明日結婚式なのですが、夫となる人は出席されるでしょうか?
初投稿です。
よろしくおねがいします。
異世界恋愛日間ランキング1位になっていました。
驚いています。
皆様のおかげです。
明日結婚式なのですが、夫となる人は出席されるでしょうか?
ミランダ・ペンスは18歳になり、8年の婚約期間の末、明日結婚することになりました。
私の夫になる人はベーゼ・ハイエンス。20歳。
騎士なのですが、ちょっと一般の騎士とは違い、王族の方々の護衛をしております。
ある日、ちょっと見目も良く、人当たりも良かったベーゼはうっかり第二王女に気に入られてしまいました。
王女が15歳になり、学園に通うことになって護衛を増員するにあたってベーゼがそのうちの一人になってしまいました。
王女は16歳になり、金髪碧眼で見る者の目をことごとく奪う程美しく、王女然とした姿がまた、美麗なのだと言われています。
私から見ると我儘気儘で、自分の思い通りにならないと癇癪を起こしているようにしか見えないのですが。
が、ベーゼは言うのです。とても優しく、とても賢い王女なのだと。
ベーゼが王女付きになったその日から私とベーゼの関係は変わっていきました。
まず、王女に付いて一週間で、週末毎にしていたデートが無くなりました。
次はプレゼントも無くなりました。
その、次はお手紙。恒例のお茶会を無断で欠席しても謝罪の言葉も無くなり、今では一切の接触が無くなってしまいました。
そう、王女付きになってからというもの、私は一度もベーゼに会っていないのです。
ではなぜ王女の事を知っているかって?
初めの頃は会えずとも、謝罪と手紙とプレゼントがあったのです。
その中に王女賛美が幾枚にも書き綴られていました。
ベーゼは明日の結婚式に出席するのでしょうか?
「お父様、わたくし明日結婚する予定になっているのですが、夫になるベーゼ様は結婚式に出席されるのでしょうか?」
「どういうことだ」
「11ヶ月ほど前から音沙汰がないのです。生きているのか死んでいるのかすら知りません」
「なっ、どういうことだ」
「ベーゼ様が明日結婚式だと知っているのかも判りません。結婚式は取り止めるべきなのではないでしょうか」
「なぜ今頃言うんだっ」
「いえ、お父様には毎月1日に連絡が来ない、とご報告していました」
「そうだったか?」
「はい。その度にお父様が、仕事が忙しい時はそんなものだと」
お父様は背後に立つ執事のリンクに目をやり確認を取る。
リンクは深く首肯いた。
「ベーゼに確認を取るので部屋で待っていなさい」
「わかりました」
三時間後
リンクがお父様の執務室に来るようにと呼びに来ました。
「お父様、入ってもよろしいですか」
「入れ」
ソファーに腰を下ろすとお父様が正面に座り、重々しく口を開いた。
「ベーゼは明日が結婚式だと知らなかった」
「そうですか」
驚きはありません。
「だが、明日は必ず出席すると言っていた」
「フッフッ。他人の結婚式に出席されるようなお返事ですね」
「婚約解消していただけますか?お父様」
「明日が結婚式だと言うのにそんな事、出来るわけ無いだろう」
「そうですか。でしたらわたくし、明日の結婚式欠席してもよろしいですか?」
「だ、駄目に決まっとろうが」
「では、とりあえず婚約を破棄したいとベーゼ様に伝えていただけませんか?わたくしここまで放置されて、尻尾を振って結婚すると思われたくないのですが」
「むっ?尻尾だと?」
「お父様はそう思われませんか?現状で十分ベーゼの有責になると思うのですが」
「そうだな・・・婚約解消は出来ないだろうがこちらの真意は伝えた方が良いな。リンク」
「かしこまりました」
更に3時間後
「ベーゼからの返答が来た」
リンクから手紙を渡される。
『ミランダへ
君の気持ちは重く受け止めた
私の気持ちは何も変わっていない
愛している
明日の結婚式を楽しみにしている
ベーゼ・ハイエンス』
お父様に手紙を渡す。
「どう思われます?明日の結婚を控え婚約解消と言っているにも関わらずこの手紙一枚ですよ」
