10-ライバルポジションかな?
ブックマークありがとうございました。
声をかけてきたのは、前髪をあげておでこを出し、ツインテールにしている子だ。
つり目がちな目と八重歯がちょっと猫っぽい。
あと、眉毛が短っ!?
……身長は私ほどじゃないけれど、小さい方だと思う。
でもその小ささの割には、態度は大きいような……。
というか、お嬢様言葉!?
……お金持ちなのかな?
そしてその子の横には、さくらちゃんほどじゃないけれど背が高い、ボブヘアーっぽい髪型をした子がいる。
目が細いというか、常に笑顔でほわほわとした緩い雰囲気の子だ。
え~と、確か丹治易智さんと、頭映鮎さんだっけ?
人の名前を記憶するのは得意だ。
勉強にはあまり活かされないけどね……。
「先程の帰りの会について、ちょっとお聞きしたいことがあるのですが……よろしくて?」
「え……何?」
丹治易さんが高圧的な調子で話しかけてきた。
不穏な物を感じ取ったのか、私の机に顎を乗せるような体勢だったさくらちゃんも立ち上がって、警戒している。
「明日、小テストがあると先生が言ってましたが、委員長はそのことを事前に知っておりましたの?」
「いや……初めて聞いたけど?」
これは本当だ。
お母さんって、家では学校のことをあまり話さない。
いや……私が学校でどのように過ごしているのかについては、しつこく聞いてくるけどね。
あ……その情報から、私に委員長の適性があるって判断したのかな?
ともかくお母さんは、仕事については私から聞かない限り、自分から話すことは殆ど無い。
だから普段学校で何をやっているのか、結構謎だったんだよね……。
「そうですの?
でも、お母様が先生なら、勉強を教えてもらえて有利ですわね?」
「!」
ああ……やっぱり母親が担任だと、こういうことを言われるよなぁ……。
危惧していたことが現実になったよ……。
でも──、
「なんだよそれ。
綺美がズルしているって、言いいたいのか!?」
「さくらちゃん……!」
普段あまり怒らないさくらちゃんが、私の為に怒ってくれている。
これだけでも充分に心強いよ。
しかし、ここからの展開が予想外だった。
「いえ、私は…………へぶぅっ!?」
「ああ、ゴメンゴメン」
何かを言いかけた丹治易さんを強引に押しのけて、頭映さんが割り込んできた。
え~と、丹治易さんの顔面に、半ば張り手をしたような形になっていたけど、大丈夫なの?
「この子、自分の発言が相手にどう取られるのかをよく考えないで言っちゃうだけで、悪気がある訳じゃないから……
疑問に思ったことを遠慮無く聞いちゃう上に、言葉のチョイスをよく間違えちゃうの……」
と、頭映さんが頭を下げた。
丹治易さんも張られた頬を押さえつつ、涙目で、
「私はただ、家庭教師いらずで羨ましいな……と」
とか言っている。
どうやら私を批判している訳ではないようだ。
……紛らわしいよ!
ただの空気が読めない子ってだけなの!?
「それはそれでタチが悪ぃなぁ……」
さくらちゃんがそんな感想を漏らしたけど、うん、全面的に同意するよ。
でもまあ、意地悪で言っている訳じゃないのなら、嫌う理由も無いかな……。
いや、仲良くできるのかは、まだ分からないけど……。
「あの……お母さんは、家では勉強をしろって、あまり言わないから……。
私もそんなに勉強は好きじゃないし……そんなに成績は良くないよ?」
むしろお母さんは、「遊んでくれ」と、せがんでくるんだよなぁ……。
家ではお母さんと遊ぶのも、私の仕事みたいなものだ。
それでいいのか、親……。
「そうですの?
私、先生の娘さんならば、競い合える好敵手になれると思っていたのですが……」
と、少し残念そうな顔をする丹治易さん。
ああ……丹治易さんは、強者と勝負をしたがる、典型的なライバルキャラって感じなのかな……。
漫画とかでよく見る感じの。
そりゃ、担任の娘なら勉強ができると思われても仕方が無いけど、私は静かに生活したいので、間に合ってます。
だけど、私に平穏は訪れない。
「委員長ー!」
「!!」
なんでこのタイミングで、お母さんの声が聞こえてくるのかな!?
久しぶりに漫画版も更新しました。
漫画版1話目のアドレス↓。
https://www.pixiv.net/artworks/75437225
3話目の1のアドレス↓。
https://www.pixiv.net/artworks/85925035
pixivのアドレスがある人はどうぞ。
なお、別のページには18禁要素もあるので、ご注意を。




