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ADAPT  作者: 一聖
7/15

フェンリル

「ははは、メインの鉱山にヨルムンガンドが住みついたそうだ。」


「まじか・・・どこがいい知らせなんだ?神獣じゃないか・・・。」


「ドルスは勇者パーティーに審査員のついでに討伐の依頼をしたそうだ。」


「どう考えても討伐がメインだ。」


「最高の剣がもらえて、報酬までもらえるんだからいいんじゃないか?」


「神獣を討伐していいのか?エネミーじゃないぞ。」


「その辺の事はわからんが、そのせいで武具の価格が高騰してたみたいでな

 勇者パーティーが討伐すれば価格は元にもどる。」


みんなが思ってる程、あいつらは強くないぞ。大丈夫なのか?

まあ、ライナと弥勒がなんとかするだろう。

明日は早朝に出発するので早めに寝た。テントの周りに自作の結界を張った。

朝食はトーストと目玉焼き、シンプルだが外で食べると美味く感じる。


「ハリスさん、昼食はおにぎりを持ってるから、それで。」


「おお、ありがたい。」


「やつらとばったり何て事は?」


「大丈夫だろう。地竜が引いてるらしいからな、スピードが違う。」


「良かった。」


「さて、出発しよう。次の宿泊所まで結構距離があるからな。」


念のためサーチはオン。地竜ならわかるだろう。

アオに挨拶をして馬車に乗り込む。草原の中をカッポカッポと進む。

天気も良くて気持ちがいい。


「長閑な風景だが、隠れる所がないのは怖いな。」


「この辺は気候が温暖で食べる物が沢山あるんだ。モンスターも基本、山から

 出てこないから今日は警戒しなくても大丈夫だ。明日から山道になるから

 注意が必要だ。」


「了解。」


そう言う事なら気を張らず外の景色を楽しむとしよう。

昼は熱々のおにぎりと味噌汁だ。ストレージ最高!暗くなる頃、宿泊所に到着。

サーチに地竜は引っかからなかったので、もっと先に進んだんだろう。

陰影は使わなくて良さそうだ。


「夕食は俺が作るよ。」


「えっ、作れるのか?ボンボンなのに。」


「簡単なものだけど・・・ライスでもいいか?」


「全然オーケーだ。」


という事で今夜は生姜焼きにする。キャベせんとポテトサラダ。

味噌は手に入れてないからスープ。キャンプで作っていたら料理スキルがついて

しまったんだよね。カンストはしてないが結構なレベルだ。


「手際がいいな。それに美味そうだ。」


「キャンプで料理してたらスキルがついちまった。」


「そう簡単にスキルが生えるもんか?普通、料理人の弟子とかなるだろ。」


「何故というのは俺にもわからん。」


「ハンターギルドは何で登録してるんだ?」


「魔法剣士でだな。」


「魔剣持ちか?」


「あるにはあるが、家のリビングの飾りになってるよ。見た目がちょっと・・。」


「魔剣あるあるだな。派手さを好むやつがほとんどだが。」


「よし完成だ。熱いうちに食べよう。」


「いい匂いだ。うまい!何の肉だ?」


「レインボーピッグだな。」


「レインボーピッグ!高級肉じゃないか!」


「そうなのか?キャンプしてた時に襲ってきたから狩った。」


「狩ったって・・・。お前本当にDランクなのか?」


「ほれ、ハンター証。」


「むぅ・・・確かにDランクだな。しかし・・・。」


「偶々だったんじゃないか?おかわりもあるから。」


「お、おう。」


美味い生姜焼きを堪能し食後のコーヒー。ハリスさんはワイン。


「明日から山道に入る。今までよりは少し危険度がアップする。大丈夫だと思うが

