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ADAPT  作者: 一聖
3/15

ビットと5層 2

「げっ!カナン。」


「げっ、じゃねえ!お前、俺の誘いは断っておいてこんなDランク野郎と

 パーティー組むとはどういう事だ!」


「どういう事もなにも私が誰とパーティー組もうがカナンには関係ないでしょ!」


「クッ、Ⅾランク野郎はお前に相応しくない!お前のパートナーはこのAランク

 の俺の方がふさわしいだろ!」


やれやれ・・・腹空いたなあ。


「ビット、弁当ちょーだい。先に食べてるわ。」


「ちょっと、セツナ!私が変なのに絡まれてるのにお弁当を要求するとは

 どういう事よ!ここは間に入って俺を倒してから言えとかなんとか

 じゃないの!」


「何でだよ!そこの相応しい君が誰かも知らんし、AランクにⅮランクが

 かなうわけないだろ!」


「あ~あ、せっかくデザートにあなたが好きなマンゴーを持ってきたのに

 残念だわ。」


「何!おい、そこの相応しい君!俺のマンゴーの為に消えてくれ!頼む!」


「てめえ!ふざけてるのか!Dランクの分際で!」


「ふざける訳ないだろ!マンゴーがかかってるんだ!そもそもここは安全地帯

 だぞ。揉め事はご法度なのはふい君も知ってるだろ!」


「超略したー!」


「クッ、おい、てめー名は何という?」


「なんぱ失敗君に名乗る名などない。消えろ、そろそろダンジョン警察が

 来るぞ。通報しておいたから。」


「てめえ!セーフティ以外ではせいぜい気を付けるんだな!」


「はいはい。」


ない君は鬼の形相で安全地帯から出て行った。

全く・・・頼むからダンジョンで死んでくれ。


「さあビット、うまい弁当を食おう。もちろんマンゴーも。」


「ダン警は?」


「嘘に決まってるだろ。どうやってこんなとこから通報するんだ?

 それにしてもあんなのがAランクってランクシステムってどうなってる?」


「性格に問題はあるけど、強さは本物よ。」


「性格に問題があるんじゃ駄目だろ。人手不足なのか?」


「それもあるわ。勇者軍へ流れていくハンターも多いみたいよ。」


「うまっ!さすが料理スキルカンスト勢。」


「さすがセツナね。Aランク相手でもいつも通り。」


「安全地帯では強いぞ。外じゃ秒殺されるだろうがな。それよりも勇者の事を

 教えてくれ。マンゴー最高。」


「・・・。本気で言ってるの?」


「存在は知ってるぞ。親父とお袋がぼやいてたからな。」


「そうじゃなくて、勇者はあなたも知ってる人だから。」


「はっ?俺に勇者な知り合いなど・・・あっ、銭湯には居るな。」


「のぞきじゃない!違うわよ、勇者はライカンよ。聖女はアビスにパラディン

 がカイル。それで賢者はプライドよ。」


「・・・誰だそれ?」


「同級生じゃない!」


「いかん、覚えてない・・・。」


「まあ確かに私達との関わりはほとんどなかったけど、まさか知らなかった

 なんて・・・。」


「なんかごめん。それでそいつは日々、魔王軍と戦ってるわけか。」


「そういう事ね。」


「ライカン君達には頑張ってもらいたい。負けるなライカン君!」


「全く心がこもってないわ。」


「そりゃそうだろ。俺みたいなペーペーには知りえない世界だぞ。

 ダンジョンの5層に来るのだって初めてだ。」


「フフ、そういう事にしておいてあげるわ。さっ、行きましょう。

 ダンジョン泊なんてごめんよ。」


「俺もだ。」


その後コボルトにワーウルフが混ざり出したが難なくボス部屋の手前の安全地帯

にたどり着いた。ほとんどビットが倒してきたけど・・・。


「とりあえずはお疲れ様。ここからが目的であり正念場ね。」


「ボスは?」


「シルバーワーウルフよ。」


「げっ。」


「それは私がやるからセツナは取り巻きをお願い。」


「何匹いるんだ?」


「10匹くらいかしら。」


「げげっ、そんなご無体な。」


「刀の試し斬りには丁度いいんじゃない?」


「ビットはDランクに向かって何を言ってるんだ?」


「銃だってあるでしょ?」


「銀弾、ほすいー!」


「行くわよ!」


「あーもう、わかったよ。」


ビットが扉に魔力を流すとズズズーと開いた。広い・・・。

間隔を取られると体力の消耗が激しいな。居た!えっ!10匹以上いるじゃん!


