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とりあえず弟子とりました。

とりあえず、あらすじを説明しよう。



不相応な勇者パーティーの師匠になった。



以上!



「…さて…約束したからにはしっかりやるつもりだけど…再度確認させてほしいかな」



「え…何をでしょう?」



「…君たちは、本当に強くなりたいの?」



「「…」」



普通の冒険者…



まぁ…そんな相手なら弟子とかにしないだろうけど…



冒険者相手なら聞くつもりはない問いかけ…



でも、この子たちには聞かなければならない。



何故なら、周りによる被害者だから。



そして、しばらく時間が経って…



「…正直に申し上げますと…わかりません」



ルミナさんは小さくつぶやいた。



「…」



「…ルミナちゃん…」



「…私もネアさんも、国命で仕方なかった状況でした…ですから、強くなりたいかと言われたら…正直答えに困ります…」



…そう。



この子達は、単に偶然による被害者。



精霊に愛された、愛された存在がそばにいたがために能力は向上され、結果この場所にいるだけの女の子…



強くなることに対してなんらかの気持ちがある方がおかしい。



「…もし、普通に生きられる道があるならどうする?」



僕は、少し意地悪な質問をしてみる。



「…それは……そちらもなんとも……」



「ふぅん…ネアさんは?」



「…僕も同じかな……確かに普通に生きられるならいいかもだけど…勇者の様な力があるなら誰かの助けとかになるかもだし…」



「……」



…まったく、これだから精霊は嫌いなんだよねぇ…



結果として、正義感の強い子に流れがちになるんだから…



…でもまぁ…



多少でも、強くなる意思があるなら…まぁいいかなぁ…



「…はぁぁ…変な話をしてごめんね。だけど、ちょっと確認はしときたくてね」



「…確認…ですか?」



「うん……君らは能力は強いけど、実力は弱い。何故かわかる?」



「……お師匠様の見立てならこの辺りのモンスターにはやられないはずなんですよね?」



「まぁ、そうだね」



「………すみません…答えが出ないです…」



「…ルミナさんはどう?」



「…申し訳ございません。私も同じです」



と申し訳なさそうに頭を下げる2人…



いや、そんな微妙な顔しないでね?



言いづらくなるからっ。



「んんっ……まぁ簡単な話なんだけど…君らは色々と不相応すぎるんだよ」



「…不相応…ですか?」



「そっ。君等を例えると…そうだね……大きな荷車を、生まれたての子馬に引かせる様なものかな?」



「「…?」」



今度はキョトンとした顔でこちらを見てきたよ…



結構的を得た発言だと思うんだけどなぁ…



「ようは、土台がまったく出来上がってない。だから能力が高くても意味がない」



「…質問よろしいでしょうか?」



「はい、なんでしょう?」



「土台ができていない…というのはなんとなく理解できましたが…どうして、結論として倒せないに繋がるのでしょうか?……私達が申し上げるのも変ではございますが…私の魔法やネアさんの剣の振りの威力はすごいものでした…」



なるほど…色々試してはいたみたいだね…



「ルミナさん、いい質問だよ…答えはこれも簡単。扱えてないのさ」



「…とおっしゃいますと?」



「道具として力を使うのか、自分の力として使うのかの違いかな。確かに、君等は精霊の加護で技術や能力は格段に向上してる…これは紛れもない事実だ……だけど、その高すぎる能力の基盤になる体ができてない…技術や能力は、きちんとした相応しい土台の上でなければ宝の持ち腐れに等しい……今の君等は、子供が無邪気に剣を振り回すのに等しい……つまり、未熟すぎて、強い攻撃が来ても単調すぎて避けられる……逆に避けられるだけの土台ができてないから攻撃はもらい放題…」



「…あー…確かにそうかも…」



おそらく、前衛役だったであろうネアさんが納得した様にうなづいていた。



「…言葉が悪くなるけど……ただ能力が高いだけのカモ……それが今の2人なんだよね」



「…な…なるほど……」



「でも、勘違いしないでね?。君等が悪いかと言われたら全てがそうじゃないから…こんな状態のまま放り出したあの馬鹿王が悪いんだし…」



「……え…ば…馬鹿っ?」



「…僕が言いたい事はね…君等を強くするにあたって土台…つまり、君等自身の体を鍛えることになる…だけど、もちろん鍛えるからには筋肉とかついてくるし……そうなったら…」



「…ぁぁ〜なるほど…」



どうやら察してくれたみたいだね。



当然だけど、強くなるにはそれなりに体を鍛える必要がある。



筋肉もつくし、傷だってついてしまうのは避けられない…



もちろん、これ等は仕方がない事だ。



だけど、2人は被害者みたいなもので…



まぁ、何が言いたいかと言えば、一般的な女の子のようには生きられないという事だ。



「…正直にいうね…僕には、君等をこの道から外すだけのツテがある。望むなら、君等に対してやってあげられるけれど……どうする?」



「「…」」



まさか、この道から外れることができるなんて考えていなかったのか…



2人は沈黙した。



…まぁ、普通はそうだよね。



相手は王様だから無視したりなんかしたらどんな目に遭わされるかわからないわけだし…



でも、僕…というよりバーナ王やルーナに頼めば、保護とかしてくれるだろうしいくらでも手は…



「…ありがとうございます…ですが…」



「…僕らは辞めるつもりはありません」



「…理由を聞いても?」



「…確かに…お師匠様の言う通り…女の子としての生活はできなくなるかもだけど……その時の迷いはすでに捨てたから」



「…王様からの国名があった際に…拒否権はありませんでしたが、ネアさんと話し合いをしまして……逃げ出すという可能性についても考えました…ですが、困っている方々のお役になるなら……そう決めたのです」



