帰宅
すぐに何本か持って来てくれた。
おお・・・カッコイイ。3人ともメインの魔剣は持ってるから小型でベルトに付け
れるのがいいだろう。
「さすがだな、良い機械式だ。」
「ありがとうございます、職人も喜びますよ。」
「じゃあこの剣2本とこっちのレイピアを頼む。それと家紋は彫れるか?」
「大丈夫ですよ。何か見本のようなものがあれば。」
「これなんだが。」 ナイフのケースに入っている家紋を見せる。
「えっ!ウルブス家の方だったんですか!」
「知ってるのか?」
「救国の英雄は誰でも知ってますよ。」
「まあそれは両親で、俺には関係ないがな。」
「ウルブス家の方に購入していただけるなんて光栄です!」
人の話、聞いてねえな。この人。
「1時間程で完成させます!」
「早くね?」
「裏に工房がございますので。」
「じゃあ、よろしく頼む。」
お金を払い・・・機械式、たけえ!ここんところ巻き込まれであぶく銭があるから
問題ない。老後のために貯めるのはもちろんだが、金はまわしてこそ価値があると
思っている。収入の半分は使う事にしてるんだ。
さて、茶でもしばいて待つとするか。
店の近くにあった喫茶店みたいな所に入りケーキセットを注文。
良い土産が買えたし受け取ったら帰るとするか。
「セツナ!」
「げっ、ライナ!」
「げっ、じゃない!私を追ってきたのはわかってる。」
「なわけあるか!刀を作りにきたんだ。」
「ツンデレさんだな。」
「ちゃうわ!それより勇者軍の素行が悪すぎるぞ。」
「そうなのだ・・・。見つけたらしばくようにはしてるんだが。」
「勇者達は何も言わないのか?」
「ああ、あいつらは・・・。」
「こう言っちゃ何だが、1度解体して軍で選抜した勇者軍を作った方が
いいんじゃないか?」
「私もそう思う。馬鹿なコンクールが終わったら都に戻るからそう報告する。」
「その方がいいだろう。ライナは監視か?」
「そうなのだが、監視というよりは査定だな。」
「どうなんだ?」
「弱くもないけど強くもないって感じだ。最近加入したミロクちゃんは
別格だけどな。」
「覚醒とかねえのかな。俺の所見だと周りが頑張らないと被害も増えるし
魔王軍の幹部連中が出てきたら負けるぞ、あれ。」
「見たのか?」
「サーチと鑑定。」
「絵に描いたようなハーレムパーティーだな。注意する人間はいない。」
「ライナがすれば?」
「嫌だ!隙あらば魅了をかけてくる。レジストしてるが気持ち悪い。」
「はぁ・・1度魔王軍にぼろ負けした方がいいかもな。」
「どうかな、負けても勇者軍のせいにするんじゃないか。」
「ええ・・・。そんな勇者いる?」
「いらないな。けどハンターギルド、軍、教会がシナリオ書いてるからそう簡単
にはクビにならないだろう。」
「俺としては頑張ってもらいたいんだがな。俺の平和のために。」
「はぁ・・私も報告はあげるがセツナからもグリスおじさんとメルロおばさん
に伝えておいてくれ。」
「わかった。」
「憂鬱だけど戻る。ダンジョンに行くみたいだから。」
「ライナ、ダンジョンのラスボスはブリザードフェニックスだぞ。」
「何で知ってんだ?・・・行ったんだな。」
「依頼でな。戦いはしなかったがあれは本物の強さだぞ。」
「何の依頼だ!まあいい、帰ったらゆっくり聞く。それにたぶん大丈夫だ。
ボスにはたどり着けないからな。」
「まじで?あの出来立てのほやほやのダンジョンで・・・。」
「まじだ。察してくれ。」
「ライナ・・・頑張れ。」
「人事だな。」
「いや頑張って魔王を倒して欲しいと思ってるぞ、切実に。魔王軍が都まで
来るようになれば戦う事になるし。」
「戦場が都になる可能性はあるな。メルビィとビットに知らせておこう。」
さて俺は機械式を受け取って都に帰ろう。
宿の女将に挨拶をして予定より早かったが都の自分の部屋に転位。
行きは5日程かかったからな、転位ってチート。
ただし魔力はがっつり食うから今日はもう休む。
刀を作る時間を考えれば、全く辻妻が合わないが家のメイドさん達はそこまで
俺の事は気にしてないので問題なし。