「・・・・・・」
「わたくし結婚することになったとしても、明日は欠席させていただきます」
「そんな事が出来る訳がないだろう」
「では、譲歩して、準備はいたします。ベーゼ様が出席されたのならわたくしも出席いたしましょう。ですが、ベーゼ様が来られなかった場合はわたくしも欠席いたします」
「仕方なかろう」
「ベーゼ様が欠席された場合はどうなります?」
「そんな事があってたまるかっ」
「可能性は高いと思われますので、明日以降のことを考えておいてくださいませ。では失礼いたします」
前夜からピカピカに磨かれた私は、今朝もまたピカピカに磨かれている。
式が始まる3時間前から大聖堂の控えの室に籠もっているが、ベーゼが来たと連絡は入らない。
30分前
ウエディングドレスに袖を通した私は、一人控室で待つ。
20分前
ベーゼはまだ来ない。
10分前
未だ来ない。
開始時刻
ベーゼは来ず、一通の手紙が来る。
『ミランダへ
王女のご機嫌が悪く離れられない
すまないが
1人で式を終わらせておいてくれ
愛している
ベーゼ・ハイエンス』
私も結婚式には出席せず、ウエディングドレスを脱いで帰宅した。
「あら、お父様。おかえりなさい。遅かったのですね」
「こんな醜聞初めてだっ」
「せめて一ヶ月前にお話しした時にお父様が耳を傾けていてくださればこんなことにはなりませんでしたのに」
「ぐっ・・・」
「わたくし、今自宅に居ますが、あちらのお屋敷に向かった方がよろしいのでしょうか?」
「行かんでいいっ!」
「ありがとうございます」
「婚約破棄の申請していただけます?」
「申請する」
「感謝いたします」
一月後
「婚約破棄の申請が通らない」
「どういうことです?」
「陛下が王女の我儘で申し訳ないと言って、教会から婚姻届を取り寄せ、ベーゼのサインがされた婚姻届がここにある」
「陛下、馬鹿ですか?」
「・・・親馬鹿ではあるのだろう」
「迷惑です。陛下に突き返してください」
「一応、努力してはみる」
その一週間後
「婚姻届けにサインする以外の方法はないようだ」
「どういうことですか?」
「陛下が頑として受け取らんのだ。王女は19歳になると隣国に嫁に行くことが決まっているのでそれまで我慢してくれと」
「何故わたくしが我慢しなければならないのです?」
「そうだな」
「わたくし以前はベーゼ様をお慕いしていましたが今はもう呆れ果ててしまいました。結婚しても幸せになれませんよ」
「そうだな・・・。消極的な方法だが婚姻届は私のところで止めておこう」
「お願いいたします」
更に一ヶ月後
「陛下が早く婚姻届を持って来いと仰っている」
「お断りしてください」
「頑張ってはみる・・・」
更に一週間後
「偶然陛下に会ってしまった。陛下も暇ではないだろうに婚姻届のことは覚えていて早く持って来いと仰った」
「頑張って無視してください」
「次に言われたらどうなるかわからん」
「でしたら次に会われたら陛下に提案してみてください。婚姻届は提出されたとベーゼ様にお伝え下さいと。そして自宅へ帰る時、わたくしを迎えに行くようにと。
ベーゼ様がいつ迎えに来られるのか楽しみです」
「解った」
二ヶ月後
「陛下にお会いした。お前の望みを伝えた。お前の言う通りにしてくださるそうだ。ベーゼには明日伝えるので明日、ベーゼが迎えに来るだろうとのことだ」
「解りました」
三ヶ月後
「お父様、明日でまた一ヶ月経ちました。また陛下へお伝え下さいね。まだ迎えに来ないと」
「明日必ず伝える」
そのまた三ヶ月後
「また一ヶ月が経ちました。一ヶ月って早いですね。お父様、陛下に今回は半年経つけれどもまだ迎えに来ないと陛下にお伝え下さい。ベーゼ様は一度も家に帰っていないのだろうか?少し調べていただきたいとも」
「解った」
一月後
「陛下から呼び出しがあって、お会いしてきた。ベーゼの事を調べてくださったそうだ」
「そうですか」
「ベーゼは家に帰ることはほとんど無く、王女に付いているらしい」
「まあ」