と力強く話すネアさんとルミナさん…



…そっか…



すでに決めてたんだね…



「そっか……言われるがままじゃなくて、自分たちの意思で決めたなら、僕から言える事はないかな……じゃぁ、早速だけど修行に入ろうか」



「「はいっ!」」



うん。



元気が良くて何よりだねぇ〜。



◇◇◇◇◇◇



「はぁっ…はぁぁっ…ッ」



「ふぅぅ…っ…はぁ…」



「2人ともお疲れ様」



僕は1時間走り続けた2人に対して声をかけた。



「しかし、よく耐えたねぇ〜。30分もただずにギブアップするかなと思ったけど…」



とりあえず、僕は2人の基礎体力を高めるために走らせた。



もちろん一回二回の走り込みで体力なんてつくはずはないけど…



とりあえず、どれだけ体力…スタミナがあるか見たかったけど、予想以上にあったのは驚いたなぁ。



「…はぁ…い…田舎だったんで……畑仕事とかっ…」



「…なるほどなぁ、そりゃ体力もつくよね」



「…ち…ちなみに…これだけはしりつづけたら…」



「うーん……冒険者なりはじめの少し上ぐらいかなぁ?」



「…ま…まぁ……1時間程度でしたら…そうなんでしょうね……」



「まぁ、状況によるのはあるけど…そこまで特出してるわけではないのは確かだね…」



「…」



「…辛い事実かもしれないけれど…勇者という称号は決してお遊びじゃない。それだけさ」



そう。



これから彼女達が進む道は険しい険しい茨の道。



ただの村娘ではなく、ただの冒険者ではない。



勇者だ。



その言葉の重みを…はたしてどれだけ理解できているのか…



「とりあえず、スタミナをつけるとこから…無理そうなら休んでもいいから、今からここからあの丘の上まで走るっ、いいねっ?」



「「は…はいっ!」」



と返事をすればすぐさま走り出した2人…



「…いや、そんなすぐ向かわなくても…」



指示を出したのは確かに僕だけど…



…まぁ、本当に無理しそうなら気絶させてでも休ませたらいいだけなんだけどね…



「…とりあえず、変な事は今しないでね」



と、僕はいるであろう精霊に向けて話した。



…悪戯好きな子もいるだろうから、注意はしとかないとね…














「…」



そしてそれから数時間後、僕はようやく温泉に浸かっていた。



はぁぁぁぁぁ……体の隅々に澄み渡る様な気持ちよさだっ…



「…やっぱり、街中にいたお兄さん方の言ってた事は本当だったねぇ〜…まぁ、そんな重労働とかしてないんだけどぉぉ〜」



なんて言いながら僕はゆったり…



城で仕事をしてた時じゃ、考えられないくらいゆったりした時間だ…はぁぁぁ…至福だ…



などと考えていれば時間なんて経つのも早いもので、僕は温泉から上がると借りた部屋に移動した。



“ぎぎぃぃっ…”



「あっ…お師匠様っ」



「お…お先ですっ…///」



“…パタン…”



あれ…おかしいな…



部屋間違えちゃったかな?…



…いや、部屋番号は合ってる…



…じゃぁ、見間違えかなっ…



別々で部屋をとったはずだし、湯上がりの年頃の女の子が2人がいるなんてそんな馬鹿な事っ。



“…ぎぎぃぃぃ…”



「あっ、お師匠様っ。どうしたんですか?、いきなり扉を閉めて」



「…とりあえず…何かおかしいと思う事ない?」



「…?」



「…っ…///」



どうやら…ルミナさんは理解してるみたい…



ネアさんに関してはまったく何を言ってるかわからないといった表情…



…まじかぁ…



「…とりあえず、2人とも正座」



「…え?」



「正座」



「な…なんでっ…?」



「…ネアさんっ…ここは従いましょう…///」



「…えっ…?……う…うん…」



ルミナさん…理解しているんでしたら、初めからしないでくださいよ…



…さて…お説教の時間かな?




◇◇◇◇◇◇◇



「…わかった?」



「は……はぃっ…」



「…申し訳ございません…」



長時間の説教の末、ネアさんの膝が限界みたいだったからとりあえずここまで…



はぁ……僕、こういう事の説明は得意じゃないんだよ?



「…あぅ…」



ベッドに仰向けになりながら足の痺れに耐えるネアさん…



いや、あの…僕のベッド…



「…申し訳ございません…お師匠様…」



「ルミナさん…止めてください……いや、止めたんでしょうね…」



「…その通りでございます…でも、ネアさん…お師匠様に教えてもらうんだと申しておりまして…」



「…前向きなのはいいと思うけど…湯上がりで男の部屋とか…洒落になりませんよ…」



「…申し訳ございません…」



「…いや、これをルミナさんに言っても仕方ないんでアレなんですが…で、何を教えて欲しいんです?」



…まぁとりあえず……



今後の暴走についてはルミナさんに頑張ってもらうとして…



僕は僕の仕事をしなくちゃね…



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