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神々の世界と因縁のペンダント【加筆修正中・更新休止】  作者: 海斗
第五章  個々の試練
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   第一話  出発


 こうしてフルトの処罰が決まるのだったが、俺らからすれば予想外としか言いようがない。


 ついでに処罰の実行日は、処罰書に今日からということで書いてあった。日数で加算していくので今日が終われば一日目と言うことらしい。


 ということでフルト早速、メンバーに加わるわけでそのまま自己紹介の流れになった。というのも、その流れを作ったのはフルトだった。

 とりあえず、自己紹介を始めるが。自己紹介をするのに自分の正体を明かさないのは意味がないかなと思う一方で、未だにフルトの反応がどうなるのか怖い。


 と思いつつも、全員自己紹介をフルトがわかりやすいようにジークから初めて最後に俺達で終わらせた。だが、一人目から第二王子ってのはかなり失敗だった。

 フルトの表情がとにかく忙しなく、名前と素性を聞くたびに驚きを通り越してオーバーリアクションとも言える土下座を披露していた。



「なんかごめんなフルト…。前もって言っておかなくて」

「いや。むしろ、こういうときに言ってもらわないとピンとこずに放置してたところだよ。神の眷属っていうのは初めて知ったから」


「なるほどな。でも、俺も自分のことなのにまだよくわかってないくらいだから」

「そうなんだ」


「そうそう。俺達もそうだけど。みんなお互いに、まだ相手のことをよくわかってないんだ。だからこれから、フルトもよろしく」


「うん。こちらこそ」



 俺はこの世界のことをよく知らない。人種の中の関係を、ただ本に書いてあることだけしか知らない。だから、俺達が見た光景。差別される獣人ってのはきっと、ほかのところでも起きてるんだろう。


 だが、どうも解決しない点が二つある。


 今回の一連の出来事は相手の提案から始まった。あれは明らかに無理やり過ぎる提案の仕方だった。自然な流れとは言えない。


 そして、妹のユナちゃんとともにいたグロマの連中がいたことも結局、解決はしなかった。


 仕向けたってのは、推測できる。ただ、その意図がわからない。


 しばらく俺は、話している優花達を横目にただ考えてはいたがわからない。というか相手の考えてることわかるんだったら、人間関係で苦労しないよな。


 俺はなんとか考えを巡らせるが、答えに辿り着かないことばかりを考えるのは良くないと思い、考えるのを放棄した。



 それからというもの、ある程度の時間が経って気付いてたときには夕暮れ時になっていた。一段落するまで長かったような短かったような。

 ただ、やはりユナちゃんが救えなかったことはなによりの悔しさだった。俺も含めてきっとみんな、それが唯一の心残りだろう。



 そんな俺達は、夕食の時間になって食堂で済ませたあとは、追加でフルトの宿泊料金も払った。


 やはり人種差別の意識があるのだろうか、その支払いの際には職員が、フルトをちょくちょく睨んでいた。


 その睨みには怒りの感情は明らかにない。牽制しているかのように見下している。一緒にいた俺に対してもだ。


 同一視されたようだ。

 俺達に向ける視線はそれから変わらずじまいで、当然そんなところに長居するはずもなく。

 そそくさと部屋に戻った。


 その後は、風呂や寝る支度などを済ませていく。フルトは劣悪な環境にいたために風呂に入れてもらったことはない。雨で洗ったとかどうとか。俺と優花からすればそれだけでも、劣悪な環境だって伝わる。


