大好きな彼に匂われたくない
「とつころ」完成後にこのキャラ設定の新作を出します
お楽しみに
日差しが強まり暑い季節へと変貌を遂げはや数週間。
学校中では熱いという声が沢山聞える。
私だってそう思う。
私の名前は
氷川美神
とても暑いこの季節が嫌いだ。
何故かと言うと大好きな彼
橘輝
に汗の匂いを匂われたくないからだ。
彼は乙女心を全く分からないので何を言い出すか全く分からない。
どうせ彼のことなので
「制汗剤使うか?」
とか平然と言い出しそうなのでそれが悩みだ。
そんなこと言われたらさすがに立ち直るのに時間がかかる。
決して悪い意味はなく言ってるので尚更傷つく。
彼なりの優しさというのとわかってある。
それが唯一彼に対しての悩みでもある。
「うぅ、どうしよう」
ひとりで家で頭を抱え悩むが中々答えが導きだせない。
そんなことを考え夜が明けてしまった。
それだけ考えたが結果は
(全く考えれなかったー!)
結局答えは導き出せずに終わった。
いつもならすぐに答えを導き出せるのに今回に限っては分からない。
まだ学校に行くまで時間があるので家で使えそうなものを必死に探すが見つからない。
たくさんの物を置いてある棚を1段開けるとあるものを見つけた。
「うぅどうすれば・・・あれ?これを使えば」
棚から出したのは綺麗に保存されていた爽やかで有名な香水だ。
最近買ってみたがかける勇気がなく放置していた代物だ。
美神はそれを手に持ちネットでかけ方等を探しかけ方を覚えた。
「もうこれに賭けるしかない」
そう思うと行動は早くできる限り汗をかかないところに少量かけた。
かけ切ると割と自分でもわかるくらい良い匂いを感じる。
(お願いしますできる限り汗をかきませんように)
そう思い学校へ足を運んだ。
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学校に行くと今日は運が良いのか悪いのか輝が居た。
朝早く出たので日差しはあまりなく汗もあまりかかずにすんだ。
輝は椅子に座りいつものごとくゲームをしている。
いつもなら遅刻常習犯の輝が居ることに少し驚きを隠せない。
「お、おはよう・・・早いわね今日は」
声が緊張か震えまくっている。
「おぉ、おはよう・・・さすがに単位のためだからしゃあない」
輝は今のところ匂いなど気にしている様子は見えない。
少しドキドキしながら自分の席である彼の隣に座った。
(うわぁぁぁめちゃくちゃドキドキする)
しかし彼が気づいている様子などは全くと言っていいほどない。
張り切って香水を使ったので少しは香水の件は触れて欲しいという欲求がでてくる。
美神はドキドキしながら輝の入れているゲームを開いた。
心臓がはち切れるほど早く心拍しているのが自分でも感じるくらい早い。
そのせいかいつもなら失敗しないところも失敗しまくる。
その時美神にひとつのアイデアが浮かんだ。
(そうだ輝にゲームのことを聞いたら自動的に距離が近づくはず)
この行動を思いつくと早速行動に移した。
「ね、ねぇここどうやるのです?」
「なになに・・・ここね見せてやるから近づいてくれ」
「わかった」
ちょっと声が嬉しさで高くなってしまった。
でもバレてない。
彼はいつもゲームの話題になると真剣な眼差しになる。
真剣な時の彼の顔はとてもかっこよくいつでも見ていられる。
「なぁ、いつもより近くないか?暑いのだが」
「最近目悪くなったからちょっと近くで見ているだけよ」
「あぁそりゃどんまいだな」
全く気づいていない。
もう待ちきれずに1度聞くことにした。
「ね、ねぇ?」
「なんだい?」
「今日私違うところない?」
「違うところ?・・・うーん」
輝はその時まっさきに匂いを思いついたが年頃の女子に匂いの話題は最低とどこかで聞いたので心にそれを押さえ込んだ。
(これ匂いよな・・・なんかいつもよりなんというかフレッシュ・・・いやそんなこと言えば普通に嫌われるな、どうすれば)
輝は遠回しに匂いと伝えたいがあいにくこういう時遠回しに伝える時の語彙力がないので言葉が詰まってしまう。
「うーんなんというか周りにある雰囲気が変わった気がする」
「周りにある雰囲気・・・どういう意味なの?」
「うーんなんというか・・・あ、そうだエイ〇フォーの匂いだ」
「っー!」
美神は匂いのことに気づいてくれるのは嬉しいが何か違う。
正直エイ〇フォーと言われた時怒りが湧いたがそれをぐっと押さえ込み何とか耐えた。
「このバカ・・・たしかに匂いは正解だけど」
「うーん汗気にしてるのか?」
「っー!そ、そうよ!」
もう隠さない多分変なことを言われるだろう。
そう覚悟したが彼は予想の斜め上を突いた。
「まぁ別に俺は匂いとかあんまし気にしないから別に俺の前で変に頑張らなくても良いぞ・・・美神に疲れさせたくないし」
その時美神の中の何かが切れた。
彼に対してやった努力を否定された感がありそれがどうしても許せなかったのだ。
さっきの制汗剤の件もあり怒りが少し出てしまった。
「せっかく輝のために頑張ったのに!このバカー!」
そういうと頬を思いっきり叩き逃げ出した。
パチーン!
