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転生概念における願望空想論  作者: coll
エリュシオン編
50/91

森林と洞窟

あけましておめでとうございます!かなり遅くなりました...。申し訳ないです!今年からエルドラドへと向かいます!結構楽しみです!

「さて、皆さん起きましたね?」


リノアは確認を取る為に皆の方を向き、すぐに数える。カラとクゥロはそうでも無いが、他の皆が少し眠そうで、何故かさっきまで起きていたメタトロンも眠そうに目をこすっている。


「よし!今日はちゃんと全員いますね!」


「なんか少しだけトゲあるなぁ...」


リノアの言葉が心にチクチクと刺さっているカラは、少し泣きながら呟く。


「あぁ、揃っておるな」


「よし!じゃあ、黄金郷エルドラドへ出発!」


「おー!!」


リノアがそう言い拳をあげると、皆も大声を出して便乗する。そうしてカラ達はエルドラドへと向かう旅を始める。



「ところでアヴァロン」


歩き始めて数分が経過した後、ルヴラは突然話しかける。


「ん?なんじゃ?」


「エルドラドってどんな国だったの?」


カラ達はエルドラドという国に行ったことがない。それ故に何も情報がない。その為、ルヴラはアヴァロンにそう質問する


「うむ...。どんな国かと言われてもそんなに長いことおらんかった訳じゃし、難しいのぅ...。それに少し前じゃしな」


「そっか...なら覚えてる範囲でいいよ!」


「覚えている範囲か...」


眉をしかめながら顎を触り、必死に思い出そうとしているアヴァロン。その光景だけを見るとおばあちゃんの様。見た目はロリだが。


「あぁ、そういえばエルドラドは地上にある国じゃなくて、地面にある国じゃったなぁ」


「地面にある国...?」


アヴァロンの発言にカラ達は理解出来ず、一斉に困惑の声が上がる。


「えっと...つまり、エルドラドは地下にあるってこと?」


〝え、そうなのですか?〟


「いやいや流石にそんな」


「そうそう、エルドラドは地下にあるんじゃよ」


「そうなの!?」


と、典型的なノリをするルヴラ。アヴァロンはそんなルヴラを気にせず話を続けていく。


「見た目は鋭くとがった巨大な赤茶色の岩が囲むような感じで生えているんじゃ。その岩の一つに人が通れるほどの穴が空いておって、そこからエルドラドへと入るんじゃよ」


「んー...想像つかないなぁ」


アヴァロンの説明を聞き、そんな想像をするカラだが、これといった物が浮きでない。


「まぁ、着いてみればわかるじゃろう」


「そうですよ!それまで楽しみにしておきましょう!」


「...それもそうか!」


アヴァロンとリノアはカラに対してそう言うと、考えるのが馬鹿らしくなったのか、考えるのをやめる。


〝そういえば、カラさんとメタトロンさん、皆が寝ていた時に2人で何か話してましたけど、何を話していたんですか?〟


シフィは先程のメタトロンとカラの話をほんの朧気に聞いていたようで、そんな質問するが、カラは笑みを浮かべ、首を横に振り


「何にもないよ」


と、話すことを拒否する。


「え〜?ほんとに〜?」


そんな様子のカラに、にやけながらいじるルヴラだが、カラは笑顔で頷く。そんなカラを見て、素直に諦めるルヴラ。


「まぁ、話したくないのであれば無理強いする必要も無いじゃろうて。今はとりあえずエルドラドに向かうだけじゃ」


「そうだね」


〝...はい!〟



そうして、何事もなく道なりを進んでいくと、とてつもなく長く深い森の前にまでたどり着く。


「凄い森...」


「なんじゃ...?こんな所に森なんてあったかのぅ...」


アヴァロンは森を見つめながら首を傾げる。そんなアヴァロンの発言に心配するカラとリノア。


「ここってもしかして夜昏よるがれの森...?」


クゥロはふとそんなことを呟く。


「え、ここがですか!?」


クゥロの発言を聞き、驚いたような表情をしながらリノアは答える。どうやら聞いたことがあるようだ。


「よるがれ...?」


「夜のように昏く、神秘的な森って事で名付けられたのが夜昏の森なんだけど、どこにあるのかは載っていない幻の森でもあったの。その森の中の暗さや、中から見たときの神秘的さからそうかなって思って」