 ただ、風呂は宿の共同で使う温泉のような感じでまたしても、周りからの視線がこっちを向いていた。睨んでいる人や中には驚いている人もいた。


 かなり目のやり場には困った。もちろん、風呂も洗うだけ洗って、湯船に浸かるだけ浸かって、すぐに部屋に戻ることに。


 それから、フルトに関しての話で盛り上がって、床に就くまで少しばかりの時間が掛かった。



    ◆   ◆   ◆   ◆   ◆




「いやー。あの怒りに満ちた表情は面白かったなー。魔法っていう画期的なものがあるのによ。いちいち問題視する必要あるか?」


「それは人それぞれ。僕はキミとは違うが、その意見も少なからず否定はしない」



 聞こえてくるのは、傍観者として密かに荒哉達の様子を見ていた者の声。身長差がある二人組。フルトへ刃を向けて刺し、仁也が怒りを向けた人間。


 木々の幹を足場にして木々の間を飛び回って移動している。


 二人は、仁也達への挨拶を済ませたあとは、王都を離れて森の中に入っていた。

 その森はあの仁也達が下ってきた山。スダキリ山だった。



「それにしてもよ。わざわざこの山を経由する意味あるか?」

「あるから通るんだろ。少しでも神の眷属をおびき寄せなければ」


「なるほど。誘導か~」

「あぁ。この山の()()()|にある()に向かってもらわなければ。幹部階級(エグゼクティブクラス)の連中に協力するのは不愉快だが、ボスのためだ」


「そうだな。俺もあの連中は気に入らねえ。で、それは今どうでもいいが、この山を経由してなにするんだ?」

「簡単な話です。この山はこの国の建国に携わったパンテラが祀られている山だ。魔力による山の現状維持のために、この山には大量の魔力が存在します。木々や地面、空気。その魔力の量の溜まりようはこの国で随一。魔獣・魔物は化け物のように強くなる。ただ、神の眷属もまた強くなる。報告にあったゴブリンについても、あの山でなければすでにあの二名の神の眷属は存在しなかった」



 その話を聞いた荒っぽい口調が目立つ人物は、小声で「なるほど」と言って静かに口を引きつる。


 魔獣・魔物は魔力を媒介にして攻撃を使う。そしてなにより魔力を取り入れることは命を保つうえで大事なことで生命力などにも繋がってくる。エサのようなもの。


 そんな大事なものに魔獣・魔物が寄ってこないわけがなかった。



 話を経たうえで、二人がしようとしていること。それはあまりにも大胆で、非道な誘導行為だった。



「じゃあ、それで決まりだ」

「おう。了解した。こりゃ、()()()()()()()()()()()ヤツだな」



 二人は会話を終えて飛び回るスピードを速めて、わずか時間で山の山頂へと到着した。



「じゃあ、始めるか」

「あぁ。この山の産物、ありがたく使わせてもらいましょう」



 正体不明の二人は被っていたフードを脱いで、落ち着いた声のほうの人物が空に向かって手を広げる。

 そして――。


 小声でなにかを言い放つと、手を広げたその上には青紫色に染まった魔力が増大して膨らみ、着色した魔力の塊が、大規模になってできていた。

「さて。セット完了っと……。あとは、時が経つのを待つだけだ……」



    ◆   ◆   ◆   ◆   ◆



「持ち物よし。メンバーも全員いるし、特にすることもない。これでよっし」

「こっちも大丈夫。仁也。行こう!」


「うん」



 ついに王都を出るときが来た。というか本来はもう出てるはずだった。


 現在の時刻は早朝。まだ日が昇りきっていない。それにしても、よく俺は起きれたよな。やっぱ慣れないからか?まあ、どうでもいいか。



「ジーク。頼むぞ」

「う、うん……み、みんな。これから、僕達は親しみのある王都を離れていずれ国外に向かう。だから、これから…お互いに楽しく行こう!重く悩まずに…。みんな、出発しようッ!」



(((((お~~)))))

「お――――!って……え?」



 こうして俺達は王都からなんとか、出発する。のだが、俺以外の全員が小声で俺だけ早朝に関わらず声を張り上げて出してしまった。


 気持ちのいい朝を迎えた、はずだったのに。


 その途端、近くにあった家の二階の窓が勢いよく開いて、怒りに満ちた表情をした中年男性が顔を出してきた。


 案の定!



「うっさいわ!」



 と言い残して、すぐに窓を勢いよく閉める。



「全然、気持ちのいい朝じゃない……」



 と小声でみんなに笑われながらも、この場をあとにして王都の出入り口の門に向かった。


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