天才科学者の私はポーカーフェイス彼氏が自分を愛しているか知りたくて、「心の声を聞ける装置」を作り上げる
「今日も楽しかったわシンジ」
「ああ……ユカリ」
デートが終わる。彼は今日もずっと無表情だった。
シンジは完璧な人間だ。イケメンで頭もよく、若くして会社を経営しており億万長者、スポーツをさせればトップアスリートにも引けを取らない。
唯一の欠点といえば常にポーカーフェイスなことぐらい。
もっともポーカーフェイスも彼の神秘性を高める効果があるので、欠点とはいえないかもしれない。
しかし私には不安があった。会話している時も、食事している時も、いつも彼は無表情。楽しんでるのかつまらないのかすら分からない。本当に私を愛しているかどうかも――
だから私は彼の心を覗くことにした。
私は自分の研究所を持つほどの天才科学者で、この分野においては彼に負けない自信がある。
そして私は苦心の末作り上げたのだ。「心の声を聞ける装置」を。
さっそく私はシンジを研究所に呼び出した。
「突然どうした」
相変わらずシンジは無表情だ。突然の呼び出しをどう思っているのやら。
「私、新しい発明をしたの! シンジに試して欲しくて……」
「どんな発明だ?」
「それは試してみてのお楽しみってことで」
私はシンジに装置を装着した。
あとはボタンを押せば、スピーカーからシンジの心の声が流れ出てくることになる。
だが、ためらってしまう。機械で人の心を覗いていいのだろうか。なによりシンジが本当に私を愛してくれているのかが怖かった。
だけど確かめずにはいられない。嫌われていてもかまわない。心を暴いたことを責められてもかまわない。
そんな思いを込めて、私はボタンを押した――
「可愛い! 可愛い! 可愛い! 今日もユカリは可愛いなぁ! ただでさえ凛とした美人なのに白衣を着てるってのがもう最高なんだよね! 美女に白衣! これはもう『鬼に金棒』や『アンパンに牛乳』クラスの組み合わせですよ! いやそれ以上だね! ユカリのためなら俺は全財産貢げる! 世界を敵に回せる! 愛してるぞおおおおお! ってこんなこと絶対言えないけどね、恥ずかしくて。ところで新発明ってなんだろ? ユカリのことだからきっと超凄い発明に決まってる! だってユカリは天才だもん! 俺如きにもったいない女だもん! てかさっきからなんだこの声? これ俺の声じゃね? もしかしてユカリの発明って……ああああああっ! そういうことかああああっ! だけどユカリに心の声を聞かれて嬉しいいいいいいい! 最高ォォォォォ! 俺は一生ユカリを愛し……」
完
ラジオ大賞参加作品となります。
少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。