「へー!」


リノア以外の面々が感嘆の声を上げる。そうして、カラ達は森の中へと入っていく。


「すごいところですね...」


木々がかなり密集している為、太陽の光さえも届きづらい程に暗い森で、そんな森に少し怖がるリノアとシフィ。


「そんなに怖いなら、カラの後ろに引っ付いとく?」


カラがそう提案すると二人は大きく首を縦に振り、すぐにカラに引っ付く。


「んー...妾が前に来た時はこんな森なぞなかったが...」


「それ、どれほど前なの?」


アヴァロンは疑問で埋め尽くされている表情をしており、そんなアヴァロンを見てクゥロは質問をする。


「妾が年月を覚えておるわけがなかろうに」


「...確かにそうだった」


アヴァロンのその発言を聞き、クゥロはアヴァロンの性格がだらしない事を思い出す。


「と言うより、アヴァロンくらい歳とったら、もう何歳か数える事すら面倒くさくなるんじゃない?」


「そうじゃよ、これに関しては妾の性格が由来しとる物では無い」


カラの言葉にあやかり、アヴァロンは自慢げながらに人差し指を出して話す。が、クゥロはアヴァロンを呆れた目で見つめる。


「...なんじゃ」


「いや、確かに年齢に関してはそうかもだけどその他はアヴァロンの性格でしょ」


「うっ...」


クゥロに痛いところを突かれて、心にダメージを負うアヴァロン。すると突然アヴァロンは歩みを止める。


「待て、何かおる」


そう言った途端、森が急にざわつき始め、辺りに不穏な空気が漂う。


「な、なんですか...!?」


〝もしかして...お化け?〟


異様な森の変わりように、リノアとシフィの恐怖度は上がり続け、カラに抱きつく力が強くなる。


「なるべく早い目にエルドラドへと行きたいのじゃが...何かとんでもない奴が妾達を狙っておるなぁ」


「...確かに視線を感じる」


「な、なにかいますよぉ...」


アヴァロンの発言を聞き、辺りを警戒すると、何か得体の知れない存在からの視線を感じることに気づくカラ達。


「ちょっと待ってて...こういう時は」


ルヴラはそう言い出すと、異空間へと手を伸ばす。何か便利な魔道具を出そうとしているようだ。どんな魔道具を出すんだ...?と胸に期待を抱きながらワクワクして待つ。


「てれれれってれー!プライットMarkII〜」


そんな某ネコ型ロボットみたいに言う必要ないでしょ。と言うかこの世界に無いでしょそれ。


とカラは心の中でツッコミを入れる。しかし、それと同時にルヴラの発言を不思議がる。


「MarkII?」


「うん!MarkII!」


何か改良する余地があったのだろうか...。そんな疑問がカラ達の脳裏によぎるが、そんな疑問をすぐさま解決するように、ルヴラは何故MarkIIなのかを話し始める。


「MarkIIの理由はね...改良じゃなくて、ただ便利要素を付け足したかっただけなんだ」


「便利要素...?」


カラ達はさらに疑問に思う。これ以上便利要素を付け足す必要があったのかと。今でもう十分便利なのに何を追加するのだと。


〝な、何を追加したのですか?〟


シフィは辺りに怯えながらルヴラに質問すると、ルヴラはニッコニコで答える。


「それはね〜...魔除けだよー!!」


馬鹿かな。カラが最初によぎった言葉はそれであった。


環を回転させると宙に浮き、その間光を放ち、その光が太陽と同等で、でも太陽みたいに長時間直射しても目が潰れない光、そして本人ですら分からない光の出し方。これだけで十分に凄かったのに魔除け?何故そんな未来的な道具にまで改良したのだろうか。と、そんな事を思うカラ。


「何故プライットにそんな要素を付け足したんじゃ?」


「んーとね。まず僕が思ったのは、魔物が旅の途中で襲いかかってくるのがめんどくさいって思ってね」


「なるほど。確かに折角用意したテントやらが魔物のせいでまた建て直しというのもめんどくさいのぅ」


アヴァロンの質問に答えるルヴラ。しかしその表情はかなり真剣。いつもの少し抜けているルヴラではなく、魔道具開発の時に出る真剣なルヴラなのだ。


「それで、エリュシオンにいた時に、何か魔物を退けることが出来る方法はないかって模索したんだよ」


「エリュシオンの時だったんだこの魔道具」


「うん!そうだよ!」


おそらくルヴラがプライットMarkIIを作ったのは、皆が訓練をしている間だったのだろう。そしてルヴラは、魔道具の開発速度が機械すら羨むほどの早さ。そんなルヴラが二、三週間エリュシオンで魔道具開発をしていた。と聞いたら、どれ程の物を作ったのか想像に容易い。しかし、ルヴラの方を見ると、その表情は少し気まずそうな顔だった。