「よろしく、セツナ。」


「まじか・・・。」


しょうがない出来立ての黒刀のデビューだ。シャリン!う~ん、いい音。

俺は不知火流というのの皆伝だ。日本は銃刀法があるしバイトの時以外は

使わなかったけどな。柄を握り締める。カチッ、何かのスイッチが入ったような

気がした。


「瞬歩。」

通り過ぎる時に数匹を斬り伏せる。爪の攻撃が当たっているがこのコートのお陰で

傷ひとつ付かない。遠目のワーウルフにはブラスターをお見舞いする。

少しオーバーアクション気味に動いてビットに意識が向かないようにする。

ううむ・・不意打ちもここまでか。なら「朧。」存在を薄くする。

とたんにビットに向かおうとする。その意識が切り替わるコンマ何秒を狙う。

「水月。」

ふぅ・・・しんど。全部片ついたな。

ビットはまだやってんのかな?おお、やってるやってる。

さすがはボス。大剣をものすごい勢いで振り回している。こわっ!

そのボスと対マンはるショップオーナーって・・・。

介入して早く終わらせた方がいいだろう。黒刀からバイスに切り替える。

はぁ・・・派手だなあ・・・。瞬歩で近づきボスの脚を斬りつける。

パキパキパキ。凍らせて地面に縫い付ける。


「ビット!」


「ありがとう。」


ビットは竜殺しを槍に変形させて投擲した。

ズドン!うわぁ・・・胸に風穴が・・・。


「ふぅ・・何とか倒せたわね。」


「明日は筋肉痛だ。」


ボスが消えて宝箱が現れた。ボスドロップだ。

知識としては知っていたが初めて見る。1層のボスとすら戦った事がないからな。


「依頼はこれよ。」


「んっ、鎧か?派手だな。」 ピッカピカだ。


「勇者軍の将軍に頼まれたの。」


「こんな目立つ鎧、真っ先に狙われるぞ。」


「目立ちたいんでしょうね。」


「戦場で?大丈夫なのか勇者軍?」


「勇者パーティーはともかく他はたいした事ないわね。」


「頑張れ、ライカン君。」


「それにしても凄まじい刀術ね。偽りのDランク。」


「偽り、言うな!」


「あら、剣もドロップしてるわね。使う?」


「ありがたい、この剣すごいんだけど目立っちまうから。」


「ああ、その剣は・・・・ないわね。」


「わかっちゃいるが家宝をそう言われると、くるものがあるな・・・。」


「ドロップした剣はファングソード・・・安直ね。」


「名前などどうでもいい。2層で折れなければな。」


「それは大丈夫じゃない?頑丈みたいだから。」


「オーケー、脱出しよう。転位門が開いた。」


ハンターギルドで今日の戦利品を換金。

ストーンやドロップ品が沢山あったので1層では考えられない収入になった。

これは当分アタックしなくても済む。親達にバレないようバカンスだ。


「ビット、ありがとう。当分、働かなくて済む。」


「・・・あなたねえ。またライナに怒られるわよ。」


「ははは、大丈夫だ。ライナなら特殊部隊の仕事でこの国を離れてる。」


「帰ってくるわよ。」


「へっ?うそ・・・。早くない?」


「あの娘が優秀で激強なのは知ってるでしょ?」


「まあな。そうか、帰ってくるのか・・・よし、逃げよう。ビット、俺は旅に

 出る。そうだな・・・修行の旅だ。次に会う時、一回りも二回りも成長した

 俺をお見せしよう。さらばだ・・・。」


「ちょっと待ちなさい!ライナにあなたが逃げないように頼まれてるのよ!」


「ふははは、無駄だ。俺は風、なにものにも縛られない。

 んじゃ、よろしく。」


転位。隣国にある俺の秘密基地へ。


「なっ、転位・・・。とんでもDランクね。はっ、ライナに責められる・・・。

 しょうがないわね、貸しよセツナ。」


秘密基地と言ってもたいしたもんじゃない。

ほぼ小屋と言ってもいいだろう。しかし、寝るだけならこれで十分だ。

金もあるしのんびり惰眠を貪ろうでないか。

この国は海洋国家で海鮮料理が美味い。ダンジョンは島がまるまるだ。

行かないけどな。まずは美味い魚でも食べるか。

外にでるとまだ明るい、魚日和だな。その辺の屋台でもすんげえ美味い。

んっ?いつも活気がないな・・・。いつも行く屋台に行く。