「陛下は知らなかったようだが、護衛全員が王女の愛人だと噂があるようだ、そのようなことは一切ないと侍女は言っているらしいが」
「そうですか」
「陛下は王女が嫁ぐまでなんとか我慢して欲しいと仰せだ」
「そんな噂がある王女が本当に隣国に嫁げるのでしょうか?」
「・・・・・・解らん」
「わたくし、結婚してもしなくても、もう幸せになれることはないのでしょうね」
「・・・・・・」
更に三ヶ月
私は19歳になっていた。
勿論、ベーゼは会いにも来ず、手紙もプレゼントも何もないままだ。
私も贈らない。
そして数日前、王女の婚約が白紙撤回された。
発表では『諸事情による』とされたが隣国より、身持ちの悪い王女は要らないと言われたのだと噂がある。
「お父様、王女の婚約が破棄されましたが、わたくしの婚約は破棄されるのでしょうか」
「陛下に伺ってみる」
二週間後
「陛下にお会いしてきた」
「何と仰いましたか?」
「ベーゼや護衛達では王女を嫁がせる訳にはいかないと」
「それがわたくしに何か関係がありまして?」
「既に結婚しているとベーゼは思っているし、婚約破棄は受け入れられないと仰っていた」
「もう、溜息も出ませんわ」
「私もだ」
更に三週間後
婚約を撤回された王女が毎日癇癪を起こし城、学園、所構わず周りに当たり散らしているという噂が耳に届いた。
さすがの陛下も王女の悪評に頭を抱えた。
現在付いている侍女を王妃の侍女と全員入れ替え、護衛は王と王妃の護衛と入れ替えとなった。
ベーゼはこれからは陛下付きとなった。
監視の目を厳しくしたのだろうけど、私にとっては不都合この上ない事態になってしまった。
ベーゼ達護衛には二週間の休みが与えられ、報奨金という名の口止め料が支払われたらしい。
だが、ベーゼはすぐには会いに来ず、明日から仕事に復帰するという日の午後になって我が家へやって来た。
「長い間待たせて済まなかった」と仰った。
わたくしに手を差し出し、「ハイエンス邸へ帰ろう」と言う。
「どうしてわたくしがハイエンス邸に帰るのですか?」
「えっ?」
「わたくしの方が、えっ?と言いたいのですが」
リンクにお願いして父が留め置いている婚姻届を持ってきてもらう。
提出されていない婚姻届をベーゼの目の前に置く。
「わたくしとベーゼ様は結婚しておりません。陛下に婚約破棄をずっとお願いしているのですが、中々通らずに困っておりました」
ベーゼの名が署名されている婚姻届と、わたくしの名前が署名された婚約破棄届の二枚をベーゼの前に並べて置く。
「婚約破棄届に署名をお願いいたします」
「ちょっと待ってくれ。陛下から婚姻届は提出されたと伺っているのだが・・・」
「その日の内に迎えに行くようにとも陛下から言われていると思うのですが、それから何ヶ月が経ったと思われます?」
そして二通の手紙を差し出す。
「結婚式を楽しみにしていらしたベーゼ様は、一通の手紙で結婚式を欠席されました」
二通の手紙を広げて見せ、私はコロコロと笑う。
「わたくしも欠席いたしましたが」
一人で結婚式など出来ない。
「待ってくれ、私は仕事で・・・」
「お仕事、ですものね。馬車でたった20分の場所に2年以上会いにも来れず、手紙もプレゼントも送れないお仕事ですものね」
「いや、あの、本当に仕事が忙しくて・・・」
「はい。どうぞお仕事頑張ってください。この婚約破棄届に署名お願い致します」
「待ってくれ。私はミランダを愛しているんだ」
「わたくしはベーゼ様に興味がございません。署名を」
ペンを差し出す。
リンクが婚姻届と二通の手紙を脇へ避け、婚約破棄届をベーゼの目前に突き出す。
「ミランダと婚約破棄したら私はどうなる?」
「わたくしの知るところではないと思われます。署名を」
「愛しているんだ」
「では、愛しているわたくしのお願いを聞いてくださいませ、署名を」
「一旦頭を冷やそう。私は一度帰らせてもらう」
ベーゼが音を立てて立ち上がる。
「署名してからお帰りください」
リンクが扉の前に立ちふさがる。
「いやだ。私は署名しないぞ」
溜息も出ないと思っていたが溜息が出た。