「何かあったの?」


「もしや魔道具開発で手こずったとかかのぅ?」


「ルヴラが魔道具開発で手こずるって聞いたことないけど...」


アヴァロンの発言を聞き、幼馴染であるリノアは否定する。しかし、ルヴラはさらに気まずい顔になる。どうやら図星だったみたいだ。


「え?本当に!?」


「ルヴラが手こずるって相当だぞ...」


驚きと言う感情しか湧かない。それほどにルヴラが天才であり、それほどに今回の改良は難しかったという訳だ。


〝魔物を退けると言うのは、それ程に難しいことだったのですか...?〟


「どうやらそうみたいね...」


「武力なら簡単だけど、それ以外ならとてつもなく困難...。だから国のほとんどに壁があるのか...」


カラは、魔物を退ける事の難しさを知り、エリュシオン以外の国を思い出し、国の構造に納得する。


「クゥロとアヴァロンは王族だからわかるよね?」


ルヴラにそう言われた二人は、コクリとルヴラの言ったことを肯定する。


「私の国は地形的に魔物が襲ってくることはほとんど無いんだけど、先代様が念の為にって壁を建てたって言う文書が残ってる。ある種の保険的な感じだね」


「ほう、そうなのか!妾の国は剣闘士の国で何人かの戦士が太刀打ちは出来るが、全員が全員剣闘士という訳でもないからのぅ。じゃから近衛兵や壁があるんじゃ。あと、厄災の残穢の影響で、魔物の活性が今後六千年ほど残るらしいから、余計に壁は外せん」


「厄災の残穢...!?」


アヴァロンの放った言葉を聞き、カラ達は驚愕する。


「そういえばこの事は言っておらぬかったのぅ...」


「そこまで厄災と言うのは残るのですか!?」


リノアはアヴァロンに質問すると、アヴァロンは頷く。それを見、リノアは絶句する。


「それ程に呪いと言う存在の影響は大きいのじゃろう」


「なるほどなぁ...。各国色々な悩みがあるのか」


カラはクゥロが統治する国と、アヴァロンの統治する国の事情を少し知り、この世界の知見を得る。


「それで、このプライットMarkIIを使ってこの森を抜けるの?」


クゥロは別の話題へと脱線した話をスムーズに戻す。


「うん。これなら魔物も寄せつかないし、光のおかげで心置き無く進めるでしょ?」


なんと行き届いた配慮。カラはルヴラの作った魔道具を見ながら感動する。


〝ですが、森からどうやってでるのですか...?〟


「...確かに」


いくらプライットが光るからって出口を示してくれる訳では無い。示したところでそこがエルドラドに繋がっている訳でもない。森に入った時点で詰んでたのでは...?そんな事を考えるクゥロ。


