表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
74/91

73 斜面との戦い

 ブックマーク、ありがとうございました。

 リフトを降りるとクラス全員が到着するまで、降り場の付近で待機することになった。

 上級者ならばこのままリフトを乗り継いで、頂上のコースまでいくのだろうけれど、初心者が多いので、まずは1番低い初心者コースのところから滑り始めるのだ。


 おお……遠足の時に行った山の斜面よりは緩やかだけど、やっぱり怖いな……。


 そして全員が集まったら、


「はーい、初心者はスキー板が『ハの字』になるように滑ってください。

 そうすれば、スピードは出ません。

 決して板を真っ直ぐにはしないでください。

 スピードが出すぎます。

 止まらなくなった場合は、なるべくスピードが出る前に、自分から転んでください。


 それから曲がり方は──」


 と、お母さんによるスキーの滑り方の、実演が始まる。

 ……お母さんがスキーをしているところなんて、今まで見たことなかったんだけど、滑れたんだ……。


 それにしても、ハの字か。

 プールークボーゲンとか言ったっけ?

 ……ハの字……ハの字……。

 

 あれっ、結構雪の抵抗が強い。

 おかげでスピードは出ないけど、ハの字を維持するのがキツイ。


 ああ……ああああ!

 このままではスキー板が真っ直ぐに……!

 直滑降に……っ!!


「ギブ!」


 私は自ら倒れて、直滑降になるのを阻止した。


「綺美ー、大丈夫かー?」


 さくらちゃんがシャッシャッと、雪を切るように曲がりながら滑ってくる。


「パラレルターンっっ!?

 ……あれ? さくらちゃんって、スキーの経験者だったっけ?」


「いや、初めてだけど?」


 ……何故それで、そんな高等技術が……。

 こぶしちゃんほどじゃないけど、やっぱりさくらちゃんも身体能力が高いなぁ……。


「上手く滑ることができないのなら、こぶしにお姫様抱っこされて下まで運んでもらう?」


「え、それはスキーに乗りながら?」


「そりゃあ……歩いて行ったら時間がかかるし」


「さすがに危ないよ!?」


 たぶんジェットコースター以上の、スリルが味わえると思う……。

 転んだら命が危ないし。


珠戸(たまこ)さーん、大丈夫ですかー?」


 あ、福井さんが、ゆるゆるとしたスピードで追いついてきた。

 彼女のスキー技術も私と大差ないな……。


「私は福井さんと一緒に、ゆっくりと行くよ……」


「そう?

 じゃあ、横に向かって滑ればいいよ。

 コースの端から端までいくつもりで。

 それならスピードがあまり出ないから、ジグザグに繰り返して、少しずつ下へ行くの」


「なるほど……」


 確かに斜面に対してスキー板を真横にすれば、滑ることはない。

 だけどちょっと斜め下に板をむければ、少しずつゆっくりと進む。

 これならば板を揃えていてもそんなにスピードは出ないし、ハの字を維持しながら滑るよりも楽かもしれない。


 ……まあ、上から滑ってくる人とぶつからないように、気をつける必要はあるけれど……。


「あああああああああああああああああ!!」


「え?」


「待って~、智ちゃ~んっ!!」


 今、物凄い勢いで丹治易(にじい)さんと、彼女を追いかけて頭映(かしらば)さんが通り過ぎていった。

 あれって……大丈夫なのかな……?

 止まれなくなっているようにも見えたけど……。


「私達はああならないように、ゆっくり行こうね……」


「そうですね……」


「じゃ、あたしは先に行くねー」


 と、先に滑り降りていったさくらちゃんとは、その後も2回ほど顔を合わせることになった。

 私達がゆっくりと滑っている間に、彼女は下まで行ってから、再びリフトで登ってきたのだ。


 結局私達は、1時間近くかけて下まで到達し、そして2度とリフトに乗ることは無かった。

 筆者はスキー4級を持っていますが、特に役立ったことはありません。


 ちょっと体調が悪いので、次回の更新は間に合うのか微妙……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