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プロローグ-私の大切な人

 自分で描いた漫画を自分で小説化するスタイル。ストックが尽きるまでは毎週日曜日に更新する予定なので、気長にお付き合いくださいませ。

 人生で唯一好きになった男の人(・・・)が、突然亡くなった。

 私は悲しむ暇も無く彼を送り出す為に奔走し、ようやく全部が終わったところで、緊張の糸が途切れる。

 つまり自室の隅に座り込み、そのまま立ち上がる気力が無くなってしまったのだ。


 勿論その状態をいつまでも続けるつもりは無かったけれど、胸の中が空洞になってしまったようで、そこが何かで埋まるまでは、ちょっと動けそうにない。

 果たして復活まで何日かかるのやら……。


 ともかく、その状態で何時間そうしていたのかは分からない。

 でもいつの間にか、あの人の忘れ形見が部屋の中にいた。

 ああ……葬儀の準備の時とかには後輩に預けていたけど、もう帰ってきていたんだっけ?


 さすがに葬儀場や火葬場では一緒に居たと思うけれど、その後は家に連れて帰ってきたのかどうかさえよく憶えてはいない。

 なんだか一杯一杯で、娘のことなんか頭から殆ど消えていた。

 たぶん私の気が回らなかったところは、後輩が上手くやってくれていたのだろう。

 

 はは……母親失格だなぁ……。

 私が自己嫌悪に陥りそうになっていた時、娘は私の側に来て、


「あのね、おかあさん……」


 なにやら話しかけてきた。

 そういえば、ここ数日はこの子と会話した記憶も無いけれど、泣いていたという記憶も無い……。

 たぶんずっと大人しくしていたんだと思うけど、もうお父さんがいないということを、まだ理解できていないのだろうな……。

 そう思うと、私の方が泣きそうになってくる。


 そんな私の気も知らないで、娘は一生懸命私に何かを伝えようとしていた。

 一体何が言いたいのだろう。


「えっと、おとうさんがね────」


「──!?」


 娘の言葉に、私は衝撃を受けた。

 そんな馬鹿な。

 ちょっと信じがたいことを伝えてきたよ、この子!?


 ああ……でも……う~ん……。

 こりゃ、落ち込んでいる場合じゃ無いな……。

 これからは私がしっかりとしないと……。

 


 結局、娘の言葉で私はあっさりと立ち直った。

 いや、あっさりじゃないな……。

 必死にやっていたら、苦労を感じる暇が無かっただけだ。


 いずれにしても、私を立ち直らせてくれた娘には感謝している。

 感謝して、感謝して、その想いをこじらせた結果、夫が亡くなった直後とは別のベクトルで母親失格になってしまったような気がしないでもないけど、そうなってしまった物はもう元に戻せない。


 人間の心とは厄介な物だ。

 でも、この想いは、死ぬまで娘には黙っているつまりだったんだよ?

 だけど、まさかあんなことで、うっかり口を滑らせてしまうとは……。


 不覚の極みだ。

 まあ、バレちゃった物は仕方が無い。


 もう開き直るしかないわ。

 

 あははははははー(自棄)。

 プロローグは「小説家になろう」版のみの書き下ろしです。昨日思い立って、1時間くらいで書きました。母が23歳、娘が3歳くらいの頃の話です。本編はこの数年後。

 なお、娘が何を言ったのか、それが判明するのは、かなり後になる予定です。


 あと、毎日連載している『斬竜剣』もよろしくお願いします。

 https://ncode.syosetu.com/n8120gi/

 ジャンルは『おかあさんがいつも一緒』とは全く違う、バトルファンタジーです。


 それと百合がお好みの方には、『神殺しの聖者』もどうぞ。

 https://ncode.syosetu.com/n5126gf/

 既に完結済みなので、一気に最後まで読む事ができます。

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