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35 みんなの踊り

 ブックマークと感想をありがとうございました。

 マズイ!

 お母さんが見せたダンスの振り付けが、女児アニメのパクリであることを福井さんに気付かれた。

 う~ん……どうしよう……。

 嘘を()くのもなぁ……。


 これは下手に誤魔化さない方が、いいのかな……?


「……よく気付いたね?

 あれは子供受けがいいように、アニメを参考にしたらしいよ?

 でも、これは内緒ね?」


 と、私は嘘ではないけど、事実でもない感じの説明をしておく。


「ああ、そうなんですね。

 道理で……!」


 ふう……福井さんは、なんとか納得してくれたようだ。

 

「それにしても福井さんは、アニメとかを観る方なの?」


「あ、はい!

 私、物語とかを作るのが好きで、将来漫画家や小説家になりたいと思っています。

 その参考になると思って」


「へえ……凄いね」


 意外だけど、もう将来の夢があるというのは、ちょっと尊敬してしまう。

 私なんか、まだ将来何をしたいのか、全く分からないんだし。


「あ、珠戸(たまこ)さん、私と組んで踊りませんか?」


「ああ……うん、そうだね。

 さくらちゃんも一緒になると思うけどねいい?」


「はい」


 そんな訳で私は、さくらちゃんと福井さんの3人で、創作ダンスを考えることになった。

 だけど、全くいい案が浮かばない。

 

「他の人達のを、参考にしてみればいいんじゃない?」


 そんなさくらちゃんの提案で、他のグループの様子を見学してみたが、あまり参考にならなかった。


 たとえばこぶしちゃんと久遠(くどう)さんのコンビによるダンスは、どちらかというと格闘技の演舞だった。

 カポエイラとかそんな感じ?

 というか、これ、ガチのバトルでは?


「ハイハイ、そこストッープ!」


 あ、やっぱり2組の先生から制止が入った……。

 これはやっている内に、本気になってしまったパターンだな。 

 

 あと、羽田さんのは上下にぴょんぴょん跳ねるのを、延々と繰り返すというものだった。


「これは……ダンスなの?」


「ハイ、昔行った国のとある部族の踊りを、再現ししましター」


「なるほど……?」


「う~ん……」


 あ、お母さんと2組の先生も、有りか無しかで審議しはじめた。

 羽田さんの踊りは果たして、日本の教育現場が求めているダンスに含まれるのだろうか?──という、ある種の問題提起をすることになったようだ。


「まあ……いいんじゃないかしら。

 他の民族の文化も尊重すべきだしね」


 どうやら、有りということになったようだ。


「うちは私立だし、授業内容はある程度自由にやれるし……」


 ……面倒臭くなって、判断を投げただけじゃない?

 

 というか、羽田さんの胸が、めちゃくちゃ揺れていたんだけど……。

 また、ブラをしてないな……!?


「それはさておき、羽田さん?

 ちょっと先生と一緒に、更衣室まで行こうか?」


「ハイ?」


 あ……お母さんに、連行されて行った……。

 どうも彼女にとってのブラジャーは、窮屈で苦手みたい……。 


 結局、1番上手いと感じたのは、意外にも丹治易(にじい)さん・頭映(かしらば)さんのコンビだった。

 2人が幼馴染みだとは聞いていたけど、その一糸乱れぬ振り付けの動きは本当に凄かった。

 ここまで息が合っているとは、思わっていなかったよ……。


「おーっほっほっほ、私達を(たた)えなさい」


 ……これさえなければなぁ。


 ……そして結局私達は、複雑な振り付けでは私の身体がついていけないということで、振り付けとしては(ごく)単純なものになった。

 それでも私には──、


「なにあれ、ロボットダンス?」


「真面目にやってるの?」


 という評価を、みんなから下されたが……。


 違う! それで本気なんだよ!

 さくらちゃんや福井さんとの動きにも全然合わなくて、結果的に私だけソロで踊っているみたいになって恥ずかしかったよ……。


 もう心身共に大ダメージだ……。

 (うずくま)ったまま、立ち上がる気が起きない。


「だ、大丈夫ですか?」

 

「うう……私の骨は海に蒔いてね、福井さん……」


「駄目です、(あきら)めないでください!

 まだ助かりますから!

 それに珠戸さんが死んだら、私も後を追いますよ!?」


「お前ら、大げさすぎ……」


 さくらちゃんはそう言うけど、今回はそれくらいダメージを受けたよ……。


 くぅ……今回ばかりは、お母さんからの身体能力が遺伝して欲しかった……。

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