「おっちゃん、刺身の盛り合わせ。」


「おう、お前か。久しぶりだな。すまんが干物しかねえ。」


「そうなの?まあ干物も美味いしそれで。」


「いま焼くから待ってろ。」


「何かあったの?いつもの活気がないけど?」


「んっ、お前戻ったばかりか?」


「うん、ついさっき。」


「そうか。モンスターが出て漁に出れねーんだ。」


「モンスター?ここの海軍って滅茶苦茶強いんじゃなかったか?」


「全滅こそはしなかったが、這う這うの体で逃げ帰ってきたぞ。」


「まじか・・・そんなとんでもないモンスターが出たんだな。」


「クラーケンらしいぞ。お陰で干物のみだ。それも数日で終わる。」


「やばいじゃん。」


「大丈夫だ。勇者様が来てくれてるらしい。」


げっ、まじかあ・・・小屋から出なければ問題ないだろう。

来るなよ弥勒・・・。

腹も膨れたし小屋に帰って寝ようではないか。グッヘヘ・・・。

小屋に戻ると弥勒が居た・・・。


「お帰りなさい。何この日本風のうさぎ小屋は?」


「はぁ・・・何で居るんだ?しかも俺のパラダイスをうさぎ小屋だと・・・。」


「ライカン達とこの街にきてみれば刹那の気配があるじゃない。心配せずとも私は

 楽しくやっていると伝えに来たのよ。」


「そうか、わかった。さっさと帰れ。俺はパラダイスで至福の時間を過ごす。

 俺は勇者パーティーと1ミリも関わる気はないから、巻き込むような真似は

 するな。」


「けど刹那、今回の依頼はライカン達には無理よ。」


「知った事か。いいか弥勒、お前が何をしようが自由だ。だから俺にも構うな。

 俺はもう誰かの為に戦う気はない。」


「・・・わかったわ。」


肩を落として小屋から出て行こうとする。

こいつ・・・俺に助けてもらおうとしてたのか?

勇者よ、クラーケンごとき何とかしろ。しょうがない・・・。


「弥勒、これ持ってけ。」 刀を投げ渡す。


「村雨・・・。」


「戦わない俺には必要ない。弥勒の妖力は通るだろうさ。」


「ありがとう・・・。」


ふぅ、やっと寝れるぜ。おやすみなさい。

ぐぅ~、自分の腹の音で目が覚めた。晩飯食いに行こう、店やってるかな?

食材はたっぷりあるし自分で作ってもいいし。

外へ出て驚いた。小屋の周りが焼け野原になっている。

小屋自体には結界を張っておいたので焼け野原に小屋がポツンとある変な光景。

やれやれ、これじゃあ目立ってしょうがない。


「ファイヤーボール。」 ドウン!自ら小屋を破壊。


さらば愛しのパラダイス・・・。

親父やお袋が言っていた勇者の後始末ってこの事か・・・。

周りに影響が出ない戦い方ができんのか?たかがクラーケンに。

トボトボと壊れていない街へ歩いて行く。今夜は宿に泊まろう。

街へたどり着くとお祭り騒ぎだった。無視して路地裏の小さい宿屋を探す。

おっ、この寂れた感じはグッドだ。


「邪魔するよ、泊まれるか?」


「見ての通りだ。」 ガランとしていた。


「じゃあ数泊頼む。それにしても表通りが騒がしいな。」


「フンッ!勇者御一行様が街の4分の1を犠牲にしてクラーケンを

 倒したんだとよ!」


「ずいぶんとご立腹じゃないか。」


「ったりめえだ!その4分の1の中に娘夫婦の家もあった。不幸中の幸いで

 2人は留守だったがな。」


「ああ、俺の家もあったよ・・・。」


「泣き寝入りか?」


「しょうがないさ。」


「はぁ・・・飯ぐらいは食わせてやる。」


「ありがとよ。」


「部屋は2階の奥だ。」


鍵的な木の板を渡される。

部屋は掃除が行き届いたわびさびな感じ。やるな、あの爺様・・・。

気持のよいベットに寝転ぶ、最高だ!

それにしても・・・おそらくクラーケンに止めをさしたのは弥勒だろう。

勇者パーティーって弱いの?困るぞライカン君!君たちがちゃんと魔王の相手を

してくれないとおちおちDランクで居られなくなるじゃないか!

とは言え関わるのは御免だぜ。遠くから祈る事にしよう。



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