指導後の混浴からのプロポーズ
「…」
僕は驚いた。
いや、ホントのほんとに驚かされた。
…
……なんせ、この2人…
10匹分のリトルボア全て平らげてしまったのだから…
いや、僕も食べたけど……
…まぁ、変に残さないよりいいか。
「はぁぁぁ…お腹いっぱぁい〜」
「…ふぅ…ご馳走様でしたぁ」
「…満足してもらえたみたいで何よりだよ…まさか全部食べるとは思っていなかったけれど…」
「…あっ……全部食べちゃだめだった…?」
「いやいや、逆だよ。綺麗に食べ切るのはいいことさ。ただまぁ…リトルボアといえど量が量だからね…食べ切るなんて思ってなかったと言うか…」
「…おっ…お恥ずかしいところをっ…///」
「いや、沢山食べる女性は素敵だよ。ただ、食べ過ぎには気をつけなきゃダメだけど……あと出来れば、食べきれなかった分は干し肉とかにしたり、食べれなかった部分と一緒に大地の養分に…とか考えてたけど…まぁ無いなら仕方ないよね」
まぁ普通なら食べきれない量だったんだけど…
とりあえず、食べきれなかった分とかは干し肉みたいに加工し、食べれない部分はちゃんと処分する。
そうするのが暗黙の了解だからだ。
流石に切羽詰まってる時や、とんでもなく大きな個体を狩ったなんて時はむずかしいけど…
せめて後からでもいいから、水をかけて血を洗い流すくらいはしておいた方がいい。
なぜなら、そこから疫病の発生など招きかねないからだ。
「…てな感じで、対処は必要だから気をつけてね?。…まぁ最近じゃこういった後始末をしない冒険者が増えたから、ギルド側で後始末隊みたいなのができたらしいけど…お金もかかるからね…そう言う意味じゃ、水魔法が使える仲間がいるといいかもねぇ」
と、僕は水魔法を発動させれば、血を洗い流したりしていく。
「魔法使いの仲間…ですか…」
「…まぁ…なりたての素人冒険者だから、なかなか仲間の募集は難しいかもだけど」
「…なら、お師匠様がいれば解決じゃ…いでっ」
「こらこら、僕は一応師なだけで、それ以降の面倒を見るつもりはないよ。僕はゆっくり暮らしたいからね」
「えぇ〜、そんなぁ〜」
「…まぁ僕なんかより、頼れる仲間を探しなさいな。そうやって自分達の目でさがし、仲間に値する人物と巡り会うのもまた実力だよ…さてギルドに報告に戻ろうか」
◇◇◇◇◇◇
「…はい、確かにクエスト達成ですね」
と戻ってきて受付嬢さんに報告すればテキパキと処理してくれた。
やはり、プロは手際がいいねぇ。
「はい、報酬」
「…へ?」
「…ん、どうしたの?」
僕は受付嬢さんから貰った報酬を2人に差し出すと呆気に取られたような表情でこちらを見てきた。
…何で?
「…いや…お師匠様の分…」
あぁー…なるほど…そういう…
「いや、いいよ。コレは君らの報酬さ。だから、僕は基本手伝わなかったでしょ?」
「…あっ…」
確かに知識を与えたりとか、陽動したりとかはしたけど…
大半の作業については、2人に任せてたし。
…それに僕、お金に困ってるわけでも無いからねぇ。
「まぁ、今後もし同じよう状況に出くわしたら手を貸してあげてよ…まぁいつになるかわかんないけどね」
とそれだけ言えば、僕はその場を後にした。
何故ならお風呂が僕を待ってるからだ。
◇◇◇◇◇◇
「ふぅぅ…」
僕は湯船でゆったり…
なんだかんだ神経は使ってるからねぇ〜。
あのレベルの依頼だとしても疲れてしまうものさ。
僕はコレまでと違ってのんびり生きたい…
それは僕の夢であり、憧れだ。
何をチャチなと言われちゃうかもだけど…
それだけ、僕は“激しい”人生を送ってきた。
…自分で言うのもあれだけどね…
…
…だから…
「……はぁ…何か用かな?」
だから、あんまりこの生活を崩すような事はしてほしくないんだけどなぁ…
「…流石にバレていましたか…」
と湯煙の奥…
そこから女性が現れた。
「…僕が言うのもあれだけど…流石にやりすぎじゃない?」
と苦笑いしながら僕は言う。
何故なら、タオル一枚で彼女はそこにいたのだから…
「あら、タオルはつけておりますよ?」
「そもそも、この状況がダメでしょ……ねぇ、“受付嬢”さん?」
まさかのお風呂に乱入…乱入?
…まぁ、いいや。
とりあえず、そこにいた彼女…
昼間の受付嬢さんに問いかけた。
「何事も経験ですわよ」
「…それはしていい経験じゃなくない?」
「あら、自分で言うのもあれですが…私、かなりプロポーションには自信があるのですが…ダメでしょうか?」
「いやいや、ダメというかなんというか……普通に綺麗なんだとも思うし、ある意味素敵なシチュエーションだとは思うけど……残念ながら幼馴染いわく、僕は枯れてるらしいからねぇ」
「…それは…計算外でしたねぇ…」
どうやら、このまま欲求に任せて…みたいな展開を希望していたみたいだ…
なんとも恐ろしい…
「…で、この状況どうするんです?」
「…もうめんどくさいし…過ちを犯してみるとか」
「いや無しで…てか、女性がそんな簡単に身を売っちゃダメでしょ…特に、“護国の姫騎士”と呼ばれてるあなたが…」
「……」
目を見開きながらこちらをみる受付嬢さんこと…
西のとある国…バルサ国の第一皇女であるエルザ・ランバート・バルサその人なのだから…
「…ちなみにいつから?」
「ん〜、昼間にギルドで出会った時かなぁ〜。僕について知っていて…対象が違うとはいえ、間近僕の出そうとしたさっきにビビらないなんて…ね……あと、これでも元国支えの魔術師だからねぇ。多少顔に見覚えがあった…ぐらいかな?」
「ふむ…なるほど」
「てか、皇女様があんな事務手続きが上手いなんて…逆にビックリなんだけど?」
「ん?。なに、私だって書類整理などするさ」
「…口調が完全に騎士だね…」
「あら、こちらの方が好みかしら?」
「いや、ヘドが出る」
「ッ…ハッハッハッハッ!!!…まさかここまでとはなぁッ…ハハッ!」
「お気に障ったかな?」
「大抵の者ならすでに琴線に触れる…いや、抉り回っているところだが…私からしたら逆に心地いい…なんせ、下手に自分を作らなくて良いのだからな」
「それはそれは……高い地位に立つ者の苦労というやつですか」
「ああ、その通りだ。だが、そっちも同じようなものだろう」
「それが嫌で自由の身になったんですよ…てか、本当に予想外でしたよ。監視がつくのはわかってましたし、いずれ接触してくるとは考えていましたが…まさかこんな早いとは」
「だからこそだ。下手に刺激するより、しばらく様子を見るというのは、戦術として悪くはないが…私は苦手でね」
「…うわぁ…脳筋過ぎません?」
「言うな。数ある私の短所なのだから…だが、何も考えずに突破するからこそ得られる事だってある」
「ほぅ…」
ん〜、その考え方は案外嫌いじゃないかもなぁ〜。
「…単刀直入にいこう、ルーク・アドバンス。私の国に…そして、私の夫にならないか?」