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6-新しいクラス。

 ブックマーク・☆でのポイント・感想をありがとうございました!

 私は基本的に徒歩で学校に行く。

 一応集団登校で近所の子供達と登校するのだけど、特に仲がいい子もいないので、気分的には(ひと)りで通っているようなものだ。

 そして目指すのは、私立百合ヶ島学園という学校──。


 ここは大学部まである結構大きな学校で、私は初等部に通っている。

 中等部からは共学の他に女子校もあって、私も来年からそこに通う予定になっていた。

 これはお母さんの意向だけど、昨日の件で、私を男子に近づけたくないという意図があるのだろうということは察した。

 万が一私に彼氏でもできたとしたら、お母さんは嫉妬で発狂しかねないよ……。

 

 じゃあ、彼女ならいいのか?──という疑問もあるが、たぶんいいのだろう。

 女子校には女の子同士のカップルも少なくないと聞くけど、もしも私がそういう方向に目覚めた場合、お母さん的には自分にも可能性が出てくる……とか、そんなことを考えているのかもしれない。


 無いよ、そんな可能性っ!

 ……無いはずだ。

 その辺は遺伝していないと思いたい。


 とにかくこれから私が1年間過ごすクラスは、女子校への進学を希望する者を集めた特別クラスで、女子だけしかいない。

 しかも教室だって、共学のクラスとは離れた別棟にあるという徹底ぶりだ。

 そこで男子のいない環境に、1年かけて慣れていこうという訳である。


 このクラスへの編入は、お母さんの裏の意図を察してしまった今となっては、ちょっと早まってしまったという気がするけれど、別に気になる男子がいる訳でもないので、困ることがないというのも事実なんだよなぁ……。

 むしろ男子は、小さな身体の私を「ちびっ子」だ、なんだとからかうことが多いので、正直言って邪魔だったんだよねぇ……。


 で、この学校は1学年に5クラスくらいあるけれど、6年生の1~2組が女子専用クラスとなっている。

 学校へ着いた私は、その女子クラスがある棟へと向かった。

 玄関も今までとは違う場所にあるので、ちょっと戸惑う。


 そして玄関で家から持ってきた上靴に履き替えて廊下に入ると、教室がある方向を示す張り紙があったので、それに従って進む。

 辿り着いた教室の前の掲示板には、クラスメイトの一覧が張り出されていた。

 それによると、私は6年1組になったということが分かる。


「あ、さくらちゃんもいる」


 クラスメイトを確認してみると、友達のさくらちゃんがいる。

 むしろさくらちゃん以外の友達はいない。

 殆どは初めて同じクラスになる人か、同じクラスになってもあまり話したことが無い人ばかりだった。


(やばいな……。

 さくらちゃんと2人で浮きそう……)


 それがちょっと心配だ。

 困ったことに、2人とも悪目立ちするという確信がある。

 無事に1年間を過ごせるのか、新しい友達ができるのか、心配なことは沢山ある。


 そんな不安を抱えながら教室に入ると、


「綺美ー!」


 早速さくらちゃんが声をかけてきた。

 彼女の顔を見たら、不安が一気に吹っ飛んだ。

 やっぱり友達が1人でもいると心強い。


「さくらちゃん!

 良かったよ~、また一緒のクラスで」

  

「だね♪」


 私はさくらちゃんを見上げつつ彼女と掌を打ち合わせて、同じクラスになれたことを喜んだ。

 

 さくらちゃんは、色んな意味で大きな子だった。

 身長だけならもう私のお母さんとそんなに変わらないし、胸だって「そんな小学生がいる!?」ってレベルで、私が唯一気に入らないところだ。

 正直言って、初等部の制服を着ていなければ、女子高生とかに見えると思う。


 それに右側でワンサイドアップにした髪だって、ちょっと明るい茶髪で、ギャルっぽくも見える。

 私も初めて会った時は、年上の怖いお姉さんだと勘違いして、少し警戒しちゃったよ……。

 まあ見た目に反して、性格はいいい子なんだけどね。


 そんなさくらちゃんも、クラスメイトについては少し心配しているようだ。


「でも、知らない子も多いから、私達がクラスに馴染むまでには、結構時間がかかるかもねぇ~」


「あ~……」

  

 さくらちゃんが向けた視線の方を見て、私も同意する。

 教室の隅の方では、こちらを窺って何事かを話している2人組の姿が見える。

 たぶん、あまりいい内容の話ではないと思う……。


 実際、さくらちゃんはとある理由で校内どころか、この地域でも有名なので、彼女を中心にして何が起こるのか、予測できないところはある。

 まあ、さくらちゃん自身が悪い訳ではないのだけどね。


 いや、私も注目度で言えば、人のことは言えないだろう。


「それに、担任のこと聞いてた?

 やばくない?」


「うん、一応……」


 そう、この担任が、1番頭が痛くなる問題だった。

 下手をすると、私の学園生活が終わるレベルで……。

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