「解りました、では、こうしましょう。今日は一旦婚約破棄届けに署名していただいて、愛があるのならその熱意でわたくしを口説き落としてくださいませ。その熱意に打たれたならば今度は婚約をせずとも結婚いたしましょう」
「えっ?」
「口説いてくださるのでしょう?」
「勿論だ」
「では署名を」
「わ、わかった」
婚約破棄届けにしぶしぶ署名してくれた。
私自ら、その日の内に婚約破棄届を提出しに行った。
翌日
「お父様。婚約破棄が受理されました」
「そうかっ!」
「はい」
「よかった。よかった。本当によかった。おめでとう」
「ありがとうございます」
婚約破棄しておめでとうと言われてここまで喜ぶ父娘は私達くらいかもしれません。
でも喜びの笑い声が父もわたくしもリンクも漏れ出てしまうのです。
「ところでお父様、わたくしお願いがあるのですが」
「今度は何だっ?」
「婚約したい方がおりまして」
「なっ!だ、誰とだ?!昨日の今日だぞっ」
「婚約破棄届けを受理してくださった方で」
「なっ」
「昨日が初対面なのですが、お互い何故か気が合ってしまって。ドルガン・パーシ様と言う方なのですが」
「パーシだと?!」
「はい。パーシ伯爵家の四男にあたる方です」
「パーシ様のお気持ちは?」
「昨日その場でプロポーズされましたの。勝手だとは思いましたが、既にお受けしてしまいました。次の休日にデートする約束をしております」
「受けたのか・・・」
「はい」
「少し調べてみるが、パーシ家なら問題はないだろう。こちらの状況の説明はしたのだな?」
「はい。問題ありません」
翌日
「パーシ家と連絡がついた。あちらもこの婚約が整う事を喜んでいる。こちらが望むのなら婿入りしてもいいそうだ」
「あら、流石にそこまではお話ししておりませんでした」
「明日会うのだろう?婿入りの話を聞いておくように」 「解りました」
初めてのデートの日
朝早くから外出の準備を整え、何時でも出かけられるように準備万端で待っていた。
「お嬢様、パーシ様がお迎えにいらっしゃいました」
「ありがとう」
走り出そうとする体を心で抑えつけ、お淑やかに玄関ホールへ向かう。
「ドルガン様、お迎えありがとうございます」
「君に早く会いたくて、約束より早く来てしまった」
「わたくしも早く会いたかったです」
私の手を取り、馬車へと誘ってくれた。
「お父様ただいま戻りました。ドルガン様、こちらが父です」
「初めまして、ドルガン・パーシと申します」
「ミランダの父、ケルト・ペンスです。今日は楽しかったですか?」
「ええ、とても楽しい一日を送れました」
「それは良かった」
「では、私はここで失礼いたします。ミランダ嬢、次会える日がもう待ち遠しいよ」
「わたくしもです」
「ミランダ、執務室へ」
「はい?」
「今日ベーゼが15時のお茶の時間に来た」
「あら、そうですの?」
「お前を口説きに来たそうだ」
「まぁ」
「明日、パーシ家と婚約申請してくる」
「ありがとうございます」
「パーシ家と話し合った結果、早い方が良いと話がまとまった」
「まぁっ!」
「大聖堂に問い合わせた結果、最短で一ヶ月後、次は三ヶ月後だ。どちらにする?」
「一ヶ月後でお願いできますか?」
「解った」
一ヶ月後
超特急で仕上げてもらったウエディングドレスに身を包み大聖堂の控室にいる。
まだ顔は合わせていないが、隣の控室には私より早くドルガン様がいらしていた。
開始時刻
父にエスコートされバージンロードを歩く。
その先ではドルガン様が手をこちらに向け差し出してくれている。
そして私はその手を取った。
ミランダの結婚式当日のお昼のお茶の時間
ぺンス家に訪問者がいた。
「今日もミランダを口説きに来た」
「今日は、お嬢様の結婚式でございます」
Fin
明日結婚式なのですが、夫となる人は出席されるでしょうか?王宮の出来事。
という王視点の話を書きました。
https://ncode.syosetu.com/n9341ig/
短編登録のため、別枠を立てました。
作風が全く違います。性的描写があります。