 一応、武装はしてくれ。」


「山の中だと狼とか熊か?」


「そうだな。ブラッティベアが居るらしいが私は遭遇した事はない。」


「勘弁してほしいな。」


「ははは、山道とは言え人の往来もあるし警戒して出てこないだろう。」


「良かったよ。」


道中2日目も何事もなく就寝。盗賊の事を聞き忘れた。まっいいか、お休み。

翌日は山道に突入。ハリスさんは武装している、2刀流だったのね。

俺もコートを羽織る。

山道を少し進むと戦闘音が聞こえてきた。


「ハリスさん!」


「前の方で戦闘してるな。ハンター達が護衛してるようだし大丈夫だろ。

 一応、警戒はしてくれ。」


「こういう時は加勢しなくていいのか?」


「状況によるな。こっちはこっちで身を守らないのは本末転倒だ。」


「そうだな。ただ・・・。」


「ああ、通行の邪魔だ。」


近づくと豪華な馬車を守りハンター達が狼のモンスターと戦っていた。


「でかい狼だな。何だあれ?」


「ブラックウルフだと思うんだが・・・あんなでかいのは私も初めて見る。」


「あれ時間の問題なんじゃないか?狼達の動きがかなり組織的だぞ。」


「・・・リーダーがいるな。」


狼達はかなり怒ってるように見える。何故だ?とりあえずリーダーを探そう。

サーチ!こ、これは・・・そういう事か・・・。


「ハリスさん!あの馬車の中に狼が居る。多分、子供だ!」


「馬鹿な!捕獲は禁止されてるぞ!」


「それと嫌な知らせがもう一つ、リーダーだが多分フェンリルだ。」


「なっ!まさかフェンリルの子を運んでるのか?

 はぁ・・・加勢するの止めようか・・・。」


「全くだ、自業自得ってやつだな。」


「神獣を怒らせてどうすんだ。しょうがない、一応、ハンターに確認する。」


「こっちまで襲われるぞ。」


「まあ、なんとかするさ。」


ハリスさんは戦闘の真っ只中に飛び込んで行った。すげえ、さすがAランクっす。


「おい、お前ら!馬車の中に何が居る?」


「えっ、雇い主だ!それより加勢してくれ狼の数が多い!」


「当たり前だ!馬車の中にフェンリルの子が居るからだ!」


「何だと!」


「さっさと子供を返して逃げろ!じゃなきゃ死ぬぞ!」


「クソッ!」


ハンター達は知らなかったようだ。しょうがない時間稼ぎをしてやるか。

時間稼ぎばっかしてるな、俺・・・。


「ハリスさん!時間を稼ぐ!」


ドーム状の結界を馬車の周りに張る。


「長くはもたないからな!」


ハンター達が荷車から雇い主を引きずり出す。


「な、何をする!ハンター風情が!」


「うるせえ!てめえフェンリルの子を隠してるな!」


「なっ!」


「そのせいで狼達に襲われてんだ!荷物は雑貨と嘘つきやがって!」


「た、頼む!報酬は増やす、私を守ってくれ!」


「狼の子をだせ!無駄かもしれんが返したら引いてくれるかもしれん!」


「だ、駄目だ!いくらしたと思ってるんだ!」


「知るか!命の方が大事だ!出さないんだったら俺達は逃げる。

 勝手にやってくれ!」


「ハリスさん、結界が持たない。早くしてくれー!」


ハリスさんが馬車に乗り込み、檻に入れられた子狼を見つける。


「き、貴様!何をする!返せ!」


「アホか!捕獲は禁止されている。つまりお前は犯罪者だ!」


その時、結界にひと際大きな衝撃が走る。ひぇ~フェンリルだ~!

目が血走ってるー!


「ハリスさん!」


「うわ!親か!」


慌ててハリスさんは子狼を檻から出す。親に向かって一直線だ。

通れるくらいの穴を結界に開けた。頼む、怒りをおさめてくれー!