勇者の剣コンクールは国の代表を決めるイベントだ、何も起こらない訳ない。
それこそ色ボケ勇者の仕事だ。ライナ、がんばれ・・・。
さて、夕食まで少し時間がありそうだ魅了をレジストする魔導具を作ろう。
今後、影でキーになるのはライナ、ビット、メルビィだろう。ライナは軍から
支給されてるのを使ってはいるが、ちと弱い。出店で面白いストーンを見つけた
ので購入しておいた。ストーンの研究をしている錬金術師で研究資金のために
店を出していた。この世界で錬金術師はあまり多くない。というのは大抵は
魔導具職人になるからだ。俺から言わせると錬金術はほぼ万能なんだがな。
ただし、あくまで錬金術は等価交換の原則があるため科学、物理の知識が必要
になる。ファンタジー世界あるあるだがなまじ魔法なんか使えると医学、科学は
発展しない。全部、神の奇跡ですませるからな。結果、教会が権力を持つ
わけだ。その方が神にとっても都合がいいだろうしな。
このストーンの面白いところはクズストーンにも関わらず純度が高い事だ。
本人は企業秘密と言っていたがスメルティングしたんだろう。
このクズストーンを合成すれば小さいがオーブになる。魔法や呪いをレジスト
する魔導具があまり出回らないのはこれが理由だ。単純に良いストーンやオーブ
じゃないとレジスト出来ない、そんなのは高額だからな。
とりあえず指輪でいいか・・・この世界には結婚指輪などないから変な勘違いも
されまい。錬金術で台座をつくりそこに魔法陣を書き込んだオーブを埋める。
全ての魔法をレジストできればいいのだが、そこまで万能な魔法陣はない。
研究中だな。そもそもこんな事が出来る魔導具職人は軍のエリート中のエリート
の魔法師しかいない。だから俺が出来るのは超秘密。
サイズは渡す時にでも調整しよう。一仕事して腹が減った。
食堂に行くとお袋が居た。
「あらセツナ、戻ってたのね。」
「ああ、用事だけ済ませて帰って来た。」
「にしては早すぎない?本当にドルスに行ってたの?」
「何故疑う。そうだ土産があるからそれが証拠だよ。親父にも渡しておいて。」
「えっ、機械式のレイピアじゃない。本当に行っていたのね。」
お袋はとても嬉しそうに魔力を流してレイピアにした。
「小さくていいわね。これならベルトにつけても問題なく動けるわ。
ありがとうセツナ。」
「少しいじって使い易くしてある。」
「まあ・・・あなたは色々ともわないけど家族想いのいい子よね。」
「・・・・だめか?」
「いえ、最高よ!」 お袋は親指を立てた・・・。
「それとドルスでな・・・。」 勇者軍の事を話す。
「はぁ~、やっぱ駄目ねえあの子達は。」
「ちゃんと軍で選抜した方が良いんじゃないか?」
「グリスもそうしたいみたいなんだけどねえ・・・。」
「ハンターギルドと教会か?」
「そうなのよねえ。勇者パーティーってそれぞれがそれぞれの代表みたいなもん
じゃない。」
「そうかも知れんが、そんな悠長な事言ってられんぞたぶん・・・。」
「・・・何か知ってるのね。話しなさい・・。」
「条件がある。」
「何かしら?」
「これからする話を聞いても俺をハンターのまま居させてくれ。」
「いいわよ。私もグリスも元々子供達には自由に生きて欲しいと思ってるわ。
リベルはほら、真面目が服着てるようなもんだから。別に軍人にならなくて
も良かったのよ。」
「ははは。」
神様ありがとう。良い家、良い家族の所へ転生させてくれて・・・。
「さあ、知ってる事全て吐きなさい。」前言撤回・・・。
ヘファイストス様からの依頼でブリザードフェニックスに会った事。
おそらく後ろで魔王軍が糸を引いてる事等を話す。
「・・・はぁ、あなたねえ、神の依頼って使徒じゃないの!」
「まさか!ただのDランクハンターで次男だ!」
「どこの世界にブリザードフェニックスに1人で会いに行くハンターが
居るのよ!神獣よ神獣!羽ばたくだけで都なんで半分消えるわ!」
「むっ、確かにそうかも知れんが奴はすでにダンジョンのエネミーと化してた。」
「いやいやオーブがあったんだったら最深部じゃないの!しかもソロ!
