づき、体に電撃が走る。
「ま、まさか...!!」
「テレレレッテレ〜!宛名を書くとその人に爆走で届ける手紙〜!」
「な、なんと言うトンデモ魔道具...」
ルヴラの天才さ...と言うより、用意周到さにかなり引き気味なカラ達。
〝でも、その手紙を送ったとして、どうやってこの手紙が返って来るのですか?〟
「確かに...」
シフィは的を射た質問をルヴラに投げかけると、ルヴラは突然笑い出す。そんなルヴラに困惑するカラ達。
「その場合、宛名を僕のお父さんにすれば解決するさ!」
「なるほど...。つまり、エルドラドの件でクゥロが悩んでいると手紙で書いて、宛名をサウグさんにすれば、ユラ王に許可が貰えるし、サウグさんも分かってくれる!」
「そうと決まれば早速書きましょう!!」
そうして、今の事情をユラ王に知らせるため、ルヴラの魔道具を使い、サウグ宛てへと送ったクゥロの手紙は、とてつもなく速度で空へと飛んでいく。
「は、はや過ぎない...?あれ」
「下手すりゃ人死ぬぞあれ...」
ルヴラの作った魔道具に恐怖するカラとリノア。
「あの魔道具はどのくらいでラヴィリニに着くんじゃ?」
「うーん...目的までの距離によって誤差はあるけど、大体1分くらいで着くようには設定されてるよ!」
「い、1分...!?」
「速すぎる...」
手紙が1分で着くほどの速度で飛んでるの怖すぎるだろ。新幹線かなんかか?
カラは心の中でそんなツッコミをしてしまう。すると、アンデスがルヴラを横目で見ている様子に気づく。
「どうしたの?アンデス。ルヴラをチラチラ見て」
「あ、い、いや...。ルヴラがシュスラさんにとてつもなく似てるから、どうしても懐かしく感じてしまって...」
「あ、もしかして僕に何か魔道具を教えて貰いたくなったり?」
アンデスの発言を聞き、ニヤニヤしながらそう質問するルヴラ。しかしアンデスも図星だったようで、自身の後頭部を擦る。
「でもこの人、魔道具生成の天才ですけど、教えるの多分下手ですよ。だいたい適当にやったら出来たーって言ってますし」
「そ、そうなの!?」
リノアが少し呆れ気味にそう言う。そんなリノアの発言に、アンデスは衝撃を受ける。
「ごめんね...アンデス。僕はそんな人なんだ...」
「そっか、それは残念だ...」
アンデスのガッカリした表情を見て、申し訳ない気持ちになるルヴラ。
「まぁ、これに関してはルヴラが天才すぎるのが問題だね」
「え!?僕のせいなの!?」
クゥロの発言に思わず声を荒らげてしまうルヴラ。そんな2人の言い合いを見て笑っていると、手紙が返ってくる。
「あ、返ってきた」
「ねぇ、やっぱ速すぎない?これ」
「うん...。それはカラも思う」
ルヴラの作った手紙の速さに再度引くカラとクゥロ。そのまま手紙を開ける。そしてクゥロは手紙の内容を見る。
「どう?」
クゥロが手紙を見ている中、カラ達は緊張しながらクゥロのことを見つめる。するとクゥロは神妙な面持ちになる。
「ま、まさか...」
「ク、クゥロ様...」
そんなクゥロの表情を見て、悲しげな顔をし始めるカラ達。クゥロのその表情が意味するのはつまり...と思っていると、突然にパッと表情が変わる。
「行けるって」
「よ、良かったです...」
「真剣な顔するから焦ったじゃんか!!」
クゥロの表情のせいで勘違いしたとクゥロに怒るルヴラ。
「え、そんなの私に言われたって...。勝手に勘違いしたルヴラが悪いでしょ」
「ぐっ...た、確かにそうだけど...っ」
正論を言われ、何も言い返せないルヴラは悔しそうな顔をする。
「とりあえず今から準備しよう」
「了解です...!!」
そう言い、アンデス含むカラ達は、各々持ってきた荷物を身につけ、冥界への門へ進むために準備を整える。
「ねぇ、これいると思う?」
「え?どれ?...って何これ」
カラがルヴラの方を向くと、ルヴラが持っている魔道具を見てそう言う。すると、ルヴラは不気味な笑いをし始める。
「これはね...プリズムだよ!!」
「え?プリズム?」
プリズムって言うと、確か、虹が発生する原因の小さな物質だったけか...?え、つまりこの子プリズム作ったってこと...?
