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転生概念における願望空想論  作者: coll
黄金郷編
54/91

英雄王の師

メダリスト面白すぎる。ちなみに今のところ羊ちゃんが1番刺さっております。ちょー可愛い。

「それにしても凄いなぁ〜...」


〝ほんと、魔道具って便利ですね...!〟


洞窟を歩いている途中に、辺りを見回しながらルヴラとシフィはそんな独り言を喋る。その言葉に頷くカラ達。今まで見た技術全ては魔工業でできている訳だ。確かに魔力という存在によって、その他エネルギーや点検等が必要ないのなら、元の世界よりも便利だ...。と、カラは魔道具の利便性を見て、ふと考える。


「いやそれにしても、ルヴラのこの魔道具、プライットも凄いね!こんな完成度の高い魔道具、久しぶりに見たよ!」


「本当!?嬉しい〜...!!ねぇ!聞いた!僕の魔道具褒められた!!」


「うんうん。聞いてるから」


ルヴラはアンデスに自信の作った魔道具を褒められ、超絶嬉しそうにする。そんなルヴラを微笑みながら見守るカラ達。


「久しぶりに見た。という事は、昔にいたんですか?ルヴラ程の才能を持った魔道具生成師が」


リノアはアンデスの言った言葉にほんの少しだけ違和感を覚え、アンデスにそう質問する。その話題が出ると、ルヴラは心臓が強く鼓動する。


「あぁ、いたよ。それこそルヴラみたいに赤色の髪と緑色の瞳で...。ん?そういえばルヴラの顔どこかで見たことあるような...」


アンデスのその言葉にカラ達は少しだけザワつく。ルヴラの動揺は大きくなり、ルヴラはまさか...と思い、意を決して話す。


「もしかしてその人...。シュスラ・ラシュミフィって名前じゃないですか...?」


「そうそうシュスラさん!懐かしい名前だ...。あの人は俺が尊敬する凄い人で...ってどうして名前を?もしかしてルヴラ...シュスラさんの娘なのか...!?」


アンデスはルヴラを見ながらも、かなり動揺している様子。


「うん、そう...。僕はルヴラ・ラシュミフィ。シュスラ・ラシュミフィの一人娘で、今は父さんに任せてるけど、魔法道具店の発明を担当してる」


「...そうか!そうだったのか!!通りで似ていると思ったんだ...。ふふっ。やはりその顔を見ると、昔を思い出すな...」


昔を懐かしむアンデスの表情は、柔らかく微笑んでおり、少しだけ目が潤んでいるように見えた。


「5万年以上生きているが、片時もシュスラさんの名前を忘れたことは無い。なぜならシュスラさんは俺の師匠だからな」


「アンデスさんの師匠...」


「アンデス様にシュスラさんという師匠がいたのですか!?」


イファはアンデスに師匠がいたという事実に驚いているようだ。


「あれ?もしかして、エルドラドの人達全員魔道具を作れるのですか?」


「うんそうだね。エルドラドの民は全員魔道具を作ることが出来る。もちろん本当に小さい子は無理だけどね」


「す、凄いですね...」


「でも、最初からエルドラド全員が魔道具を作れた訳では無いんだ。先程俺は、シュスラさんの弟子だと言っただろう?つまり、俺がシュスラさんから教わらなければ、エルドラドに魔道具は伝わらなかったんだよ」


「そ、それ程までにシュスラさんって天才だったのですか...」


アンデスの話すシュスラの話に、カラ達は敬意を感じる。やはり5万年生きてきた中で唯一の師匠で、エルドラドを支えた一柱だからだろう。


「え...?って事はシュスラさんって何歳なのですか?」


「確かに...」


リノアの純粋な疑問にカラ達は同意する。シュスラがエルドラドの人なのであれば、シュスラは長命種なわけだし、その子供であるルヴラもそうだと言う訳だ。


「さぁ、聞いたことないや。シュスラさんはエルドラドの人ではないから」


「え!?」


「エルドラドの人ではないのですか!?」


先程の話でシュスラさんの事を勝手にエルドラドの人だと思っていたカラ達は、かなり驚愕する。


「シュスラがそこまで凄い人の上にエルドラドの人なら、エルドラドのどこかに像だとか、名前が必ず残ってるでしょ。だけど見回ってもどこにもシュスラの名前が載ってない」


「っ...!!」


「確かに...今まで名前が無かった...」


クゥロは今までエルドラドを回った時と、今の話題との違和感の正体を話し始める。


「つまりこの条件が揃って出る答えは、シュスラが歴史に名前を残すほどの者じゃないと謙遜したか、シュスラという名前を故意的に消したか...」


「アンデスさんはシュスラさんの事を尊敬してますし、故意的では無いはずです...!!」


「なら、前者か...」


リノアは、アンデスのシュスラに対する反応から後者の故意的削除は無いと判断する。しかし、アンデスは優しいと言う前情報がある上に、見たところ嘘をついているようには見えない。そのため、必然的に前者になるだろうと思っていたその時、クゥロは続きを話す。


「もしくは、何らかの理由でシュスラという名前が残せなかったのか」


「っ!!」


「何らかの理由...」


すると、アンデスはどこか悲しい雰囲気を纏いながら歩いていく。その雰囲気からわかる通り、どうやらクゥロの最後の推測があっていたようだ。


「ほ、本当に...」


「...この続きは、俺の家の中で話そうか」


いつの間にかアンデスの家の前に来ていたようだ。その家はかなり大きく、イファの家やエルドラドの街にある家よりも大きいように感じる。しかし、そんな感想を言える雰囲気ではなく、周囲に少し重苦しい空気が漂っている。その後、アンデスは自身の家の戸を自ら開け、そのまま家の中へと入る。