大きな音が静かな教室を包む。
輝は追いかけようとしたが早すぎて追いつかない。
(やっちまった・・・難しいよ、乙女心)
輝はもっと勉強しないといけないなと自覚はしているものの上手く伝えれないのが現実だ。
そう思うと輝は自分の鞄からあるものを取りだし帰ってくるのを待った。
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美神は走って教室から出た。
(このバカ、バカバカバカ・・・本当にバカ)
彼なりの優しさというのは気づいたがやはり努力を否定された感があり許せない気持ちもある。
だが教室を出たのは良いがスマホを輝に貸したままなのを外に出て五分くらい経ったころに思い出し戻ることにした。
言葉にしにくい心苦しさと羞恥心がある。
もっと良い方法はあったはずなのにその方法が出てこない自分が許せない。
教室前に立つが後1歩が出ない。
ドアを開ければもう目の前に輝は居るのにそのドアに対してまだ人一人分の距離がある。
その1歩を出せば彼にすぐに行けるのにその1歩が出ない。
自分の中の緊張が収まらずずっと教室前に居ると急にドアが開き出した。
開けた人間は輝だ。
しかし走った状態なためなので2人はぶつかる形で再開してしまった。
ぼーっとしていた美神にはだいぶ良い現実の戻し方だ。
輝は頭を抑え床にしりを下ろしている。
美神は驚きの顔で壁を背もたれにして座るような形でいる。
「いってて、え!美神!」
「輝・・・うぅ」
「本当にごめん!」
頭を下げ必死に謝っている。
廊下で汚いはずなのに必死に謝っている。
「そ、そんなに謝ることでは・・・私こそ・・・ごめん、私こそ謝るべきだと思う」
デクレジェンドが入ったようにどんどん声が小さくなっていく。
でも「ごめん」だけは伝えたいので「ごめん」の時だけは声を上げた。
輝は美神の怒りが落ち着き安心したのか手に持っていた缶を渡した。
オレンジ色の缶だ。
「・・・なにこれ?」
「ごめんな・・・謝罪の意を込めて買ったジュースだあとこれスマホ」
ちなみに缶ジュースの件は嘘だ。
鞄にあったジュースを出した。
ちなみに保冷バックに入れていたため冷えてはいる。
さすがに輝自身でもクズだと思うことだが・・・。
しかし美神は喜んでいる。
(何とかなったのか?・・・すまない)
「・・・そんな事しなくても良かったのに・・・でもありがとう、感謝して飲むよ」
口角が少し上がっている。
スマホと缶ジュースを美神に渡し輝は立ち上がり美神に手を貸した。
ジュースは誰でも飲めるオレンジジュースだ。
冷えており霜も付いていてこの時期には最高の飲み物だ。
(シンプルにかっこいいのなんなの・・・本当に)
その時美神はものすごいドキドキしながら手を借りた。
「じゃあ戻るか、教室に」
「うん・・・不意にくるのだからドキドキするわ」
「不意で悪いか?」
「・・・聞こえてたの!」
声にならない声を上げ顔が高速で赤く染った。
聞こえないと思っていたが良く考えれば彼と距離が近いので聞こえない方がおかしい。
自分の注意力の無さを激しく後悔する。
輝に向いていた視線を急に真下に下ろし自分の手を彼の頬に強い形で突き出す。
「うぅ!やっぱりバカー!」
また輝の頬をひっぱたき逃げ出した。
それを追いながら走るが速いので追いつかず逆に輝の体力の方が先に限界を迎えた。
(わかんねぇな乙女心)
輝は乙女心の難しさをまた理解してしまった。
このキャラ設定を使った新作が「とつころ」完結後に出ます
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よければ「とつころ」を見に来てください