「結界を張っている人間よ。」 テ、テレパシー・・・。


「は、はい・・・。」


「結界を解け、用があるのはお前達じゃない。」


「襲いません?」


「ああ。ただ、あいつだけは許さないがな。」


「それならオーケー。」


俺は結界を解いた。


「ハリスさん、フェンリルが用があるのはその犯罪者だけだとよ。」


「そうかい。」


「ちょ、ちょっと待ってくれ!金は払う!た、助けてくれ!」


「すまんな、命乞いはフェンリルママにしてくれ。テレパシーで話せるから。」


「お前達は都に帰ってギルドに報告しろ。」


「ギャー!」 あら、犯罪者が氷漬けに。


狼の群れは去って行った。

氷像の護衛達はその場にへたり込んだ。


「巻き込んで済まなかった、お陰で助かった。」


ハンター達は氷像を馬車につめて都へ向かった。


「ふぅ・・・温厚なフェンリルで助かったな・・・。」


「ハリスさん、無茶はやめてくれ。ちびるかと思った。」


「はは、すまんな。私達も出発しよう。日が暮れると面倒だ。」


日がとっぷりと暮れた頃、宿泊所に着いた。


「予定より遅くなってしまったな、夕食は軽くにして今日はやすもう。」


「わかった。」


ストレージに入れてあったホットドッグとサンドイッチで済ます。

コーヒーは淹れたけどね。


「この宿泊所も結構、人が居るなあ。」


「あれじゃないか、今まで不足していた物の買い付け。」


「勇者がヨルムンガンドを倒すってやつか。」


「そうだ。鉱物がないとドワーフ達は動けないからな。」


頼むぞ。ライナ、弥勒。

クリーンを掛けて就寝、風呂入りてー。

もう1日でドルスに到着だ。帰りは転位でいい。

寝る時に今日のフェンリルの事を考える。ブラックウルフを従えるフェンリルか。

考えてみれば珍しいな。そもそもフェンリルはもっと寒い所に居るんじゃ

なかったか?


「その疑問に答えよう。」

いや、ちょっと勝手に頭の中に話しかけないで、びびったじゃん!

「意外に小心者だな。ブラックウルフの群れに飛び込んで来た勇敢な男だと

 思っていた。」

好きで飛び込んだ訳じゃない。のりだなのり。

「のりで命を懸けるか・・・。面白い奴だが馬鹿なのか?」

いやいや、フェンリルさん。結果的に子供が助かったじゃない。

「うむ、助かった。子供というのは好奇心旺盛で困る。」

子供なんてそんなもんだ。

「そうだな。我が何故この辺に居るかだったな。」

い、いや、うん、そうだな。何故だ?

「子供に世界を見せたくて旅をしておるのだ。ブラックウルフ共はボスを

 しばいたら勝手についてくる。」

大切な事だな。それでどこに向かってるんだ?

「ヨルムンガンドの気配がするから、そこだな。」

だちか何かか?

「いや、ただ我と同じ神獣だし見に行くだけだ。」

あんたも好奇心旺盛じゃん!今は行かない方がいいぞ。勇者パーティーが討伐に

向かってる。巻き込まれるぞ。

「はて?お前以外に強いのおったかの。」

もっと先に進んでる。

「そうか・・・まあ、気を付けよう。お前、名は何という?」

セツナだ。セツナ・ウルブス。

「セツナよ、また会おう。我の名は・・・。」

よせ!真名を言うな!

「ほう、やはりセツナは只者ではないな。」

真名を聞くと契約しなきゃいけない事ぐらいは知ってるさ。俺は穏やかな老後を

送りたいんだよ。あんたみたいな大物と契約したら最低ランクでいられなくなる。

「やはりセツナは面白いな。強くなりたくないと?」

今のままでもなんとかやれてるからな。

「では礼は別の物にしよう。」

はっ?礼なんていらないぞ。

「もう渡した。」

へっ?ストレージにストーンが入ってる・・・。

「それはブラックウルフのボスのストーンだ。何だったかな・・そうそう

 シャドウウルフのだ。」

げっ、大物じゃん!

「武具にでも使うがいい。」

あ、ありがとう?

「では、また会おう。」

シャドウウルフと言えばSランクモンスターだぞ。

刀を作るには有り難いなんてもんじゃないな。

「もっと感謝していいぞ。」

真名聞いてねえのに、普通に念話・・・。

「はっはっは、神獣ゆえに。」


フェンリルとの会話はあったが、ぐっすり眠る事ができた。

朝食を食べラストスパートだ、アオ頼むぞ。


「なあセツナ、フェンリルからストーンをもらったか?」


「ああ、ハリスさんも。」


「ああ、ランドドラゴンのストーンだ・・・。」


「この辺には居ないな・・・。」


「セツナは?」


「シャドウウルフのストーンだ。」


「Sランクだぞ!というかこの辺に居たのか・・・。」


「フェンリルが倒しようだ。」


「売るのか?」


「いや、刀に使わせてもらう。」


「とんでも刀が出来そうだな。」


「とんでも刀言うな。」


「出発しよう。時間的にはドルスの手前で野営になる。」


「わかった。」


山道を抜け再び草原の街道だ。都側とは植生が違うな。


「草が大きいな。」


「滅多にないがファング系のモンスターが飛び出してくる時もある。」


「サーチかけてるから大丈夫だ。」


「ずっと聞き流していたがサーチを使えるのな。」


「近場だけどな。」


「とんでもDランク。」


「とんでも言うな。ハリスさんが変なフラグたてるから、でかいの来たぞ。」


「す、すまん。」







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