Sランク以上よSランク!」
俺はお袋に土下座した。
「そうかも知れんが、何卒Dランクでの穏やかな老後を!」
タイミングが悪く丁度その時親父が帰ってきた。
「・・・セツナよ、帰って来るなり土下座とは・・今度は何をした?」
「あなた、丁度いいところに!」
お袋が今までの話を親父に伝えた。
「はぁ・・神の依頼とはな・・・。」
「親父、俺は使徒じゃないからな。」
「しかしなあ・・・・。まあセツナの予測は合ってるだろう。」
「火山活動が活発に?」
「そうだ。まさかフェニックスの所為だとは思ってなかったがな。」
「新しいフェニックスが生まれていれば収まると思うが・・・。
ヘファイストス様が確認すると言っていた。」
「軍の方でもフェニックスの目撃情報がないか調べさせる。勇者軍に関しては
その件をネタに各機関を黙らせたいのが・・・。」
「勇者軍内部の詳しい事はライナに聞いてくれ。俺は明日からダンジョンに
戻るよ。」
「セツナ、神から依頼を受ける程のお前が2層か?」
「親父、それは偶々で俺はちゃんとDランクだ。」
「偶々か・・・もし魔王軍との戦いがこの都に及んだ場合、お前はどうする?」
「う~ん。正直、国とか種族とかはどうでもいいが・・。せめて周りの人間くらい
は守りたいと思ってる。」
「そうか・・・その時はよろしく頼む。あと、機械式ありがとう。明日から
使わせてもらう。」
全て報告したし明日から日常に戻れるな。
とりあえず2層用の剣とビットとメルビィに指輪を渡していくか。
翌日、武具屋へ行き安い剣を購入。親父さんに剣は大切に使えと説教された。
むぅ、確かに折れるのを前提にしてはいかんな。強化しておこう。
「ビット、居るか?」
「あらセツナ、ドルスに行ってたんじゃないの?」
「何で知ってんだ?」
「企業秘密よ。」
「はぁ・・・まあいい。昨日、戻ってきた。」
「計算合わないわよ。」
「企業秘密だ。」
「まあいいわ。それで何をお求めかしら?遂にわ・た・し♡。」
「ちゃうわ!これを渡しに来た。」
「えっ、指輪・・・やはり目的はワタシノカラダ・・・。」
「ちゃうわ!何で片言になってんだ!」
ドルスでの勇者軍の事を話す。
「はぁ、最低ね。まあ魅了については知ってたけど。」
「知ってたのか?ああ、同じ魔眼持ちか・・・。」
「ええ、だから目をつけられないようにあなたと行動してたのよ。認識阻害を
常時発動してたでしょ。」
「メルビィもか?」
「そうよ。」
「全く・・・隠れ蓑扱いかよ。まあいい、とにかくその指輪で魅了はレジスト
できる。」
「私にこれを渡す目的は何かしら?」
「今の勇者達だと魔王軍に勝てないからだ。おそらくこの先、都が戦場になる
可能性がある。」
ブリザードフェニックスの事も話す。
「・・・それで?」
「その時、おそらく勇者は魅了を使って自分の思い通りやろうとするだろう。
まあ、それで都が守られるんだったらそれでいいが・・・。」
「無理だと?」
「いくら軍やハンターギルドに優秀な奴がいたとしても指揮官が無能だとな。」
「それでどの機関にも関係なく動ける人間か・・・。軍やギルドにも魔導具
くらいあるでしょ?」
「あるにはあるが勇者もそこまで馬鹿じゃない。おそらくライナに魅了が
かからない事で気づいただろう。」
「つまり私は保険かしら?」
「ビット、メルビィ、ライナが保険だな。」
「あなたは?」
「Dランクハンターに無茶言うな。1兵卒としてしっかり逃げるさ。」
「・・・・私達で魔王は倒せるのかしら?」
「今は無理だろうな。だから3人は逃げろ、馬鹿な勇者に付き合う必要はない。
その為の指輪だ。」
「逃げてどうするのよ!私達は私達で戦うわ。」
「それもいいが、もっと力をつけてからにしてくれ。装備も含め全然足りん。」
「・・・そう。わかったわ、まだ時間があるだろうし準備するわ。
メルビィの所へ?」
「ああ。」
「私も行くわ。」