「...もう驚きすぎて何もツッコめないよ」
「えへへ...。で、いるかな?どう??」
目を輝かせながらこちらに聞いてくる。持っていったって邪魔にはならないサイズだし、何に役に立つか分からないが、ルヴラが持って行きたそうだからここは許可するか。
「まぁいいんじゃないかな。どこで使うか分からないけど」
「やったー!」
そう言うと、ルヴラは異空間にプリズムを入れ、満面の笑みになる。そんなに持っていきたかったのか...。カラは嬉しそうなルヴラを見て思わず笑ってしまうカラ。
「じゃあみんな準備できた?」
数分後、カラが皆にそう聞くと、皆腕を上げて大丈夫だと告げる。皆の状態を確認したあと、アンデスの方を向く。その後2人は頷き、アンデスは話を始める。
「冥界の門へ行く前に一つだけ注意事項があるから聞いてくれ」
「え?注意事項...?」
「冥界へ着くまでの道に、濃度の高い瘴気がかなり蔓延してるから、それを吸わないよう注意してくれ。吸ったら一瞬で気絶して、そのまま昏睡状態になるから」
アンデスの話を聞き、恐怖するリノアとルヴラ、そしてシフィ。そんな中クゥロが気になったのか、何かうわごとを言いながらドアの前に立つ。
「どうしたの?クゥロ」
「いや...ただ、瘴気とそれを吸ったことによる症状がかなり魔瘴と似てるなって思ってね...」
「...確かに」
カラはクゥロの話に納得する。エルドラドは独立しているとは言え、本質は一緒。つまり、冥界の門の中の瘴気が魔瘴と同一の物だとしても何ら不思議は無い。
「ってなると、冥界の民は魔族...?」
「まだ見てないから分からないけど、その可能性は捨てきれないね」
「なるほどのぅ...魔瘴と冥界の瘴気が同じか...」
2人で話していると、いつから聞いていたのか、アヴァロンが自身の顎を撫でながら頷いていた。
「しかしその線、意外と合ってるやもしれぬぞ?エルドラドは情報が一つもない程に独立しておる国じゃし、こちら側とエルドラド側の認識に相違があるのも不思議ではなかろう?」
「まぁ今の段階は仮説の一つとして考えとして考えた方が良さげだね」
カラがそう答えると、2人は軽く頷く。すると、クゥロが突然疑問を抱く。
「...ん?つまりアヴァロンは冥界に行ったことないってことなの?」
「ん?それは当たり前じゃろう?妾が遭遇したのは、あくまでも冥界の民による攻撃だけ。それに、妾はエルドラドに冥界と言う存在があったことも知らんかったしのぅ」
「10日くらいしかいなかった弊害が出てる」
「なんじゃその発言!仕方ないじゃろう!!あの時の妾は国を救う英雄では無かったんじゃからな!」
カラの発言を聞き、少しわざとらしく激昂するアヴァロン。それをジト目で見つめるクゥロ。
「た、たしかにね...!!ごめんね!」
「まったく...分かればよろしいんじゃ」
アヴァロンがここまでキレてるの初めて見たかも...。旅をして来て割と長いから、打ち解けられた証拠なのかな...?
