4-お風呂で事案!?
今回は母・恵視点です。ちょっと変態入ってます。
ふ~、うっかり綺美ちゃんに本音をぶちまけちゃった時は、もうどうしようかと思った。
実際、綺美ちゃんにドン引きされたし、下手をすれば私の存在自体を拒絶されかねない事態に陥っていただろう。
だけどなんとか泣き落として、綺美ちゃんと一緒のお風呂へと持ち込むことに成功したよ!
……いや、泣き落としと言うと、ちょっと言葉は悪いけど……。
実際、本当に泣いていたし、意図したものではない。
だってもう、綺美ちゃんとイチャラブできない生活なんて考えられない。
本当に禁断症状が出るのよ!?
……まあ、自分でも実の娘相手に恋愛感情なんて、ちょっとおかしいと思うけれど、昔から女の子は嫌いじゃないというか、大好きだったし……。
でも、まさか私の理想に最も合致する相手が、我が遺伝子の入っている娘とはねぇ……。
これも一種のナルシズムと言うのかしら?
勿論、私が唯一好きになった男の人の遺伝子が入っているというのも、大きいのだろうけどね。
ともかく、綺美ちゃんとのお風呂よ!
男の人なら、脳内ハードディスクに録画しただけでも警察沙汰になりかねない光景を、何の気兼ねも無く堪能できる。
はあぁ~……なんという役得。
私、綺美ちゃんの母親で良かった!
……うん、まあ……今日の綺美ちゃんはさすがに警戒しているのか、頭しか洗わせてくれなかったけどね……。
うう……身体も洗いたかったよぉ……。
身体が小さくて肉付きもそんなに良くないのに、柔らかい肌の手触りが至高なのよ。
これが若さか……。
でも、今は綺麗な黒髪だけで我慢するしかない。
本当は五感全部を使って綺美ちゃんを堪能したかったけど、やらかしちゃった後だともう無理だなぁ……。
あ、さすがに味覚で堪能したことはほぼ無いけどね。
頬にキスした時くらい。
で、今は綺美ちゃんと一緒に、湯船に浸かっている。
「はあぁ~、綺美ちゃんのエキスが身体に染み渡るわぁ~」
「気持ち悪いこと、言わないでよ……」
おっと、幸せすぎて思わず口が滑った。
でも、本当に極楽極楽。
「それに、背中に胸が当たってるんだけど……」
と、綺美ちゃんから抗議の声が上がったけど、狭い湯船の中に綺美ちゃんを抱きかかえるような姿勢で入っているのだから、どうしても胸が当たってしまうのは仕方が無いことだった。
でもここは一つ、小粋なジョークを決めてみよう。
「あててんのよ♪」
かつて一世を風靡した少年漫画の台詞である。
いや、一世を風靡したのは漫画の方では無く、台詞の方ね。
その作品自体は、学園格闘物から最近流行の異世界転移をするという迷走の末に打ち切られたが、その台詞だけは何故か有名になった。
少女漫画よりも少年漫画派だった私も、当時はリアルタイムで連載を読んでいたので、よく憶えている。
ただ、綺美ちゃんが生まれる何年も前だったので、彼女にはこのネタが通じない可能性もあるな。
でも、ネットスラングや、他の作品内でパロディとして生き残っているから、どうなんだろう?
まあ、分からないなら分からないでもいいや……と思っていたんだけど、綺美ちゃんの反応は、私の予想をはるかに超えていた。
「……そういう冗談は、クラスで1番胸が小さかった私への宣戦布告と受け取るけど?」
「!?」
振り返った綺美ちゃんに、すっごい目で睨まれた!?
ええぇ~……綺美ちゃんって胸にコンプレックスがあったの?
今まで知らなかった一面ね……。
セクハラもやってみるものだわ(駄目です)。
って、綺美ちゃんはまだ小学生でしょ?
その悩みは早すぎない?
「その……綺美ちゃんの年齢なら、そんなに気にしなくてもいいんじゃない?
お母さんの娘なんだし、そのうち私みたいに大きくなる……わよ?」
語尾がつい疑問形になってしまったのは、それが断定できない事柄だったからだ。
綺美ちゃんには言えないが、私が同い年だった頃にはもう少し胸が大きかった……というか、クラスの中でも大きい方だったという記憶がある。
そんな私の内心を感じ取ったのか、激高した綺美ちゃんが立ち上がって叫ぶ。
「胸がお父さんに似たらどうするの!?」
ワオ、振り向いた綺美ちゃんの大事な所が、丁度私の視線の高さに来るんだけど!?
──じゃなくて。
「……正確には、お父さんのお母さんね?」
正直、その可能性は否定できない。
私が夫と出会った頃には、彼の両親は既に故人だった。
なので、お義母さんの胸のサイズがどうだったのかは、確認のしようが無い。
夫とだって、「母親の胸はどうだった?」だなんて、そんな馬鹿な会話は酒が入っていたとしてもしていないしね……。
ともかく、もしかしたらお義母さんが貧乳で、その遺伝子を綺美ちゃんが受け継いでいるという可能性は否定できない。
できないんだよなぁ……(喜美ちゃんの胸を見つめながら)。
だから、なんと言って綺美ちゃんを慰めたらいいのか、ちょっと分からないですね……。
ここはいっそ、豊胸術でも教えるべきなのかな?
「綺美ちゃん、あのね、胸を揉むと大きくなると言う説があるんだけど……。
なんなら私が揉んであげようか?」
緊張の所為か、思わず「うぇへへへ」という気持ち悪い笑い声が漏れてしまった。
でも、綺美ちゃんのちっぱいをこの手で育てるなんて、考えるだけでも鼻血ものだし。
しかし、それがトドメとなったのか、
「……………………」
ああんっ、綺美ちゃんがゴミを見るような視線で見下ろしてくる!?
ちょっと何かに目覚めそう……。
いや、それよりも、急に大人しくなっちゃったのが怖いんだけどね!?
もしかしてぶち切れてる!?
私がヤバイ空気を感じ取ったその時、
「おかあさん……」
綺美ちゃんが静かに浴槽から出て行く。
「そのうち警察に捕まるよ……?」
ひえっ、いきなり最終手段を口にしたよ!?
「あっ……ご、ごめんなさい!」
私はすぐに謝ったが、綺美ちゃんの追い打ちが入る。
「私も児童相談所とかに通報したくないし、今後一緒のお風呂は禁止……ね?」
「えっ、やだっ!?」
「やだ、じゃなくて、もう決まったことだから……」
表情の無い冷たい顔のままそう言い残して、綺美ちゃんは浴室から出て行った。
そんなっ、私の生き甲斐が無くなるなんて、そんなの耐えられないっ!!
「ごめんなさい、綺美ちゃんっ!!
もうっ、もう、変なこと言わないから、許してっ!?
ねぇ、綺美ちゃ~んっ!?」
浴室に私の悲痛な叫びが響き渡るけれど、それに応える綺美ちゃんの声は、ついぞ聞こえてこなかった……。
少し……泣く。
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そういえば先週のことですが、漫画版も久しぶりに更新しました。
https://www.pixiv.net/artworks/84817519
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