「うわぁ...」


家の中に入ると、西洋の城のような内装に感嘆の声を漏らしてしまう。


「こっちだよ」


アンデスはそう言い、部屋の奥にある扉を開け、先へと進む。


「ほら皆、部屋の内装に見惚れてないで早く行くよ」


皆が部屋の隅々まで見渡していると、クゥロは扉の前でそう皆を注意する。


「はーい」


そうして、皆アンデスの後を追う為に扉の方を向かうが、シフィは、何か違和感を覚え、辺りを見回す。


〝な、何...この奇妙な感じ...〟


すると、シフィの視界の端に何かがいるのが見える。シフィは恐る恐る、ゆっくりとその方向を向こうとする。


〝い、一体...何が...〟


何かが段々と明らかになっていく。それと共にシフィの鼓動が早まっていく。何この恐怖は。何故ただ見るだけなのに恐怖するの...?と、シフィは自問自答をする。すると、シフィは勇気を振り絞り、勢いよく何かの方向を向き、恐る恐る目を開ける。するとその正体は人であった。


〝ひ...人...?〟


「あ、こんにちは...。君に見られるとは思わなかった。ハハ...。い、いや、変なことを言っているつもりは無いんだ。まぁ僕は変なんだけど...。実際、何回も僕は変って言われたし...」


〝えっ!?そ、そんな事ないですよ...!!〟


そう言いながら、目の前の人は酷く落ち込んでしまう。シフィは慌ててその人を慰めようとすると、唐突に立ち上がり、普通のトーンでシフィに話しかける。


「ありがとう。そういえば君はアンデスの所に行くのだろう?だから俺の事は無視して次のシーンに行かないとね。まだここじゃないからね俺は。それにしても君はとても優しい良い子だね」


そうして、目の前の人は優しく微笑むと、跡形もなく一瞬で姿を消した。最後まで変な人に戸惑っていたシフィは、少しだけ放心状態になっている。


「シフィ...?」


「ぁぇ...?」


心配で探しに来たカラはシフィを見つけるが、その様子は放心状態で何が何だかわかっていない様子。数分して落ち着いた後、カラはシフィに質問する。


「一体何があったの?シフィ」


〝えっと、さっきまでカラさん達と一緒にアンデスさんの家を歩いてて、そしたら何か気配を感じたんです〟


「うんうん。それで?」


〝気になってそっちを見たら、その場に虫がいてそのまま放心状態になっちゃって...〟


「そうか...それは怖かったね。よしよし」


恐怖しながらシフィは語る。その怖がる様子を見てカラはシフィの頭を撫でて慰める。すると、床が少しだけ水滴で濡れているのが目に映る。


ん、水滴...?水漏れか?...いや、ここは洞窟。上に地下水があるなら分かるが、そんな場所に家を作るとは思えない。それにこの濡れ方は水漏れじゃない...。この濡れ方は、涙...?だとしたらシフィの涙か?いや、シフィの顔に泣いた痕は無い。ならこの水滴は一体...。


カラは、床のほんの小さな水溜まりを見ながら不思議がる。水滴が敵の仕業である可能性を加味して少しだけ警戒をする。


「...よし、じゃあシフィ一緒に行こうか」


〝はい...!!〟


あの水滴の事は後でアヴァロンにでも話すか。まぁ敵の攻撃では無いから、もしものために、だが。



「シフィ連れてきたよ」


「お、来た来た」


シフィと一緒に部屋に入るカラ。その部屋は部屋にしてはかなり広い上に子供程の身長からすれば、大人よりも大きく感じるため、天井の高さを見て圧巻する。


〝ひ、広い...〟


「わかる〜...。カラも入ってそれ思ったよ...」


今思ったがこの世界。俺がいた世界より土地が広い気がする...。やっぱり地球とは違う地形なのかな。


そんなことをふと考えていると、アンデスが真剣な表情で椅子に座る。


「今からシュスラの話をするから、皆座っててくれ」


リノアとルヴラはアンデスからその言葉を聞き、少し緊張気味に椅子に座る。そんな様子の2人を見て、カラは手を握る。


「えっ...」


2人は突然手を握られ、戸惑うも、すぐにカラの意図を理解し、気にせずにそのままアンデスの方を向く。


「シュスラさんに初めて出会ったのは、確かエルドラド統治直後だから...。多分三千年くらい前かな?」


「さ、三千年...」


俺ら人間からすると、桁が違いすぎて想像もつかない年月だな...。長命種の桁違いの長生きさに改めてそう思うカラ。


「三千前か...。少し昔じゃな」


「はは...さすがアヴァロン。三千年前を少し昔とは」


「あの時、エルドラドを統治したのは良いものの、国のトップとか初めての経験で、どうすれば良いか分からなかったんだよね...」


まぁ、そりゃあそうなるわな...。王の経験もなければ、王になった後のことを教える人はエルドラドにいない。その上で自らの手で民を統治しなければならない。それがどれほどに難しいかなんて俺には分からない。


苦笑いしながら語るアンデスの境遇を聞いたカラは、そんなことを考える。


「そんなある日、シュスラさんに出会ったんだ」


「カラってどうして魔法を使わないの?」


んー?それはネタバレになるので答えられませんね


「え?そうなんだ。なら、どうしてカラはここに転生してきたの?」


それは最初期に魔王を倒すためだと言ってたではありませんか!


「確かにそうだね」


な、なんですかクゥロさん!その疑い目は!!私、文字はネタバレになるので何も答えられませんよ!!


「そうだね。これからは魔王討伐に関係する事は聞かないよ」


うんうん!それでいいです!


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