苦笑いしながらも、アヴァロンの怒りの感情をポジティブに捉えるカラ。
「まぁそんな事してる場合じゃないんだけどさ」
「あ!そ、そうだったね」
「お主...忘れておったのか...」
カラに、それは無いじゃろ...。と言わんばかりの表情をするアヴァロン。
「もうみんな集まってるよ」
「あ、あはは...」
「まぁとりあえず行こうか...」
アンデスはそう言うと、裏口のドアを開け、先へ先へと進んでいく。カラ達もその後ろをついて行く。
「はー...。こんなところに道があるんだ...」
「んふふ。なんかワクワクするね...」
ルヴラは楽しそうな表情でそう呟く。時折男の子のような事を言うルヴラに、内心同意するカラ。
「それにしても、地中にあるエルドラドだからか、プライットがずっと活躍してるね」
〝この魔道具、便利ですよね〜...〟
リノアとシフィは、プライットを見つめながらそんな事を呟く。カラはルヴラの方を向くと、顔が赤くなっているのが見える。恐らく、2人の呟きに照れているのだろう。と思ったカラは、思わず微笑む。
「カラよ、何を笑っておるのだ?」
「ん?いや、何でもない。ところで冥界ってどのくらい下なの?」
カラはアヴァロンに質問されたが、すぐにそう答え、話を変える。
「え?んー、かなり下だから割と時間かかるかもね」
「そうなんだ...」
「じゃあとりあえず、頑張るかぁ...」
そう言い、カラ達はめげずに洞窟の中を進んでいく。
数十分後。カラは皆に元の世界の話をしながら洞窟の中を進んでいると、アンデスがその話を止めるように歩みを止め、皆に声を出す。
「着いたよ」
「え...」
そう言われ、前を見るとそこにはとてつもなく大きい石門があった。
「でか...」
あまりの大きさにそんな声が漏れてしまう。この身長のせいか、それほどに大きいように感じる。
「ここが、冥界と現界を隔てる門。その名も冥現境門」
「冥現境門...」
「こ、怖い...」
その門から漏れ出ている魔のオーラはとてつもなく、そのオーラは先の上級魔族、マモンと同等のように感じる。そのせいか、ルヴラやシフィ、リノアがそのオーラに怯えている。
「門の前に立っただけじゃのに、なんじゃこのオーラ...」
アヴァロンですらとんでもない門のオーラにたじろぐ程だ...。
「今ならまだ間に合う。冥界に入る?それとも辞める?」
アンデスはカラ達に選択のチャンスを与える。カラ達は、門を前にした事により躊躇い始める。しかし、それを見兼ねたアヴァロンは、呆れてため息を吐く。
「なんじゃお主ら、ここに来て慄然としておるのか。情けない奴らじゃ」
そんな事を言いながら、アヴァロンは門へと近づいていく。そして門の真前まで近づくと、皆の方を向き、煽り口調で
「ならば妾だけで行くがそれでも良いな?もし、お主らの仲間である妾が行って、帰ってこなかったら...。お主らは妾を見捨てるのか?」
と聞くと、その言葉に乗せられたのか、ルヴラの身体はプルプルと震え始める。
「分かった!!なら僕も行く!!」
「...ル、ルヴラが行くなら、わたくしも行きます!!」
〝シフィも着いていきます...!!アヴァロンさんを置いてけぼりなんかさせませんから!!〟
門に怯えていた3人は、アヴァロンのおかげでやる気になってくれた。そんな3人を見て微笑んでいると、
「で、クゥロ、カラ。お主らはどうするんじゃ?」
と、アヴァロンが2人に質問をする。しかしその表情は、どう答えるか分かっている表情で、2人は見つめ合い、思わず笑ってしまう。
「そりゃあ勿論」
「行くでしょ」
その答えを聞き、アヴァロンは静かに微笑む。その答えに頷き、アンデスは門に手をかざす。
「今から開けるぞ。そして、さっき言ったように、ここからは冥界の瘴気があるから注意してくれ」
「了解!!」
「こんにちは。エルドラドの長。アンデスです」
うひょ〜...。男の娘だぁ...
「な、なんか凄い興奮されてる...」
これで5万歳なんですよね...。最高か?
「あ、あはは...。こんな反応、生まれて初めてされたかも...」
え!?そ、そうなの!?こんな可愛いのに!?
「え、そこ驚かれるんだ...」
いやいやだって、こんっっな可愛いんだよ!?
「文字君と同じ感性の子がいないか、いても声に出さないからだろうね」
あ、そっか...。ごめんちゃい
「なんだこいつ」