「...はぁ〜。分かった、ならこうしよう。妾が木を全て斬る!それで良いじゃろう?」


面倒くさくなったのかアヴァロンがそんな提案をする。


「なんで!?もしこの森の先にエルドラドがあったらどうすんのさ!」


「そうですよ!!めんどくさくなってヤケになるの止めてくださいよ!!」


無論、そんな提案を飲むわけがなく、リノアとルヴラは全力でアヴァロンを止める。


「どうする?クゥロ。アヴァロンが錯乱してるよ...」


カラはクゥロにそう聞くが、クゥロは何か考え事をしているようで、返事をしなかった。それを見たカラは話しかけるのをやめる。


〝なんだか、カオスですね...〟


「ふふっ...そうだね」


シフィが困惑しながらそう呟くと、その言葉を聞いたカラは思わず笑う。


「でも、こんな感じの雰囲気の方が平和で、一番楽しいや」


〝っ...そうですね!〟


シフィはカラの言葉に満面の笑みでそう答える。そんなほのぼのとした空気の中、クゥロが皆を止める。


「皆、一回静かにできる?」


「な、何ですか...?」


突然クゥロに止められたので、一同一瞬で静かになる。この中で一番怒らせては行けないのはクゥロだから、と言うのもあるのだろう。


「エルドラドへ行く道が分かったかも」


「え!?」


「本当ですか!クゥロ様!」


クゥロがそう言うと、ルヴラとリノアがとても嬉しそうな表情になる。アヴァロンは少し不機嫌そうだが。


「多分、右に400mほど行って、その地点で左を向いてそのまま1200mくらい行ったらこの森を抜けることができるかも。合ってなかったらごめんね」


え、森に入る前に見たあの一瞬で森の横の長さの大体を把握して、中に入った後、太陽と同等のプライットから送られる光で、森の長さの大体を測ったってこと...?普通にイカれてる...。


カラはクゥロの頭の良さ、そして視力の良さを目の当たりにし、少し引く。


「よし、じゃあ進みましょーう!」


右腕を上げながら前へ前へと進み出すリノア。プライットの放つ光のおかげで先程までの恐怖は無くなったようだ。


「ところで、なんでエルドラドに寄るんだっけ?」


森の中を歩いている時、ルヴラがそう質問をする。確かに、ちゃんとした理由は聞いていないなぁ。とカラもルヴラの意見に賛同する。


「理由はただ一つ。民を救いに行くだけじゃ。それ以外に理由入らん」


鋭くとがった眼光でそう告げるアヴァロンを見たカラは、一瞬戸惑うも、笑みを零して、アヴァロンについて行く。


「確かにそうですね!」




「っと...森を抜けたー!!」


十分後、やっと森を抜けたカラ達は少しの間だけ一息つくことに。


「...もしかしてあれがエルドラド?」


カラは指を差しながら言う。皆、カラが差した方を向くと、そこにはとてつもなく大きい岩の建造物のようなものがある。


「アヴァロンの説明通りならアレはエルドラドの特徴と一致してるけど...」


「どれじゃ...?実は最近老眼になったお陰でぼやけて見えるんじゃよな...」


「え、嘘でしょ。不老なのに老眼なの」


アヴァロンの衝撃発言を聞き、驚愕する一同。そんなカラ達に対して、ジト目で見返すアヴァロン。


「幼い見た目で老眼...。違和感しかない」


「別にいいじゃろう。妾のことは...。ん〜...お、あれは確かにエルドラドじゃな!」


「いやぁエルドラドに行くのは久しぶりじゃ、楽しみじゃのう!」


そう言うと、アヴァロンは突然走り出し始める。一同、アヴァロンの行動に驚愕していると、アヴァロンは少し遠くの方でこちらに振り向く。


「先に妾がエルドラドの市長に事情を伝えに行くから、お主らはゆっくり来い!」


「わかったー!」


そしてアヴァロンは、とてつもない速度でエルドラドへと走り出した。


〝もう見えなくなっちゃいましたね〟


「クゥロ様、大丈夫なのですか?」


「うん。私は聞いた事がなかった国だから、着く前からアヴァロンに任せようって思ってたし、アヴァロンも多分同じこと考えてたんだろうね」


リノアの心配を優しくなだめるクゥロ。しかし、リノアは依然として心配そうな表情をしており、クゥロは不思議に思う。すると、カラは少し気まずそうに話に入る。


「うーんと...クゥロ?多分リノアが言いたいのは、エルドラドとラヴィリニの国交とかしないのかってことじゃないかな」


カラの補足に、リノアは首をブンブンと縦に振る。


「あー...そういう事ね。うん大丈夫だよ。私の一存で国交が決まる訳じゃないから、私がエルドラドの長と話したって意味は無いかな」


「それなら良かったです!」


リノアは心配そうな表情からホッとして、その後笑顔に戻る。そうして、アヴァロンを除くカラ達は和気藹々と話しながら、エルドラド前の洞窟へと入っていった。







ねぇねぇクゥロ


「...ん?どうしたの文字さん」


クゥロってどれほど頭良いの?


「うーん...。確かめたことはないけど、学校を飛び級して卒業はしたかな...」


えぇ!?凄!姫だから勉強しないじゃないんだね!


「当たり前でしょ...。いつ王族が瓦解するかも分からないのに勉強してなかったら、無能になって生きられなくなるでしょ?」


先のことまで見据えて...大人すぎる...。


「...少し褒めすぎかも。さすがの紺氷の姫君と言われてても照れるから」


ウッ!!(絶命する音)

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